2008年4月15日(火)掲載

◎収穫楽しみ…シイタケのホダ木づくり
 昨年度の「森への誘い講座」第8期修了生を対象にしたシイタケの植菌体験(函館サンモリッツくらぶ主催)が14日、渡島東部森づくりセンター(函館市柳町)で行われた。23人が参加し、ミズナラの原木に穴を開け、種菌を植え付ける作業に汗を流した。

 同講座は自然と触れ合い、その良さを伝える市民ボランティア育成を目的に毎年開催。植菌体験は、補講座としてシイタケの原木栽培を楽しんでもらおうと企画した。

 冒頭、同センター職員が作業手順や「直射日光の当たらない、風通しの良い場所に置いて」などと管理方法を説明。参加者は電気ドリルを使い、長さ90センチ直径約10センチの原木に約30カ所の穴を開け、シイタケの“種”となる小さな円柱形の「駒菌」を木づちで打ち付けていった。参加した小林精二さん(69)は「たくさんシイタケができるとうれしい」と作業に励んでいた。

 参加者には1人につき原木3本が渡された。うまく栽培管理すれば、来年にはシイタケが出て、5年ほどは栽培が楽しめるという。函館サンモリッツくらぶの葛岡悌二代表は「原木栽培のシイタケは肉厚でおいしい」と話していた。16日には、第1―7期の修了生対象のホダ木づくりが行われる。(新目七恵)


◎原則、一般競争入札に…函館市発注工事
 函館市は本年度から、市発注の公共工事で指名競争入札を原則として廃止し、市内に本社を置く企業を対象にした条件付き一般競争入札に制度を改めた。入札の透明性と公平性を高める目的で、適正な競争原理が働くことが期待されている。

 市調度課によると、土木、建築、電気、管、舗装、造園の6工種では、予定価格が高い順に業者をAからC・Dランクまで格付けしている。予定価格が高い場合は条件付き一般競争入札、低い場合は指名競争入札としてきたが、4月からは130万円を超える工事はすべて条件付き一般競争入札とした。

 土木工事の場合、予定価格1500万円以上のCランクまでは条件付き一般競争入札、130万円以上1500万円未満のDランクは指名競争入札だったが、Dランクも条件付き一般競争入札となった。

 また、6工種以外のとび・土工や塗装などの工事も、予定価格130万円以上は地元業者に限定した一般競争入札とする。

 指名競争入札の場合、これまでは10社で入札をしていたが、一般競争入札とすることで「格付けなどの条件が合えば、15社でも20社でも参加できる」(同課)という。

 同課が発注した、今年1月までの2007年度公共工事の平均落札率は、一般競争入札が94・49%、指名競争入札が88・57%で、合わせて91・29%。発注件数では、予定価格が高い一般競争が全体の46%、価格が低い指名競争が54%となっている。

 このほか、国から見直しを求められた予定価格の事前公表を改めるかどうか、検討する。市は2000年度から談合防止を目的に予定価格の事前公表をしているが、価格を公表すれば落札価格が高止まりになる恐れがあるという。

 総務省は3月31日、予定価格を事前に公表することで落札価格の目安となり、談合が行われる可能性があることを指摘し、都道府県などに公表の取りやめなどの対応を求めている。(高柳 謙)


◎大森浜見つめ思いはせる…啄木忌
 石川啄木(1886―1912年)の97回忌にあたる13日、函館啄木会(岡田弘子代表理事)は函館市住吉町の東海山地蔵堂で「啄木忌」を開いた。この日は会員や市民ら約25人が参加。法要の後、参列者は「石川啄木一族の墓」で焼香し、啄木がこよなく愛した大森浜を見つめながら思いをはせた。

 石川啄木は1912(明治45)年4月13日、東京・小石川で肺結核のため生涯を閉じた。翌年の1周忌に、啄木が函館時代に身を寄せた同人「苜蓿社(ぼくしゅくしゃ)」を中心に同会の母体が発足し、現在まで活動を続けている。恒例の追悼講演では、札幌在住の北野隆志さんが、啄木とゆかりの深い「南部煎餅(せんべい)」について話した。

