2008年4月12日(土)掲載

◎大沼の遊覧船、船おろし/あす運航開始
 【七飯】七飯町大沼湖上で観光遊覧船を運航する大沼合同遊船(堀元社長)では、13日の運航開始を前に急ピッチで準備を進めている。11日には冬期間陸で保管していた船5隻を湖上へと移動させた。遊覧船は静かに湖面に浮かび、本格始動を待つばかりとなった。

 遊覧船は大沼に浮かぶ小島などを約30分間で巡る。昨年はアジアや東北からの観光客ら約6万2000人が利用した。同社では毎年、大安の日に船を湖面へ降ろし1年間の無事故と多くの観光客の乗船を祈る。

 大沼はヒット曲「千の風になって」誕生の地として注目されており、遊覧船は25日に除幕式が予定される同曲メーンモニュメント前も通過する予定。堀社長は「千の風を感じて頂けるような運航を目指します」と乗船を呼び掛けており、年間7万人の乗船を目指す。

 料金は大人(中学生以上)960円、子ども(6歳以上)は480円。運航は12月上旬まで。(笠原郁実)


◎西部地区空き家/改築プラン提供、流通促進図る
 函館市は、西部地区に点在する空き家の流通を促進するため、本年度から物件調査や情報提供に取り組む。市が把握している西部地区の空き家は約120件あるが、実際に市場に流通している物件は20件程度。老朽化が進んでいる物件や地主の問題もあるため、活用があまり進んでいない。今回、現地調査をあらためて実施し、流通に意欲的な所有者には、建物を活用した改装・改築プランを提供し、市のホームページで活用策を公表する。「西部地区空家・空地相談室」の業務とともに、同地区の活性化につなげたい考えだ。

 市街づくり推進課は、2003年度に同相談室を設置。昨年4月からは、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)を利用して、NPO法人「はこだて街なかプロジェクト」(山内一男理事長)が毎週土曜日に窓口を設け、平日に来庁できない市民が相談できる体制を整えた。

 相談件数は2006年度の22件から、昨年度は約70件に増加し、そのうち同センターには約30件が寄せられた。窓口を通じて、処分寸前の建物を九州からの移住者が買い取った事例もあったという。山内理事長は「相談室の認知度がもっと高まれば、歴史的財産としての建物がなくなることを防ぐこともできる」と話す。

 市は、こうした動きを促進するため、西部地区一帯で5月に空き家調査を実施し、流通可能な物件の状況を把握。所有者から活用策の意向を確認し、専門家に建物の調査を依頼。再活用策として、改装のための物件の図面や、具体的イメージ図をつくり、必要な概算見積額を提示し、所有者の了解を得たものは、順次、情報を市のホームページで公表する。

 同課は「空き物件を活用する方法がわからない所有者もいるはずで、気軽に相談してほしい。1件でも多くの物件が流通することを期待したい」と話している。

 相談室は平日は市役所3階の同課、土曜日は午前10時から午後3時まで同センターで。問い合わせは同課TEL0138・21・3357。 (今井正一)


◎危険業務従事者叙勲に道南から21人
 政府は12日付で、第10回危険業務従事者叙勲受章者を発表した。全国の受章者総数は3625人、うち道内は341人。道南では渡島管内から21人が選ばれた。同叙勲は、2003年の栄典制度の見直しで春秋の叙勲とは別に新設された。警察官、自衛官など危険性の高い業務従事者が対象。発令日は29日。


 【危険叙勲・瑞宝双光章】海上保安功労・元海上保安官 野田昭八さん(75)

 「周囲の先輩や仲間、家族に感謝したい」と語る。

  1933年、大野町(現北斗市)出身。函館中部高卒業後、52年に海上保安庁に入庁した。稚内、函館、釧路など道内各地を転任し、91年に函館海保次長に就任、93年に定年退職した。

 主に警備救難業務を担当し、海上のさまざまな事件事故の犯人捜査に当たった。特に印象深いのは81年、インド洋を航行中の汽船で起きた殺人事件。容疑者のフィリピン人機関員の取り調べを行い、見事解決に導いた。国際捜査共助法による共助要請第一号で注目を集め、「生涯に一度の特異な事件」と振り返る。「取り調べは1対1の勝負で責任は大きいが、被害者の財産や人命の回復に寄与できるのがやりがい。好きな仕事だった」と話している。


  【危険叙勲・瑞宝双光章】海上保安功労・元海上保安官 八代吉男さん(65)

 「大変名誉なことでうれしい」と喜びを語る。

 1943年、八雲町生まれ。61年に八雲高卒業後、海上保安庁に入庁。初任地の函館海保で巡視船「みよちどり」の操舵(そうだ)員として勤務したのを始め、各地を転任。93年から計5隻の船長を務め、岩手県にある釜石海保の巡視船「みやけ」の船長だった2003年に定年退職した。

 函館海保時代に参加した観閲式は思い出深い。「全国の巡視船などが集まる盛大な催し。パレードの参加訓練も貴重な経験だった」と振り返る。10年間続けた船長職を「船という1つの社会の長として統率力が必要。緊張感があり、大変なことも多かった」と語る。現役で活躍する後輩たちには「責任感を持って海上保安業務に当たってほしい」とエールを送る。


 【危険叙勲・瑞宝双光章】防衛功労・元2等海尉 野澤英雄さん(61)

