2008年3月21日(金)掲載

◎木古内鶴岡小伝統の駅清掃
 【木古内】木古内鶴岡小学校(上平敏和校長、児童20人)はボランティア活動の一環として、校舎横にあるJR渡島鶴岡駅の待合室の清掃を40年以上続けている。待合室に置かれたノートには「皆が掃除してくれるからいつもきれい。ありがとう」「こういう駅がもっと増えればと思う。これからも頑張って」など、駅利用者のメッセージが記され、子どもたちとの間に温かな交流が生まれている。上平校長は「駅清掃は鶴岡小自慢の伝統。運動会などの各種行事で、地域住民が子どもたちを盛り上げてくれることへの感謝の意味を込め、これからも続けたい」としている。(田中陽介)

 同駅は木古内―江差間を列車が1日6往復する江差線にある。待合室は約4・5平方メートルの広さに数人が座れるベンチが置かれている。

 1964年に地元有志「辛亥会」が休憩所として、駅利用者が風雨などをしのげるようにと設置した。当時の同校児童が設置直後から清掃活動を始め、現在でも毎週木曜日の放課後になると、子どもたちはぞうきんやバケツ、ほうきなどを手に駆け付ける。

 活動は1―6年生の縦割り班で行う。1班5人ほどで、「上の方にクモの巣がある」「土や砂が多い」などと話しながら、約30分かけて丁寧に清掃する。作業を終えると、備え付けのノートに「きょうはごみがいっぱいあった」「雪がとけてきました」などと記録。もう一冊のノートには駅利用者の声が寄せられ、「奈良県から駅めぐりの旅をしています。掃除は皆がお互いに気持ち良く使える素晴らしいアイデア。これからもきれいにしていきましょう」「鶴岡小の卒業生です。久しぶりに木古内に戻り、ここにきて駅清掃が続いていることに感動しました」といった言葉がつづられている。

 本年度の最後の活動となった13日の清掃に参加した6年生の林新君(12)は「小学校生活最後の駅清掃だったけれど、これからも近くに来たときは駅の様子を見に来たい。ごみがあったら拾う」と話していた。

 川野雄一JR木古内駅長は「地域をきれいにしようとする子どもたちの心に感動する。頭が下がる思い」とし、村国寿英教頭は「大学ノートにある子どもたちへの応援はとても励みになる。ことしも1年間、大変頑張ってくれた」と目を細める。

 【写真説明】渡島鶴岡駅の待合室の窓や床を清掃する子どもたち


◎はこだて街なかプロジェクト、西部地区の歴史語る建物等のマップ作成事業進める、7月発刊目指す
 観光マップにない、まちの魅力を伝えたい―。まちの活性化に取り組む函館市内のNPO法人「はこだて街なかプロジェクト」(山内一男理事長)が、西部地区の歴史を語る建築物や跡地を載せたマップづくりを進めている。その建物などが持つ「物語」を盛り込み、市民や観光客に情報発信する。市内の全小学校にも配布する計画で、7月の発行を目指している。(宮木佳奈美)

 西部地区には、明治・大正・昭和時代に建てられたさまざまな建築物が点在し、開港による外国との交流や大火の歴史の足跡も残っている。山内理事長は「今まで観光スポットだけが歴史を語っていたが、観光マップにない建物や跡地の物語を通じ、個々の歴史や文化のつながりを手軽に持ち歩けるマップで紹介したい」と話す。現存する歴史的建築物を壊さずに利活用する意義をアピールする狙いもある。

 同法人は2007年度からマップづくりに着手。現地調査や関係者への聞き取り、資料収集を行い、西部地区に現存する建築物以外にも、跡地などの情報を集めた。この中から28の代表的な建築物などを選び、表面には地図、裏面には写真と解説文を掲載。「いくつかのキーワードを織り交ぜて、函館の歴史を浮かび上がらせたい」とする。

 このため、和洋折衷や純和風など異なる意匠の民家、現在は別な用途に利活用されている建物、公共建築物、土蔵、大火を教訓にした防火構造などを切り口に紹介する。「四角いマンホール」など建築物以外の情報も取り上げ、著名な建築物を別な視点から解説することも考えている。

 A2判12折りサイズで6000部発行し、市地域交流まちづくりセンター(末広町)などで配布する予定。山内理事長は「(このマップを利用して)函館のまちに今も生き続ける建築物に触れる“まち並み探検”を楽しんでもらえたら」と期待している。


◎函館亀田小4年の伊藤玄君 珠算・暗算で2段に合格 函館では最年少
 函館亀田小4年の伊藤玄君(10)が、このほど開かれた日本珠算連盟主催の第92回段位認定試験で、珠算と暗算の2段に合格した。同試験が函館市で行われるようになった1981年2月の第14回以来、これまで合格者の最年少だった小学5年生の記録を更新した。

 伊藤君は幼稚園の年長時に、市内富岡町2の砂田そろばん塾(砂田武久塾長)に入塾。小学校へ入学した年から検定に臨み、10級から1級までを順調にクリアした。昨年6月の段位認定試験では、暗算こそ準初段に合格したものの、珠算ではあと一歩及ばず、初めて苦杯をなめることに。しかし、その悔しさをばねに、同10月の珠算初段、暗算準2段の合格を経て、ことし2月の試験に挑んだ。

 種目は珠算、暗算ともに掛け算、割り算、見取り算があり、2段の合格基準はいずれも300点満点の120点以上。伊藤君は実力をいかんなく発揮し、中でも珠算の見取り算では4段の合格基準に相当する160点を取るなどした。

