2008年4月24日(木)掲載

◎北斗で花壇荒らし
 【北斗】国道228号沿い、北斗市七重浜7の洞爺丸殉難者慰霊碑前にある花壇のパンジーが、何者かによって多数持ち去られていることが23日分かった。植栽した北斗市育苗研究会(中野喜久男会長、会員12人)と敷地を管理する市は「地域で大事にしている花。盗まれたという事実は残念」と心を傷めている。

 持ち去られたのは2つある花壇(650株)から計28株。同研究会の会員が昨年8月に種をまき、3月26日に植栽したもので、9年間続けている。

 4月22日に会員から中野会長(80)に「盗掘されているようだ」との連絡が入り、中野会長が市職員と現地を確認。遠目からは分かりづらいように7種類から満遍なく抜き取られ、角部分に被害が集中していた。

 1週間前に会員が水やりなどの手入れに訪れたときは異常は確認されていなかったことから、ここ数日に盗まれたとみられる。

 全国的にチューリップなどの花々が切り取られる事件が続く中で、関係者は「いたずらの余波が来たのでは」と心配する。警察への被害届けは出さない予定。

 中野会長は「被害だとは思いたくない。地域を美しい花で彩るという植栽活動を知らない人が、『きれいな花だ』と感じて自宅に持ち帰ったと思う」と冷静に対応する一方で、「地域住民に親しまれている愛らしい花なので、ひとりよがりな考えでこのような行動をしてほしくない」と注意を呼び掛けている。(田中陽介)


◎知事が陳謝 試験支援へ…イカゴロ問題
 【札幌】桧山支庁が乙部町で実施しているイカゴロ(イカ内臓)の海中循環試験の中止を求めた問題で23日、漁業者代表と道庁内で会談した高橋はるみ知事は、同支庁の対応に問題があったとして謝罪。道として漁業者が行う試験を支援する方策を講じる考えを示した。

 道側は高橋知事、山本邦彦副知事、前桧山支庁長の武内良雄水産林務部長が出席。同町からは、ひやま漁協副組合長の阿部一町議会議長、松崎敏文乙部船団長、田畑眞成豊浜船主船頭会長ら漁業者代表、町議会代表の大坂裕康副議長ら総勢17人が会談に臨んだ。

 阿部氏は「道が試験を違法と判断して訴えるのならば受けて立つ。われわれは補助金や助成金などいらない。漁業者とともに海の改革を進めることが道本来の役目ではないか」と高橋知事に迫った。

 同漁協の工藤智司代表監事は、乙部沖で進行する磯焼けやイカゴロの周辺で海藻が成長する写真を示して「成果が出始めた中で、試験は違法だから翌日から中止するよう突然指示された。でなければ摘発されると漁業者を犯罪者扱いした。浜の怒りは全く収まらない」と怒気を交えて訴えた。大坂氏も「浜が困窮している実態を知るべき。小さな町議会だが浜は自分たちが守るという姿勢を議員全員が持っている」と述べて、道に問題の早期解決を求めた。

 高橋知事は「不安やご迷惑をお掛けした」と深々と頭を下げて謝罪。「本道は漁業立国。道として、漁業者が思い切って仕事ができるよう環境を整備する」と述べ、試験が支障なく実施できるよう必要な支援を行うと明言した。

 山本副知事は、道がこれまで試験実施を規制する根拠としてきた、1992年の水産部長(当時)通達を18日付で全面改正したと説明。環境生活部所管だった試験の許認可に関する権限を現地の支庁長に移譲し、支庁段階で簡素な手続きで承認するなどの規制緩和策を講じたことを述べた。武内部長も「知事も日本海対策に腐心している。他地域でも試験を行うなら応援する」と述べて漁業者の理解を求めた。

 道は寺島光一郎町長との会談で試験を「違法」と明言した佐藤俊夫副知事との面談を求めたが、漁業者側が拒否した。(松浦 純)


◎“歌う旅芸人”う〜みさん 念願の全国デビュー
 函館市出身の歌手、う〜みさんが5月21日、ベルウッド・レコードからファーストミニアルバム「う〜みの幸」を発売し、念願のメジャーデビューを果たす。函館への思いを歌った「私のふるさと」など全7曲で構成し、同22日からは市内近郊でも宣伝活動を展開する予定。う〜みさんは「これまでの活動の集大成であり、函館からまたスタートします。ふるさとや大好きな仲間たち、音楽を再確認した1枚。今まで応援してくれた人たちへの恩返しです」と話している。

 う〜みさんは大学卒業後の2000年から、自分自身でこだわりを持った曲を作り、伝えていくというスタイルを貫き、自主レーベルなどで初のCD「HASU(はす)」やミニアルバム「なとわ」を制作するなどしてきた。現在は、高知や大阪を拠点に、全国各地で“歌う旅芸人”として活動している。

 今回、大手梅酒会社の企業CM曲としても使われた「私のふるさと」の評判がデビューのきっかけとなった。「これまでも機会はあったが、今なら挑戦できると直感があった。レコード会社にもスタイルを変えないことなどを受け入れてもらった」とする。

