2008年3月7日(金)掲載

◎道教育大函館校で前期日程の合格発表
 道教育大函館校(函館市白鳥町)で6日、前期日程の合格発表があった。朝から日差しに恵まれた好天の中、191人がひと足先に「喜びの春」をつかんだ。

 この日は午前9時に、職員が合格者の受験番号を張った掲示板を玄関前に設置。受験生やその家族らが次々に訪れては掲示板に見入り、受験番号を確認していた。

 番号を見つけた受験生や保護者からは「あった、あったー!」などと歓喜の声が上がった。さっそくカメラ付き携帯電話で自分の番号を撮影したり、友人や高校の担任に合格を伝える電話をかけたりする姿も見られた。

 人間地域科学課程環境科学専攻に合格した市内上湯川町の猿渡祥太さん(18)は「予想通りに合格できてよかった。大学でもまた卓球をやりたい」と学生生活に期待を寄せた。

 7日は公立はこだて未来大と北大で前期日程の合格者が発表される。 (宮木佳奈美)


◎函館市議会・学校給食調理、委託で効果額1億7000万
 第1回函館市議会定例会は6日、5人が一般質問をした。2004年度から続けている学校給食調理業務の民間委託が進み、本年度までの9校分で効果額が約1億7000万円に達することが分かった。旧市内で調理場を持つ学校は35校。新年度は新たに2校の民間委託が決まっており、約3分の1で進む。

 志賀谷隆氏(公明党)への答弁。多賀谷智教育長は「35調理場のすべてが民間化を終えた場合の効果額は、概算で5億円となる見込み」と述べた。新年度は桔梗小、北美原小の委託が決まっており、調理員の定年退職と職種変更で計画的に進めている。

 給食は国の指針で、調理後2時間以内に食べられるよう努力することが定められている。志賀谷氏は市の実態を質問し、多賀谷教育長は「おおむね2時間以内が守られているが、メニューによっては2時間を超えるケースもある」と答えた。1000食以上を作る調理場でみられるという。

 新年度から2カ年計画で、椴法華中学校への給食調理場併設が始まる。旧4町村地域の配食を予定しており、10年度からの使用開始に合わせ、市教委は新市全体の給食配送ルートの見直し作業と献立の工夫などを進め、調理後2時間以内の提供を目指していく。

 このほか紺谷克孝氏(共産党)、日角邦夫氏(民主・市民ネット)、村井正幸氏(新生クラブ)、松宮健治氏(公明党)が質問した。 (高柳 謙)


◎函館子ども歌舞伎16日にオーディション
 今年で創立20周年を迎える函館子ども歌舞伎(市川団四郎さん主宰)は16日午後1時半から、函館市芸術ホール(五稜郭町37)で「白浪五人男」の実演と、約10年ぶり2回目となる新入団員のオーディションを行う。20周年記念事業の一環。市川さん(68)は「審査を受けるという身構えは不要。親子で気軽に見に来てほしい。その中に、将来全国で活躍する子どもがいてくれればうれしい」と参加を呼びかけている。

 同歌舞伎は1989年に開かれた「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」で、子どもの歌舞伎が演じられたのがルーツ。今では後援会(小玉陽造会長)のバックアップを受けて2年に1度公演するほか、東京など全国の舞台でゲスト出演し、演技力が高い評価を得ている。今回は1月に沖縄で開かれた「第108回杜(もり)の賑わい・沖縄」で絶賛を浴びた「白浪―」を演じる。

 現在の団員は18人。小学校3年生以下の「主役予備軍」は多く在籍するが、戦力となる同4―6年が少ないという。兄弟や知人が団員になるケースが多く、オーディションにより、すそ野を広げたいとしている。

 また、野外劇や市民ダンスに参加する子どもは多いが、歌舞伎に興味を持つ子ども、親の数は未知数。市川さんは「この企画でその数が分かる」。子どもが歌舞伎を演じることに「新しい自分に気がつくことや、大きな声でせりふを言うため、自分への自信づけになる」と話す。

 当日は実演の後、「白浪―」のせりふの一部を市川さんが解説。発声や演技の指導を受けてオーディションに臨む。同後援会は「見に来た子どもは、初めての芝居に興味がわくと思う。実演を見た親は子どもを出したいという気になるかもしれない」と期待する。

 観覧とオーディションの参加は無料。また、入団料や週1回のけいこの謝礼、出演料は一切不要で、公演のチケット販売を手伝う程度。市川さんは「誰でも初めは見たことがない。気軽に伝統芸能に触れてください」と話している。

 オーディションの対象は小学1―6年の男女。当日の受け付けは午後1時から。問い合わせは同後援会の広瀬事務局長TEL0138・42・2327。 (山崎純一)


◎HIFが協力団体を募集
 道南のNPO(民間非営利団体)・NGO(非政府組織)のネットワーク化を目指している財団法人道国際交流センター(HIF、函館市元町14)は、中核として活動する協力団体を募集している。連携に向けた情報発信の一環として、今月中には団体の活動状況などをまとめた冊子を作成する計画で、掲載する30団体を公募している。HIFの池田誠事務局長は「市民パワーを盛り上げるため、共に活動する仲間を募りたい」と呼び掛けている。

 同センターは昨年2月、函館市内で市民活動フォーラムを初開催。同年4月には関連団体のネットワーク組織を発足させるなどしたが、その後具体的な取り組みは進んでいなかった。

