2008年3月8日(土)掲載

◎青函連絡船就航100年記念イベント/摩周丸など3隻が一斉に汽笛、模擬操船も
 青函連絡船就航から100年となった7日、函館市若松町の「摩周丸」(青函連絡船記念館摩周丸)、「八甲田丸」(青森)、「羊蹄丸」(東京)の3隻で、午前10時に記念の汽笛を一斉に鳴らした。摩周丸では出港時の作業を再現する模擬操船や、思い出を語り合う集いが行われ、訪れた市民や連絡船OBらが同船への思いを巡らせていた。

 記念行事は函館市のNPO法人(特定非営利活動法人)語りつぐ青函連絡船の会などが企画。模擬操船は同9時半、ドラの音で始まり、操舵室では、当時の制服姿のOBがブリッジや船首などに就いた航海士から無線で情報を受けたり、港内の様子、計器、天候をチェック。同10時に元摩周丸船長の山内弘さん(73)の「長声一発」の掛け声に続き汽笛を鳴らし、船は「蛍の光」のメロディーとともに青森へ向け“出航”した。

 同10時15分に終了、見守っていた人から拍手が起きた。父が八甲田丸の航海士だったという函館市美原の主婦有川樹里さん(48)は「父の働く姿を見ているようで感動した」と話していた。

 この後、思い出を語り合う「かたふり会」が開かれ、OBらが話に花を咲かせた。石狩丸の甲板長だった同市大縄町の小川重弘さん(74)は「連絡船の功績、安全な航海に努めた乗員の誇りを伝統として後世に伝えていきたい」と語った。

 青函連絡船は1908(明治41)年3月7日午前10時、青森から函館へ向け比羅夫丸が出航して歴史が始まり、88年3月13日に廃止された。(山崎純一)


◎戸井コミュニティビジネス研究会が始動
 函館市戸井地区の漁師の妻らで発足した「戸井コミュニティビジネス研究会」(細田レイ子代表)が本格始動し、特産物を利用したまちおこしに向けて奮闘している。2日には汐首漁港(市内汐首町)で開かれた即売会「お魚感謝デー」(実行委主催)に初出店し、フノリやヒジキが来場者の好評を得た。同研究会は引き続き“浜の母さん”の知恵を生かした商品づくりで活動を軌道に乗せ、戸井地区をPRしていくことにしている。(宮木佳奈美)

 同研究会は細田さん(68)ら60代を中心とする瀬田来町の女性10人で構成。「若い世代にも受け継いでもらいたい」と30―40代も誘い、昨年から商品にするフノリやヒジキ、コンブなどを採集し、販売準備を進めてきた。

 同研究会は住民でつくる「戸井地区コミュニティ運動推進協議会」(宇美兼松会長)の実動部隊として昨秋に発足。同地区は2006、07年度の2年間、道の「地域力向上実践事業」のモデル地区に指定され、同推進協が地域の課題解決や活性化を図る「地域力」を向上させる方策を探っていた。

 漁協の了承を得て、昨年は細田さんたちが同推進協の一員として「お魚感謝デー」に参加。ことしは同研究会が引き継ぎ、海藻類やヤリイカの一夜干しなど、メンバーが持ち寄った8種類の商品を100―200円の安価で提供し、ほぼ完売するほどの人気ぶりだった。

 細田さんは「赤字を出さずに戸井をPRできてよかった。他の町会も巻き込んで、みんなで笑いながら楽しくまちおこしができれば」と期待。地元の海や山の幸を販売する小さな屋台をつくることが夢という。

 市町村合併を機に住民団体が淘汰(とうた)され、地域では「住民が集まる機会が減った」との声も。「行政に頼らず自分たちで活動費を捻出(ねんしゅつ)し、自立した形で地域を盛り上げなくては。その土台をつくりたい」と意欲を見せている。


