2008年4月10日(木)掲載

◎七飯町で白カブの収穫、出荷始まる
 【七飯】七飯町内で、特産の白カブの収穫が始まっている。町内大川3の中村徳男さん(40)方では、9日からハウスものの出荷を始め、家族らが真っ白なカブを引き抜き、水洗い作業などに追われている。

 中村さん方では1月10日、ハウス3棟の計15アールに「玉里」の種をまいた。カブは大きいもので直径8、9センチに成長し、1つ1つ丁寧に掘り出されていた。収穫後はパート職員らが水洗いし、規格別に選別した後、束ねて箱詰め(1箱10束入)する。JA新はこだてを通じて札幌や旭川などに出荷される。

 中村さんは「ハウスでじっくり育てているのでほんわか甘みがある。浅漬けはもちろん、煮物やサラダ感覚でもおいしい」と話していた。

 七飯町内では約55戸がハウスとトンネルマルチ、露地栽培合わせて約13ヘクタールで作付けした。収穫は6月中旬まで行われる。 (新目七恵)


◎【キラリ!道南】(8)菓子製造・販売 齋藤秀美さん(32)
 「はい、毎度ありがとうございます。知内屋です」。知内町森越の菓子製造・販売店「知内屋」は、地元で140年続く老舗。戦時中も食を通じて地域住民に寄り添ってきた歴史が、信頼という揺るぎない基盤を生み、確かな味とともに親しまれている。

 航空自衛隊岐阜基地の管制隊に所属していたが、店舗を守っていた両親が病を患ったため、2003年4月に辞め、店を継ぐ決意で古里に戻った。五代目の店長となり、「知内の旨(うま)い!を売る店」をキャッチフレーズに奮闘する毎日だ。

 代表商品の一つ、べこもちは代々受け継がれた味。形は木枠で整える。サクラや魚などをかたどった木枠の種類は約300個にも上り、大切に保管している。「幼いころに口にした、甘くてもっちりしたべこもちのおいしさは、今でも変わらない」。こいのぼりや兜(かぶと)など、季節に応じた創作メニューにも独自に取り組む。

 ことしからインターネット販売に切り替え、ホームページで全国に商品の魅力を発信している。「いつかは店を広げ、地域の子どもたちが大人になったとき、古里でも仕事ができるような環境を整えたい」。管制業務で培った的確な状況判断が、地域に根ざした活動の今後を見据える。 (田中陽介)


◎裁判員制度意識調査 道南半数「参加したくない」
 来年5月21日から始まる裁判員制度について、道南地方で「義務でも参加したくない」と答えた人が49・5%に上ることが、最高裁が公表した「裁判員制度に関する意識調査」で分かった。参加に拒否感を示した人の割合は全国にある50地裁管内で3番目に多い水準。「あまり参加したくないが義務なら参加せざるを得ない」という消極派も含めると8割以上が抵抗感を持っている結果となり、依然として市民の参加意欲が高まっていない実態が浮き彫りになった。(森健太郎)

 調査は1―2月にかけ、全国50地裁管内ごとに20歳以上の男女210人、計1万500人を対象に訪問面接方式で実施した。その結果、函館地裁管内(渡島、檜山と後志管内の一部)の裁判員裁判への参加意向は、「参加したい」「参加してもいい」といった積極派が計12・9%と低調。「義務なら参加せざるを得ない」との消極派を加えても46・2%にとどまった。

 全国平均では消極派を含め、約6割の人が参加の意向を示し、千葉の74・3%、高松66・7%、横浜65・7%、東京65・2%など、参加意欲は都市部で高い傾向が見られた。一方、「義務でも参加したくない」との回答は、多かった順に山形(53・3%)、秋田(51%)、函館(49・5%)、旭川(49%)など北海道・東北地方が占め、地域的なばらつきも目立った。

 裁判員になった際の心配について複数回答で聞いたところ、「責任を重く感じる」が89%と最多。「素人にできるか不安」(73・8%)、「裁判官と対等に意見を発表できる自信がない」(65・2%)などが続いた。いずれも全国平均を10前後上回る結果となり、道南では仕事や生活の支障より心理的負担を懸念する声が根強かった。

 道南の参加意欲の低さについて「道南は管内が広く、都市部に比べて交通の便も悪い。遠い地域から呼び出されて裁判所に行くのは負担も大きく、地理的な要因も数字に影響しているのでは」(法曹関係者)との見方もある。06年12月に内閣府が実施した同様の世論調査では、同様の質問に参加の意向を示したのは全国平均で計65%で、約5減少した。最高裁は「今回の調査結果を踏まえ、今後も国民の参加意向の向上に努めたい」としている。


◎函館けいりん開幕
 本年度の函館けいりんが9日、市営函館競輪場で開幕した。第1レースから大勢のファンが訪れ、バンクを疾走する選手に大きな声援を送った。入場者数は1866人。昨年と比べ366人増となりにぎわった。

