2008年3月18日(火)掲載

◎中島廉売にフキノトウ並ぶ
 一日の平均気温が5度を上回り、春の陽気が続く函館市。市内の中島廉売ではフキノトウが並び、山菜シーズン幕開けを告げている。

 道南で山菜採りを行っている同市港町の上原二三子さん(76)は、数日前からフキノトウを採り始め、17日から本格的に店に並べた。「今年は山の雪が多く、いつもなら汗をかきながらの作業も、今年は汗が出ないほど寒い。地面も冷たく、遅れ気味」と話す。

 ただ、形は良く、例年より大きいという。上原さんは大小それぞれの大きさを1皿(約200?)150円で販売。客には「味pク煮かい、天ぷらかい」と尋ね、味pク煮用には小さいものを、天ぷら用には大きいものを売る。試食の天ぷらを食べた客は「良い香りと苦みがあっておいしい」と話していた。(山崎純一)


◎障害者雇用推進の函館2企業を道HPで紹介
 障害者雇用の推進を図ろうと、道は本年度から障害者雇用率が法定雇用率1・8%の倍となる3・6%以上の企業の取り組み事例をホームページ(HP)で紹介する事業を始めた。雇用に積極的に取り組む企業の具体例を示すことで、他の事業主の意識高揚や雇用の参考にしてもらうのが狙い。函館市内からは情報通信業の「グローバル・コミュニケーションズ」(富岡町2、笹谷隆社長)と「函館タクシー」(日乃出町22、岩塚晃一社長)が掲載されている。(新目七恵)

 「特に障害者という意識はない。必要な人材を組織として支え合うのは当然」。グローバル・コミュニケーションズの笹谷社長(41)はいう。

 同社はシステム開発やパソコン教室などを実施。従業員45人のうち2人は車いす利用者、1人は足に障害がある。入り口にスロープを設置、トイレは車いすでも利用できるよう改修した。車いす利用者の坂本優子主任業務支援担当(45)と木戸浦康之主任(38)は、共にパソコンのインストラクター講師などを務めている。

 坂本さんは以前、電話交換手だったが、障害者団体を通じて2001年に転職した。「できないことは包み隠さず伝えるので周囲がフォローしてくれる」と話す。00年に入社した木戸浦さんは「障害があると閉じこもりがちになるが、一歩を踏み出し外へ出る環境を作ってみては」とする。

 函館タクシーは総従業員310人中7人が重度を含む身体障害者、うち4人はドライバーだ。昨春トイレをバリアフリーに改修したほか、介護事業なども展開。それぞれの障害特性に応じた配慮を行っている。

 乗務員の佐々木勝弘さん(52)は、5年ほど前から下半身の関節などに障害がある。ドライバー歴は29年。運転に直接影響はないが、調子の悪い時や通院時などは勤務時間を調整してもらうという。「具合の悪い時は無理せず休むなど、必要に応じて会社に対応してもらっている」と話す。

 障害がある他の乗務員には優先的にAT車を配車するなど、同社はより安全な運行を目指して工夫している。総務部の齋藤博之部長は「病気などで障害を負っても職場を変えるなどして対応。障害の有無にかかわらず、意欲があれば働ける」と説明している。

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 厚生労働省によると、07年6月1日現在の全国の民間企業における法定雇用率の達成率は43・8%。政府は雇用率未達成企業のペナルティーとなる納付金徴収を中小企業に拡大することなどを盛り込んだ障害者雇用促進法改正案を国会に提出するなど、対策に乗り出している。

 障害者の就業、生活支援機関「函館障がい者就業・生活支援センター すてっぷ」(石川町)の小松健児支援員は「作業効率の低下を心配したり、『めんどくさい』など障害者雇用には先入観があるかもしれないが、ちょっとした工夫や発想の転換で雇用は可能」と話している。

 道のHPはhttp://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/rkr/shokaijigyo。


◎函館市社協が1900万円を過剰受給、返還へ
 函館市社会福祉協議会(市社協、谷口利夫会長)の戸井、椴法華、南茅部の3支所で行っている介護サービス事業に絡み、2003年度から07年度にかけての介護報酬などの請求に誤りがあり、市社協が総額約1962万円を過剰に受給していたことが17日、わかった。市社協は過剰分を市や利用者に返還する方針。同日開かれた函館市議会予算特別委員会で、黒島宇吉郎氏(新生クラブ)の質問に対し市側が明らかにした。

 昨年11月に行った渡島保健福祉事務所の実地指導で明らかになった。この指導を受けて、同社協は3支所が行っている訪問介護、居宅支援、訪問入浴3事業について、03年度以降のサービスの提供状況、介護報酬の請求額を精査した結果、市に対して1808万円分、利用者の介護料約154万円分の超過額が判明した。

 市社協は利用者に対して3月中に返還するよう処理を進め、市に対しては5年間で月額30万円ずつ分割で返還する意向を示している。

 市社協によると、介護報酬の制度変更があったにもかかわらず、従来の制度のままで介護報酬分の申請をしたため、過剰請求になったとみられる。市社協は2004年の市町村合併に伴い、旧町村の社協も吸収合併したが、介護事業に関しては各支所が実質的に管理、運営していた。

