2008年3月2日(日)掲載

◎道内公立高校で卒業式、市函高でも第1期生巣立つ
 道内の多くの公立高校で1日、卒業式が行われた。道南では、本年度設立された市立函館高校(森武校長、生徒1112人)が第1回卒業証書授与式を挙行。第1期の卒業生を送り出し、函館の歴史に新たなページを刻んだ。

 市立函館高校は昨年4月、函館東と函館北の2校を統合してスタートを切った。第1期の卒業生は398人。式には卒業生の保護者や2年生合わせ約1000人も参列し、教員席がなくなるほどの人出となった。

 卒業生は、振り袖やはかま、スーツ、ドレスなどの晴れの衣装で出席。卒業生第1号となった相沢亮太君の証書を森校長が読み上げると「第1号」の部分に、会場から自然と拍手が起こった。学校への感謝の気持ちを表そうと、大きな声で返事をしたり森校長に握手を求めたりする生徒もいた。

 式辞で森校長は、引っ越しなど統合校としての苦労を振り返って生徒の踏ん張りをたたえ、「皆さんは1期生として堂々と胸を張り、希望あふれる旅立ちをしてください。社会に貢献できる大人に成長することを祈ります」と述べた。来賓の西尾正範函館市長は「国際性を持ち、個性豊かな日本人として活躍するとともに、函館を担う人材になってほしい」とあいさつした。

 在校生代表の工藤大智生徒会長が「先輩方が作った伝統の基盤を大切に、学校を作り上げたい」と送辞。これに対して卒業生代表の早川裕香さんが、3年間を「慌ただしいがとても充実していた」と振り返り、「高校生活は社会に踏み出す第一歩。新たな伝統とともにこれからの学校を作ってほしい」と期待した。(小泉まや)


◎ハイカラ衣裳館、今年の営業開始
 旧函館区公会堂(函館市元町11、槻泰治館長)で1日、「ハイカラ衣裳館」の今年の営業が始まった。早速、市民や観光客が訪れ、レトロでモダンな衣装をまとい館内を散策。優雅なひとときを楽しんでいた。

 来館者にドレスを貸し出し、記念写真などで思い出を刻んでもらう恒例のサービス。今年は大人の女性用ドレスを6着新調。子ども(女の子用のみ)から男女の大人用の計75着を貸し出す。観光客に人気があるほか、結婚記念日に利用する市民もあるという。

 この日、静岡から卒業旅行で函館を訪れていた佐野千種さん(22)ら4人は「(衣裳館を)タクシーの運転手から聞き、来てみた。ドレス、雰囲気ともすてき」と大喜び。また、親と来ていた函館市山の手の横山由依ちゃん(3)は「服がきれいで面白かった」と笑顔。同市的場町の岡崎数子さん(31)は「初めて来たが、本格的な服がたくさんあり驚いた。選ぶのも、着て歩くのも楽しい」と話し、お互い記念撮影を楽しんでいた。

 営業は12月25日まで。時間は、3月と11月からは午前9時から午後4時40分まで。4―10月は午前9時から午後5時まで。料金は20分で1000円。同館の入場料は別で、大人300円、小学生以上150円。問い合わせは同館TEL0138・22・1001。(山崎純一)


◎車いすの若本直子さんが皆勤賞で函商高を卒業
 生まれつき両足が不自由なため、車いすで日常生活を送る若本直子さん(18)=函館市高盛町=が1日、函館商業高校(三浦法久校長)を皆勤賞で卒業した。卒業式では皆勤した19人を代表して三浦校長から表彰された若本さん。4月からは市内の企業への就職も決まっており、「高校生活で学んだことを生かし、社会で頑張っていきたい」と意気込んでいる。

 若本さんは小学校、中学校時代を函館養護学校で過ごしたが、「健常者とともに勉強し、幅広い人間関係を築きたい」と普通高校に進学することを決意。2005年、函館商業高校国際経済科に合格した。

