2008年4月13日(日)掲載

◎淡い紫 春の妖精/カタクリ咲く
 函館市青柳町の道路わきでカタクリの花が見ごろを迎えた。付近の人によると、今年の咲き始めは例年より約1週間早かったという。下向きにひっそりと咲く姿は「春の妖精」ともいわれ、通りかかった人たちは清らかな姿に見入っている。

 カタクリはユリ科で、山林に生える。ほとんどの花は淡い紫色で、大きさは約5センチ。約10センチの高さから花びらがそり返るように咲く。

 花は夜や気温の低い日中に閉じる。花の命は約1週間で、種子が地面に落ちた後、新しい花が咲くまでに7―8年を要する。道南では北斗市のきじひき公園の群生が有名。(山崎純一)


◎北渡島桧山地域アンケート/欠食は高校生36%
 北渡島桧山地域保健医療福祉推進協議会(事務局・八雲保健所)の母子・歯科保健推進専門部会(溝口秀夫部会長)が昨年7月、同地域の幼児期から高校生、保護者ら3303人を対象に行った、食習慣などに関するアンケート結果がまとまった。回答者(2622人、回答率79・4%)のうち、「朝食をほとんど食べない(欠食)」などとした高校生は36・6%で、全国傾向の約2割より高い現状が明らかになった。夕食を子供が1人で食べる(孤食)割合も高かった。同保健所では今後、規則正しい食生活や家庭での食育推進に向けた各種取り組みに乗り出す方針だ。

 同協議会は、同地域(八雲、長万部、せたな、今金の4町)の地域保健推進を目指し、関係団体で組織。調査は実態を把握し、今後の食育施策に役立てようと初めて行った。同地域の全保育所・幼稚園、小・中学校、高校の計69施設に協力を呼び掛け、園児の保護者、小学2、5年、中学2年の児童、生徒とその保護者、高校2年生を対象とした。

 結果によると、朝食の欠食率は幼児でも1割程度あり、年齢が高くなるにつれて「毎日食べる」の割合が低下。特に高校生は「毎日」が63・4%と低く、欠食の習慣化傾向が浮き彫りになった。欠食理由は「食欲、時間がない」などが主だが、「用意されていない」という回答もあった。

 食事時の状況で、「1人」「家族と食べたいけど1人が多い」と答えた高校生は、朝食、夕食でそれぞれ48・6、43・7%と多く、中学生でも30・6%が朝食時は1人だった。学校給食について、小学生で半数以上、中学生でも約4割が「大好き・好き」と回答。理由は「みんなと一緒だから」「おいしい」が上位を占め、食育における給食の重要性があらためて分かった。

 同保健所は結果を踏まえ、毎月第3土曜日を「家族みんなで晩ご飯の日」として普及活動に取り組むほか、関係者による「食育推進プロジェクト(仮称)」を年内に立ち上げ、具体的な取り組みを進める計画。同保健所の高橋信昭健康推進課長は「多くの協力で貴重な資料がまとまった。地域の総意として子供のため体制づくりに努めたい」と話している。(新目七恵)


◎道教育大函館校・佐々木馨教授が「北方伝説の誕生」出版
 道教育大函館校の佐々木馨教授(61)=日本中世宗教史サがこのほど、12冊目の単著となる「北方伝説の誕生〜歴史と民俗の接点」(吉川弘文館)を出版した。史実か伝説かという二者択一の論理ではなく、伝説がどのような背景で誕生し、地域に継承されてきたかを追究、伝説は地域創生の文化力となっていることを論及している。

 1997年に出版した「執権時頼と廻国伝説」(吉川弘文館)で、鎌倉幕府第5代執権の北条時頼の東国行脚伝説が「限りなく史実に近い」と論考し、学会で賛否両論に分かれたため、改めて「伝説とは何か」を探った。

 伝説の基本構図を、正史→歴史的伝説→民話的伝説といった観点から描き、正史の伝説化(歴史的伝説)と民話の史実化(民話的伝説)の世界を示した。9世紀初頭に東国を制した征夷大将軍、坂上田村麻呂の伝説は、東北地方で「武将・田村麻呂」と「人間・田村麻呂」の側面で伝えられてきたことを紹介した。

