2008年3月22日(土)掲載

◎こどものくに開園準備着々…通路整備 トイレも新しく
 子どもから高齢者まで多くの市民に親しまれている函館公園(函館市青柳町17)内の遊園地「こどものくに」が、28日にオープンする。開園を1週間後に控えた21日、職員は遊戯施設の点検や、塗装作業など準備に追われていた。 毎年冬期間は休業しており、今年も例年通り3月に入ってから開園の準備を本格化させた。昨年はこの時期に雪に見舞われたが、今年は例年以上の暖かさで、順調に作業が進んでいる。

 今年からトイレが新しくされた。おむつの交換台を整備し、身障者用のトイレも新しくした。また、通路の舗装もきれいにし、ますます快適に遊べるようになった。

 同園は1956年5月開園。観覧車は65年、七飯町大沼湖畔東大島から移設された国内で稼動する最古のもの。小さな子供を安心して遊ばせることができ、昨年は約7万人が来場した。

 営業期間は11月末までの予定。開園時間は春休み、夏休み、ゴールデンウイーク期間中は午前10時から午後5時まで。そのほかは午前11時から午後4時まで。問い合わせはTEL0138・22・5039。(山崎純一)


◎悲しみと教訓語り継ぐ…函館大火から74年 殉難者慰霊法要
 死者2166人、行方不明者662人を出した「函館大火」から74年―。函館市大森町の函館大火慰霊堂で21日、函館市仏教会が主催する殉難者慰霊法要が営まれた。慰霊堂近くの市道・若松小路(同市千歳町)では当時発生した“烈風”を想定した消防訓練も行われ、関係者は未曾有の惨事をかみ締めながらあらためて防火への誓いを胸に刻んだ。(森健太郎)

 函館大火は1934年3月21日午後6時53分、市内住吉町91で出火。折からの強風で火は瞬く間に広がり、当時の市内約3分の1に当たる416万平方メートル、2万4186戸を焼き尽くした。被災者は10万2001人に上り、死者のうち身元が不明の679人が無縁仏として慰霊堂に納骨されている。

 慰霊法要には、犠牲者の遺族や大火の経験者、市職員ら約70人が参列。僧侶18人による読経が響く中、参列者は一人一人祭壇に向かい焼香し、犠牲者の冥福を祈った。慰霊堂内には大火で焼け野原となった市内を撮影した写真パネルも展示された。

 大火の当時9歳で、栄町に家族7人で住んでいた大沼美子さん(83)=市内石川町=は毎年欠かさず法要に足を運ぶという。「舞い上がる火の粉を背に、母親にしがみつき大森浜に避難した。その途中で長男と長女とはぐれ、二度と会うことはできなかった。この年になってようやく子どもを亡くした両親の悲しみが身に染みて分かる。この記憶は命ある限り忘れない」と話していた。


◎住民も参加し訓練

 大火を教訓とした消防訓練には、市消防本部の職員や消防団員のほか、近隣町会の住民ら約120人が参加。同市大森町の民家で発生した火災が強風にあおられ、北東方向に延焼しているという想定で行われた。

 消防団員が小型の手動ポンプを使い、立木や野原に燃え移った火の粉を消す訓練をしたほか、住民はバケツリレーで初期消火の手順を確認。最後には消防車8台が横一列に並んで一斉放水し上空に水の膜をつくり、飛び火などを食い止める「延焼阻止線」を披露した。

 函館特有の強い風が吹き付ける中、参加者は真剣な表情で訓練に臨み、防火への心構えを新たにした。同本部の小西克男消防長は「大火のような大惨事を二度と繰り返さないためには地域住民との連携が不可欠。大火の記憶を風化させることなく、今後も市民の防火意識を高めていきたい」と話していた。


◎「団塊」大量退職者は影響…函館市07年労務状況調査
 函館市は2007年度の労務状況調査結果をまとめた。新規学卒者を採用した事業所は34・8%(前年度比3・5ポイント増)、新年度に新卒者を採用予定の事業所は44・4%(同21・7ポイント増)だった。再雇用制度がある事業所は82・2%(同12・8ポイント増)で、定年延長の実施率も増加傾向。現在の労働力を「充足」とする事業所は68・9%(同6・5ポイント減)で、不足とする事業所が増えている。団塊世代の大量退職期を迎え、人員の調整に動く事業所が増えていることがうかがえる。

 同調査は、1962年度から実施。市内の従業員10人以上の事業所1998カ所から抽出した500事業所のうち、廃業などを除外した476カ所を対象とし、191事業所から回答を得た。産業別構成比は、卸・小売業21・5%、医療・福祉14・7%、建設業14・1%、サービス業13・6%など。なお、対象が同一事業所ではないため、前年度比は参考値。

