2008年3月5日(水)掲載

◎イラスト指差し乗務員と会話…市電全車両 コミュニケーションボード導入
 函館市交通局は3月から、聴覚障害など会話が困難な障害者や、日本語が使えない外国人利用客に対応するため、「標準案内用図記号」と文字を交えた「コミュニケーションボード」を導入した。ボードはA4判で市電全営業車両31台の降り口に設置。乗り換えや両替などの動作のイラストを指さし、乗務員と乗客が意思疎通を図ることができる。同局は乗客サービスの向上につなげたい考えで、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの公共交通を目指す。

 2006年12月にバリアフリー新法が施行されたのを受け、国土交通省は昨年7月、公共交通機関の望ましい整備内容を規定した「バリアフリー整備ガイドライン」を策定した。路線バス事業者向けの指針に「車内にはコミュニケーションボードを準備することが望ましい」とあり、市電の事業形態が路線バスとほぼ同様であることから導入を検討。実際に導入している他の公共交通を利用したことのある現場の乗務員のアイデアも組み入れ、作成した。

 ボードには「乗り継ぎ」「両替」「降りる」など、想定されるさまざまな動作の図記号と紙幣・硬貨や各種乗車券の写真、「―がしたいです」「次でお降りください」などといった文章を掲載。乗務員と乗客が指さすだけで会話することができる。

 また、筆談具があることを車内に表示し、全乗務員に筆記具を持たせた。

 このほか、外国人観光客向けにボードの内容は英語でも表記。近年、主に東アジア地域からの個人観光客も増加傾向にあることから、同局は「今後の利用状況を次第で、韓国語や中国語など他言語の表記も検討したい」としている。

 ボードの導入は道南では初めて。函館バス(本社・函館)は筆談具を車両に搭載しているほか、一部路線で英語や韓国語などのアナウンスを取り入れている。(今井正一)


◎摩周丸「出港」…7日に青函連絡船誕生100年記念で汽笛
 青函連絡船誕生100年を記念し、函館市青函連絡船記念館摩周丸など、全国に現存する旧青函連絡船3隻が、初就航船の出発した7日午前10時に合わせ一斉に汽笛を鳴らす。また、摩周丸では模擬出港が行われるほか、連絡船の思い出を話し合う「かたふり会」などが開かれる。館内は連絡船へ思いをはせる人でにぎわいそうだ。

 青函連絡船は1908年3月7日午前10時、青森港を比羅夫丸が函館に向け出港。国鉄直営青函航路の歴史が始まった。88年3月13日、輸送の役目を青函トンネルに譲り役目を終えた。

 摩周丸の汽笛は2002年、函館のNPO法人(特定非営利活動法人)語りつぐ青函連絡船の会の活動で復元された。汽笛の同時吹鳴(すいめい)は同法人の呼びかけに、船の科学館フローティングパビリオン羊蹄丸(東京)、青森市メモリアルシップ八甲田丸が応じて実現。00年12月31日、20世紀最後の大晦日に大雪丸(長崎)を含めて4隻の旧連絡船が、21世紀の平和と海の安全を願い、汽笛のリレーを実施しており、記念すべき日を飾るにふさわしいイベントとして行われる。

 摩周丸では午前9時半に模擬出港のスタンバイのドラが鳴り、ブリッジに連絡船OB約10人が姿を見せ、同10時に記念の汽笛を鳴らす。その後、連絡船の思い出を語る「かたふり会」が開かれる。かたふり会は船員の言葉で「語りあう」の意味。同法人では連絡船OBに限らず、幅広い参加を呼びかけている。

 館内ではミニライブのほか、切手やはがきに「青函連絡船100年」の記念日付印が押印される。先着100人にはカードが配られて、船の通信信号で名前を打電する体験も行われる。入館料(大人500円、小学生以上250円)はかかるが、イベントへの参加は自由。問い合わせは、いるか文庫TEL0138・22・6801。(山崎純一)


◎福士被告を詐欺などで追起訴…せたな殺人
 せたな町立島歌小で、同町瀬棚区島歌、同校臨時公務補田村亜衣子さん(24)が刺殺された事件で、函館地検は4日、殺人罪などで起訴した同瀬棚区本町、同僚の臨時事務職員福士昌被告(21)について、詐欺と有印私文書偽造・同行使の罪で函館地裁に追起訴した。

 起訴状によると、福士被告は昨年9月7日から同12月28日までの間、計5回にわたり、不正に入手した同校長名義の通帳や印鑑を使って預金の払い戻し請求書を計5通偽造し、同町内の信用金庫の窓口で職員から計約21万円をだまし取った。

