2008年3月19日(水)掲載

◎知内町教委 公民館などのコンセントや蛇口に「節約」シール
 子どもらと環境保護を実践

 【知内】知内町教委は、新年度から始まる町内の小中学生、高校生を対象にした「町エネルギー環境教育取り組み構想」の一環で、省エネ対策として3月から町教委が管理、運営する町中央公民館、町スポーツセンターにあるコンセントや水道の蛇口すべてに「節電」「節水」を呼び掛ける手づくりシール(ラミネート加工)を約300枚張った。「教育委員会は『地球』を守ります!」をスローガンに、手づくりポスターも作製する徹底ぶりで、町教委の小林亮社会教育係主事は「当たり前のことをすることが一番重要で意外に難しい。一つずつの積み重ねで、子どもたちとともに環境保護を推進したい」としている。(田中陽介)

 同構想は、子どもたちが自然環境に興味を持ち、「節約をするための節約ではなく、なぜ環境保護が必要なのか」という初歩的な考えを芽生えさせることを第一に掲げる。町を挙げた“環境教育”の推進は先駆的な取り組みで、他自治体からも注目が集まりそうだ。

 節約シールは、構想策定に携わる中で「子どもたちに良い手本となるよう、まずは自分たちが実践で環境保護の姿勢を示そう」と町教委職員が企画した。このほか、町教委は(1)未使用電気器具の電源を抜く待機電源の浪費対策(2)使用頻度に合わせた電球交換で電気の効率的な消費(3)ドアの開け閉めなどによる室内温度の適度な確保―などに取り組み、4月に開かれるサークルなどの館内利用者の集まりでも節約の徹底を呼び掛ける方針だ。

 田中健一教育長は「温暖化などの地球を取り巻く環境問題が声高に叫ばれているが、『自然を守ろう』『緑を大切に』など、旧来から情緒的な保護メッセージが前面に出て、『なぜ保護に努めなければならないのか』という根本的な課題が置き去りにされている」と指摘。「環境問題の影響をまともに受けるのは、将来を生きる子どもたち。日々の生活に着目しながら、環境負荷の少ないライフスタイルの確立に知恵をめぐらせる必要がある」と話す。

 さらに、町内には北電知内発電所(火力発電所)があることから、「自分たちが住むまちでつくられる電力についても、知識を深めることが必要不可欠」とし、同構想の推進の必要性を説く。。

 4月以降は知内高校に、道教育大函館校の環境科学を専攻とする教授を出前講座で講師に招くほか、企業や専門機関からも積極的にアドバイスを受け、環境教育を進める。


◎更生保護法人・函館創生会が創立100周年記念誌を発行
 更生保護施設「巴寮」(函館市堀川町13、本田光正施設長)を運営する更生保護法人函館創生会(小笠原孝理事長)の創立100周年記念誌「潮路を越えて」がこのほど完成した。同法人の1世紀にわたる歴史が貴重な資料とともに体系的にまとめられており、小笠原理事長は「更生保護活動の理解を深める助けになれば」と話している。(小川俊之)

 

 更生保護施設は、罪を犯した人や非行に走った少年が、健全な社会人として立ち直ることができるように指導、援助する。現在、全国で101団体、道内では8団体が運営に当たっている。

 函館では1907年の「函館出獄人保護会」が前身となり、15年に財団法人函館助成会として認可を受け、96年に更生保護法人となり、2007年9月の創立100周年を機に、法人名を「函館創生会」、施設名を「巴寮」と改称した。現在は定員15人で常勤職員5人と地区保護司会の派遣により、処遇体制を整えている。

 記念誌はB5判201?。編集委員長の関輝夫顧問が中心となり、法務省に保管してあった大正時代の申請書類など貴重な資料を多数収録した。小笠原理事長は「日本における更生保護活動の歴史をたどる上でも、価値の高い充実した内容になったと自負している。関顧問をはじめとした編集に関わった皆さんの熱意の成果」と話す。

 巴寮の施設長を務めて3年目となる本田さんは「不況の中、入寮者の就職先のあっせんが非常に厳しいが、周辺住民の理解と協力に支えられてスムーズに運営することができている。100年という歴史の重みをかみしめながら、多くの人たちの社会復帰を目指し新たな一歩を踏み出したい」と意欲を見せている。


◎中国人向け観光ビザ緩和で一家が来函
 3月からの中国人に対する観光ビザの緩和措置の初適用となった家族3人が18日、函館入りした。五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)では、市の関係者らが「ようこそ函館へ」の横断幕を掲げ、斉続暄さん(73)一家(北京市在住)を出迎えた。

 従来の観光ビザは5―40人の団体を対象にしてきた。今回の措置は、対象者を一定の収入がある者とその家族の2、3人に変更することで、中国人の旅行客数の増加を図るとともに、2010年までに訪日外国人旅行者1000万人の達成を目指す「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を推進するのが狙い。

 訪れたのは斉さんと妻の王玉梅さん(58)、長男の斉賀さん(30)で、16日に来日し、17日に空路道内入り。18日は前日の宿泊先の登別市から七飯町の大沼公園に立ち寄った後、バスで函館入りした。

