2008年4月23日(水)掲載

◎昭和小児童2人、2年以上も登校時にごみ拾い
 函館昭和小学校(秋元順一校長)の女子児童2人が毎朝、通学路のごみを拾いながら登校している。自主的に始めた取り組みは2年以上続いている。日々拾ってもなくならないたばこの吸い殻や空き缶のポイ捨て―。「大変ではない。卒業まで続けたい」と話し、淡々と“日課”をこなす2人の姿に、地域住民も目を細め、感謝している。(宮木佳奈美)

 2人は同小5年の野村彩絵さん(11)と藤坪亜紀さん(10)。ごみ拾いは野村さんが2年生の時、「道路が汚い」と感じ、別な友人と一緒に始めた。清掃会社に勤める野村さんの母由実さん(39)は「ごみ処分場の見学に連れて行ったことが影響したのでは」と推測する。その友人は転校し、3年生からは野村さんと登校するようになった藤坪さんも「道路をきれいにしたい」と加わった。ことしで野村さんは4年目、藤坪さんは3年目になる。

 ともにバレーボールクラブに入り、登校時は背中にランドセル、肩からスポーツバッグを下げたスタイル。毎朝7時40分ごろ、交通量の多い桐花通を車や自転車に気をつけながら左手にビニール袋、右手に割りばしを持ち、ごみを拾い歩く。多少の雨なら傘を差しながら収集する。

 特にたばこの吸い殻が多く、「怖いけど火がついたたばこも足で消して拾う」という。ビニール傘など大きなごみもあり、学校に着くころには袋がいっぱいに。学校で分別してごみ箱に捨てている。野村さんは「ごみはあまり減らない。どうして捨てていくのかな」と首をかしげ、藤坪さんも「こんなにごみが落ちていて驚く」という。

 2人とも物静かな性格だが、野村さんの祖母紀子さん(67)は「電車内でメールをしていた女子高生を注意するほど正義感がある。ごみ拾いもやりなさいって言ったことはない」と話す。藤坪さんの母智子さん(38)も「何も言わずにある日割りばしと袋を持って出掛けた。知ってたらもっと誉めたのに」という。2人の活動を知った近所の中野有隆さん(74)も「子供にごみを拾わせて大人が何もしないのは恥ずかしい。この取り組みが地域全体に広がるよう昭和町会にも働き掛けたい」としている。


◎町有地売買に町民ら「待った」/議員の現地視察に同行
 【七飯】七飯町が桜町726の町有地(山林)約14ヘクタールを町内の採石業者に売却する方針を示していることについて、一部町民から「待った」の声が出ている。22日に行われた「土地の処分に関する調査特別委員会」(畑中静一委員長)の現地視察に町民ら約20人も同行、委員や町職員に対し、環境への影響など懸念される点があることを理由に売却中止などを訴えた。

 同土地処分は、昨年11月28日に事業継続と拡大を希望する町内業者1社が町と仮契約を交わし、昨年の第4回定例市議会で中宮安一町長が町有地の処分を提案。中宮町長は地場産業の振興や活性化、道新幹線開業、道縦貫自動車道開通に向け、採石の需要が見込まれることなどを理由とし、1973年に隣接地を同業社を含む2社に払い下げた経過も説明した。提案は同特別委に付託された。

 この日、委員は町有地の位置や状況、水系や貯水池などを確認。同行した町民からは「採石場が拡大することで下流域の水の濁りや水量の減少が心配」「濁流による浸水も懸念材料」などの声が寄せられた。町民15人が連名で要望書提出して住民説明会や現地視察が行われた経緯から、「町民への情報開示が少なすぎる。十分な説明を行うべき」との意見も出た。

 この土地処分をめぐっては、すでに町外の漁業団体から自然破壊や下流域の土砂流出のよる河川環境悪化を懸念し、「採石場として町有地を売却しないように」との要望書も提出されており、同特別委は今後も継続して審議する。(笠原郁実)


◎イカゴロ問題 きょう高橋知事に直談判
 【乙部】かつて“海の肥料”と呼ばれ、豊かな海をはぐくんだイカゴロ(イカ内臓)。磯焼けでやせ細る日本海の復活は漁業者の悲願だ。豊富な栄養を含むイカゴロの再利用や海中還元に関する道の規制は不当―と訴える乙部町の漁業者が23日、札幌で高橋はるみ知事と直接会談し、規制撤廃を迫る。“直談判”という手段に出た漁業者の切実な声に、知事がどう対応するか注目される。(松浦 純)

 「桧山の海には栄養が必要だ」。17隻のスケトウダラ漁船を率いる松崎敏文乙部船団長が訴える。乙部沖では海藻が消えて、岩場が白く変色する磯焼けが進む。かつては浜でイカを裂き、イカゴロを海に戻した。「昔は海が黒くなるほど海藻があった」という。

 長年の悲願だったイカゴロの海中還元試験が実現したのは昨年10月末。4月からは試験のために漁業者全員で水揚げ額の1%を拠出しようと意気込んだ矢先、道側から出た“中止命令”に怒りは収まらない。知事との会談には、ひやま漁業の阿部一副組合長を先頭に、松崎船団長ら漁業者のリーダーのほか、町議会の大坂裕康副議長ら総勢17人で臨む。

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 道は規制の根拠に92年の水産部長通達を挙げる。イカゴロなど水産廃棄物の再利用が、海洋汚染防止法や廃棄物処理法に違反するとして、試験実施を許可制とするなどの制約を課す内容だ。今回、一連の問題を受けて道は、通達を全面改正して試験実施を届け出制に改める方針を町に示した。だが、産業廃棄物であるイカゴロの処理に多額の費用を投じている中、規制緩和が悪質業者に海中投棄の“抜け道”を与えるという懸念も拭えない。「無秩序な投入を防ぐ歯止めは必要だ」と亀谷敏則桧山支庁長は言う。