 池田事務局長は「例えば過去に、福祉団体とプラネタリウム愛好団体が出合って障害児向けの鑑賞会を開催したこともある。違う分野の団体がつながる場を設けることで、それぞれの活動の幅が広がる」とネットワーク化の意義を説明。「必要に応じた時に集まるような、ゆるやかな連携を目指したい」と語る。

 冊子の作成は、連携の中心となる団体の情報を集約し、関係団体に配布することでつながりを深めるのが狙い。募集期間は19日までだが、基礎審査の上、30団体が決まった時点で締め切る。掲載団体には原稿料として各1万円を支払う。

 HIFでは現在、ネットワーク化への取り組みの一環として指導者養成講座も開催中。7日午前10時からは「地域のネットワークをつくる」(講師・NPO法人地域生活支援ネットワークサロン日置真世事務局代表)、11日午後1時半からは「ESDによる持続可能なまちづくり」(同・財団法人とよなか国際交流協会榎井縁事業課長)、13日午後6時からは「地元から、足元から見つめなおせ」(同おちゃらかオーナー・ダントン・ステファンさん)をHIFで開く。協力団体の申し込み、問い合わせはHIF(TEL0138・22・0770、電子メールinfo@hif.or.ip)。 (新目七恵)


◎北大COE市民公開講座、海洋研究の成果紹介
 市民公開講座「水産科学シーズによる地域振興の新しいかたち」(北大21世紀COEプログラム「海洋生命統御による食料生産の革新」主催)が6日、函館国際ホテルで開かれた。文部科学省による地域振興への取り組み概要の紹介や、北大COEの研究成果から産業シーズ(種)が紹介された。

 21世紀COE(センター・オブ・エクセレンスサ卓越した研究拠点)プログラムは、文科省が2004―08年度の5カ年かけて行う事業。世界に通用する研究教育拠点を形成する目的がある。函館市内や近郊の企業や官公庁の職員、学生ら約60人が参加した。

 文科省科学技術・学術政策局の柿沢雄二さんが「科学技術による地域の活性化について」と題して講演。同プログラムの研究成果の産業シーズとして、北大の3教授が発表した。

 「オンリーワンでナンバーワンを目指した水産資源の活用」を発表した宮下和夫教授は、アカモクやウガノモクなどの未利用海藻に多く含まれる物質「フコクサンチン」を「脂肪を燃焼させ、血糖値を下げる」と紹介。「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防に使用したり、抽出後の廃棄物はバイオエネルギーとして活用できる」とした。 (小泉まや)


◎企画「DVのない社会を」(上)暴力に苦しむ女性のために
 本格的な冬を迎えようとしていた2007年11月上旬。函館市内で開かれた「DV(ドメスティックバイオレンス)被害者サポーター養成講座2007」の最終回で、講師に招かれた札幌のNPO法人「女のスペース・おん」の近藤恵子代表が受講者に訴えた。「DVはなくさなければならない『犯罪』。暴力のない社会にするため、自分たちの問題とらえ、サポートに力を貸してほしい」―。

 講座を主催したのは、函館市内の「NPO法人ウイメンズネット函館(ウイメンズ)」。市の委託事業として本年度初めて、10、11月に計7回の講座を開催し、55人が受講を登録した。このうち14人が全講座を終え、修了書を受け取った。

 ウイメンズは2月28日で設立から丸10年を迎えた。理事長の古川満寿子さん(65)や理事の竹花郁子さん(56)ら女性3人が中心となって発足。被害女性をかくまうシェルター(一時保護施設)を開設し、10年で300人余りを保護してきた。

 特にここ数年、ウイメンズの活動が周知され、浸透してきている。道南でDV被害の相談は毎年1000件を超え、渡島支庁など他の機関にも相談窓口はあるものの、その9割がウイメンズに寄せられる。

 発足当初から資金、人材不足には悩まされてきたが、被害者の相談支援に当たる「サポーター」の人員不足は喫緊の課題だった。サポーター養成講座の実現は人手不足解消への第一歩につながる。2月には道の事業でも養成講座が開かれた。受講者の中にはDV被害者もおり、友人が被害に遭っているという60代の女性は「自分が彼女にどう接したらいいか勉強して、助けてあげたい」と深刻な表情で語った。地道にDVへの理解、支援の輪が広がっている。

 古川さんらはウイメンズ発足前、函館にいながら、道内初のシェルターを開設した「女のスペース・おん」の活動に携わっていた。メンバーに「道南にもDVに苦しむ女性がいる。ぜひ函館でも活動を」と背中を押された。ちょうどそのころ起きた「事件」も立ち上げのきっかけとなった。函館に移り住んで間もない一家の妻が酒乱の夫を殺害してしまう惨劇だった。

 「もう少し相談できる場があれば事件にならずに済んだかも知れない。やっぱりわたしたちがやらなくては」と古川さんたちは思いを強めた。それから多くの賛同者が集まり、活動がスタート。「DV」という言葉がまだあまり世間に知られていないころだった。

                  ◇  ◇  ◇

 NPO法人ウイメンズネット函館が2月で設立10周年を迎えた。「DV」という犯罪と闘った10年を振り返り、関係者の思いや今後の展望を2回にわたって伝える。(宮木佳奈美)

 DV(ドメスティックバイオレンス) 配偶者など近親間での暴力を指す。DV防止法では、配偶者または事実婚(内縁関係)によるパートナーを対象とし、離婚などで関係を解消した場合も含まれる。しかし、同法の対象外ではあるものの、恋愛関係で起こる暴力「デートDV」も近年、若者の間で問題になっている。

 「ウイメンズネット函館」への相談はTEL0138・33・2110へ。