2008年4月2日(水)掲載

◎函館市内でもガソリン値下げ相次ぐ
 ガソリンの暫定税率が3月31日に期限切れを迎えたことを受け、函館市内と近郊でも1日から大幅な値下げ合戦が始まった。当初は、暫定税率分が上乗せされている3月中に入荷した在庫がなくなるまで値段を据え置くスタンドが多数とみられていたが、顧客の動向に合わせて営業中に値下げに踏み切るところが続出。夕方までには大部分のスタンドでガソリンが10―25円の値下げとなった。

 在庫に関係なく1日からの値下げを宣言していたアサヒ商会(本社=函館市東山)では、午前9時にレギュラーガソリンを141・8円から25円下げて116・8円で販売。同社亀田給油所(函館市亀田町11)では、看板表示が変更されると同時に給油待ちの車が列をつくり混雑した。函館市内の主婦(60)は「いつもは値段を気にすることなく近くのスタンドを利用しているが、そのスタンドがまだ値下げしていなかったので初めてここ(アサヒ商会)を利用した。やはり25円の違いは大きい」と話すなど、価格に対して敏感な反応を示す市民の姿を浮き彫りにした。

 一方、在庫分を売り切るまで値段を維持するとしていた、全道チェーンの燃料販売店では正午前後からスタンドごとに値下げを開始。このうち同市港町のスタンドでは午後1時ごろに約25円値下げしたところ、利用者の数は数倍に激増。同店によると「予想以上にスムーズに切り替えをすることができてほっとしているが、再度値上げとなった時の混乱を考えると頭が痛い」と話す。

 同市湯の川地区にあるスタンドでも、在庫分を売ってから値下げする掲示を3日前から店に張り出していたが、朝から問い合わせが続いた。同店店長は「値段が下がっていないことを告げると無言で去る客もいた。客同士があの店は安くないと口コミで伝わったら、在庫を売り切って値段を下げた後にも客の戻りは遅くなる」と影響を懸念する。

 一方、車を持たない西部地区の主婦は「ガソリンが値下げされても何の得にもならない。高齢者の家計にとっては食費と医療費が上がることのほうが大問題」と、消費者を置き去りにした騒ぎに苦言を呈している。(小川俊之、山崎純一)


◎暫定税率期限切れ、事業実施に自治体苦慮
 【厚沢部】ガソリン税などの暫定税率が3月末で失効した問題で、桧山管内でも、道路特定財源による歳入を確保できないため、国や道の補助を受けて本年度実施予定の道路整備や河川改修などの事業が着手できない状況に陥り、事業の見通しが立たない各町が対応に苦慮している。

 厚沢部町は、補助率60%の地方道路交付金事業で、2004年度から新町市街地線改良事業を実施している。本年度の総事業費は約1億6000万円を計上したが、暫定税率の失効に伴い、道路特定財源が確保できない国の予算配分が不透明となり、本年度分の事業が着手できない状態。町建設水道課は「町単独で事業を進めることができず対応に苦慮している。国の動向を注視している」と話す。事業は、道路拡幅に伴う民家や商店などの移転や新築も伴うため同課は「着手が遅れれば町民に与える影響は大きい」としている。町内では道路整備や付随して行う下水道整備などの事業でも影響が懸念されている。管内7町でも同様に、町道整備や河川改修などの事業で予算執行の留保を検討する動きが出ている。

 また、管内7町では、道路特定財源として自治体に配分される地方道路譲与税(揮発油税と地方道路税=ガソリン税)、自動車取得税、自動車重量税の3税が完全失効した場合、7町合計で3億超の歳入減が見込まれている。中でもせたな町は9000万円、今金町も8000万円程度の減収になる。だが、地方道路譲与税が歳入に占める割合は各町とも比較的小さく「町財政全体に与える打撃は限定的」(ある町幹部)と、冷静な見方もある。

 一方、国会の混乱に伴い地方交付税法改正案の成立が遅れ、2日に自治体に交付される普通交付税が減額される。法案改正後、約5億8000万円が交付予定だった江差町は約4500万円の減額。町財務課は「不足する歳入は一時借り入れで対応する」としている。(松浦 純)


◎【キラリ!道南】(2)七飯町花き農家・山田康生さん(24)
 一定の室温に保たれたハウス内に一歩足を踏み入れると、丈が2メートルを超えるアルストロメリアがお出迎え。日々その表情を変える花々に七飯町豊田の農園は華やぐ。

 「手間をかけた分、良いものができる」。父親の一生さん(58)と意見を交わしながらの作業。生き物を前に思いを重ねる親子の姿がある。スプレーカーネーションの全国一の出荷量を誇る七飯町。町内の55戸の農家が完全共選で、年間2000万本を全国各地に出荷している。

 小さなころはなぜか好きになれなかった家業。近寄りがたい父親の背中に、話すきっかけも見つからない。それでも、学生時代のアルバイトなどを通じ、家族で取り組む農業の魅力に気づき始めた。2年間の米国での農業研修が、そこに“自信”という財産を付加した。

