2008年3月26日(水)掲載

◎新6年生がリーダー研修会…知内4小34人参加
 【知内】4月から小学6年生となる知内町内の子どもたちに、最上級生としての自覚やリーダーシップの発揮力を身に付けてもらおうと、「子ども会リーダー養成講習会」(町教委主催)の事前研修会がこのほど、町中央公民館で開かれた。子どもたちは団体生活のマナーや注意点などを学び、「後輩から頼りにされる6年生に」と決意を新たにしていた。

 町内の4つの小学校に参加希望者を募り、ことしは例年以上に多い34人が参加した。町全体として5年生を対象に新学期直前、こうした講習会を実施するのは極めて珍しく、最上級生としての自覚を強く促す狙いがある。

 養成講習会は4月4、5の両日、函館市内の函館市青少年研修センター「ふるる函館」で行われる。子どもたちは寝食をともにし、専門家を招いた講演やグループ討議、レクリエーションの実技などで、リーダーが果たす役割について知識を深め、その資質向上を目指す。

 事前研修会では、はじめに生活班と学習班のグループを決め、町教委の松崎輝幸社会教育係長が「皆は4月から学校をまとめる最上級生。この研修会を自分の成長の糧に、また仲間との楽しい学校生活づくりのために生かしてほしい」と呼び掛けた。子どもたちは6班に分かれて班長などを決めた。

 講習会で使うパンフレットが配布され、「あいさつをきちんとする」「集合は余裕を持って5分前」「話をしっかり聞いて、大事なところは必ずメモを取る」など、子どもたちは講習の心構えの説明を受けた。さらに、学習活動の用意や食事の準備、寝室の掃除などを協力して行い、指導に当たる町教委の職員らの指示をきちんと聞くことを確認した。

 講習会の出発式で行う田中健一教育長へのあいさつ、宿泊施設でお礼の言葉を述べる代表児童を選ぶ場面では、「はい、わたしがやります」「緊張するけれど頑張ります」と自主的に手を挙げる子どもたちが多く、町教委職員も「ことしの参加者は積極的だ」と笑顔を見せていた。

 新・知内小の6年生になる大船友也君(11)は「後輩があこがれる、頼りになるリーダーになれるように頑張りたい」と声を弾ませていた。(田中陽介)


◎マッサージ取り入れる…函病の緩和ケア取り組み
 がん患者の心身の苦痛を和らげる「緩和医療(ケア)」―。函館市内でも専門病棟だけでなく、一般病棟にも医療者の「緩和ケアチーム」による支援の手が届き始めている。“看取(みと)るケア”から“前向きに生きる手助けをするケア”へと、その在り方が変わりつつある。チームの活動にマッサージを取り入れている市立函館病院(函館市港町1、吉川修身院長)の取り組みから、緩和ケアの現状と可能性を探った。(宮木佳奈美)

 同病院は2006年に医師や専門知識を持つ緩和ケア認定看護師、理学療法士、薬剤師らでつくる「緩和ケアチーム」を発足させ、回診や症例検討などを始めた。がん患者のリラクゼーションを目的に、同病院では独自にチームの活動の一環として「緩和マッサージ」も導入した。

 マッサージを担当するは、同病院ただ1人のあん摩マッサージ指圧師、平澤孝男さん(45)。主治医や看護師の勧めで本人がマッサージを希望すれば、その都度平澤さんに依頼が来る。これまで40人余とかかわり、その多くは告知を受けている末期がん患者だった。

 「マッサージが少しでも気晴らしになれば」。平澤さんは病棟を訪ね、1人当たり1日30分程度、いすやベッドの上で足や首、肩、背中などをもみほぐす。初めて依頼を受けた患者は、抗がん剤などの効果と相まって、マッサージを始めてから足のはれが引き、主治医を驚かせた。

 進行性の病気で目が不自由な平澤さんにとって、患者の表情は分かりにくいが、病棟の看護師から「(患者の)顔つきが明るくなった」と聞くこともある。「マッサージが痛みを取り除くというより、手で触れることで安心感が生まれるのでは」。平澤さんは闘病生活につかの間の安らぎを与えようと、気を込めて患者に触れる。

 「緩和ケア」に対する一般の認識はまだ十分とはいえない。13日に同病院で開かれた市民向けの公開講座で、緩和ケア認定看護師の伊東京子さん(33)、小野裕子さん(28)が「痛みと同時にほかの諸症状のコントロールや心理面のケアを行い、患者とその家族の高質なQOL(生活・生命の質)を実現すること」と理解を求めた。

 世界保健機構(WHO)も「末期だけでなく、早期の患者にも治療と同時に適用すべき」と定義する。「最期を見据えて何もしない」という誤ったマイナスイメージの改善が課題とされている。

 平澤さんは「もしマッサージを必要とする患者がいるのに受けられない状況があるなら、依頼が増えるようにしなくては。少しでも楽になってもらいたいから」としている。(宮木佳奈美)


◎建具の全国大会 函館で初開催…6月12−15日
 国内の優れた建具を集めた「全国建具組合連合会北海道・函館大会」(同連合会、道建具工業協働組合連合会主催)が6月12―15日、函館市湯川町の函館市民体育館などで開かれる。大会が函館で開催されるのは初めてで、準備運営に当たる同大会実行委員会は「ぜひ大会を成功させたい」と意気込みを見せている。

