2008年4月11日(金)掲載

◎15日からハイカラ號の運行開始
 函館に本格的な観光シーズンの訪れを告げる復元チンチン電車「箱館ハイカラ號」の運行が15日から始まる。市交通局では4月に採用した新人の客室乗務員(車掌)2人が、運行開始に向けて研修を受けている。16年目のシーズンを迎えたレトロな車体が、今季も函館の街並みに彩りを添える。

 ハイカラ號は1910年に千葉県で運行を開始。18年から36年まで函館で客車として活躍した後、除雪用のササラ電車として改良された。92年の市制施行70周年記念事業で復元し、93年から営業運行を始め、毎年多くの観光客や市民に愛されている。

 本年度、車掌として採用された小野まゆさん(25)と成田幸子さん(23)はともにハイカラ號にあこがれて応募。現在、試運転中の車両で切符販売など車掌業務の研修を受けている。指導する角田晃教さん(34)は「運転手と息を合わせることが大切」と説明。小野さんと成田さんは「乗客の思い出に残るような接客を心掛けたい。観光客だけでなく、市民にも利用してほしい」と話す。ことしからハイカラ號の運転も担当する運転士湯田聡則さん(35)は「安全運転を第一に明るく元気に頑張りたい」としていた。

 ハイカラ號は始発のみ湯の川電停発で、午前9時7分に出発。その後、五稜郭公園―函館どつく、谷地頭電停間を1日7往復する。運行は10月末までで、繁忙期を除く毎週火曜日と悪天候時は運休する。料金は一般車両と同じだが、カード乗車券は使用できない。問い合わせは運輸課TEL0138・52・1273。(今井正一)


◎ロシア文化センター開設へ…極東大函館校
 函館市元町14のロシア極東大函館校(イリイン・セルゲイ校長)に、早ければ7月にもロシア文化センターが併設されることが10日、分かった。同日開かれた入学式で、同大が明らかにした。設置費用はロシア側の負担で、日本では初めての開設。イリイン校長は「函館市とスタッフなどの契約内容を詰めている。ロシアの祭りやイベントのほか、ロシア映画祭なども実施できれば」と話している。

 イリイン校長や函館市によると、昨年6月にプーチン大統領の提唱で設立された財団「ロシアの世界」が同センターを設立する。ロシア語やロシア文化を国内外に広げる目的で、センターはモスクワ本部のほか、サンクトペテルブルク、ウラジオストクにあり、国外では韓国・釜山と函館に設立準備を進めている。

 ロシア文化センターは、同校や市が長年にわたり設立を目指してきた。今年2月に市を表敬訪問したサフォーノフ・オレグ極東連邦管区大統領全権代表も、西尾正範市長と開設に向けて努力することを確認。イリイン校長が全権代表に要望し、3月に財団から函館校と市に設立の意向が伝えられたという。

 センターは函館校の図書室などを利用して開設し、ロシアの図書や刊行物などを備えて情報提供の充実を図る。イリイン校長は「センター長は私が兼務することになると思う。スタッフは函館から採用し、ロシア語ができる極東大卒業生などが考えられる」と語る。

 6月末にロシア極東大(ウラジオストク)のクリーロフ・ウラジミル学長が来函する予定で、それに合わせた最終合意を目指している。7月の北海道洞爺湖サミットでロシア政府首脳の訪問を要請している函館市にとっても、実現へのアピール材料となる。

 市国際課は「世界各地にセンターをつくっていく構想の中で、函館が日本初の地に選ばれたことは非常に喜ばしい。歴史的な友好関係や極東大の14年間の実績などが評価されたのではないか」と話している。(高柳 謙)


◎前建設課長ら 町長の関与ほのめかす…森の官製談合
 【森】森町が発注した消防防災センター建設工事の入札をめぐる官製談合疑惑で、道警捜査二課などの任意の事情聴取に対し、同町の前建設課長(60)や地元の大手建設会社の社長(55)が、湊美喜夫町長(79)の談合への関与をほのめかす供述を始めていることが10日までに分かった。当時の町議会で同センター工事請負契約について質疑が行われ、同課長が中堅ゼネコンの加わったJVを落札業者に選定した理由について「非常に高度な技術が必要な部分が多いため」と答弁していたことも明らかになった。

 道警は引き続き、偽計入札妨害の疑いで町幹部や地元建設業者ら関係者への事情聴取を続け、容疑の裏付けが得られ次第、湊町長本人からも詳しい経緯について事情を聴く方針。

 05年9月29日の定例町議会本会議で、堀合哲哉町議が同センターの工事請負契約について▽ゼネコンが入札に参入してきた理由は▽JVの組み合わせについて町側からの指示はなかったのか―などと質問。同課長は「JVはそれぞれ(業者側が)任意で組んでいる。私どもはそれを審査して指名(競争入札)に入れているだけ」と説明し、ゼネコン参入については「同センターは一番高いところで約7階建ての高さがある。非常に高度な技術が要する部分が多々あり、そういう部分を含めてこの企業体を選定した」と答弁していた。

 同町議会は同センターの工事請負契約についての議案を原案通り可決している。


◎森の官製談合 町民の思い複雑
 【森】森町の官製談合疑惑に湊美喜夫町長の関与が取りざたされる中、町民にも複雑な思いが広がっている。合併前の旧森町から10期にわたり、町政のかじ取りを務めてきた湊町長に対して同情の声がある一方、“長期政権”が不正を生む温床になったと指摘する声も。道警の事情聴取の状況も含め、町民は捜査の行方を注視している。

