2008年3月4日(火)掲載

◎おしま地域療育センター 新年度以降も存続へ
 2006年度からの診療報酬改定の影響などで経営難となり、閉鎖の危機にあった「おしま地域療育センター」(函館市石川町41、大場公孝センター長)が、来年度以降も存続する見通しとなった。来年度の診療報酬改正で、運営の主な財源であるリハビリテーション報酬が増える可能性が高いことが大きな理由。運営主体である社会福祉法人侑愛会(大場理事長)が4日、渡島合同庁舎(函館市美原)で開いた記者会見で明らかにした。大場理事長は「利用者や関係者に心配をかけた。今後も地域の要望を受け止め、経営努力を続けたい」と述べた。

 会見には、大場理事長ら同法人関係者4人が出席。今回の診療報酬改正案では、これまで対象施設外だった「障害児(者)リハビリテーション料」の算定要件が見直され、同センターも追加対象となる可能性が出た。これが実現すれば、リハビリ報酬は06年度の引き下げ前の水準か、それ以上となる。

 会見で大場理事長は「診療報酬が年々減額されてきた中、今回の改正は(経営安定に向け)大きい」と説明。同センターでは利用率向上に向け、診療時間の短縮などの運営努力を始めたことや、母体の同法人も経営努力を進めていることなどを挙げ、「(函館、北斗、七飯の)1市2町からは『今後の推移を見た上で09年度以降、福祉部門の支援を前向きに検討する』との回答をもらった」とした。

 同センターは1985年に設立。発達障害児らの診断やリハビリを行う「診療所」、「児童デイサービス」、「子ども発達支援センター」で構成されている。診療報酬改定に加え、06年の障害者自立支援法施行による福祉サービスの収益減が同法人の経営も圧迫し、運営が極めて厳しい状況に追い込まれていた。こうした状況から、利用者らが署名活動などで存続を求めてきたほか、07年4月から同法人や地元自治体などが安定的運営の確保に向けた協議を進めていた。(新目七恵)


◎位置付け専修学校のまま…極東大の市立化
 第1回函館市議会定例会は3日、代表質問が始まり3会派が質問した。新年度から検討を始めるロシア極東大函館校の市立化について西尾正範市長は、現在と同じ専修学校の位置付けで考えていることを示した。

 板倉一幸氏(民主・市民ネット)への答弁。市立化について西尾市長は「公的な位置付けを与え、知名度を高め、経営を確固たるものにする大きな改革となる」とした。一方で課題として、公立学校の使命となる授業料引き下げや教職員の身分の問題などを挙げた。ただ「市が抱える余地があるなら抱えた方が、函館の将来のためにもなる。日本とロシアの関係は今後、急激に広がる」と述べ、4月に設置する有識者による懇話会や議会とよく相談しながら検討していく考えを伝えた。

 板倉氏は「民でできるものは民で、という流れの中で、なぜ市立化を検討するのか」と質問。西尾市長は、函館とロシアの歴史的な友好関係を背景に市が極東大を誘致した経緯を説明。日本で唯一のロシアの国立大学分校であり、ロシア交流の拠点として地域に欠かせない存在であることを強調し、意欲を見せた。

 同校は1994年の開学で、学生数は4年制のロシア地域学科、2年制のロシア語学科を合わせて28人。授業料は年間70万円。職員は教員8人、事務職員5人。市から年間3000万円の運営補助金を受け、補助金を含め年間の運営費は約7000万円という。土地、建物は市の所有。

 このほか吉田崇仁氏(新生クラブ)、北原善通氏(市民クラブ)が質問をした。(高柳 謙)


◎婦人科医など4人確保…市立病院
 函館市の西尾市長は3日の市議会代表質問で、医師不足に悩む市立函館病院の婦人科などに常勤医師4人を採用する見通しを明らかにした。4月の採用。外来患者のみの対応だった婦人科に常勤医を確保することによって、入院の受け入れにめどが立った。

 このほか内科に2人、心臓血管外科に1人常勤医を確保する。今回の4人の採用で常勤医は87人となり、西尾市長は「十分な医師数とはいえないが、徐々に成果は上がっている」としている。

 同病院は、医師の退職などで2006年4月から産科を休診。リウマチ科や糖尿病診療などの閉鎖を余儀なくされており、医師不足が深刻化している。

 また、函病、恵山、南茅部の市立病院の健全化に向け、2008年度限りで発行できる公立病院特例債約28億円を確保する。同特例債は、2003年度以降、医師不足などの要因で発生した不良債務を長期債務に振り替えて計画的に債務残高を減らしていけるよう、発行できる。

 市の場合、函病が常勤の産婦人科医が不在となったことや、恵山、南茅部病院も医師、看護師の不足が不良債務の増加要因だったとして、特例債発行の趣旨に合致すると判断した。

 発行の要件となる改革プランでは、市立病院が果たす役割と一般会計負担の考え方、経営効率化に向けた目標値の設定などが求められている。西尾市長は「外部の有識者の助言を得ながらプランを策定することが望ましいとされており、どのような組織で策定するか検討している」と述べた。