 同地検によると、福士被告は消費者金融からの借り入れや車のローンなど計300万円以上の借金があり、「経費の払い戻し事務に携わっていて犯行を思いついた。(詐取した金は)生活費や交際費に使った」と起訴事実を認めているという。


◎小中学校の給食費値上げへ…市議会
 第1回函館市議会定例会は4日、代表質問に2会派、一般質問に2氏が立った。多賀谷智教育長は、小中学校の新年度の給食費を改定し、7―8%引き上げる方針を明らかにした。

 道畑克雄氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 給食費の改定は2000年度以来8年ぶり。市立小中学校64校が対象で、新年度からの給食費は1食当たり236円、中学校が298円と、それぞれ現行の料金よりも17円、20円の値上り。

 年間では小学校が4万3120円(1、6年)、4万3830円(2―5年)に、中学校が5万1590円(3年)、5万3970円(1、2年)になる見通しで、3200円から3500円の負担増となる。

 主食となる米や小麦などの販売価格が値上りしたほか、昨年2月にパンの原料となる小麦粉を外国産から道産に変更した際、道給食会が道産品の消費拡大を目的に各市町村に行っていた補助が新年度から廃止となることが主な要因。

 市内の学校給食の主食については、米食を週3回、パンを週2回提供。パン(1個)は約5円増、米飯(1食)、牛乳(1パック)は約1円増の費用負担となる見通し。給食費の改定をめぐっては、昨年12月から学校長やPTA役員らで構成する市学校給食運営協議会で審議し、2月25日に市教委で定めた改定案に合意した。

 多賀谷教育長は「学校給食で使用する各種の食材が値上がりしており、現在の給食費で対応することが難しい状況」と経緯を説明した。

 このほか瀬尾保雄氏(公明党)と高橋佳大氏(共産党)が代表質問、出村勝彦氏(新生クラブ)が一般質問した。(鈴木 潤)


◎小松、神垣さん最優秀賞…みなみ北海道観光写真コンテスト&はこだて冬フェスカラーフォトコン
 「第56回みなみ北海道観光写真コンテスト」(実行委主催)と「2008はこだて冬フェスティバルカラーフォトコンテスト」(同フェス実行委主催)の審査結果が発表され、最優秀賞に、みなみ北海道コンは小松英海さん(函館市)の「大沼の朝」、冬フェスコンは神垣慎一さん(同)の「煌(きら)めく五稜郭」が選ばれた。入賞作品は20―31日、金森洋物館赤煉瓦ギャラリー(市内末広町13)に展示される。

 みなみ北海道コンは道南地域の観光地や史跡、行事などを題材に119点、冬フェスコンは昨年12月から市内各所に点灯する「イルミネーション」を題材に102点の応募があった。

 最優秀賞を除く上位入選者は次の通り。(敬称略)

 【みなみ北海道】▽特選=塚田トシエ、小笠原一樹▽準特選=佐藤洋子、五十苅克敏、斉藤美代子(以上函館市)川村明雄(福島町)【冬フェス】▽特選=斉藤美代子、岩佐敏子▽準特選=倉本祥五、池田大、田中祐平(以上函館市)(小川俊之)


◎駒ケ岳・森林センターが最優秀賞…北の国・森林づくり技術交流発表会 森林ふれあい部門
 道森林管理局の主催する本年度の「北の国・森林づくり技術交流発表会」で、同局駒ケ岳・大沼森林環境保全ふれあいセンター(駒場町)の発表が、森林ふれあい部門の最優秀賞に選ばれた。ことし初めて取り組んだボランティア養成講座「森林(もり)づくり塾2007」の取り組みについて報告した内容で、同センターとしては初めての受賞となった。

 同発表会は、森林・林業の技術などの情報交換を図る目的で毎年開催されている。ことしは1月24、25の両日に札幌市内で行われ、道内の自治体、高校など28団体が計29課題を報告した。最優秀賞は部門別で、同センター含め4団体が受賞した。

 同センターの発表は、自然再生指導官の窪田秀幸さんと宮本元宗さんが担当した。講座は昨年5―10月に計4回、道南の人工林などで植え付け作業や保育間伐など初心者向けの森林体験を実施。発表では講座開設の背景や取り組みの過程、受講後は参加した市民34人の満足度が高かったことなどを説明した。

 窪田さんは「これだけの賞をもらっていいのかなというのが正直な気持ち。環境問題やボランティア活動への興味関心は市民ニーズとしてあり、今後も継続して取り組みたい」と話し、宮本さんも「今回の反省を踏まえ、講座回数も2回増やすなど、今後はもっと良い講座内容にしていきたい」と抱負を語った。(新目七恵)