2008年4月21日(月)掲載

◎木古内町長に大森氏3選
 【木古内】任期満了に伴う木古内町長選挙は20日、投票が行われ、即日開票の結果、無所属で現職の大森伊佐緒氏(54)が2631票を獲得、無所属で新人の木古内町前助役、竹田則幸氏(64)を1140票差で破り、3選を果たした。大森氏は2期8年の実績を強調し、兆しが見え始めた町財政の健全化や福祉充実を訴え、圧勝した。投票率は85・56%で、選挙戦となった前々回を0・22ポイント上回った。

 大森氏は昨年9月の町議会で出馬表明。介護老人保健施設を伴う公営団地の完工などの実績を強調した。抜群の知名度に加え、財政健全化や福祉充実への意欲、新幹線時代に対応したまちづくりを分かりやすい言葉で訴え、「継続は力」とする首尾一貫の主張を浸透させた。

 後援会組織の立ち上げや事務所開きなどの選挙準備の遅れが心配されたが、地域企業や町議の多くが支持。竹田氏の批判に一切反論しない姿勢が「誠実」と受け止められ、持ち前の明るい性格が好感を広げ、圧勝した。

 竹田氏は今年1月、町政刷新を訴え出馬表明。約40年間にわたる行政経験を武器に大森氏の町政運営を批判し、地域経済の疲弊や少子高齢化などの町の危機感を強調した。政策論争でまちづくりの公約を練り上げたが、大森氏との政策の違いを鮮明に伝えきれなかった。勝手連的組織を前面にした作戦も期待したほど広がりを見せなかった。

 大森氏は1953年、木古内町生まれ。木古内高校卒。72年に富士銀行(当時)に入り、83年に退職。町内の建設会社役員を経て、2000年4月の町長選に立候補。当時の前助役との一騎打ちを制し、04年に無投票で2選した。

 当日有権者数は男性2246人、女性2601人の計4847人。投票者数は4147、棄権者数は700。(田中陽介)


◎木古内町長選解説・公約に大差なし、流れは現職に
 有権者は町政の継続を選択した。戦いの構図は、現職対現職1期目の助役。一時はともに手を携え町政運営に当たってきたこともあり、福祉の充実や財政再建、産業振興など大森、竹田両氏の主だった公約に大差はなかった。ある町民は「政策にそれほど差がなければ現職でいいのではないか、との流れができた」と指摘する。

 ただ、町政に対する姿勢の違いはあった。大森氏は自身を先頭に、職員と町民が「痛み」を分け合ってくれたことで財政再建に活路が見え始めたとした。竹田氏は町民側に軸足を置き、職員の意識改革や住民サービスの徹底などを訴えた。

 結果として「竹田氏はまちづくり活動団体などから支持を広げたが、役場職員に浸透できなかった」(町内の企業経営者)との声がある。町民と職員との距離や訴えのバランスを適度に保った大森氏の戦略が功を奏したとも言える。

 前回無投票だった町長選は、8年ぶりの選挙戦となった。実力者同士の戦いに、商工会トップが選挙後のしこりを懸念し、街頭演説で「あくまでもこれは選挙上の戦いであって、まちを二分してはならない。古里を良くしようという気持ちで行動(投票)してほしい」と町民に訴える姿があった。

 財政難、少子高齢化と人口減、疲弊する地域経済など、町が抱える課題は町民の目に明らか。商店街に閉じたシャッターが目立つまちには、2015年度に地域再生のカンフル剤となる北海道新幹線が走る予定だ。厳しい時代を乗り切って将来へ活路を見いだす営みには、行政と町民の協力関係が欠かせない。3期目を「飛躍の町政」と掲げた大森氏の手腕と真価が問われる。(田中陽介)


◎今金で26・4度、全国最高気温
 20日の道内はオホーツク海から張り出す高気圧に覆われ、内陸部ではフエーン現象も加わり気温が上昇した。桧山北部の今金町では午後1時37分に26・4度まで達し、沖縄県石垣島の26・3度よりも高く、全国で最も高温となった。道内では今金町のほか、胆振管内むかわ町など計4カ所で夏日(最高気温が25度以上)を観測。道内で4月に夏日を観測するのは2003年以来。

 道南では、今金町と八雲町八雲の24・2度が4月として最高気温を観測。このほか厚沢部町鶉24・2度、森町23・0度などが今年の最高気温となった。

 函館市美原は5月下旬並みの17・9度。午前中から気温が上がったため、市内青柳町の函館公園などの行楽地は家族連れで賑わった。同公園を家族で訪れていた市内の女性は「帽子をうっかり忘れてきた。おかげで暑くてたまらない」と話していた。(山崎純一)


◎函館野外劇総決起集会、公演成功へ団結深める
 7月4日開幕の「函館野外劇」に向け、NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)は19日、BAYはこだてイベントホールで総決起集会を開いた。キャスト、スタッフら約110人が参加し、21回目の公演成功を目指した。

 総決起集会はキャスト、スタッフが最初に顔を合わせ、公演に向け気持ちを高めようと毎年開いている。例年は市内の小学校などで開くが、昨年の節目の公演に続き、今年は更なる飛躍を目指そうと、親ぼくの意味を込め、食事を兼ねて開催した。

 始めにグロード理事長のメッセージとして「21回目を成功させないと次につながらない。楽しい公演にし成功させましょう」が紹介された。また、制作スーパーバイザー鈴木均さん(東京)は「グロード理事長の言葉通りで全員が成功すると信じることが大切。この野外劇を絶やさないように共に頑張りましう」とあいさつした。

 3月に開かれたオーディションで合格したメーンキャストが紹介された後、祝杯を挙げた。参加者は食事を楽しみながら「今年もよろしく」と声を掛け合った。コロポックル役の子どもがメーンキャストにサインを求めるゲームを行うなど、お互いの顔を覚え合った。

 このほか、5月18日午後1時から、同市五稜郭町の旧三越前で野外劇のリーフレット配りと「野外劇基金」の募金活動を行なうことが報告され、最後に函館野外劇のテーマソング「星のまちHAKODATE」(作詞・作曲=新井満さん)を歌い、三本締めで団結を誓った。(山崎純一)


◎函館市文学館で「石川啄木展」始まる展
 函館市文学館(函館市末広町22)で20日、石川啄木直筆資料展「明治41年東京の啄木」〜希望と自信を胸に創作活動へ〜と、「児童書のなかの石川啄木」展が始まった。「資料展」では直筆の書簡など、「児童書…」展では啄木の詩によるカルタなど貴重な資料が展示されている。

 同館では函館にゆかりの深い歌人・石川啄木(1886―1912年)の資料を常設展示しているが、毎年4月から10月の観光シーズンに合わせて、函館市立図書館に所蔵されている貴重な資料などを特別公開している。

 「資料展」では啄木が小学校教諭や新聞記者として函館に在住していた1908年に書かれた手紙や日記などを展示。東京に戻り文学の世界で成功したいと願う啄木の意気込みが伝わってくる。

 また、同時開催の「児童書…」展では、啄木の作品が掲載されている児童書やカルタなどが多数並んでおり、世代を超えて幅広く親しまれている様子がうかがえる。

 「直筆資料展」は10月15日まで、「児童書…」展は12月25日まで。通常の入館料(一般300円、学生・生徒・児童150円)で観覧できる。問い合わせは市文学館TEL0138・22・9014。(小川俊之)