 同タワーでは、備前悟市観光振興室長が「函館を楽しんでいってください」とあいさつ。記念品として、市や函館国際観光コンベンション協会、同タワーから、イカ墨で柄付けした手ぬぐいや、ホタテのくん製、扇子といった品々が贈られた。

 斉さんらはこの日、赤レンガ倉庫群や函館山からの夜景などを楽しみ、19日は函館朝市を訪れた後、洞爺湖へ向かう。

 北京で日本語教師を務める王さんは「人の親切に触れ、きれいな景色を楽しんでいきたい」と話していた。 (浜田孝輔)


◎特別交付税、渡島・桧山とも減少
 2007年度特別交付税の3月交付額が18日、決定した。昨年12月交付分と合わせた総額は、渡島管内11市町の合計で41億6662万円で前年度比3・7%減。桧山管内は20億2315万円で同1・6%減といずれも減少傾向は続いているが、全道平均の同2・0%減、全国平均の4・4%減と比べて減少幅は小さかった。ただ、北斗市は同7・4%減で、伊達市(7・6%減)に続き名寄市と共に道内で最も減少幅が大きかった。

 特別交付税は、普通交付税の算定後に起きた災害など特別な財政需要に対して配分し、12月と3月の年2回に分けて交付される。

 渡島管内では、木古内町が同6・7%増の1億7802万円と、11市町で唯一の増額。木古内町国保病院が本年度、不採算地区病院の要件を満たすため、9500万円の運営支援経費が主な要因となった。函館市は合併経費減額で同5・4%減の14億449万円だった。北斗市も同様の理由で5億20万円に減額。残る8町のうち、知内、七飯、森を除く5町は道内町村平均(同1・3%減)を上回る減少率となった。

 渡島支庁地域政策課によると、原油高騰対策への経費支援はあったものの、除排雪経費がほかの地域に比べ少なく、前年に比べて大規模な災害がなかったことなどが影響したとみられる。

 桧山管内では、乙部町が同2・2%増の2億2415万円と増加したほか、江差町が同0・1%増の1億9710万円、厚沢部町が前年度と同額の1億9164万円。残る4町のうち、最も減少率が大きかったのはせたな町で同3・5%減、続いて奥尻町同3・0%減、上ノ国町同0・9%減、今金町同0・7%減の順。(新目七恵)


◎函館に流氷が登場
 函館市末広町13の水産物卸販売「北村水産」(北村暢一社長)の店頭に、網走市から運ばれたオホーツク海の流氷が並んでいる。観光客らは流氷との予想外の“対面”に思わず足を止め、氷が解けるまでの期間限定の観光スポットを楽しんでいる。

 網走市出身の北村社長が「道東まで足を運ぶことのできない観光客にも、ぜひ本物の流氷に触れ欲しい」と実施。15日午後7時に北村社長自らがトラックで函館を出発し、網走の漁業関係者の協力でオホーツク海沿岸から流氷を直接採取。そのままとんぼ返りし、16日午後9時に函館に戻ってきた。

 運んだ流氷は大小合わせて6個。最大は幅140センチ、縦90センチ、高さ90センチ余で重さは推定500キロ。17日夕から店頭に並べると、早速買い物客らの注目の的に。神奈川県から函館観光に来た天沼裕二さん(22)は「まさか函館で流氷が見られるとは思っていなかった。神秘的なブルーの色合いが印象的」と喜んでいた。

 同社の田村貴代美部長は「ことしは気温が高いので解けるペースも早いが、3月いっぱいは楽しんでもらえるのでは」と話している。 (小川俊之)


◎西・弥生統合校舎、弥生小解体を視野に
 児童数減少に伴う函館弥生小学校と西小学校の統合で、統合校舎を弥生小とする方針を示している市教委は、17日の市議会予算特別委員会(吉田崇仁委員長)で、校舎解体による建て替えを視野に入れている考えを示した。「弥生小の耐震診断やコンクリート強度を調べた結果、有効な耐震補強は難しく、建築物としての安全性の確保が難しい」と述べた。

 能登谷公氏(市民クラブ)の質問に答えた。現在の弥生小校舎は1938(昭和13)年に建てられ、築後70年を経過している。鉄筋コンクリート造り地上3階、地下1階で、景観形成指定建築物となっている。

 市教委施設課によると、統合校舎とする場合、安全性に問題がないかを調査した結果、鉄筋にさびが発生し、耐震性は基準値の半分程度で、コンクリート強度も国土交通省の耐震診断基準より相当低いことが判明した。補強工事は難しいという。

 2008年度に基本設計を実施し、09年度から工事を始め、12年4月の新校舎使用を目指す。09年度に統合し、西小を仮校舎とする予定。12年度の新校舎での児童は旧弥生小181人、旧西小65人で計246人の見込み。各学年2クラスの12学級を予定している。

 両小の統合は05年度に学校教育審議会が市教委に答申し、両小PTAも同意済み。両小PTAや地元町会、同窓会などからは、バリアフリー対応の新築校舎整備や旧弥生小のイメージを残した新築整備などの要望があるという。 (高柳 謙)