2008年4月1日(火)掲載

◎はこだてFCが「犬と私の10の約束」ロケ地マップ作製
 はこだてフィルムコミッション(FC、事務局・函館市)はこのほど、函館で撮影された映画「犬と私の10の約束」(本木克英監督)のロケ地マップを作製した。ロケ最終日に主演の田中麗奈さんがサインを書き残した青柳町電停付近の消火栓も紹介されており、今後、函館を訪れた観光客の「新名所」となりそうだ。

 同作品は少女と愛犬の交流を描いた感動作。短編詩「犬の十戒」をモチーフに、田中さん演じる「あかり」とゴールデンレトリバー「ソックス」の交流を描いた。全国の映画館で3月15日から上映され、話題を集めている。函館は全国の候補地から選ばれ、2006年秋と07年春に撮影が行われた。

 マップでは映画に登場する大森浜や函館山展望台、函館西波止場など9カ所をピックアップし、作品中の印象的なシーンを写真と解説付きで紹介している。

 マップ作製は、昨年公開の「Little DJ 小さな恋の物語」に続いて2回目の試み。はこだてFCは今後も、肖像権などの問題が解消されたロケ作品について、同様の取り組みを継続したい考え。事務局は「今後もさまざまな工夫をして、『映画の街・函館』を発信し、観光振興につなげたい」としている。

マップはB5判両面カラー印刷で、3万部発行した。首都圏をはじめ、大都市圏の上映館に配布する。市内では上映館のシネマ太陽函館、元町観光案内所、市役所などで手に入れることができる。 (今井正一)


◎道路整備の行方見えず…暫定税率期限切れ
 ガソリン税などの暫定税率が31日で期限切れとなった。4月末に衆院で関連法案を再議決して税率を復活させる動きもあるが、業界団体や行政関係者からは「一度下げたものを再び上げることに、国民が納得するだろうか」との声がある。失効に伴う歳入不足は1カ月分で済むのかどうか、福田首相が明言した道路特定財源の一般財源化と合わせ、道路整備事業の行方は見えない状況だ。

 函館・道南は2015年の北海道新幹線新函館―新青森開業に向け、道縦貫自動車道や函館新外環状道路などの整備促進が懸案となっている。

 道路整備の促進に向け、全国市長会など地方6団体は、財源となる特定財源や暫定税率の維持を求めてきた。函館市新外環状道路整備推進室は「暫定税率が復活するかは全く見えない。福田首相が道路整備の長期計画見直しや、1年後をめどに特定財源を一般財源化する方針を示したことで、道南の道路整備の行方は分からなくなった」と困惑。「今後の計画遂行に影響が出ることが懸念される」と行方を注視している。

 函館市は新年度予算で、道路特定財源による歳入を11億9000万円見込み、そのうちの5億5000万円が暫定税率分となっている。財政課は「1カ月程度なら予備費などで対応でき、道路の維持補修など市民生活に影響は出ないと思う。ただ、そのまま廃止となれば5億5000万円の穴が開く。減収補てん債(借金)の発行などが想定される」と話す。

北斗市は新年度、暫定税率分の歳入を1億5200万円と見込む。財政課は「暫定税率が回復するか、まずは情勢を見極めたい」との構えだが、「仮に廃止となれば道路事業そのものの見直しは避けられない」と受け止める。

その見直しを検討する町も出始めた。檜山支庁は「特定財源の行方が不透明なため、管内では町道整備事業執行の留保を検討する動きもある」と説明する。

道は国の動向を見極めながら今後の対応を検討し、道民生活に影響が極力生じないよう取り組みを進めている。函館土木現業所は「市民生活に直結し、切れ目のない対応が必要な維持管理業務は3月28日に発注済み。このほか緊急を要するものなどは必要に

暫定税率を維持した場合の08年度の道路特定財源は、国全体で5兆4000億円。廃止となれば半分弱の2兆6000億円が失われる。道も暫定税率が廃止された場合、年間で407億円の影響が出ると試算している。


◎第3回はこだて検定 11月9日に実施
 函館商工会議所(高野洋蔵会頭)は31日までに、函館の歴史や文化などについて問う「第3回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」の試験を11月9日に実施すると発表した。また、市立函館高校(森武校長)が、1年生の必修科目「函館学」の教材として同試験の公式テキストブックを本格的に導入し、検定の合格を目指す。

 はこだて検定は昨年3月の第1回で初級、同11月の第2回で初級と上級の試験を実施。初級は第1、2回で計1204人が受験して805人が合格し、また上級は受験者219人に対して合格者は5人だった。第3回は初級、上級の試験が行われる。

 同校は2007年度の開校を機に函館学の科目を創設。「市民創作・函館野外劇」の鑑賞や市西部地区の巡見のほか、同試験の問題に沿った模擬試験を行うなど、地元に関する知識を深めてきた。