 谷口会長は「あってはならないこと。本所、支所間の職員の配置転換を進めるなど組織の改善を図り、今後このようなことが起きないよう信頼回復に努めたい」としている。


◎支庁再編で道が市町村意見公表、慎重な声相次ぐ
 【江差】道は17日までに、昨年11月に公表した支庁制度改革の具体案「新しい支庁の姿(原案)」に対する市町村の意見照会の結果を公表した。支庁再編に対して江差町など廃止対象の支庁所在地からは存続を求める意見が相次ぐ一方、支庁が存続する都市部からも、再編に伴う地域衰退への懸念や道行政の複雑化に対する慎重意見が相次いだ。

 照会は昨年12月13日から今年1月25日までに実施。支庁廃止対象の檜山管内や日高、留萌、根室管内のほか、当初案で支庁廃止が示されていた胆振、後志、宗谷管内でも慎重意見が目立った。檜山管内は乙部町が「地方分権の動向を踏まえて慎重に進めるべき」、今金町は「道が目指す姿も明確ではない」、奥尻町も「行革の一手法で地域振興に配慮がない」と指摘。渡島管内でも福島町が「地方衰退に配慮が必要」とし、森、木古内、知内の3町も慎重意見を示した。

 支庁が「総合振興局(仮称)」となる釧路市は「行財政の効率化のみを重視した改革とならないよう注意が必要」、帯広市も「5―6年経過したが全く道民の理解が得られない状況」と指摘し、道の手法に疑問を呈した。十勝管内上士幌町も「振興局に転換する支庁は農水産業が主産業。総合振興局への所管替えが地域産業の衰退につながる。振興局に業務集約を検討すべき」との指摘もあった。従来から本・支庁間で二重行政と批判されてきた支庁制度が本庁、総合振興局、振興局と複雑化することに、札幌市は「3層構造化で非効率性が懸念される」と指摘。小樽、千歳、北広島、北見など多数の市町村が懸念を示した。江差町は「多数の市町村が道の改革に疑問を持ち、改革案自体の問題点が浮き彫りになった」としている。(松浦 純)


◎道内公立高校で合格発表
 公立高校の2008年度入試の合格発表が17日に行われ、道内の各高校では発表時間の午前10時に玄関前などに合格者の受験番号を掲示。道南では2775人(渡島管内2507人、桧山管内268人)が“春”を手にした。

 函館中部高校には、発表前から続々と制服姿の中学生や保護者らが集まった。生徒玄関前に用意された掲示場所に全日制240人分、定時制35人分の合格者番号が掲げられると、一斉に駆け寄って番号を確認。合格した生徒らは「やったー」などと歓声を上げ、ガッツポーズで喜び合っていた。

 発表の30分前から訪れていた函館的場中学校の佐々木将汰君(15)は「一時はだめだと思って出願変更も考えたが、先生たちに励まされて受験した。あきらめなくて良かった」と喜び、入学後については「部活を一生懸命やって、将来は学校の先生になれるように勉強も頑張りたい」と話していた。合格者の番号は各校のホームページにも掲載されている。 (小泉まや)


◎自転車商戦始まる
 路面の雪もすっかり解け、日増しに春らしさが増す中、函館市内でも軽快に自転車を走らせる市民の姿が増え始めた。市内のホームセンターや百貨店には、通勤はもちろん、入学シーズンを控えて通学などに利用しようと、自転車を買い求める客が相次いでいる。各店によると、後方に荷台が付いた、いわゆる「ママチャリ」が圧倒的な人気で、新生活の準備を進める生徒や学生の購入が多いという。この自転車商戦は4月上旬までがピークとみられる。(小橋優子)

 市内石川町231のホーマックスーパーデポ石川店では、2月末から店内と屋内の2カ所で販売し、ピーク時には約530台の自転車を用意した。西嶋大志主任は「購入客の9割はママチャリを求め、車体はシルバーが人気」と話す。1万3000円前後の自転車が売れ筋。近年相次ぐ盗難被害を受けて、アルミ製やワイヤーなどの鍵も並んでいる。

 ジャンボイエロー金堀店(市内金掘町1)では、店内入り口付近に常時150台ほどを並べ、1万円前後のママチャリが好調。斉藤秀雄主任は「5―6万円とやや高額だが、高齢者の体に優しい電動自転車も人気」と話す。「原油高の影響で自転車を購入する高齢者もいる」という。

 鍵を掛けることでハンドル部分も固定され、運転操作ができない仕組みとなる「一発二錠」と呼ばれるユニークな自転車を販売するのは、市内梁川町1のテーオーデパート。店内4階特設会場では3月上旬から常時100台前後を展示。伊勢谷健主任は「昨年までは『どうせ盗まれるなら安い自転車を』という客が多かったが、盗難保険補償付き自転車や高額でも盗難防止機能付き自転車が好調」と話す。2―3万円ほどの自転車が売れ筋で、「中には自分の自転車がひと目で分かるようにと、あえて赤や青色の鮮やかな色の自転車を買い求める客もいる」としている。