◎「子どもプロジェクト」児童が町長に10年後の厚沢部提言
 【厚沢部】厚沢部小学校(澤田卓校長、児童134人)の6年生20人が総合学習の一環で、観光、農産物、商店街など6つのグループに分かれて、町を活性化させるアイデアを話し合う「厚沢部未来子どもプロジェクト」に取り組んだ。7日に町役場を訪れた児童は、渋田正己町長と笹谷勝博副町長に改革案を提示。渋田町長は「皆さんの願いを1つでもかなえられるよう努力したい」と述べた。

 子供たちは2学期後半からグループに分かれて、町の現状や課題を分析。町役場などでアドバイスを受けながら、10年後の厚沢部に明るい未来が訪れるよう、まちを元気づけるためのプランを練ってきた。

 「少子高齢化」グループは、学校行事などに高齢者を招待したり、昔の遊びを教わる授業を設けるべきとし、「観光」グループは特産の黒豆、大豆、小豆をPRするため、3人のヒーローをイメージしたキャラクターを考案。「イベント」グループは伝統の郷土食を生かした郷土料理対決のイベント開催、「農産物」グループは黒豆を生かした新商品開発、町内産農産物のセット販売などを提案した。

 「商店街」グループは、拡幅整備が進む新町商店街について「花を植えたりイメージカラーを統一して明るい商店街にして欲しい」と提言。「予算」グループも「国道沿いの街灯が明るすぎてもったいない」と指摘、街灯の効率的な整備を求めた。

 渋田町長は「ユニークな意見が数多くあった。生かせる案は目に見える形でどんどん実現したい」と約束。6年生の担任の阿部さゆり教諭は「町を良くするアイデアを全員で考え、町長さんに提言できたのは良い経験になった」と話していた。(松浦 純)


◎函館市議会 学校耐震化、基準適合は26施設
 第1回函館市議会は7日も一般質問が続行され、5氏が質問に立った。市立幼稚園、学校の計80施設の耐震化の取り組み状況について、現行の耐震基準に適合している施設は26施設にとどまっていることが分った。

 見付宗弥氏(民主・市民ネット)の質問に多賀谷智教育長が答えた。耐震基準を満たしていない54施設のうち、耐震診断を実施したのは6施設だが、校舎、体育館とも完全に行ったのは1施設のみで、53施設は耐震診断が必要な状況となっている。

 文部科学省の耐震化指針に基づき、診断の前段に行う耐震化優先度調査を実施をしており、多賀谷教育長は「厳しい財政状況であるが、今後、計画的な整備に努めたい」と述べた。

 市戸ゆたか氏(共産党)の学童保育所の利用見込みに関する質問について、多賀谷教育長は「児童数は減少しているが、留守家庭児童の割合は増加傾向にあり潜在的な利用ニーズがある」との見解を示した。

 学童保育所は現在、公営、民営合わせて33カ所、児童数1100人で、2006年度と比較して4施設増え、児童数も80人増加している。旧4町村をのぞく旧函館市では、未設置校区がほぼ解消されている状況にあり、同教育長は「地域の実情や児童数の推移、保護者のニーズを的確に捉えながら設置に努めたい」とした。

 このほか、黒島宇吉郎氏(新生クラブ)、竹花郁子氏(無所属)、三遊亭洋楽氏(同)が質問した。一般質問はこの日で終了し、10日は各常任委員会、13―18日は予算審査特別委が開かれる。(鈴木 潤)


◎企画「DVのない社会を」(下)進む法整備 活動しやすく
 DV(ドメスティックバイオレンス)の被害者を支える「ウイメンズネット函館(ウイメンズ)」は平日の午前10時から午後5時まで電話はもちろん、事務所に来た人の相談も受ける。しかし、午後7時を回っても事務所の電話は鳴り響く。

 何年も前に保護した女性からもたびたび電話がくるという。シェルター(一時保護施設)を出て自活を始めても、精神的ダメージが大きい彼女たちへの支援は終わらない。常勤職員は古川満寿子理事長(65)を含めて2人。事務所を出るのはいつも午後8時を回る。