 業界の活性化と建具の良さを多くの人に認識してもらおうと、都道府県ごとの組合が持ち回りで毎年開催しており、今回で53回目。同連合会所属の団体会員や建具関連メーカー関係者ら約3000人が参加し、職人が出展した作品を審査する全国業者大会や、建具展示会などが開かれる。

 業者大会は同13日午後2時半から市民会館(市内湯川町1)で開かれ、最高賞の内閣総理大臣賞をはじめ、優秀な作品を表彰する。同体育館で開かれる展示会は木製建具を中心に約150点が並ぶ予定で、13―15日に一般公開される。

 このほか、一般市民、組合員向けの講演会も企画している。同実行委の葛西松夫委員長(函館建具工業協働組合理事長)は「まずは多くの人に建具を見てもらい、魅力を感じていただければ」と話している。(鈴木 潤)


◎絶滅危惧種のクマタカ保護…八雲
 【八雲】環境省が絶滅危惧(ぐ)種に指定している「クマタカ」がこのほど、八雲町内の山林で近くの男性(60)に発見、保護された。飛べないほど弱っており、現在は同省の苫小牧ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市)でリハビリ中。同省道地方環境事務所(札幌)によると、道南でのクマタカの保護は過去3年間で初めて。

 クマタカはタカ科の大型の猛きん類で、近年、繁殖率の低下で絶滅の危機にひんしている。

 保護されたクマタカは翼長1・4メートル、全長約70センチで雄雌は不明。地上にいて弱っていたところを男性が10日に捕獲、八雲動物病院に持ち込み、同病院から連絡を受けた日本野鳥の会函館支部長の有馬健二さん(79)、渡島支庁を経由して同センターに引き渡された。同センターによると、現在職員が強制給餌のケアを続けている。脚力が完全に回復していないため、リハビリを行っているが放鳥の時期は未定。一般公開はしていない。

 有馬さんは「かなり弱っていたが大きく迫力があった。元気に回復すればうれしい」と話している。(新目七恵)


◎3年連続1億突破…本年度の16市町税
 函館市を除く渡島、桧山両管内の1市16町で構成し、市町税の滞納整理を引き受ける一部事務組合「渡島・桧山地方税滞納整理機構」(事務所・渡島支庁内)の本年度の徴収額が、25日までに1億1100万円を超えた。1億円突破は3年連続。同機構では「財産調査や早期処分など着実な滞納処分の成果」としている。

 同機構は、自治体単独では難しい滞納処理を担う専門機関として2004年4月に発足し、本年度から桧山管内7町が加わった。本年度は各市町から300人、3億3154万円の事案を引き受け、滞納者に納税催告書などを送付後、未返答者には差し押さえなどの処分を行っている。

 徴収額のうち、8割に当たる約8600万円は自主納付、残りは預貯金、給与などを差し押さえる形での強制徴収だった。中には、個人経営の整骨院の診療報酬を差し押さえたケースもあったという。本年度の最終徴収額は前年度実績とほぼ同額の1億1200万円程度になる見込み。

 同機構は「桧山管内が加わり、移動距離が長く時間が掛かる分、処分件数は伸びなかった。今後はサラ金業者への過払い金の返還請求なども着手したい」とし、徴収率の向上を目指している。(新目七恵)


◎竜巻注意報を提供…きょうから気象庁
 気象庁は竜巻やダウンバーストなどの激しい突風から身を守ってもらうことを目的にした「竜巻注意情報」の提供を26日から開始する。道内では21日から大雨警報発令中の「土砂災害警戒情報」の提供も開始しており、秋を中心に大雨や強風が多い道南地方にとって、防災に対する情報が充実される。

 竜巻注意報は雷注意報を補足する形で、竜巻が発生しやすい気象状況になった際に道南では渡島、桧山の区分で発表される。

 気象庁では2006年に発生した宮崎県延岡市や網走管内佐呂間町の竜巻被害を受け、七飯町の横津岳(1167メートル)など全国の気象レーダーについて、積乱雲の中の風の分布を観測できるドップラーレーダーに更新する作業を進めている。10年度から竜巻の予測情報を「突風等短時間予測情報」として提供する予定だったが、同レーダーが本年度末までに整備が進むため、同情報に先駆けて竜巻注意報の提供を行うことにした。

 同注意報は突風が発生する恐れがある1時間前に発表される。函館海洋気象台では発表された際、人が大勢集まる屋外行事や、クレーンなど高所での作業で早めの避難開始を呼び掛けている。同気象台によると、昨年道南では10月にせたな町、函館市南茅部沖の海上で、合わせて4つの竜巻が確認されている。06年10月には函館市内で発達した積乱雲からのダウンバーストが発生、同11月には奥尻島で竜巻が発生し建物被害が発生している。

 このほか、同気象台は函館土木現業所と共に、大雨で土砂災害が発生する危険性が高まった際、土砂災害警戒情報の提供を開始。この情報は地域住民の自主避難の参考にするため、各都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報。気象庁から報道機関を通じたり、各支庁から市町村を通じて地域住民に伝えられる。

 同気象台では「警戒を呼び掛けるインパクトが強くなり、各市町では避難、警戒への意識が高まる」と期待している。(山崎純一)