2008年3月27日(木)掲載

◎交通ルール守ります…新入学児童にワッペン贈る
 4月から小学校に通う新入学児童の安全を願おうと、生命保険会社など4社と函館市は26日、黄色いワッペンとランドセルカバーを贈った。市立はこだて幼稚園(毛利悦子園長)を卒園したばかりの6人が真新しいランドセルを背負って市役所を訪れ、工藤寿樹副市長らに、交通事故に遭わずに、元気良く通学することを誓った。

 ワッペンは、みずほフィナンシャルグループ、損害保険ジャパン、明治安田生命、第一生命の4社が合同で毎年寄贈し、今回が44回目。4月からの1年間、最高50万円までの交通事故傷害保険が付いている。また、市からは「交通安全」と書かれたランドセルカバーが贈られ、それぞれ、約2170人の全新入学児童に配布される。

 贈呈式には、土子雄一みずほ銀行函館支店長、古賀佳治損保ジャパン函館支社長、横田雅俊明治安田生命函館支社長、清水啓輔第一生命函館支社副支社長らが出席。子どもたちは工藤副市長らにワッペンとランドセルカバーを取り付けてもらい、満面の笑顔で誓いの言葉とお礼の歌を披露した。

 工藤副市長は「事故に遭うと、お父さん、お母さんが悲しい思いをします。交通ルールを守ると約束できますか」と聞くと、子どもたちは元気に「はい」と約束。それぞれ、小学校で「鉄棒を頑張る」などと、学校生活の目標を話していた。(今井正一)


◎道陶芸会・副会長 高井さんが米最大の陶芸展示会に参加
 函館市元町の陶芸家高井秀樹さん(50)が副会長を務める道陶芸会(前野右子会長、会員31人)は、創立40周年を記念し、米オレゴン州ポートランド市のオレゴン・コンベンション・センターで4月25―27日に開かれる全米最大の陶芸展示会「セラミックショーケース」に参加する。自身も渡米し現地で交流を深める高井さんは「米国の作品を見ることも興味深いが、自分たちの作品をどのように感じてもらえるか楽しみ」と話している。

 高井さんは岡山県備前、静岡で修業を積み、1985年、大野町(現北斗市)に「キリール工房」を開き、2002年に現在地に移転。日本工芸会、道展、赤光社で活躍する。

 道陶芸会は68年、陶芸家山岡三秋さんの呼びかけで、道内の陶芸家が集まり結成。06年にスウエーデンで開かれた「HOKKAIDO STYLE2006」(実行委、北方圏センターなど主催)に参加するなど、各地で作品を発表している。

 節目を祝う記念展について約5年前から話し合われた中、札幌市と姉妹都市であるポートランド市での開催案が出た。オレゴン陶芸家協会は会員約400人と陶芸が盛んな地域であり、同センターで開かれる展示会には3日間で美術関係者など1万人の来場者があることから、「自分たちの可能性を探るためにも良い機会」(高井さん)と参加が決まった。同展示会参加のほか、同11―20日は同州の公園にある日本庭園パビリオンでも記念展を開催する。

 高井さんの作品は直径52?の皿。灰釉(ゆう)を施した自身の代表的な作品。一時“封印”していたが、スウエーデンを訪れた際、ある作品の意味を調べた時、めぐり合う「環」を現わす言葉を見た。「自分がすべきことは、封印していたものと分かった。宝を見つけたような発見だった」と再び灰釉を手掛けた。

 原点に戻り完成させた作品に「自分の仕事(作品)は日本的で、アメリカにはないもの。ぜひ交流を深めたい」と意欲を話す。現地ではろくろをひき作陶する。「土やひき方も違うが、スウエーデンのような発見もあるかな」と期待する。(山崎純一)


◎旧ドック跡地 函館どつくに売却へ
 旧函館ドック跡地のゴライアスクレーン撤去問題で、函館市は26日、函館どつくに同跡地を有償譲渡することで合意し、確認書を交わしたことを明らかにした。合意内容は、2009年上半期をめどに、跡地約12・5ヘクタールと建物2件を市が市土地開発公社から買い戻した後、同社に売却。金額は不動産鑑定を基に協議し、決定する。大型クレーン2基は、同社が解体撤去するが、費用は、利用価値のない瑕疵(かし)物件であるため、用地譲渡金額から控除する形で市が負担する。

