2008年4月27日(日)掲載

◎GWスタート サクラ満開
 大型連休(ゴールデンウイーク)の初日となった26日、函館市ではこの日に合わせたようにサクラ(ソメイヨシノ)が満開となり、五稜郭公園では咲き誇るピンクの花が市民や観光客を迎えた。道南各地の行楽地にも家族連れなどが大勢訪れ、春の休日を楽しんだ。

 サクラの満開は、同公園にある標本木で80%以上のつぼみが開いたことを函館海洋気象台の職員が確認。平年より11日、昨年より8日、この数年では最も早い観測となった。早くから花見客が訪れ、周辺の駐車場は午前中から満車状態に。風が吹き肌寒さを感じる天気の中、記念撮影や花見弁当を楽しむ姿が見られた。

 4月に転勤で東京から函館に来たという同市大縄町の三輪哲哉さん(28)は「東京で満開のサクラを見ることはできなかったのでうれしい。今年はあと2回見に来たい」と話していた。同公園では約500個のちょうちんが夜桜を演出する「花見電飾」を5月11日まで、午後7―9時(土、日、祝日は同10時)に行っている。(山崎純一)


◎「SL函館大沼号」発車
 大沼湖畔や駒ケ岳などを周遊する蒸気機関車「SL函館大沼号」が26日、今季の運行を開始した。JR函館駅(函館市若松町12、松原光雄駅長)では出発セレモニーが行われ、この日を待ちわびた子どもたちや鉄道ファンを乗せたSLは、同駅の駅員らに見送られながら走り出した。

 セレモニーでは、函館共愛会中央保育園(西出房子園長)の園児20人が童謡「汽車ぽっぽ」を合唱する中、SLがゆっくりと構内に到着。5月17日に開幕する「箱館五稜郭祭」の実行委メンバー15人も制服姿で応援に駆けつけ、雰囲気を盛り上げた。

 松原駅長は「道南観光の目玉として、異国情緒と幕末ロマンあふれる函館を存分にPRしていきたい」とあいさつ。高らかに汽笛を鳴らしたSLは、勢いよく黒煙を吐きながら徐々にスピードを上げ、サクラなどが眺められる行楽地へと向かっていった。

 SL函館大沼号は7両編成のうち4両が客車で、224席すべてが指定席。ことしは大型連休(ゴールデンウイーク)や児童らの夏休み期間に合わせて27日間、一日1往復の運行を予定している。 (浜田孝輔)


◎企画・西尾市長就任1年(下)…ソフト面一歩ずつ前進
 教育・子育て・人づくりを重視し、大きくかじを切った西尾市政。この1年で、校長の裁量で特色ある授業を実現する「知恵の予算」、学童保育所の増設、私学助成や特別支援教育の拡充、乳幼児医療助成の拡大など、公約を一歩一歩実現させた。

 一方で経済界や議会などからは「ソフト事業で人材が育つ前に地域経済が倒れる恐れがある」「教育や子育てはある程度、経済が安定した中でやるべき事業」との声もある。

 こうした声に西尾正範市長は「商工観光部を経済部と観光コンベンション部に再編し、体制強化を図った。今年は地域経済が上向きとなる施策を経済界と連携して進めたい」と意欲を見せる。

 市はあまり強調しなかったが、産業振興に結び付くことが期待される一つの合意が、この春あった。市が所有する旧ドック跡地の、函館どつくへの売却だ。基本合意した内容は、撤去問題を抱える大型クレーンごと土地を売却し、売却価格からクレーン撤去の処分費用を差し引く。どつくは新造船受注のほか、大型船修理などの需要があり、購入地の乾ドックを利用して事業を拡大する計画がある。

 「どつくは函館経済を支えてきた企業。市の産業政策と港湾計画の推進からも意義のある土地利用。その中で大型クレーンの取り扱い方針も見いだした」と幹部は語る。

 24日には臨空工業団地で7年ぶりに企業が土地を取得することも発表された。

 そうした実績を積み上げながら、西尾市長は今後、函館の製造業のウエートを高めることを考えている。函館は、1次産業は水産と農業、3次産業はすそ野が広い観光産業が中核を占める。しかし、製造業を中心とする2次産業はJT函館工場の閉鎖が響き、約2900億円あった製造出荷額が2006年には約1800億円に減少した。