 ことしは計58日間開催する。16日から毎年恒例のナイター競輪が始まるほか、6月8―11日まで、函館記念(GV)が行われる。

 5カ月ぶりのレースを楽しもうと、多く観客が外へ出てバンクのそばで観戦。ゴール前で繰り広げられた熱戦に、興奮気味だった。第1レースから3連単で5万円を超えるなど、高配当が続出した。

 この日は午前10時の開場前から十数人のファンが並んだ。先着500人にからあげが配られたり、第8、9レースの車券発売時に藤巻昇さんのレース予想会が開かれるなど盛り上がった。11日までの期間中は、抽選会などさまざまな催しが行われる。 (小林省悟)


◎道南地域センター「茜」が学童保育事業始める
 生活協同組合・道高齢協道南地域センター「茜」(我妻貞壽代表)は4月から、函館高盛小(高盛町17)の空き教室を活用した学童保育を始めた。保育内容に高齢者との交流を取り入れるのが特徴で、子供に言葉遣いや礼儀などお年寄りの“知恵”を伝えると同時に、高齢者の仕事おこしや生きがいづくり、子育て支援につなげる狙い。同高齢協では初の試みで、全国学童保育連絡協議会(東京)によると、高齢者団体が運営主体となるのは全国でも珍しい。(新目七恵)

 講座や福祉相談を行う同センターでは、「就業・生きがい・福祉」の理念実現のため、新事業を検討。近年の子供を取り巻く社会環境の悪化を受け、子育て支援に着目した。昨年夏ごろから準備を進め、市教委の委託事業として同小での開設にこぎ着けた。

 組織のネットワークを生かし、手品や書道など特技を持つ組合員ら高齢者と交流する機会を設けるほか、水・土曜の午後3時―同5時は教員経験のあるスタッフが無料で復習支援などを行う。我妻代表(80)は「保護者や住民らを巻き込み、地域一体となって運営したい」と説明する。

 名称は「あかねキッズクラブ」。専任指導員2人が常駐し、平日(正午―午後7時)と土曜(午前8時半―午後7時)に開設する。保育料は1―4年生が月額1万1000円、高学年同6000円。1人親家庭などは割り引くほか、曜日指定なども対応する。現在の登録児童は11人。

 入学式の当日は1年生ら5人が訪れ、じゃんけんや塗り絵で遊ぶなど楽しい時間を過ごした。娘3人を登録した木戸和恵さん(40)は「夫婦共働きなので放課後安心して預けられる場所ができて助かる」と話していた。

 我妻代表は「体制を整え、事業の成功に向け全力投球したい」と意気込んでいる。問い合わせは我妻代表TEL090・5956・7343。

 学童保育 児童福祉法に基づき、共働き、母子・父子家庭の子供らが毎日放課後に過ごす「生活の場」の提供事業。自治体による公営のほか、父母会、社会福祉協議会など民間が運営するケースも多い。市内ではことし6カ所増え、計35カ所となる。


◎日和坂に町民ら看板製作
 函館市元町と末広町をつなぐ「日和(ひより)坂」には、市が歴史的建造物に指定する古い建物や民家が立ち並ぶ。由緒ある地域の魅力を市民や観光客に広めようと、地域住民有志が建物を紹介する看板を製作し、3日から太郎鮨(同市元町32)横の道路脇に設置した。それぞれが持つ技術と知識を生かして完成した看板を前に住民は「昔懐かしい町並みを残していけたら」と話している。

 看板製作には末広町の化粧品店「末ひろ」の末松静栄さんを中心に、7人の地域住民が携わった。「日和坂は昔の懐かしさを感じる」という西部地区を懐かしむ人や観光客からの声を受け、「今ある日和坂の町並みを残そう」と進められた。

 ヒバの木を使用した看板は縦約60センチ、幅約90センチ。北欧風で温かみのある外観の「高橋病院天使寮」(1928年築)や和風様式の「花かんろ」(21年築)、「相馬邸」(08年築)などの建物をはじめ、アジサイやマツの木なども紹介している。元町のギャラリー「うつわ萩」の志賀玲子さんは6センチ四方の陶板で建物や植物を施し、木材に張り付けた。志賀さんは「赤土と白土を使って、古い日本家屋の雰囲気を表現した」と苦労を語る。建物の名称と建造年を書いたのは、書道暦20年の主婦中川克枝さん。「建物の雰囲気に合わせて、優しい字体を心掛けた」(中川さん)という。

 完成した看板を前に「素晴らしい筆跡をそのまま残したい」と、太郎鮨の三品和年店主はクルミの油できれいな木目とつや出しをした。このほか看板には「坂の上から港を眺め日和を判断してもの」と坂の由来を書き、雨よけのひさしや前面にガラスもはめこんだ。

 「早朝散歩する市民がよく立ち寄っている」と早くも注目を集めている。看板に掲載された「伊賀邸」(34年築)の伊賀喜樹さん(69)は「地域の力で歴史ある町を守っていきたい」と意気込みを語っている。 (小橋優子)