2008年3月20日(木)掲載

◎春の訪れ 花穂輝く…川べりにネコヤナギ
 函館市内の川べりなどでは、ネコヤナギが若い花穂をきらきら輝かせ始め、散策を楽しむ人たちは春の風情を楽しんでいる。

 同市梁川町を流れる亀田川でも銀白色の綿帽子が風を受けて揺らいでいる。付近をよく歩くという同市田家の主婦は「今週に入り一気に目立つようになった。暖冬だった昨年は3月上旬には楽しめたが、今年の川は雪景色から春の姿になるのが短くて驚いてる」と話していた。(山崎純一)


◎北大農学部の園田さんが縁桂の卒論
 【乙部】乙部町の富岡国有林には推定樹齢500年と言われるカツラの巨木「縁桂(えんかつら)」がある。空中で2本の枝が結び付いた連理(れんり)の木で、縁結びの神木として信仰を集めてきた。北海道大学農学部森林学科4年の園田圭佑さん(23)は、縁桂を新たな地域資源として活用しながら、後世に守り伝えることを提言する卒業論文をまとめ、19日に研究成果の報告会を町役場で開いた。

 報告会には寺島光一郎町長、町職員や縁桂の保護に携わる住民ら約30人が参加した。

 園田さんは昨年9月―11月に町内に滞在、縁桂の信仰や保護活動を調査。「地域資源としての巨樹・巨木の可能性―乙部町の『縁桂』を事例として」と題する卒業論文をまとめた。

 園田さんは、道内の「巨木」を調査した結果、「樹木の保護や管理に至っていないケースが多い」と指摘。一方で“縁結びの神木”として信仰を集める縁桂は、住民が積極的に保護や管理に参加し、町や林野庁も協力して遊歩道などを整備したことが、保護の気運を盛り上げたと分析。町内の森づくり団体結成や縁桂でのイベント例を紹介しながら「シンボル化に成功した。縁桂を通じた取り組みが町全体の森づくりに波及している」と高く評価した。

 町のシンボルとして親しまれる縁桂を地域資源として活用するため、縁桂の保護やイベント開催を担う人材育成の大切さも強調。「葉や枝を使ったグッズ販売も検討すべき。北大でも台風で倒れたポプラ並木を生かしたグッズが人気を集めた」と話した。

 また、樹齢500年と推定される縁桂を最良の状態で保護するには、周辺の植物管理、見学者に根を踏まれない対策が必要と指摘。「縁結びの神木である縁桂に手を触れられないと魅力は半減する。幹に触れられる(参拝用の橋がある)部分を維持しながら、根の周囲に人が入れないようにする対策も必要」と訴えた。

 「初めて縁桂を見た時はものすごいインパクトだった。これからも縁桂を大切にして下さい」と締めくくった園田さん。寺島町長は「縁桂にはオーラがある。提言を参考に縁桂を町の宝として保護したい」と話していた。(松浦 純)


◎旅立ち 新たな道へ…未来大で卒業式
 函館市内の公立大学のトップを切って19日、公立はこだて未来大学(函館市亀田中野町)で卒業式・大学院修了式が行われた。学生は保護者や教職員が見守る中で式に臨み、学校生活に別れを告げた。

 同大の本年度の卒業生は、複雑系科学科が66人、情報アーキテクチャ学科が147人で、大学院のシステム情報科学研究科の修了者は23人。首都圏を中心にしたIT関連企業などへの就職が決まっている。

 卒業証書は、中島秀之学長が両科の代表に授与。式辞で中島学長は「皆さんは社会をデザインする力を付けた。将来は社会の意志決定をするような人になってほしい」と激励した。同校を運営する函館圏公立大学広域連合長の西尾正範函館市長は、同校の運営には税金がつぎ込まれていることを説明し、「皆さんは社会が投資して育てた若者たち。世界のどこに行っても、その国や地域、人のために貢献し活躍してほしい」と期待を込めた。

 学生を代表して、情報アーキテクチャ科の安部ゆかりさんと、大学院の小野田佳剛さん、置田誠さんがこれから社会に出て行く決意を述べた。

 このほかの同市内公立大では、道教育大函館校が24日に、北大水産学部が26日に予定している。 (小泉まや)


◎中部高生徒が薬物乱用防止ポスターを市内に配布、掲示
 函館中部高校の生徒が19日、同校近くのコンビニエンスストアやJR函館駅などで薬物乱用防止を呼び掛けるポスターを配布、掲示した。若い世代に薬物の恐ろしさや使用しないことを訴えた。

 昨年度から渡島教育局と校長会が中心となって実施する薬物乱用防止キャンペーン。ポスターのデザインは、同校1年の杉中桜子さんが手掛けた。骨が透けて見える手から薬がこぼれ落ちている様子を描き、「未来を生きる私たちには薬物なんかいらない」などの文章を添えた。A2判のポスター300枚を作成し、函館市内の全高校に配布。このうち同校は昨年度に引き続き、地域の人が頻繁に出入りする場所に掲示した。

 ポスターを持参したのは、同校生徒会の長谷川真美会長(2年)と諏訪聡副会長(同)。的場中学校や函館地方裁判所など、近隣の5カ所に掲示した。このうち同校生徒が頻繁に利用するセブン―イレブン函館時任店では中西正利店長が出迎えた。店内のトイレのドアに掲示する生徒の様子を見た中西店長は、「若い人が社会問題に取り組むのは素晴らしいこと」と温かい目で見守った。

 作業を終えた長谷川会長は「函館の高校生にも薬物の害は広がっていると聞いている。わたしたちが生活するまちからは薬物を撲滅したい」と話していた。(小泉まや)


◎経営努力求める声相次ぐ…恵山病院 地域説明会
 函館市病院局(井上芳郎局長)は19日夜、市内日ノ浜町の日ノ浜会館で、先に示した恵山病院の収支見通しや改善策について地域説明会を開いた。同病院にかかわる説明会は2月19日に続き2回目で、約20人が出席。病院自らの経営努力を求める声が相次いだ。

 総務省の公立病院改革ガイドラインに基づき、病院事業を行う自治体は新年度中に「公立病院改革プラン」の策定が義務付けられている。その一環として同局では、函館、恵山、南茅部の3市立病院の経営健全化を進めていて、改善策や収支見通しを示している。

 恵山、南茅部病院については、現行の2病棟から1病棟にする方針で、恵山病院は療養病床40床、一般病床26床から、療養病床60床のみに移行する考え。恵山、南茅部2病院の統括機能を備えたセンター設置も検討していく。

 ただ、恵山病院の収支見通しは1病棟化による経費削減や人工透析患者の確保などで約7000万円の効果が期待できるものの、毎年度約1億6000万の財源不足が生じ、2012年度には約9億9000万円まで累積赤字が膨らむ状況となっている。

 出席者からは「病院内での努力が見られない」「病院が医業収益を上げるには、住民が信頼を寄せられるよう改善していく必要がある」などの意見が寄せられた。

 同局は「現状を勘案して案を策定した。皆さんの意見を集約してプランを策定したい」と答えた。 (鈴木 潤)