2008年3月17日(月)掲載

◎冬から春の装い…赤松街道でこも外し
 【七飯】七飯町鳴川地区の国道5号の通称「赤松街道」で16日、冬の間アカマツに巻き付けていた「こも」を外す体験会が行われた。ボランティアや家族連れ約75人が、約200本のこもを外したり、付いていた害虫を数えて駆除したりの作業に精を出した。

 こも巻きは昔ながらの害虫駆除法で、越冬で暖を求めようと枝葉から地面へと降りてくるマツケムシやマツクイムシなどの害虫が温かいこものに集まり、春先に虫ごとこもを木から外す仕組み。赤松街道を愛する会(寺沢久光会長)が主催し、同会と町、函館開発建設部で結んだ「ボランティア・サポート・プログラム」に基づく保護活動として行われている。

 寺沢会長が「大勢の参加はアカマツを守ろうとする人たちの気持ちの現れ」、中宮安一町長が「まちの変遷を見守るアカマツを守ってくれるのは大変うれしい」とそれぞれあいさつ。こものはずし方や、数える害虫について説明があり、作業を開始した。

 参加者は14のグループに分かれ、幹に巻きつけられたひもを解き、こもを外した。こもに付いていた害虫はピンセットで取り除き、調査表に虫の数を記入していった。作業が進むにつれ、街道は冬から春への装いになっていった。(山崎純一)


◎中村支部長が辞任…自民党8区
 自民党衆院道8区支部長の中村勉氏(48)は16日、函館市内で開かれた8区支部の拡大役員会議で辞意を伝え、了承された。記者会見した中村氏は「自らの力不足で第8選挙区の保守分裂の事態が解消されない状況の中、一身上の理由により支部長の職を辞する決断をした」と述べた。今後は8区支部が中心となり、早期に新支部長(次期衆院選候補)の選考を進める。

 中村氏は2006年9月20日に公募で8区支部長に就任。中学・高校時代の同窓生らが後援会をつくっているが、経済界などを基盤とした本格的な連合後援会の発足には至っていない。

 会見には中村氏の後見人である自民党元幹事長の武部勤氏も同席。中村氏は「辞職を機会に第8選挙区が過去のしがらみを完全に断ち切り、保守一本化の実現を図ってもらいたい」と語り、道南で長く続く「佐藤(孝行)派」「阿部(文男)派」の融和を願った。一身上の理由は「家族の問題」とだけ答えた。

 8区支部での辞任承認を受け、今後は党道連が党本部へ上申し、暫定支部長を置く。後任について武部氏は「地元で選考委員会をつくり、意見を集約して道連に上げてもらう形となるだろうが、急を要する場合は党本部の選対委員会で決めるなど臨機応変に対応したい」と述べた。党道連によると、現時点で支部長を公募する考えはない。

 武部氏は「役員会議で郡部の出席者からは、函館市内や函館経済界を含めていろいろな注文があり、私からも申し上げた。これは中村君だけの問題ではない」とかばった。そして「議席を奪還する千載一遇のチャンスで、経済界をはじめみんなで立ち上がってもらいたいという思いを申し上げた」と、経済界を暗に批判した。

 自民党8区は1996年の総選挙から、民主党に小選挙区4連敗を喫している。民主党は昨年11月、引退する金田誠一氏の後任に逢坂誠二氏(衆院比例道ブロック)の擁立を決めている。

 中村氏は1960年、函館市生まれ。函館西高―中央大法学部卒。検察官から弁護士に転身した。 (高柳 謙)


◎23日に西川流抄扇会「初舞」
 日本舞踊の西川流抄扇(しょうせん)会(西川登代蔵会主)の「初舞」が23日午後零時半から、函館市湯川町1の花びしホテルで開かれる。西川会主(76)ほか、会員約25人が長唄や演歌に合わせ舞踊を披露する。入場は無料で、多くの来場を呼び掛けている。

 会員は函館市のほか、厚沢部町、福島町、札幌市などから集まる。初舞は会の新年会としてスタートしたが、日ごろの支援への感謝を込め、約10年前から発表会の形式で開いている。会として踊りの発表は、函館邦楽舞踊協会主催の催しで行うことはあるが、定期的に市民に披露するのは初舞のみ。