 2病棟を1病棟にする方針が固っている恵山、南茅部病院については「外来の診療時間、診療科目、救急時の対応はこれまでと変わりなく対応する」と理解を求めた。(鈴木 潤)


◎函館市の雪 平年の半分…気温は平年並み
 函館海洋気象台は3日、管内の2月と、昨年12月から今年2月までの冬期間の気象状況をまとめた。2月の平均気温は、函館で氷点下2・4度(平年比0・1度高)、江差で同0・9度(同0・1度低)と平年並み。冬期3カ月間の平均気温も、函館で同2・0(同0・1度低)、江差で同0・1度(平年と同じ)で平年並みだった。1月中旬に冬型の低気圧が強まった影響で冷え込んだものの、そのほかは冬型の気圧配置になりにくかったことや、低気圧の接近や気圧の谷の影響で寒暖の差が大きくなり冷え込みは続かず、寒さは平年並みとなった。

 今冬は、12月から1月上旬までは冬型の気圧配置になる日が少なかったが、1月中旬からシベリア高気圧が北日本方面に張り出したため、冬型の気圧配置となる日が多かった。函館では1月16日から21日まで連日、最低気温が氷点下10度を下回る厳しい寒さに見舞われた。

 この期間を中心に函館市内では、水道の凍結が多く発生した。市水道局によると、今冬の水道凍結件数は、12月が1件、1月が775件、2月は27日現在で66件。1月だけで2005年度の12―2月合計の660件を超えた。

 また、道警函館方面本部交通課によると、1月の人身事故件数は164件で、このうち、スリップや、わだちによるハンドル操作の誤り、視界不良などに起因する冬型事故は65件で昨年より7件増。今冬は各月で平年より増加していた。

 冬期間の降雪量は、函館で236センチ(平年比73センチ少)、江差で150センチ(同148センチ少)でともにかなり少なかった。江差は2月の降雪が54センチで平年(101センチ)の約半分だった。函館では12月5、6日、2月14、15日に10センチ以上の降雪が続いた程度だった。管内では長万部で多かったものの、ほかの地域は平年並みか少なかった。


◎創設保育所建設に2億3260万円…江差08年度予算
 【江差】江差町(濱谷一治町長)は3日、2008年度予算案を発表した。町立3保育所の統合に伴う創設保育所(仮称)建設費を盛り込んだ一般会計の総額は本年度当初比で3・15%増の52億4898万円。12日開会の第1回定例町議会に提案する。

 特別会計を含む総額は、厳しい財政状況を反映して8・37%減の77億9801万円。

 歳入は基金を取り崩し1億1032万円を一般会計に繰り入れる。新年度末の基金残高は3億4769万円。町税は景気低迷による町民税や法人税の減収で同6・2%の減少。

 歳出は公債費が同1・1%減の12億1800万円。新年度末の地方債残高は88億4700万円に圧縮する。だが、07年度決算から3年間程度は、財政規模に対する公債費の割合を示す実質公債費比率が25%を超える。このため、新年度中には町単独事業に伴う起債制限の適用を受けるほか、09年度に本格施行される財政健全化法により、財政再建団体への転落を防ぐ早期健全化団体に指定される見込みという。

 主な新規事業は、円山地区に新設する創設保育所の建設に2億3260万円を計上。09年度に供用開始する。道委託事業の田沢橋架け替えに1億3000万円、江差小の校舎補修に150万円、江差中の校舎補修に700万円、消防ポンプ車購入に3808万円など。江差商工会の地域ブランド創出に向けた地域資源活用事業には150万円を補助する。

 493万5000円を計上した母子保健事業は、道立江差病院の産科休止に伴い、町外の病院に通院する妊婦を対象とした健診費用の補助を従来の2回分から5回分に引き上げる。(松浦 純)


◎法テラス内に法律事務所開設
 市民に総合的な法律サービスを提供する「日本司法支援センター」(愛称・法テラス)の函館地方事務所(函館市若松町6)内に1日、法律事務所が開所し、初めて常勤弁護士として曾我裕介さん(27)が着任した。曾我さんは3日、同事務所で記者会見し、「顕在化していない市民のニーズを掘り起こし、法的トラブルの『駆け込み寺』にしていきたい」と抱負を語った。

 開所した「法テラス函館法律事務所」は、法テラスが事件ごとに業務を依頼する「契約弁護士」と同様に、刑事事件の国選弁護のほか、経済的余裕がない人の無料相談に応じたり、裁判費用を立て替えたりする。道内では旭川、江差に次いで3人目で、任期は3年間。

 曾我さんは茨城県出身で、一橋大法学部を卒業し、2003年に司法試験に合格。06年から東京弁護士会に所属し、主に多重債務問題などに取り組んできた。1日付で函館弁護士会に登録替えした。

 曾我さんは「これまでの経験上、弁護士が仲介するだけで問題解決する事件が多く、より市民に身近なところで仕事がしたかった」と話し、来年始まる裁判員制度についても「市民の立場で分かりやすい弁護活動をしていきたい」と意欲を見せた。

 同法律事務所は、法テラス函館と同じ「三井生命函館若松町ビル」に入居している。問い合わせはTEL050・3383・5560。(森健太郎)