 町長の関与の疑いが浮上していることについて、上台町に住む60代の無職男性は「驚いた。町長は今まで町政に対し熱心に取り組んできたし、一連の報道で取りざたされている疑惑はないと信じたい」と言葉少な。東森町に住む70代の男性は「町政がどうなっているのか分からないが、捜査の行方は気になる」と話した。

 町では、昨年11月のスケトウダラの漁獲枠を巡る汚職、05年には町出身の現職道議の逮捕と不祥事が相次ぎ、冷ややかな声も。砂原地域の自営業の男性(59)は「またかという感じ。合併してから良い話はなく、残念な気持ちになる」と漏らす。多選の弊害を指摘する声もあり、御幸町の80代の無職男性は「(町長を)批判すればつぶされるという風潮が町にある。議会をはじめ誰も町長に対しものを言える人間がいなくなった」と嘆く。

 ある元町職員は「町長を熱烈に支持する町民と、そうでない批判的な町民が2極化し、町を中立的な目で見る人がいない」と指摘する。10日現在、一連の疑惑に湊町長は口を閉ざしたままだ。 (鈴木 潤)


◎多重債務の問い合わせ最多…法テラス設立2周年
 法的トラブルの解決に役立つ情報を提供する日本司法支援センター(愛称・法テラス)が10日、設立2周年を迎えた。函館地方事務所(愛称・法テラス函館、函館市若松町6)も業務開始から1年半が経過。法制度などの「情報提供」の利用は月平均で2006年度の94件から07年度は124件に増加し、認知度が高まりつつある。多重債務に関する問い合わせが最も多く、景気低迷の影響が色濃く表れている。同日、新所長に就任した佐藤憲一弁護士は記者会見し、「函館、江差とも多重債務が突出して多く、全国平均を上回る。道南の不況、個人所得の低さがうかがえる」と述べた。0ァ40ィ(宮木佳奈美)

 法テラスは06年4月10日、総合法律支援法に基づき設立された。半年間の準備期間を経て、函館は同10月から業務が始まった。司法過疎対策として道内では唯一、江差にも地域事務所が設置されている。電話での問い合わせは東京のコールセンターが全国から受け付け、各地方事務所へ転送する仕組みだが、直接、地域事務所が受ける場合もある。

 法テラス函館での情報提供業務は、電話か来所による面談で対応。06年10月の業務開始から08年3月末までの利用実績は、電話1572件、面談484件の計2056件に上る。利用は増加傾向で、1カ月当たりの件数が07年2月から100件を超え、同11月は150件に達した。佐藤所長は「広報活動や自治体などの関係機関の紹介が増加につながった」と分析する。

 内訳は多重債務が727件と全体の35・4%を占めた。低所得層を対象に無料で法律相談を受け、弁護士費用などを立て替える「民事法律扶助」業務の一つ「代理援助」でも848件の92・2%に当たる782件が、自己破産や任意整理など多重債務に関する内容だった。

 会見には、本年度から2人体制となる副所長に就任した藤原秀樹弁護士と和根崎直樹弁護士、3月に法テラス函館内に法律事務所を構えた曾我裕介弁護士も出席。佐藤所長は「認知度を高める努力をし、多様なニーズに応えられる体制を整え、一つ一つ丁寧に対応していきたい」と話した。問い合わせはコールセンターTEL0570・078374、法テラス函館TEL050・3383・5560。


◎地元食材 給食に本格導入…北斗市 5月から
 【北斗】北斗市は早ければ5月から、地場産食材を学校給食に本格導入する。新函館農協や上磯郡漁協の協力を得て、生野菜は現行の6品目から10品目に、海産物は2品目から5品目とし、学校給食に占める地元食材の割合を昨年度の約14%から大幅に拡大する方針だ。

 中国製冷凍ギョーザの中毒事件を受け、市は子どもたちに地元で生産している野菜に関心を持ってもらい、生産者の顔が見える「安心感」とともに、地域産業の理解を深めてもらおうと2月、庁内に「学校給食における地場産品の活用に係る検討会」を立ち上げた。8日に開かれた第2回の会合では新函館農協の職員や栄養士らも加わり、▽規格▽数量・注文▽納入方法▽単価―などについて協議し、具体的な購入方法を確認した。

 従来の生野菜6品目に加え、ホウレンソウやコマツナ、昨年度まで冷凍野菜を使用してきたジャガイモや枝豆も生野菜で購入する。新函館農協で扱う野菜については直接、農協から仕入れ、生野菜はこれまで使用していた「秀」ランクの野菜から、ほとんど品質が変わらない「優」ランクの野菜を安価で使用。北斗市学校給食共同調理場の澤村静夫施設長は「市場手数料の削減に期待している」とし、コストダウンと地域の旬の味わいの提供を目指す。

 昨年度、学校給食に利用した野菜は年間約80トン、うち生野菜は約60トンで、市では冷凍野菜から生野菜に切り替えていく考え。生野菜を導入することで処理の手間や時間が掛かるため、第1、第2の各調理施設では、新年度から実験的に生野菜を取り入れた調理を行っている。

 また、漁協とは昨年度まで使用したホタテとホッキに加え、漁期によってフノリやワカメ、ヒジキを使用することを確認。市は「冷凍食品から生野菜にすることで味も良くなる。旬の地場産品を味わってもらえれば」と期待を寄せている。(笠原郁実)