 ハウス26棟分の花き全般を担当し、カーネーションを中心に管理、収穫まで手掛ける。「親の仕事を覚えて工夫を加える。若い世代で産地ブランドを盛り上げられたら」。若手農業者で構成するグループにも所属し、新技術の取得や情報交換に励む。「早くて10年、遅くて一生かけて、父親と同じスタートラインに立つのが目標」。花を見つめる優しいまなざしは、同時に父親の姿を静かに追う。(笠原郁実)


◎函館市役所「マイバック・マイはし運動」スタート
 函館市は1日から、レジ袋や割りばしの使用を控える「マイバック・マイはし運動」を全庁的に始めた。

 地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の抑制や廃棄物の排出削減の意識を、職員が市民の先頭に立って実践していこうと始めた取り組みで、市環境部が昨年11月から試験的に行っていた。この4月から支所や出先機関も含め市職員約3800人で運動に取り組む。

 運動では、買い物時に買い物袋を持参し、レジ袋を利用しない、外食する際ははしを持参し、出前配達では割りばしを断わるよう勧めている。同部によると、買い物袋、はしの持参で、20リットル入りレジ袋1枚を使う原油20ミリリットル、割りばし1膳を燃やすと発生する二酸化炭素18グラムの削減効果があるという。

 この日、市役所本庁舎勤務の職員は、地下1階の食堂で早速、はしを持参し昼食をとり、売店でも買い物袋を持って買い物をしていた。経済部工業振興課の松原崇さん(35)は「きょうは家から持ってきたはしを使ったが、いずれは外食用のマイはしを買いたい。率先して運動に取り組みたい」と話していた。 

 同部リサイクル課の佐藤和彦課長は「市職員が全庁的に取り組むことで市民への啓発につなげたい」としている。


◎未来大が法人化
 公立はこだて未来大学(函館市亀田中野町)が1日から、公立大学法人(独立行政法人)として始動した。理事長に就任した中島秀之学長が職員の前で所信のあいさつを述べ、地域のニーズに応える大学運営を誓った。副理事長には岩田州夫教授が任命された。

 法人化により大学の裁量権や自由度が増し、企業会計方式の導入で民間的な経営ができる。教員は公務員の身分を離れるため、兼業ができるなどのメリットがある。理事長と学長を分離させない一体型で大学の運営に当たる。

 理事長と監事2人は大学設置者の函館圏公立大学広域連合長(西尾正範市長)が任命。副理事長と理事3人は中島理事長が任命した。理事長と学長の任期は4年。理事、監事の任期は2年。

 中島理事長は「地域の知の核となり、さらに地域から世界に情報発信を行う大学を目指したい」とのコメントを発表した。

 4日午前10時から、法人化後、初の入学式が開かれる。

 理事、監事は次の通り(敬称略)。

 ▽理事=小西修(同大副学長)、西濱晴二(同連合事務局長)、益田隆司(船井情報科学振興財団常勤理事)

 ▽監事=植松直(函館弁護士会副会長)、鎌田直善(鎌田公認会計士事務所所長)

(鈴木 潤)


◎函館市、新設2部が業務スタート
 函館市の機構改革に伴い新設された、観光コンベンション部と経済部が1日、業務をスタートした。旧商工観光部を分割再編し、役割分担を明確にすることで業務の効率化を図り、各部署が持つ特色を強化。函館の基幹産業である観光と、低迷する地域経済活性化のかじ取り役として、両部の機能が期待される。

 観光コンベンション部は、観光振興課、ブランド推進課、コンベンション推進課の3課体制で、課長職4人を含めた19人でスタート。ブランド推進課は、さまざまな地域の特色を集約し、全国に向けて宣伝していく機能を持つ。また、コンベンション推進課には、新たに採用した任期付きの課長を置き、民間活力を活用した、各種大会の誘致力を高める。

 鈴木敏博部長は、2010年度に迫った新幹線の青森開業、15年度の新函館開業を観光再生への契機と位置付けて、北東北、首都圏へのアプローチ、東アジア地域を中心とした海外客の誘致がより一層必要であると述べた。また、文化、芸術分野と観光面を融合した函館の新素材発掘にも意欲をみせる。鈴木部長は「函館国際観光コンベンション協会と、両輪としての機能を互いに補てんし合うことで100%の力を発揮できる。他の部局とも連携する中で、観光振興と函館の街づくりにもつなげたい」と強調。

 一方の経済部は、産業政策振興の中心的役割を担う経済企画課のほか、商業振興課、工業振興課と、労働政策室、同労働課の1室4課体制。次長職2人、課長職6人の計39人体制で業務を開始した。工業振興課には、東京都内に民間採用の企業誘致推進員を配置。部全体で、労働環境整備とともに雇用の創出や、経済発展の諸課題に取り組む。

 備前悟部長は「地場産業の強化」を第一の課題に挙げ、造船業にかかわる機械・金属業や、一次産業と密接な水産加工業など、函館地域の持つ特性を生かした産業振興を進めるとした。また、「函館のように公立はこだて未来大や北大水産学部、函館工業高等専門学校など、特色のある高等教育機関が集積している街は少ない。各学校の研究者と各企業のかかわりを函館への企業誘致にも結びつけたい」とし、産学官連携の強化による地域経済活性化に向けた抱負を語った。(今井正一)