 ウイメンズが活動を始めたのは10年前。古川さんは「当時はDVが家庭内暴力と呼ばれ、恥ずかしいことだと思いながらも耐え切れず相談する女性が多かった」と振り返る。DV防止法や加害者が被害者に近づくことを禁じる保護命令制度の施行、法改正による保護の拡充など、社会的なシステムが整備され始める中で、救済活動がしやすくなった。今では深刻な状況に陥る前に相談に来る女性も増えたという。

 「最初は人の人生に深くかかわるなんて荷が重くてできないと思っていたが、おこがましい考えだった。ただ被害者が自分で人生を決めるために状況を変える手助けにすぎない」。古川さんは思う。ウイメンズの活動の道筋を付けてくれたのは被害者たち。彼女たちと一緒に問題解決の道を探った結果、別の同様の事案もスムーズに解決するようになった。

 裸にコートだけ羽織り、サンダルで逃げ込んできた女性が元気になっていく姿や、「新しい人生を自分で作る」と言ってさっそうとシェルターを出て行った女性を見てきた。「彼女たちの強さに教えられることは多い。自分の道を切り開いていく姿を見られて幸せ」と古川さんはいう。

 一方、20代からDVを受け続け、70代で保護されたが老人福祉施設で最期を迎えた女性、DV被害で体調を崩し「子供が高校生になるまで生きていたい」と願いながら、かなわずに亡くなった女性を思うと無念でならない。「DVは家族につらい思いをさせ、痛めつける犯罪だ」と憤る。

 自立に要する時間は被害者それぞれに違う。生活拠点の確保や就労支援はもちろん、精神的ダメージのケアには専門的なサポートが必要。母親とともに保護される子供たちへの支援もまだ不十分な面が多い。

 活動11年目の2008年、古川さんの目標は子供へのサポートに力を入れ、被害者の拠りどころになる居場所づくりだ。今、新たな目標に向かって準備を進めている。(宮木佳奈美)

 DV(配偶者暴力)防止法 2001年10月に施行された。02年4月から加害者が被害者に6カ月間近づくことを禁じる保護命令制度が開始。04年12月、08年1月には法改正され、現在は被害者と同居する子供や親族なども接近禁止命令の対象に加わった。身体的暴力が顕著でなくても、体や生命に危害を加えるかのように脅すなど「精神的暴力」も保護命令の対象になった。ただ被害者保護が手厚くなる一方、加害者の処罰が盛り込まれていない点などに課題が残るとされている。

 「ウイメンズネット函館」への相談はTEL0138・33・2110。


◎農業体験施設「亀尾ふれあいの里」利用者募集
 函館市は4月20日、農業体験施設「函館市亀尾ふれあいの里」(米原町126)をオープンする。市農林課は市民が自由に利用できる市民農園と、稲作やそば、イチゴなどの作物の種まきから収穫までの一連の農作業を行う体験農園の利用者を募集している。

 ふれあいの里は亀尾地域の「農村地域活性化計画」に基づき、拠点施設として整備。地元農業関係者でつくるNPO法人・亀尾年輪の会(田村冨作代表)が指定管理者を務め、園内の管理や農業栽培指導を行う。

 市民農園は1区画25平方メートルの全80区画。11月10日までの利用期間中、越冬作物を除く園芸作物を自由に栽培できる。使用料は1区画5000円。5年間を限度に継続使用ができる。

 体験農園は約9000平方メートル。コメ、そば、枝豆、イチゴ、バレイショ、スイートコーンで各40―400人の栽培希望者を募集。1作物につき大人400円、子ども200円で、種まきや収穫など一連の体験を年に3、4回行う。市農林課は、体験会などと合わせて地場産野菜の即売会や、ドサンコ乗馬体験などイベント開催も予定している。

 それぞれ、市役所などで配布の使用許可申請書に必要事項を記入し、〒040―8666 函館市東雲町4―13 函館市農林水産部農林課に提出。締め切りは4月3日必着で、応募多数の場合は抽選となる。ホームページ(http://www.kameo-fureainosato.com/)でも応募できる。問い合わせは同課TEL0138・21・3342。(今井正一)