 07年度は同校で用意し、貸し出したテキストを08年度は全1年生320人が購入。生徒は休日や放課後を利用して、はこだて検定の受験に臨む予定。

 同会議所は「若い人たちに町を知ってもらうのが検定の目的の一つなので、望んでいた形になりつつある」とし、同校は「郷土について学びながら愛する気持ちをはぐくみ、函館の魅力を全国に発信していってほしい」と話している。(浜田孝輔)


◎きょうから五稜郭分館の史料展示…市立函館博物館本館
 市立函館博物館本館(青柳町17、函館公園内)では1日から、昨年11月末で閉館した同館五稜郭分館に収蔵されていた史料を常設展示する。同本館では「江戸から昭和まで函館の歴史がつながるような内容になった。ぜひ来館を」と呼び掛けている。

 五稜郭分館は、市が進めている箱館奉行所の復元整備に伴い閉館した。同館職員は昨年12月から今年2月までに史料を梱包(こんぽう)し、3月に本館へ移動させた。保科智冶学芸員は「今年の冬は寒く、梱包作業は大変だったが、移動には問題はなかった」と話す。

 常設展示は2階。五稜郭分館の史料のうち、五稜郭や箱館奉行所に関するものは、新しく作られる箱館奉行所で収蔵を予定しており、本館では主に箱館戦争に関するもの約150点が並んでいる。開陽丸の模型のほか、戦士が着用していた衣服、武器類、人物の紹介とコーナーを分け、史料に関連した写真やパネルを添え、戦争の流れを垣間見ることができる。

 土方歳三などの名士紹介の横は、従来からあった明治―昭和の函館のコーナーになっている。まず目に入るのは大火に関する写真など。保科学芸員は「函館における最初の大火は箱館戦争の戦火。それから明治に大火が起った。五稜郭分館の史料が来て、函館の歴史の流れがひとつにつながった」と話す。

 同館は月曜休館。開館時間は午前9時から午後4時半まで。(山崎純一)


◎五月人形 品定め…市内百貨店に特設コーナー
 男児の健やかな成長を願う5月5日の「端午の節句」を前に、函館市内のデパートや大型スーパーでは五月人形商戦がピークを迎え、特設コーナーには孫や子供の初節句を祝おうと、品定めに訪れる市民が相次いでいる。

 丸井今井函館店(本町32)では、高額な平飾りよりも、10万円前後のケース入りや台座に一式収納できるタイプが売れ筋。「ケース入りでも特に兜(かぶと)飾りが人気」という。竜が描かれたJ逡浴噤iびょうぶ)や、着用できるタイプの兜飾りなど約40点がそろっている。同店は「季節行事として床の間に飾って楽しむため、自宅用に小さめの飾りを購入する人もいる」と話す。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)では人形メーカー2社と同社オリジナルブランドの商品を展開し、店頭には約40点が並ぶ。「ガラスケース入りと平飾りが人気を二分し、6万円前後の商品を中心によく出ている。孫へのプレゼントとして地方発送する人も多い」とする。ただ例年よりも客足は鈍く、下見に時間を掛ける傾向が強いという。

 このほか、テーオーデパート(梁川町10)ではケース入りの兜飾りを主力商品とし、約30点そろえる。棒二森屋(若松町17)でも特設コーナーに5万円台から40万円台の商品約30点を展示。いずれもカタログからも選べるようにし、豊富な品ぞろえで多様なニーズに応えている。

 各店とも5月上旬まで特設コーナーを設ける。(宮木佳奈美)


◎児童館で育児支援など…函館市 4月から「ひろば館事業」
 函館市は本年度、初めての取り組みとして、既存の児童館を活用し、子育て支援や異世代交流などを行う「ひろば館事業」を始める。

 市内25の児童館と古川母と子の家(古川町)が対象で、子ども同士の交流、健全育成という本来の児童館の役割を維持をしながら、児童館ごとに「子育て支援」「世代間交流」「地域への施設開放」の3事業を行う。各児童館の職員や地域利用者が具体的な取り組みを企画し、順次活動を始める。

 子育て支援では、ほとんどが乳幼児の親子を対象とした絵本の読み聞かせや遊びなどを提供。桔梗福祉交流センターや美原児童館などは地域ボランティアらによる育児相談も行う。世代間交流は地域の高齢者が児童に囲碁や将棋、工作、料理などを指導する場を設定し、地域の伝統行事をそのまま取り入れる児童館もある。

 施設開放では西部、高盛両児童館が高齢者に文化・スポーツ活動の場として利用してもらうほか、山の手児童館は週3回、児童が利用しない午前中に卓球台を開放する。市子ども未来室は「コミュニティの活性化につながっていければ」としている。(鈴木 潤)