 北野さんは啄木の小説「雲は天才である」の中に「名物の八戸煎餅を焼き…」という記述があることに着目し、他の著作には「麦煎餅」が頻繁に登場することなどを説明。北野さんは「南部煎餅とは本来、八戸煎餅のこと。啄木が『八戸煎餅』と書いたのは煎餅史上の発見」などと話した。

 このほか、昭和初期の新聞記事などを挙げながら、参加者とともに南部煎餅を味わい、啄木への思いを新たにしていた。(今井正一)


◎障害児対象の学童保育所「らるご」 亀田小に開所
 障害児を対象とした学童保育所「放課後児童クラブらるご」が本年度から、函館亀田小学校(富岡町1)の校舎内に開所した。市内の小学校に通う2年生から6年生の児童10人が登録。学校生活がスタートし、本格的な利用が始まった。

 自閉症など発達障害、知的障害のある児童だけを受け入れる学童保育所は函館で初めて。障害児の保護者らでつくる市内のNPO法人「みんなのさぽーたーわっとな(わっとな)」(山口照美代表)が、市の委託を受けて運営。山口代表は「子供たちが楽しく過ごせる場にしたい。これを機に学童保育に通える子が増えたら」と話している。

 1教室を利用した部屋は、障害児に配慮した造りで、高さ130センチほどの木板で個別ブースを設け、1人1人が落ち着ける場所を確保。ビデオ・DVDの観賞ブース、更衣室、休憩室も用意した。

 部屋での過ごし方が前もって順番に分かるよう、スケジュールで示す方法も取り入れ、ボランティアや指導員らスタッフが常時5、6人体制で対応する。1人で通えない子のために、スタッフが学校から学童保育所まで送迎するサービスも行っている。

 利用者の保護者で市内に住む自営業の女性(46)は「家での仕事だが、子供の療育との両立が大変だったのでありがたい」と話していた。

 ボランティア募集などの問い合わせは、わっとなTEL090・9433・7001。(宮木佳奈美)


◎画家・東さん描いたお稚児さんの肖像画をモデルの子にプレゼント
 函館市の画家東豊司さん(73)が昨秋、湯倉神社(函館市湯川町2)の例大祭で出会った、名前も知らないお稚児さんの肖像画がこのほど、本人の元へ届けられた。「人生の思い出になれば」と張り紙などで絵のモデルを探した結果、家族が名乗り出て再会した。子供や家族は「うれしい」「感激」と喜んでおり、新1年生のモデル2人にとっては思わぬ“新入学プレゼント”となった。

 東さんは西部地区の観光スポットなどを描き、市内で個展を開く傍ら、公的機関などへの寄贈も続けている。

 昨年9月、絵画を寄贈するため同神社を訪れた際、祭りの衣装に身を包んだ子供を見掛け、「今までにないモチーフ」と写真を撮って冬季に自宅で日本画に仕上げた。ところが、作品をプレゼントしようと同神社に問い合わせたところ描いた子供4人のうち、3人が当日の飛び入り参加と判明。名前が分かった1人にはすぐあげたが、残りが誰かは分からなかった。「肖像画は本人か家族が所有すべき」と考えた東さんが付近の掲示板やポスターなどで情報提供を呼び掛けた結果、親類から教えてもらったり、紙を見た子供の家族から連絡を受け、無事渡すことができた。

 絵は縦33センチ、横24センチの大きさ。淡いタッチで子供の表情が愛らしく描かれている。受け取った秦悠菜さん(6)は「自分に似てる。うれしい」と笑顔。母親の智子さん(32)は「まさか絵になると思わず良い記念になった」と大喜びの様子。同じくモデルとなった青山優愛さん(6)も「びっくり。化粧した顔が気に入っている」とうれしそう。母親の純さん(30)は「繊細な絵画に家族皆で感動。東さんに出会えたことに感謝したい」と話していた。

 東さんは「本人に渡せたことで絵も生き延びる。本当に良かった」と話している。(新目七恵)