2008年4月26日(土)掲載

◎「千の風になって」モニュメント除幕式
 【七飯】大沼に新たな伝説を―。ヒット曲「千の風になって」のモニュメント(直径3メートル、高さ30センチ)の除幕式が25日、設置された七飯町の大沼国定公園内西大島で開かれた。同曲を訳詩作曲した作家・新井満さんは紀子夫人と出席。大沼と駒ケ岳を眺望し風を感じる場所で、大地と一体となった碑の誕生を満足そうに見守った。

 新井さんを迎えて開かれたシンポジウム(昨年11月)で町民が提案した案の一つを、地域住民で構成する「千の風・プロジェクト」(渡辺譲治委員長)の第1弾事業として実現。場所は公募で決定し、地元の七飯石(安山岩)を椀(わん)型に積み、中央に「千の風になって 名曲誕生の地大沼国定公園」のプレートを配置した。

 新井さん夫妻や浅利元宏渡島副支庁長、中宮安一七飯町長が一斉に白幕を取り外すとモニュメントがお目見え。同時に大沼小学校の児童58人による「千の風になって」の歌声が会場を包んだ。新井さんは景観を壊さない珍しい形状に感心の様子。「大切な人を失った人たちがモニュメント前に立ち、故人を思い出すのでは。新しい物語、伝説の1ページ」と述べ、参加者全員の合唱で締めくくった。(笠原郁実)


◎企画・西尾市長就任1年(中)…主張対立、大きな不幸
 「(昨年4月の市長選で)市政の在りようの批判はしたが、個人をひぼうするようなことは一切なかった。したつもりは全くない」―。

 選挙時の発言などが名誉棄損に当たるとして、前市長の井上博司氏が西尾正範市長個人を相手取り裁判を起こしてから1カ月余りが過ぎた。24日の定例会見で、記者から裁判について質問が及ぶと、西尾市長は「15年9カ月一緒に仕事をした方ですから、気持ちとしては非常に残念」と淡々と述べた。

 助役辞職以来、西尾氏は有料老人ホーム問題の告発など、一貫して「権力構造がゆがんでいる」と批判。告示直前の集会では「悪代官、悪徳商人、地回りのやくざ」に加え「瓦版屋がいる」と市政の現状を表現した。

 市長就任後の議会で「悪代官は井上氏である」と認めているが、ほかの登場人物は地元政財界情報誌記事に登場する「首脳」であり「特定の人物ではない」としている。しかし、集会会場にいた支持者らが特定の人物を思い浮かべたことは想像に難くない。

 選挙終了後から、「井上氏が訴訟の準備を進めている」とのうわさはあった。その動きを止めようと、水面下でさまざまな調整や仲介が試みられたが、井上氏はかつての側近らにも本心を明かさず、取り合わなかった。

 議会や経済界からは「不正がなく終わった問題を西尾氏は選挙で蒸し返した。井上氏はこれに相当怒っている。選挙は黙っていても言葉が走って転がる。当選後にうまくわびを入れれば良かったが、西尾氏は『うそ偽りがあったら市長を辞める』と自分で道を断った」と指摘する。

 その西尾市長は「権力構造を分かりやすくするための比喩(ひゆ)。井上さんは悪い人ではないとその場でも言っている」と、個人の中傷が目的ではないとする。井上氏の弁護士は裁判の意図を「選挙で言論の自由がどこまで認められるかが試されている」とし、怨嗟(えんさ)の裁判ではないことを強調した。

 市長選から1年。西尾市長は「井上さん側に相当の誤解があるではないかとの気がしている」と話し、裁判では徹底的に争う構えだ。両市長とともに歩んできた市職員は「函館にとって益することが何もない」と異口同音に漏らす。

 もともとは西尾市長の言動が招いた問題だが、函館市にとって大きな不幸。そして市政に停滞を招く事態は避けなくてはならない。議会で一応の終結をみた有料老人ホーム問題をはじめ、司法の判断材料がどこまで及ぶのかは未知。井上氏は無論のこと、西尾市長本人が出廷する場合もあり、裁判は長期化も予想される。

 注目の第1回口頭弁論は5月8日午後、函館地裁で開かれる。(今井正一)


◎うずら温泉リニューアル、中国料理レストランオープン
 【厚沢部】町営うずら温泉(鶉町853)で26日、京王プラザホテル(札幌)で中国料理総料理長を務めた宮川朝広さん(49)らが腕を振るう本格的中国料理レストラン「彩風塘(さいふうとう)」がオープンする。