 砂田塾長は「素直な性格が、飲み込みの速さや間違った問題をやり直すといった熱心さにつながっている。今後、何らかの壁にぶつかるかと思うが、楽しみの方が大きい」と目を見張る。

 伊藤君は「学校の先生や友達に『すごいね』と言われて、とてもうれしかった。問題をもっと正確に解くように練習して、5年生で3段か4段、6年生までには5段に合格したい」と飛躍を誓っている。(浜田孝輔)


◎函館東ロータリークラブが環境に取り組む記念事業
 昨年創立50周年を迎えた函館東ロータリークラブ(宮崎裕之会長)は記念事業の一環として、4月13日午後2時から函館市民会館大ホールで、タレントの清水國明さんを招いた講演会を開く。また、5月18日午前10時からは21世紀道南の森づくり事業実行委員会(武下秀雄委員長)との共催で、赤川水源地(亀田中野町)で植樹会を開く。共に参加は無料。同クラブでは「親子で自然に対する考えを持ってもらう機会に」と参加を呼び掛けている。(山崎純一)

 同クラブは1957年8月に創立。節目を祝う活動のテーマを「環境」とした。創立50周年記念事業委員会の時田茂委員長は「21世紀は環境問題がキーワードで、水と緑を考える時代といわれる。ともに、子どもたちに関わる大切な問題」と話す。

 清水さんは国内最大のアウトドアライフネットワーク「自然暮らしの会」を主宰。タレント活動を越え、環境、エコロジー、自然、危機管理などの社会活動に関わり、関連した多くのプロジェクトリーダーとして活躍中。今回の講演でも「借りている地球の使い方」と題し、自然との向き合い方や、環境問題について話す予定。時田さんは「日曜に無料で開くので、多くの親子に聞いてもらいたい」としている。

 植樹は昨年1月の“爆弾低気圧”で約3500本の倒木の被害を受けた赤川水源地の市有林の回復を目指す。時田さんは「森林は水を浄化し、地球温暖化を防止する役割を持つことを子どもたちに教え、木と自然を守る心を次世代につなぎたい」と話す。作業には大人100人、子ども150人の計250人のボランティアを募る。作業後には昼食の用意もされている。

 講演、植樹とも申し込みは同クラブTEL0138・23・3870。


◎AEDを寄贈 町職員は全員研修へ 江差
 【江差】町内のガソリンスタンドや燃料店などで組織する江差町危険物安全協会(橘俊久会長、会員24社)はこのほど、設立40周年記念事業の一環として、電気ショックで心拍を回復させる救命機材AED(自動体外式除細動器)を町に寄贈した。町は早速、役場庁舎1階にAEDを設置。新年度中にも約100人の職員全員がAED利用と救命救急の講習を受けて、心肺蘇生(そせい)の必要な患者が発生した場合の救命率向上に生かす考えだ。(松浦 純)

 橘会長と増田浩伸副会長が町役場を訪れ、AED1台(80万円相当)と収納ボックスなどを贈った。橘会長は「AEDで助かった人も多い。有効に活用してください」とあいさつ。濱谷一治町長は「職員全員がAEDで応急手当に対応できるようにしたい」と答えた。

 AEDは音声で電気ショックの要否や取り付け方法などを自動的に説明。講習を受けていない人でも使用は可能という。既に本年度、すべての町立小中学校にAEDを配備している。

 町役場への配備を前に、既に16人の町職員が実技講習に臨み、江差消防署員からAEDの使用方法や心臓マッサージ、人工呼吸などの心肺蘇生の救命講習を受けた。町は新年度の早い時期に、濱谷町長ら特別職を含む職員全員が講習に参加する方針。同消防署は「救急車が到着するまで平均5―6分掛かる。その間にAEDを活用した心肺蘇生を行うことで救命率は格段に高まる」と話し、有効活用に期待を寄せている。


◎指定管理者公募 雇用の安定、向上も評価 新年度から函館市
 公共施設の管理を民間に代行する指定管理者制度で、函館市は新年度の公募分から、新たな評価項目として「雇用の安定と雇用環境の向上」を加える。市民サービスの向上や行政コストの縮減を図る同制度だが、コスト削減により受託業者の雇用・労働環境が不安定になりがちなことが指摘されている。公募で提出される計画書で、人件費や労働条件が適正かを審査し、受託業者の雇用環境向上を目指す。

 市行政改革課によると、指定管理者の評価基準は▽施設の効果を最大限に発揮できるとともに経費の節減が図られるか▽事業計画に沿った管理を安定して行う物的・人的能力があるか▽提案金額の比較―などがあり、500点満点のうち提案金額が200点と大きい。提案金額だけをみるものではないが、あまりに低すぎると人件費が抑制され、不安定な雇用を生んでしまう。

 このため、新たに「雇用の安定と雇用環境の向上」を評価項目に加え、候補者を選定することとした。収支計画書の中の人件費のほか、労働時間、職員の健康管理、労災保険の加入、正規雇用と非正規雇用の割合などを確認し、選定する。

 ただ、民間企業以外にNPO法人(特定非営利活動団体)、スポーツ競技団体などが管理者に応募することがあり、労災保険の加入などが難しい場合も想定される。同課は「応募団体によっては一律の比較が難しく、計画書全体を見て雇用の安定に対する思いを酌む形になるのではないか」と話す。

 指定管理者制度は2006年度から本格導入され、08年度で3年間の管理代行期間を終了する。前回公募した施設で、指定期間の終了に伴い、新年度に改めて管理者を公募するのは女性センターや五稜郭観光駐車場、勤労者総合福祉センター(サン・リフレ函館)、千代台公園弓道場など16施設を予定している。(高柳 謙)