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 これに対し、「道の規制は国の法解釈を逸脱しており何ら根拠がない」(寺島光一郎町長)というのが地元の主張。国が適法と認めた行為を道が独自解釈で規制すること自体を問題視する。「漁業者以外の不法投棄があれば、権限を持つ海保が摘発すべき問題」と訴える。

 国は05、06年の2度にわたり、イカゴロの海中投入について「漁業生産のための行為は廃棄物の排出ではない。法による規制は適用されない」と国会で答弁。今回も環境省や農水省は町の主張を支持、道の規制を疑問視する。寺島町長は「道が国の法解釈を受け入れないのなら法廷で司法判断を仰ぐべき」とする。



◎イカ釣り漁船からエンジン部品盗難で自衛策強化
 函館市海岸町の船だまりに停泊中の中型イカ釣り漁船(121トン)1隻から、エンジンの部品が盗まれる事件が発生した。被害に遭ったのは、エンジンを動かすための「ガバナー」と呼ばれる調速機で、船底の機関室から工具を使って取り外したとみられる。5月中旬の遠洋イカ漁の出漁期を間近に控え、同船だまりで準備中の漁業関係者にも困惑が広がっており、北海道遠洋漁業協同組合(竹林勝三郎組合長)の船主らが夜間の見回りなど自衛策を強化している。(今井正一)

 同組合の福井亜代専務理事らによると、盗難が判明したのは20日午前10時ごろ。所有する漁船の確認に訪れた船主が、機関室のエンジンからガバナーが取り外されているのに気付き、函館西署に被害届を提出した。同船は2月の休漁期から停泊中だったが、今月4日に船内を点検した際には異常はなかったという。

 ガバナーは50センチ四方の大きさで、重さは数十キロある。自動車のアクセルに当たり、エンジンを動かすための要の部分。機関室から甲板まで階段を使って1人で持ち運ぶのは困難で、「ロープでつり上げるなどし、複数で持ち運んだのではないか」(福井専務理事)とする。「新品で購入した場合、100万円相当」(同)といい、同組合は船舶の構造に詳しい者が、他のエンジンへの転用か転売などの目的で盗んだとみている。

 中型イカ釣り漁船を使用した遠洋のイカ釣り漁は5月中旬から順次、太平洋や日本海に向けて出漁する。同様の被害が相次ぐと、出漁が困難になる事態も。福井専務理事は「これまでも船室から無線機などが盗まれることはあったが、エンジンの部品が取られるのは聞いたことがない。一日中見張るわけにもいかないが、他の被害を出さないよう見回りを強化したい」と話している。


◎函館海洋気象台、サクラ開花宣言
 函館海洋気象台は22日、函館でサクラ(ソメイヨシノ)の開花を発表した。この日の午前中、函館市の五稜郭公園内にある標本木で数輪の花が咲いたのを同気象台職員が確認。平年より11日、昨年より8日早く、2002年の4月18日に次いで2番目に早い開花となった。

 同公園ではまだほとんどつぼみの状態だが、早くもシートを広げて花見をする人がみられた。高校の同級生の集まりという市内の女性(22)は「今日は“つぼみ見”だが、週末にまた花見に来ます」と話していた。日本気象協会北海道支社が22日に発表した満開の予想日は25日。

 また、同支社は22日、例年より11日早く江差のサクラの開花を発表した。(山崎純一)


◎「頂狼飯店」の3人、全日本中国料理コンクールに出場
 中国料理店「頂狼(ちょうろう)飯店」(函館市山の手2)のオーナーシェフ花田勝彦さん(33)と調理師の田近愛さん(34)、内藤沙央里さん(21)の3人が5月14日、東京で開かれる「第7回青年調理士のための全日本中国料理コンクール」(日本中国料理協会主催)の決勝に出場する。(浜田孝輔)

 同コンクールは2年に1度開催される国内最大規模の大会で、中国料理の調理に携わる40歳未満が対象。原材料費や分量などの規定に沿い、自らが考案したメニューのレシピと写真を添えて予選に応募し、料理別の5部門で各10人が決勝に進む。今回の応募総数は368点で、道内からの決勝進出者は7人。

 本番では1時間の制限時間内に料理を仕上げる。各部門ごとに、1位には金賞と10月に北京で開催される4年に1度の世界大会への出場権が与えられる。2、3位の銀賞、4、5位の銅賞も選出される。花田さんは熱菜・畜禽(ちくきん)部門に出場。第3回では4位、第4回では2位になった。今回は中国料理であまり取り入れられていないカモ肉を用い、ネギやダイコンなどとともに、大輪の花のように見せる飾り付けで勝負をかける。

 初出場の田近さんは定食部門。「全体のバランスを考えながら、ヘルシーさにこだわった」と、クロソイやサクラマス、旬の春野菜を使い、前菜3品、五穀米などのご飯、スープなどの膳を調理する。内藤さんはデザート部門で、「中国の伝統的な技法と西洋の要素を融合させ、現代風にアレンジした」という3種類の揚げ菓子とパフェ作りに挑戦。田近さん、内藤さんともに「時間内に納得のいく作品を」と口をそろえる。

 花田さんは「普段と違う環境の中で、本来の力を発揮できるかが鍵」と2人を気遣った上で、「同じ選手として自らの腕を存分にアピールし、3人でメダルを持ち帰りたい」と意気込んでいる。