 同温泉は本年度から指定管理者制度に移行。宮川さんが社長を務める株式会社シードが町から管理委託を受けた。リニューアルオープンに向けて施設内を全面改装した。

 メニューは、中国料理を代表するフカヒレスープのほか、肉・魚料理、めん類など、地場産の新鮮な野菜や魚介類を生かした約50種類の単品メニューを用意。ギョーザ、春巻き、シュウマイなどの点心類、杏仁豆腐、マンゴープリンなどのデザートも豊富に取りそろえた。

 本格的な中国料理を堪能できるディナーコースのほか、メーン料理にサラダ、スープ、ザーサイ、杏仁豆腐、コーヒーがセットになった日替わりランチ(840円)、スペシャルランチ(1260円)などもある。同じ鶉町にある札幌酒精工業厚沢部工場で製造している本格芋焼酎「喜多里(きたさと)」も提供する。

 宮川さんは函館市出身。横浜中華街での修行を経て、2002年に同ホテルの中国料理総料理長に就任。昨年独立して開業準備を進めてきた。26日のオープンを控えて「檜山産の食材を生かして本来の“地産地消”を目指していきたい」と意気込みを語る。

 営業時間は昼の部は午前11時半―午後2時、夜の部は同5―9時。日帰り温泉は午前11時―午後9時(毎月第2・4月曜日は休業)。問い合わせは同社TEL0139・65・6366。(松浦 純)


◎大農高の乳牛が体型審査で過去最高得点
 【北斗】大野農業高校(北澤住人校長)農業科畜産部門班の3年生8人が中心となり飼育する乳牛「ダイノー・インスピ・ラブリー・ストーミー」(雌・6歳4カ月)がこのほど、日本ホルスタイン登録協会が行う本年度の体型審査で過去最高の92点を記録した。昨年度、道内3万5727頭中、92点以上は獲得したのは19頭のみ。先輩から受け継いだ飼育のノウハウに加え、何事も楽しく頑張る8人の努力の結果。班長の對馬翔太さん(3年)は仲間とともに「うれしい」と笑顔を見せている。

 ストーミーは2005年、07年に開かれた牛の審査大会で最高位に輝き、07年には世界でも最高称号である「エクセレント」を獲得。ストーミーの祖母、母も過去獲得しており、全国の農業高校初の「3代エクセレント」の快挙を成し遂げた。性格はおとなしいが、体調管理が難しく休日返上で世話をしてきた。對馬さんは「病気にならないよう干し草の取り換えなどに気を遣った」と振り返る。

 同審査は年2回、同協会道支局が現地を訪れ実施。背中の線や乳房の形など身体の各部位を詳細に審査し、長期にわたり泌乳能力を発揮できるかを判定する。昨年2月(91点)に比べ乳房の形が良くなったとし評価を伸ばした。

 今後、審査員の評価を生かした飼育を続けるとともに、ストーミーの子・アリュール(雌・1カ月)もエクセレントを獲得し、「4代エクセレントに」となるよう仔牛の世話にも力を入れる。

 ストーミーは5月20日に八雲町で開かれる「道南B&Wショウ」に出場予定で、大会時、リードを引く可能性が對馬さんら3人は「受賞を目指して頑張りたい」と意気込んでいる。(笠原郁実)


◎3月の有効求人倍率9カ月連続のマイナス
 函館公共職業安定所は25日、3月の渡島・桧山管内における雇用情勢を発表した。求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率は、有効求人数の減少から、前年同月比0・04ポイント減の0・51倍と9カ月連続のマイナスだった。また、今春の新規高卒者の就職率は、同0・2ポイント増の84・8%となった。

 月間有効求人数は、新規や繰越求人の動向から、同7・4%減の5252人、月間有効求職者数は同0・7%減の1万213人と3カ月連続のマイナス。新規求人数は同0・4%減の2467人、新規求職者数は同0・3%増の2814人で、先行指標となる新規求人倍率は横ばいの0・88倍だった。

 新規求人を産業別でみると、医療・福祉が同112人増の479人、製造業が同34人増の304人。しかし、サービス業が同66人減の485人、卸売・小売業が同35人減の407人、公務・その他が同28人減の75人となるなど、ほとんどの産業で数字を下げた。

 新規求人に占める常用パート求人の割合は29・4%で、同3・1ポイントの低下。離職者は同109人減の1450人で、内訳は事業主都合(リストラ)が同69人減の609人、自己都合が同42人減の818人などとなった。

 また、3月に高校を卒業した4325人(同8・7%減)のうち、求職者は同0・3%増の1087人、求人数は同5・6%増の1770人で、求人倍率は同0・08ポイント増の1・63倍。就職者数は同0・5%増の922人で、内訳は、管内が同2・9%増の419人、道内が同5・7%減の150人、道外が同0・6%増の353人だった。(浜田孝輔)