 西尾市長は「製造業は業種ごとにどのような育成策や支援策があるか、業界の人たちと私を含めて話し合い、生産力向上や販路拡大を支援していきたい」と話す。

 一方で、公約にない事業をどうするかという問題がある。選挙でハコ物行政の反対を訴え当選したが、市民体育館の建て替えなど、前市長が計画した事業を待望する声は市民に根強い。西尾市長は「できることから公約を実現してきた」というが、公約がすべて優先されるのか。ある幹部は「市民は市長に白紙委任をしたのではないだろう。マニフェストにない事業も、時代の要請としてどう実現していくかが課題」と語る。

 「機構改革や初めての本格予算を成立させ、スタートラインに立った」(西尾市長)中で、現在の特別職、職員たちとどう歩み、よりよい市政の実現を図るか。函館市政は365日、止まることは許されない。(高柳 謙)


◎船上でマチの将来考える…ナッチャンレラで船上座談会
 東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)の高速船「ナッチャンRera(レラ)」で26日、同市内の関係者ら約10人による船上座談会が開かれた。出席者は津軽海峡をはさんで隣り合う函館、青森の両市にまたがる広域観光や、同船に期待する役割などについて活発に意見を交わした。

 民間信用調査機関「東京商工リサーチ」(東京、真柄秀明社長)の主催。北檜山町(現せたな町)出身の真柄社長が地域活性化に貢献しようと、函館市の谷沢広副市長をはじめ、民間企業・団体の代表者らに呼び掛け、初めて開催された。

 テーマは「函館及び津軽海峡の将来を夢見る」。真柄社長は「津軽海峡を渡るのに4時間が限界と思っていたが、ナッチャンReraは2時間で結ぶと聞き、最初は間違いだろうと思った。画期的な乗り物が導入されたのは、地域にとってこれまでの価値観をがらりと変えるチャンスになるはず」と切り出した。

 谷沢副市長は「2隻体制となる高速フェリーに寄せる期待は大きい。利便性を考えると伸びる余地はあり、市政との連携で函館への観光客数500万人台への回復に向けて、積極的なプロモーション活動を展開していきたい」と述べた。

 出席者からは「広い空間をもつ新装したターミナルは、元町や五稜郭地区に次ぐ町づくりのコア(中核)になる可能性が高い。どう活用するかが重要」「船上でのパーティーや結婚式などが思い浮かぶが、市民から広くアイデアを募ってみては」などの声が挙がった。

 古閑社長は「これまでの物流中心から旅客中心に移行するために高速フェリーを導入し、冬期間も運航を続けられたことで、やっていける自信を持てた。各関係機関と連携しながら、より強い信頼を得ていきたい」と話し、一層の支援を求めていた。(浜田孝輔)


◎毎月第1日曜「なとわの日」…道の駅で名産品特売
 函館市日ノ浜町31の国道278号沿いにある道の駅「なとわ・えさん」は毎月第1日曜日を「なとわの日」(なとわ・えさん特産販売協会主催)とし、地元の名産品を特別価格で販売する。初の試みで、第1回目は5月4日午前9時から。同協会の斉藤正男会長は「地元の名産品がたくさんあるので、ぜひ足を運んでほしい」と来場を呼び掛けている。

 同協会は大潤、日浦、日の浜、高岱、女那川町など、旧恵山町にある特産品販売店7社が加盟。企画を進めてきた斉藤会長は「市内に唯一ある道の駅“なとわ・えさん”は、近年客の入りが減少している。多くの市民に理容してもらい、町の活性化につなげたい」と意気込みを語る。

 日の浜町近海で今春採れた天然や養殖コンブを20種類以上そろえるほか、細く切り裂いた「ソーメン昆布」や「がごめ昆布」、「松前漬け」などを販売する。このほか、酵母菌や乳酸菌など80種類以上の有用微生物を完全に発酵させた「EM菌ボカシ」や、大理石をはじめ、食物繊維が豊富で美肌効果があるコンブの粉末を取り入れた「昆布ソフトクリーム」(一個280円)なども売り出す。

 同協会では「なとわの日」をPRしようと、高さ1?60?ほどの白と青2色の旗を10旗製作し、国道沿いに立てた。斉藤会長は「採れたての名産をそろえているので、ぜひ立ち寄ってほしい」と話している。時間は午前9時から午後6時(10月から翌年4月までは午後5時まで)。(小橋優子)