2008年3月28日(金)掲載

◎大沼でミズバショウ咲く
 【七飯】大沼国定公園内の湿地で、早くもミズバショウが咲き始めた。自然公園財団大沼支部によると、例年は4月上旬に姿が見え始めるが、今年は3月に入ってから高温が続いた影響で、24日ごろから“早春の到来”を告げ始めたという。

 ミズバショウはサトイモ科の多年草。白い部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉が変形したもので、その中に円柱状の花を咲かせる。同財団では開花のペースが早いため、見ごろは4月中旬になると予想している。

 暖冬だった昨年は3月の寒波で葉の先が凍って黒くなったものが多かったが、今年はきれいなままで育っているという。 (山崎純一)


◎高3集団暴行死、主犯格ら2人に実刑判決 
 昨年8月、函館市内の私立高3年佐藤智也君(当時18)が中学時代の同級生ら少年7人から集団暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死罪などで起訴された16歳から19歳の少年4人の判決公判が27日、函館地裁であった。柴山智裁判長は「理不尽極まりない悪質な犯行で、執拗(しつよう)さや陰湿さも顕著」として、主犯格の元同級生(18)に懲役5年以上8年以下(求刑・同5年以上10年以下)、犯行グループ最年長の無職少年(19)に同4年以上6年以下(求刑・同5年以上9年以下)の不定期刑をそれぞれ言い渡した。

 このほか、ともに犯行当時15歳で元高校生の16歳の少年2人(求刑・同5年以上8年以下)については「教育的な働き掛けにより、内面の成長や問題行動の改善を促す余地が少なくない」として、函館家裁に移送する決定を言い渡した。2人は再び同家裁で少年審判を受けることになり、少年院送致の保護処分となる公算が大きい。

 柴山裁判長は判決で、主犯格の元同級生について、事件の2年ほど前から佐藤君への恐喝や暴力などいじめを繰り返していたと言及。「犯行態様は被害者の人格を踏みにじるような卑劣かつ悪質なもの」と断じた。集団暴行時も、最終段階で倒れ込んだ佐藤君の頭を手加減せずに数回靴底で踏み付けたことが「致命傷となった可能性が高い」とした上で、「終始主導的な役割を果たし、刑事責任は重大」とした。

 最年長の少年については「逃げようとする被害者を何度も引き留めて共犯少年に暴行を続けさせ、自らも積極的に暴行を加えた」と指摘、「従属的な役割とは認められない」とした。

 家裁移送を決定した16歳の少年2人について、最初に暴行を開始した少年(16)は「暴行は元同級生に仕向けられたことがきっかけだった」と認定。事件当日まで佐藤君と面識がなかった元高校生の少年(16)は「暴行が致命傷になったとは考えにくい」とし、ともに「保護処分で更正を図るのが相当」と述べた。

 判決によると、4人は昨年8月26日夜、同市内の公園2カ所で約2時間にわたり、佐藤君を代わるがわる集団で暴行し、翌27日未明、外傷性脳浮腫で死亡させた。


◎高3集団暴行死判決、遺族「納得できない」
 地域社会に大きな衝撃を与えた集団暴行死事件の判決公判。函館地裁の柴山智裁判長は無抵抗の佐藤智也君(当時18)に約2時間に及ぶ猛烈な暴行を加えて死亡させ、傷害致死罪などに問われた元同級生ら少年4人の犯行を「理不尽極まりなく、執拗(しつよう)で陰湿」と厳しく糾弾した。だが、量刑は一番重い主犯格の元同級生で懲役5年以上8年以下の不定期刑。厳しい判決を求めていた佐藤君の遺族は、沈痛な面持ちで法廷を後にした。

 「今回の償いは一生続きます。一生掛かっても罪を償ってください」―。柴山裁判長は量刑の理由を述べた後、冒頭の主文をもう一度繰り返し、最後にこう諭した。主犯格とされる元同級生の少年は証言台に立って小さくうなずき、まだ幼さの残る声で「はい」と答えた。

 元同級生の公判は午前10時に開廷。丸刈りに紺のスエット姿で出廷した元同級生は、裁判長が判決を読み上げる間、いすに座ったまま両手をひざの上に乗せ、うつむきがちにじっと耳を傾けた。傍聴席にはこれまで一連の公判を欠かさずに見届けてきた佐藤君の母親(47)らの姿も。佐藤君の遺影を手に時折、握りしめたハンカチで目を覆いながら判決に聞き入っていた。

 閉廷後、被害者の代理人、山崎英二弁護士は記者会見を開き、「できれば殺人罪で起訴してほしかった。遺族もわたしも想定外の判決で、決して納得できるものではない」と強調。16歳の少年2人の家裁移送決定について、母親は「(犯行時)15歳だからといって許されていいのかな」と漏らしたという。

 元同級生の公判には、26枚の一般傍聴券を求め、午前9時すぎから市民ら約40人が列をつくり、法廷内の傍聴席44席はすべて埋まった。傍聴席では裁判長の判決理由をすすり泣きながら聞く人や、「ひどい」「かわいそうに」などと小声でつぶやく女性もいた。