 アイヌ民族が和人に対して蜂起した「コシャマインの戦い」(15世紀)で、戦地に近い函館市銭亀沢地区に伝わる和人とアイヌの悲恋伝説を例示。「歴史的存在として特定の人物ではないが、和人の渡道という史実を背景に誕生した、民間に伝わる民話的伝説。アイヌ民族と和人による地域開発・創生を象徴する営みで、その伝説が持つ文化力は大きい」と指摘する。

 教育大で「地域文化論」を開講し、学生に伝説のイメージをアンケートしたところ、開講前は「想像上の話」「非現実的な言い伝えやうわさ」と答えた学生が、講義終了後は「地域に生きる本当の話」「地域の文化に影響するもの」などと回答が変わったことも紹介している。

 佐々木教授は「史実か伝説かとしゃくし定規で切れば、北方史は見えない。歴史学と民俗学の接点を見いだすことで新たな世界が開けるのではないか」と話している。

 四六判、226ページ。定価2940円。市内書店などで取り扱っている。(高柳 謙)


◎函館市「安全・安心パトロール」本格実施
 函館市は4月から、公用車による市職員の「安全・安心パトロール」を本格実施している。昨年9月から市民部が13台で試行し、現在は各部局の協力を得て69台で実施している。車両の両側部に蛍光色のステッカーを張り、公用車で外勤する際、地域の安全・安心を見守っていることをアピールし、犯罪の抑止や未然防止に結び付ける。

 ステッカーは磁石のシート式で、縦30センチ、横50センチ。緑地に赤と黒で「安全・安心パトロール中 函館市」と記している。町会のほか、民間企業も車両に「防犯パトロール中」などのステッカーを張って地域の安全確保に貢献していることから、市も官民を挙げて積極的に取り組みを進めようと実施した。

 まずは市民部が7カ月試行し、地域を見守った。幸い、車両に駆け込む市民の姿はなかったというが、同部は「パトロールをしているという一定の周知・啓発効果や犯罪の未然防止効果はあったと思う」と話す。

 4月からは各部局で共有する集中管理の車両41台、環境部や保健所、各支所、病院・水道・交通局なども参加し69台でパトロールを実施している。市内を中心に旧4町村地域まで隅々を走るため、効果が期待されている。

 パトロールに際してのマニュアルも作成し、不審者・車両を見かけたら特徴や行動をしっかり見て記録し、明確な暴力事件と判断できる場合は警察や救急に通報するなどの対応を定めた。市民から通報や救助を依頼された場合は、職員の身分を告げ、通報者を公用車に乗せるなど身の安全を確保する。

 パトロールで確認した不審者情報は、市の「ANSIN(安心)メール」サービスなどでも提供し、地域の防犯力を高める。

 地域の防犯活動は町会などで高まっている。道運輸局から許可を得て、車両に青色回転灯を設置してパトロールしており、市民部も公用車に青色回転灯を設置することを検討している。(高柳 謙)


◎久しぶり、ナイスショット/市営パークゴルフ場オープン
 函館市内にある市営パークゴルフ場4施設が12日、今季の営業を始めた。シーズン到来を待ちわびた愛好者が訪れ、久しぶりのラウンドを楽しんだ。

 この日オープンしたのは、「空港緑地志海苔ふれあい広場」(志海苔町294)、「すずらん丘公園」(滝沢町93)、「白石公園」(白石町208)、「函館市恵山シーサイド」(高岱町59)で、例年とほぼ同じ時期の営業開始となった。

 空港緑地志海苔ふれあい広場パークゴルフ場は午前9時に開場。朝はどんよりとした肌寒い天候だったため、客足は鈍かったが、次第に晴れ間が広がると2―4人のグループ客が続々と来場。愛用のクラブとボールを持ってコースに入り、ティーグラウンドで第1打を決めた。各ホールを回り、芝生の感触を確かめながら快音を響かせていた。

 市内松陰町から訪れた坂田法行さん(72)は「雨で濡れた芝は難しかったが楽しくプレーができた。健康のためにこれからも通いたい」と話していた。

 4施設とも11月末まで営業する。(鈴木 潤)