 収録曲はこれまでの楽曲の中から、「なとわ」や「幸せへの道のり」など、思い入れの深い7曲を選び、「私のふるさと」以外の6曲は新たにレコーディングをした。全国のCD店で作品が販売されることは夢だったと話す。

 また、吉本新喜劇の小藪千豊(こやぶかずとよ)さんが歌う「プリン」の作曲をしたCDが23日に全国発売されたほか、大手教育関連会社が主催する英語子どもミュージカルの脚本を手がけるなど、歌手以外の活動のすそ野も広がっている。

 う〜みさんは「自分の作品を誰かに託すことで、新しい広がりも生まれた。メジャーであっても、わたしのすることや思い、向かう先は変わらない。これからも、歌とこのキャラクターで頑張っていきます」と、新たなステップに意欲をみせている。(今井正一)


◎経産省 大間原発を設置許可…函館でも賛否両論
 経済産業省原子力安全・保安院は23日、電源開発(東京)が申請していた青森県大間町の大間原子力発電所(改良型沸騰水型軽水炉1基、出力138万3000キロワット)の設置を許可した。同町から津軽海峡を挟んで約20キロ離れた函館市や近隣市町でも設置の許可をめぐり、賛否が分かれている。

 同原発の反対を唱えてきた大間原発訴訟準備会の竹田とし子代表は昨年12月、約6万5000人の反対署名を集め、経産省に提出したが、「多くの人たちの声を無視した決定。非常に残念」と唇をかんだ。これまで通り運動を継続する方針で、5月中にも経産省に異議申し立てをする。

 自然エネルギーを推進する市民団体の代表(52)は「地震の発生が多い日本で原子力発電はふさわしくない。失敗が許されない技術はやるべきでない」と原子力政策を批判したうえで、「ただ、反対だけではだめ。別な方法も考えていくべきだ」とした。

 一方で、原子力エネルギーを推進する声もある。七飯町の男性(77)は「資源のない日本にとって原子力は将来欠かせないエネルギー」とし、同原発の設置許可については「距離が近く、事故が起きた時の不安はあるが、放射能の処理など安全性の保障をしっかりクリアしてもらいたい」と国や電源開発に求める。

 函館市の備前悟経済部長は「設置許可は大きな決定と受け止める。市民の安全確保を図るため、道や関係機関との連携を強化しながら対応していきたい」と述べた。(鈴木 潤)


◎新棟設置で地鎮祭…野又学園 函短大
 函館大学などを運営する野又学園(野又肇理事長、函館市高丘町)は23日、同町の学園敷地内に新設する函館短大幼児教育保育学科棟と、函館大学の第2学生寮の地鎮祭を行った。函短には、新たに始める子育て支援業務のための部屋を設置する。2施設合わせた総工費は約11億円。2009年1月に完成する。

 函短の新学科は、同学園が09年度から着手する設置校再編の目玉。系列校の函館医療保育専門学校(同市柏木町)の保育科をなくし、09年度から募集を開始する。これまで通り保育士と幼稚園教諭の資格が取得できるほか、食を通じた子育てや健康などについて学べるような内容を目指す。設置場所は、函短の校舎に隣接するテニスコート跡地。鉄筋コンクリート3階建て、延べ床面積は約2900平方メートル。

 学生寮は、函大の駐車場に隣接させて増設する。鉄筋コンクリート3階建てで、延べ床面積は約1700平方メートル。新たに42部屋を確保する。

 地鎮祭には、学園・工事関係者や来賓ら約50人が出席。神職の祝詞に続いて野又理事長らがくわ入れし、工事の安全を祈願。野又理事長は「時代が変わり、教育の高度化が求められている。新科では少子化の時代に対応した若い母親の支援業務も行い、より教育の質を高めていきたい」とあいさつした。(小泉まや)


◎ホテルJALシティ函館 「チサングランド函館」に改称し7月に再オープン
 外資系のホテル運営会社「ソラーレホテルズアンドリゾーツ」(東京)は23日、函館市宝来町22の「ホテルJALシティ函館」を、7月に「チサングランド函館」としてオープンすると発表した。同社にとって、同市内でのホテル展開は「函館ハーバービューホテル」(若松町14、24日にロワジールホテル函館へ改称)に次いで2番目となり、同じグループとしての協力体制の下で顧客の囲い込みを図る。

 「ホテルJALシティ函館」は、地上12階、地下1階建て、延べ床面積6115平方メートルで、客室数は130室。青函観光開発(函館市湯川町1)が、「JALホテルズ」(東京)と運営管理契約を結んで1995年10月に開業し、青函観光開発からの契約解除の申し出により、今月22日に営業を終了した。

 ソラーレ社は、函館市内で函館ハーバービューホテルを昨年3月末から運営。「チサングランド」のブランド名をもつホテルは、現在全国で3店舗を展開している。今月末から客室を中心とする改装に着手し、7月に「チサングランド函館」としてオープンさせる予定。

 同社は「ターゲットとする客層が、ロワジールホテル函館とチサングランド函館では異なっており、同じ地域の中で互いに協力しながら、より多くの集客に努めていきたい」と話している。(浜田孝輔)