 正規従業員数は全体の77・8%(同5・9ポイント増)を占め、平均労働時間は、1日当たり7時間45分、1週間当たり40時間8分で、1カ月の平均時間外勤務時間は28時間2分。平均賃金(基本給)は男性23万7629円、女性19万2335円で、初任給は大卒16万5195円、高卒13万4382円などで、前年度と比較すると減少傾向。

 雇用について取り組む問題として、求めている人材確保が困難とする事業所が29・4%、従業員の高齢化が23・3%、人件費高騰が15・0%―などを挙げた。

 パートタイム従業員数は全体の14・9%(同6・1ポイント減)、時間給平均は806円でともに減少傾向。職務内容を正規従業員と同じとする事業所は40・9%だった。臨時従業員の割合は7・3%(同0・2ポイント増)、派遣労働者を受け入れた事業所は30件で、延べ人数は1034人となった。

 本年度初めて調査した性別による業務区分は、「区分している」が15・5%、「一部区分」が31・0%、「区分されていない」が53・4%で、男女労働者間の格差を解消する「ポジティブアクション」を、何らかの形で取り組んでいる事業所は全体の43・3%だった。

 市労働政策室では「景気回復とは言えないが、雇用の需給が改善されつつある。新年度は、従来の調査に加え、労働者の実情を把握する調査も実施したい」としている。(今井正一)


◎情報公開、函館は中核市7位…オンブズマン全国調査
 道南市民オンブズマンの大河内憲司代表は21日、全国市民オンブズマン連絡会議が実施した第12回全国情報公開度ランキングの結果を発表した。調査は都道府県・政令市・中核市に分けて行い、中核市35市中、函館市の情報公開度は7位だった。議会の政務調査費情報の公開度が最も高く、全体の評価を押し上げた。

 中核市の評価対象は市長部局と議会で、市長交際費や退職した課長級以上の再就職情報、政務調査費の使途、議会運営委員会などで99点満点。これに情報公開のコピー代などが17点で、合計116点満点。

 函館市は市長交際費が15点満点で10点、政務調査費は30点満点で23点、議会運営委員会の議事録などの情報が20点中15位だった。ただ、再就職先情報が24点満点で0点。市は特別職や管理職の退職者が2年以内に再就職した場合、市長に任意で報告する要綱を策定し、新年度から公表する。

 大河内代表は「手前みそだが、政務調査費はわれわれの活動に議会が対応した結果で、調査先の報告書を提出するなど函館は全国的にも評価が高い。ただ、再就職先の公表が0点なのが響いた。新年度から再就職先の公表が始まるので、来年は全体のランキングが上がることを期待している」と述べた。

 中核市の1位は岡崎市の81点で、旭川市と大分市が4位の70点。函館市は7位の65点、最下位は奈良市の24点だった。

 同連絡会議に加盟する約50の市民オンブズマンとメンバーが、昨年11月、一斉に各自治体へ情報公開請求し、その結果をランク付けした。今回初めて中核市の調査を実施した。(高柳 謙)


◎「弥生俳句会」12号完成
 函館市の俳句結社「弥生俳句会」(大江流代表、会員約30人)は句集・随筆集「弥生」の第12号を完成させた。会員27人が5―10句を所感を添えて投稿し、大江さん(76)が感想や会員の紹介文を加えているほか、会員の随筆も掲載。大江さんは「中高年に励みと生きがいを与え、希望の光を灯す内容。ぜひご一読を」と話している。

 会は結成16年を迎え、句集・随筆集は年1回制作。会員はこの1年間で身に起ったことを書くなど、会の年鑑という存在になっている。俳句結社であるが、「しっかりかみ締められる言葉で文章を書くことが俳句づくりの基本」(大江さん)と随筆にも力を入れている。

 会員は70歳以上。大江さんは、元気で活動できる秘けつに「頭の体操を欠かさず、生き物へ愛情を持つこと。会員は皆、日記をつけ、歳時記や辞書で調べごとをすることを面倒と思っていない」と紹介する。

 最高齢は今年卒寿を迎えた君島登子さん。君島さんは随筆で、若いときに百貨店に務めていたときの話をしたためた。婦人装身具部に勤務し、豪華な商品があふれる中でけん命に働いた思い出を振り返り、「あの時代が私の青春。70年も前のこと、卒寿の今感慨無量です」とした。大江さんは感心しきり。「当時の話を流れるように読ませ、現在でも壮健さを感じさせる文章。私も頑張らなければという思いになる」

 大江さんは、函館のまちづくりは中高年の活性化にあると説く。「私たちがこれだけの文章を記し、俳句も詠む。年齢に負けず、まだまだこれからという気持ちを燃やしてほしい」と話している。

 A5判。121ページ。100部を制作。約20部ほど残っており、希望者には実費として1部800円で販売する。問い合わせ、申し込みは大江さんTEL0138・46・0586。(山崎純一)