 「受章は船長や乗組員、家族の力添えがあってこそ。たまたま自分が代表でもらったと受けとめている」と話す。

  1946年、豊頃村(現十勝管内豊頃町)出身。札幌市立星園高卒業の66年、海上自衛隊に入隊した。第32護衛艦「きたかみ」を皮切りに、計13隻の護衛艦と掃海艇の機関員として船の“心臓部”の機関室で職務に励んだ。98年には水中処分母船の機関長に就き、2000に定年退職した。

 25歳のころ、第14次観測隊を乗せた南極観測船「ふじ」での勤務経験は忘れられない。00年、室蘭港の海底で大量に見つかった砲弾処理にもかかわり、「身近な海で発見され驚いた。危険が伴う作業で気を遣った」。海上での34年間を「あっという間。母子家庭のように家を守り、支えてくれた妻に感謝」と語る。

 このほかの受章者は次の通り。氏名、年齢、現住所、功績概要、主要経歴の順。(敬称略)

 ◆瑞宝双光章

 高井正直(75) 北斗市中野通、消防功労、元道南渡島消防事務組合消防司令長

 ◆瑞宝単光章

 安藤喜久夫(80)函館市山の手、警察功労、元道警部補

 伊藤之夫(81)同市美原、同、元道警部

 今田務(80)同市美原、同、元道警部補

 小笠原義昭(80)同市東山、同、元道警部

 北村克良(61)同市柏木町、防衛功労、元3等陸尉

 酒井大四郎(80)同市乃木町、警察功労、元道警部

 新保全二郎(80)北斗市本町、同、同

 高津脩(64)函館市深堀町、矯正業務功労、元法務事務官

 高橋昭雄(79)同市日吉町、警察功労、元道警部

 高橋廣治(79)七飯町大川、同、元道警部補

 高橋正太郎(79)函館市日乃出町、同、元道警部

 田原政吉(80)同市富岡町、同、元道警部補

 中里秀男(82)八雲町東雲町、消防功労、元道八雲町消防司令補

 藤田裕之(80)七飯町本町、警察功労、元道警部

 水沼昭久(80)函館市港町、同、元道警部

 村井正憲(61)同市西旭岡町、防衛功労、元3等海尉

 吉崎久男(79)同市谷地頭町、警察功労、元道警部


◎来月から「サミット給食」
 函館市内の栄養教諭でつくる「函館市栄養教育研究会」は本年度、7月に開催される北海道洞爺湖サミット(G8サミット)に合わせ、参加各国の料理を函館市内の小中学校の給食に取り入れる「サミット給食」を実施する。同研究会が世界規模の行事に合わせてこのような取り組みをするのは初めて。小沢礼子幹事長は「料理をきっかけに世界に興味を持ってもらい、国際理解につながれば」と期待する。

 提供する料理は、ドイツの野菜煮込み料理「アイントプフ」や、英国の魚料理「フィッシュアンドチップス」、道産野菜をふんだんに使った日本の「どさんこ汁」。5月のゴールデンウイーク明けから7月の間に、各校で随時提供する予定。このほか学校によってはロシアの「ボルシチ」や、カナダの「サーモンチャウダー」も取り入れる。

 同研究会は、食育指導体制の要となる栄養教諭の資格を全会員が取得したのをきっかけに、「栄養教諭として積極的に教育に携わろう」という決意を固め、昨年度に会の名称を変更した。これまでにも世界各国の料理や日本の郷土料理を給食で提供してきたが、今回の取り組みはその決意を実行した形になる。

 これまで給食に出したことのないアイントプフやフィッシュアンドチップスは、昨年10月に試作。研究会員の中には、サミット給食の提供に合わせた児童生徒へ食の指導を計画する栄養教諭もいる。小沢幹事長は「野菜がたくさん入っているアイントプフは『農夫のスープ』とも言われ、栄養的にも優れている。子どもたちも満足して食べてくれるのではないか」と話している。 (小泉まや)


◎後期高齢者医療制度、函館でも保険証未着33件
 75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度が今月一日から始動したが、全国の各自治体では保険証の未着や再発行の対応に追われている。函館市でも、11日現在、あて先不明のため本人に届かず戻ってきた「未着」のケースが33件、紛失などによる再発行は442件(9日現在)に上っている。

 市では3月19日に約3万6000人に配達証明を付けて保険証を郵送した。制度が始まったのを機に「保険証が届いていない」といった問い合わせが医療助成課に殺到しており、その都度、再発行をしている。本人が保険証と知らずに廃棄処分したり、紛失したケースが主な要因となっているようだ。

 当初70件ほどあった未着についても、職員が所在先を再度調べ直して再送付しているが、中には、一人暮らしなど所在の特定が難しいケースもあり、同課では「できるだけ早く保険証を届けるよう進めていきたい」としている。

 保険料の支払いは原則、年金から天引きされ、年金支給日の15日にも1回目の徴収が始まる。仮徴収額の通知を送付した7日以降、1日約100件ペースで窓口に相談や問い合わせが相次いでいる。

 制度は道内全180市町村が加入する道後期高齢者医療広域連合が運営。被保険者の資格管理、医療給付の審査・支払いは同連合で行うが、被保険者証などの引き渡しや保険料の徴収などは各市町村が対応する。 (鈴木 潤)