 プログラムは2部構成。西川会主は「長唄など古典的な踊りばかりでは来場者が飽きてしまうので、演歌などを取り入れ、バラエティーに富んだ内容にした」と紹介。西川会主が出演者に合わせた曲を選び、振り付けを指導。市内の町会館などのけい古場で練習を積んでいる。

 西川会主にとって今回は、これまで以上に力が入っている。西川会主は昨年11月、函館市文化団体協議会(加納裕之会長)から、市の文化、芸術の振興に長年貢献してきたことを認められ、白鳳(はくほう)章を受章。1、2部のトリとして、長唄「ゆたか」、小唄「春風」を披露する。「今後とも社中一同と共に研さんを重ねていく決意を込める」と話す。

 会員も熱意を受け、気持ちを引き締めている。西川登代美さんは「会主の熱い思いを受け、踊りにいっそう集中して練習をしている。良い舞台にし、会主へお礼をしたい」と話している。(山崎純一)


◎中の川小 有終の美 ポスターの部6年連続入賞…道の「林野火災予防」コンクール
 【知内】知内中の川小学校(佐藤一夫校長、児童21人)は、道が募集する「林野火災予防」を呼び掛けるポスターコンクールでことしも入賞を果たした。このうち6年生の西山りこさん(12)の作品は、渡島管内などで配布される火災予防啓発のポケットティッシュの表紙デザインとして採用される。採用は同校としては6年連続の快挙。知内小との統合による閉校を3月末に控える中、佐藤校長は「6年連続は大変立派。子どもたちと教員の頑張りが、高い評価につながった。子どもたちの自信となり励みにもなる」と喜んでいる。

 同コンクールは道が児童を対象に毎年開催。ポスターの部と標語の部で作品を募集し、ことしのポスター部門には818点(渡島63点)の応募があった。

 同校からは3―6年生の12人が応募。昨年4月に授業で山火事などの危険性を勉強して作品づくりに取り組み、5月に町内で開かれた「小学生防火美術展」でも、多くが入賞した。

 西山さんは2年前の秋に親戚の家で遊んでいたとき、近所で山火事に遭遇。「消防車のサイレンが聞こえてきて外に出たら、近くの山が燃えていた。『バチバチ』と音がして本当に恐かった」と振り返る。

 「火災から動物や美しい自然を守りたい」と、実際の山火事を目撃した経験を生かし、火災予防への思いを作品に込めた。作品は、林でポイ捨てされたタバコが大きな火柱になり、野原を焼きキツネやモグラが飛び逃げる様子を表現し、「山火事 注意」と大きな字で危険性を訴えた。

 指導にあたった佐々木誠教諭(31)は「内容については子どもたちの自主性を尊重した。山火事を身近な問題として考える良いきっかけになったはず」と話している。

 なお、同校児童の応募作品は2004、05、07年に道知事賞に輝き、道内の公共機関などに張られるポスターにもなっている。(田中陽介)


◎「堂々」「緊張」16人全員合格…子ども歌舞伎オーディション
 今年で創立20周年を迎える函館子ども歌舞伎(市川団四郎さん)は16日、函館市芸術ホール(函館市五稜郭町37)で小学生を対象とした新人入団オーディションを10年ぶりに行い、希望者16人全員が見事に合格した。市川さんは「予想以上に多くの子どもたちが参加してくれてうれしい。20周年記念公演に向けてよいスタートが切れそうだ」と喜んでいた。

 同歌舞伎は1989年に発足し、2年に一度の公演を行うとともに、全国各地のイベントにも数多く参加。今年1月にも沖縄県で行われた「杜(もり)の賑わい・沖縄」で「白浪五人男」を演じて高い評価を受けている。

 現在の団員は小学生から高校生まで18人。今年は11月30日に函館市民会館での20周年記念公演を予定しており、団員の裾野を広げる目的で久しぶりとなるオーディションに踏み切った。

 始めに小学生の現団員が本番同様の衣装と化粧で「白波五人男」を熱演。続いて16人の入団希望者がステージに上がり、現団員からセリフや演技の手ほどきを受けながら歌舞伎の雰囲気を味わった。

 入団希望者の中には見よう見まねで堂々と演技をする子もいれば、緊張して泣き出す子など様々。それでも最終的には全員の合格が認められ、現団員も大勢の後輩の誕生を喜んでいた。(小川俊之)