 同校は01年に校舎を新築した際にバリアフリー化し、エスカレーターを設置するなどハード面の受け入れ体制は整っていたが、生徒の受け入れはは若本さんが初めて。若本さんは「最初は勉強についていけるか、友達ができるかなど不安があったが、すぐに学校生活に溶け込むことができた」と話す。

 高校生活では数多くの資格を取得するとともに、クラスメートとともにさまざまなイベントに参加。中でも3年時の学園祭ではクラス発表でダンスに挑戦。車いすに乗りながらクラスメートと一緒にステップを踏み、見事に全校18クラス中1位に輝いた。「本当にうれしくて、みんなと一緒泣きじゃくった思い出は一生忘れない」。また、3年間担任だった川上伸哉教諭については「学校生活のことや進路について、個人的な相談ごとまで本当にお世話になった」と感謝する。

 皆勤賞については「夏場は自分でバスに乗って通学していたが、冬場は父親(順吾さん)に毎日送り迎えしてもらい、とても感謝している。社会人になったら自分でお金をためて免許を取り、一日も早く自立を目指したい」と新たな目標を見据える。

 学生生活をあらためて振り返り、語った。「普通高校に進学して本当によかった。困難なことも周りのみんなと協力すればきっと乗り越えられる。後輩の障害者の人たちにもチャレンジしてほしい」(小川俊之)


◎繁次郎劇団が最終公演
 【江差】1996年に旗揚げした「繁次郎(しげじろう)劇団」(工藤正道団長)の最終公演「繁次郎十番勝負第十番『これで最後だ繁次郎』」が1日、町文化会館行われた。ユーモアあふれる江差弁で繰り広げられる舞台に、解散を惜しむ800人を超える観客で立ち見も出た会場は、爆笑の渦に包まれていた。

 最後の公演は、妻をめとり子供にも恵まれた繁次郎が、松前藩への献上品を奪おうとしたヤクザ者を巧みに懲らしめるストーリー。「このホイドワラシ(意地汚い子供)!」「マッコけれ!(お年玉をくれ)」など、次々と飛び出す昔懐かしい江差弁とユーモアあふれる絶妙な演技が観客を楽しませた。

 同劇団は96年に演劇を愛好する住民で旗揚げ。毎年冬に定期公演を開き、大酒のみで怠け者だが“とんち”を武器に、権力者やヤクザ者を懲らしめたと言われる伝説の人物「江差の繁次郎」をモチーフに書き上げた、全10話の物語を12年かけて演じた。

 劇団メンバーは自営業、主婦、店員、公務員などさまざま。繁次郎の逸話を現代風の脚本にアレンジ。東北や関西にルーツを持つ、江差独特の方言を散りばめたセリフとメンバーの巧みな演技が人気を呼んだ。

 ユニークな活動が評価され、本年度の道地域文化選奨(道主催)を受賞。公演に先立ち同会館で贈呈式が行われた。(松浦 純)


◎子育てアドバイザー養成講座閉講式、37人に認定書
 本年度から始まった函館市の子育てアドバイザー養成講座の閉校式が1日、函館大谷短大で行われた。アドバイザーとして認定された37人に、同市の妹尾正白子ども未来室長から認定書が手渡された。4月からは地域子育て支援センター(子育てサロン)や育児サークルなどで活躍する。

 子どもを地域ぐるみで育てる目的の事業。同短大の協力を得て昨年12月から6日に分けて20講座を実施し、子どもの事故防止対策や児童虐待の現状と対応、カウンセリングの基礎などを学んだ。認定者には今後、市の子育て支援事業などへの協力を求める。

 妹尾室長が「未来を担う子どもが元気に健やかに育つため、今後も子育て支援に取り組みたい。講座で得た技術や知識などをさまざまな場面で発揮してほしい」とあいさつ。講師を務めた同短大の福島憲成学長も「子育ては教育につながる。皆さんが活躍するなかで子どもたちの将来に期待します」と激励した。

 認定された同市時任町の主婦林聡恵さん(36)は「お母さんが元気になれば子どもも元気になる。わたしの力は小さいが、少しでも子どもと母親が笑顔でいられるように活動したい」と話していた。(小泉まや)