 市が同日開かれた市議会建設常任委員会(小山直子委員長)の委員協議会で、25日付けで同社と確認書を交わしたことを報告した。渡辺宏身港湾空港部長は、同社から3号、4号乾ドック跡地を修繕用ドックとして利用するため、用地取得の要請があったとし、クレーンは、後背地を資材置き場などに利用するため、同社も撤去する意向であることを示した。

 現在、プレジャーボートの係留マリーナとしてて利用している場所は、西ふ頭の一部をマリーナ用地として整備し、09年3月末までに移転させる。また、同社は11年春までに、乾ドックの再整備を終え、活用したい考えを示しているため、クレーンはこの過程で撤去される見込み。今後の手続きとして、用地売却にかかわる補正予算案などの議決や、用地の用途変更など国に対し、港湾計画変更の承認を求めることなどが必要となる。

 委員からは、売却撤去の差し止めを求める陳情の審査中に、クレーン撤去を含めた内容の確認書を交わしたのは「議会軽視である」とし、「どつくの判断に委ねる形にしても良かったのではないか」などの意見があった。この中で渡辺部長は「一貫して解体せざるを得ないという判断の中で、『後はどつく側に委ねる』ということにはならない」とし、造船業の振興という産業政策上の要素も、大きな判断事項であったとした。

 なお、委員協議会終了後に開かれた常任委員会では、陳情は継続審査とした。(今井正一)


◎暫定税率失効でもガソリン すぐ安くならない?
 ガソリン税などの暫定税率が3月末で期限切れとなる公算が高まり、函館市や道南の業界団体も行方を注視している。ただ、期限切れとなっても在庫分には暫定税率が課せられているため、大方のスタンドでは4月1日からすぐ1リットル当たり25円安くなるということにはならないようだ。函館地方石油業協同組合は「1日からなぜ25円安くならないのか、との苦情がドライバーから小売店に寄せられ、混乱することが心配」と話している。

 同組合には渡島・檜山管内の117社、166スタンドが加盟。うち函館市だけで49社、83スタンドがある。ガソリン税は出荷時にかかるため、在庫分の販売で25円下げると小売店の逆ザヤは相当な額になる。布施謙一事務局長は「組合員から聞いている範囲では、在庫分は今まで通りの値段で販売していくのではないか。在庫は各店とも、少なくとも数日分はあるだろう」と話す。

 市内のある小売店は、仮に期限切れとなっても在庫分は従前と同じ価格で販売するよう本社から指示を受けている。「25円を飲み込むのは無理。スタンドの地下タンクには20キロリットル入るので、仮に全量で25円を下げると50万円の損失となる。この25円をどう理解してもらうかが大変」と話す。

 別の小売店も「在庫分は現在の価格で販売する。しかし、4月末には衆院で法案を再議決して暫定税率が戻るという話もある。そうなれば値下げ、また値上げで1カ月間は混乱するだろう。廃止なら廃止、継続なら継続としてもらいたい」と気をもむ。

 25円の値下がりを見込み、市内でもガソリンの買い控えが一部で見られるが、それほど極端ではないようだ。セルフサービスとフルサービスに分かれている小売店は「セルフで3000円分を2000円分にするような傾向は若干だが見られる。ただ数量的にはそれほど落ちていない。残り5日間で変わってくるかもしれないが」という。市内の女性会社員(38)は「値下がりするかどうか分からないから普通に入れている。車は毎日使うし、1回で済む給油を2回する方が面倒」と語る。

 石油業組合の布施事務局長は「実際のところ、政治の世界なので期限切れになるかは分からないし、自腹を切る業者も出るかもしれない。暫定税率が失効しても、すぐ値下がりとならない事情があることが消費者に十分伝わっていない。顧客への説明や現場のトラブルにどう対応していくかが課題」と話している。(高柳 謙)