 半年後に卒業、就職を控えていた佐藤君が通っていた高校の校長(57)は「亡くなった智也君は二度と戻ってこない。大切な生徒を失い非常に悔しい。少年らには犯した罪の重大さを認識し、罪を償ってほしい」と話した。事件後、在校生にも動揺が広まり、生徒の心のケアを重点に取り組んできたという。

 函館地検の石井隆次席検事は「主犯格の少年2人に対しては、長期にわたるいじめの末に命を奪ったことからすると、妥当な判決。残る少年2人については犯行時15歳と若く、立ち直ることを考慮した結果でやむを得ない」とコメントした。


◎暫定税率廃止で、3社がガソリン値下げ実施、検討
 3月末のガソリン税などの暫定税率期限切れを見込み、道南では少なくとも3社のスタンドが4月1日から値下げを実施、あるいは実施を検討していることが27日分かった。暫定税率約25円が掛かった在庫分も値下げする方向。市場が混乱することは必至で、業界団体は政府に何らかの対策を講じるよう求めている。

 市内の大多数の小売店は、在庫分について現在の価格で販売する方針を固めている。道南で1日から値下げを実施するのは旭川に本社を置く茂田石油、検討しているのは地元資本で函館市内だけで6店舗を展開するアサヒ商会、東京が本社の東日本宇佐美北海道支店で、値下げを検討する業者は増えることも予想される。

 茂田石油は全道36給油所すべてで実施する方針で、道南には函館、八雲、長万部にスタンドがある。アサヒ商会も道内外13店舗すべてで実施の方向で、函館6店舗のほか、道南では八雲に給油所がある。東日本宇佐美は北斗、森、八雲に道南3店舗を構える。

 アサヒ商会の斉藤清人社長は「暫定税率が法的に存在しない中で、在庫に税が課せられているからといって消費者に負担を求めるのはおかしい」と話し、25円程度を値下げする考え。

 こうした動き対し、業界からは「値下げ追従を迫られる小売店が出るだろう」との声がある。

 在庫分は通常通りの価格で販売する方針を決めている市内の大手業者は「消費者の買い控えが進んでいる。4月1日は、すべてのスタンドで値下がりすると思っている消費者が殺到し、混乱するだろう。国が25円分を補償するなど、何らかの減免措置を講じるよう、業界として要望している」と話している。 (高柳 謙)


◎クレーン撤去で市民団体、一部非開示に異議
 旧函館ドック跡地にある大型クレーン(ゴライアスクレーン)の売却・撤去のプロポーザル(提案型公募)に関わる公文書の開示請求で、市土地開発公社(理事長・工藤寿樹副市長)が一部非開示としたことに対し、請求した道南市民オンブスマンの大河内憲司代表が同公社に異議を申し立てていたことが、27日までに分った。市役所で同日開かれた市公文書公開審査会で、双方の意見陳述が行われた。

 大河内代表は昨年9月4日、プロポーザルに関連する公文書の開示を請求したが、同公社は10月4日、選定された業者を含めプロポーザルに応募した3業者や買い取り価格などの部分を黒塗りして開示した。大河内代表は市民の知る権利を奪い、住民自治の原則に反するとして、同公社に異議申し立てを行い、これを受けて市が同審査会に諮問した。

 意見陳述で、大河内代表は「市民の共有財産であるクレーンの撤去処分は一大関心事で、応募した会社や選定経緯を知ることは当然の権利。社名や買い取り価格の公開によって、業者が社会的な地位を失うとは思えない」と、応募した業者と買い取り価格の開示を求めた。

 同公社側は「公開によって(業者としての)競争上、事業運営上支障をきたし、さらに社会的な地位が不当に損なわれるケース」と指摘、業者に不利益が生じる恐れが強いとし、非開示とした理由を述べた。

 今後審査会で両者の主張を審議し、市に審議結果を答申する。

 大型クレーンをめぐっては、2006年3月に行ったプロポーザルで解体工事を請け負う業者が決まったが、昨年7月、この業者は工事の請け負いを辞退した。 (鈴木 潤)


◎道の「土砂災害警戒区域」に松前の7カ所を指定
 【松前】道は28日付で、土砂災害が発生する恐れのある「土砂災害警戒区域」に松前町内の7カ所を新たに指定した。今後、警戒避難体制の整備や建築物の構造規制などの各種対策を進める。函館土木現業所管内での指定は、今回で1市3町の計11カ所となる。

 同区域指定は土砂災害防止法に基づき、土砂災害の危険性のある区域を明らかにし、必要な防止策を進めるのが目的。道では2002年度から実施し、今回で道内11市8町の計101カ所が指定された。

 今回指定されたのは、大松前川流域の松前神明2、松前神明3、松前福山1、松前福山3、大松前左の沢川、大松前中の沢、郷土資料館沢川。対象面積は計10・17ヘクタールで、うち5カ所計3・35ヘクタールは危険性が特に高い「土砂災害特別警戒区域」に指定された。区域内の戸数は計17戸。

 指定は05年8月の集中豪雨で大松前川がはんらんし、町内の郷土資料館が被害を受けたのをきっかけに、函館土現が町内の危険箇所を調査し、地元自治体の合意を得て行った。函館土現によると、1流域で7カ所同時の指定は全道で初めて。

 函館土現治水課は「指定を契機に、土砂災害の危険性を認識してもらうため、周辺住民を対象にした避難訓練なども行いたい」としている。 (新目七恵)