2008年4月5日(土)掲載

◎市内で横断歩道塗り替え進む
 新入学シーズンを控え、函館市内の道路では、横断歩道の塗り替え作業が進められている。毎年、この時期に集中的に行っている作業で、冬期間にひび割れたライン上に作業員が専用の機械で塗料を重ねると、45センチ幅のくっきりとした白とグレーのしま模様が道路に浮かび上がった。

 市内では道警から4社が作業を請け負う。このうち、大宮ホーロー北海道製作所函館営業所(市内美原3)によると、白線に使う塗料は夜間の視認性を高めるため、車のライトに反射しやすいガラスビーズ入り。さらに、ホタテの貝殻粉末も含まれ、雨でぬれても滑りにくい特徴がある。

 横断歩道1カ所の作業時間は通行量にもよるが20分ほど。同社では10人の作業員が手際よく塗り替えを行い、1日当たり約30―40カ所をこなすという。 (今井正一)


◎【キラリ!道南】(5)温泉旅館若女将・佐藤綾子さん(37)
 道内有数の名湯として名高い湯の川温泉街で、1942年から続く温泉旅館「丸仙」を、両親や姉とともに切り盛りする。東京の大学を卒業すると同時に帰郷し、幼少期から目にしてきた祖母や母の働く姿に自分を重ね、心のこもったもてなしで道内外の客を迎える。

 「時間がいくらあっても足りず、お客さまに『こうしてあげたかった』と悔いることもある。自分の力不足ですかね」。調理場や客室、予約管理、仕入れ、営業活動―。仕事の幅は広い。旅館ならではの客との“近い距離感”を大切にする。「互いに肩ひじを張らずにいられる雰囲気づくりを」との思いを胸に、せわしなく旅館内を動き回る。

 団体客から個人・グループへ、旅行形態の転換とともに、IT(情報技術)化の波も押し寄せた。函館市内での観光に関する問い合わせは多岐にわたり、「メールで何度かやりとりしているうちに、顔を合わせた時には、すでに気心知れた仲になっていることも」と笑顔を見せる。

 「お客さまの喜ぶ顔が何よりのやりがい」。旅館の自慢でもある源泉100%かけ流しは、加水や追いだきは一切せず、外気で冷ますこだわりよう。手間を惜しまない心配りが、「また来るよ」のリピーターを生み出す。(浜田孝輔)


◎「臥牛社水墨画美術協会」設立へ
 俳画や水墨画の創作活動を通じ、地域文化発展に寄与しようと「臥牛社水墨画美術協会」が設立される。発起人で代表を務める竹中征機さん(64)は、「本道で水墨画や俳画の協会の設立は初めてだと思う。団塊のほか若い世代に興味を持ってもらい、芸術の底上げになれば」と期待を話している。

 竹中さんによると、市内には竹中さんが講師を務める水墨画、俳画の教室や団体が5つあるほか、複数の教室やグループが活動しているという。発足時は竹中さんが関わる団体の45人でスタートするが、お互いが切磋琢磨(せっさたくま)し、取り組む人のすそ野を広めるため、幅広い加盟を呼びかける。

 水墨画や俳画に取り組む人は高齢化が進み、竹中さんは若い世代を求める。「協会組織があれば、初めての人も門をくぐりやすくなると思う」と設立の意義を話す。また、「協会として基本を指導していくことが大切」とする。芸術活動は、取り組む人が基本をしっかり身に付けないと全体の底上げにならないと説く。

 道南は函館、大沼など水や木に囲まれるところが多く、水墨画に取り組みやすい地域という。「絵は形で描くだけでなく、心で描くため基本は大切。そのため初心者をきちんと指導していきたい」と竹中さん。会の名は函館山の愛称・臥牛山から付けた。竹中さんは「忙しさに追われず、牛の動きのようにゆったりとした気持ちで描き、人間を磨いてほしい」と願う。

 7日に市内で設立記念式を行い、7月に協会として公募展を開く。竹中さんは「油彩や絵手紙から水墨画に転向する人も多いが、若い世代で新しく始める人が増えるきっかけになってくれれば」と話している。 (山崎純一)


◎全国親子クッキングコンテストで函館の関崎さん親子が優勝
 3月に東京で開かれた「第1回全国親子クッキングコンテスト」(ウィズガスクラブ主催)で、函館市美原の関崎聖子さん(38)と心君(函館中央小3年)親子が、初代チャンピオンに輝いた。4日に北海道ガス函館支店(函館市万代町8)で、お披露目試食会が行われ、関崎親子がその場で優勝メニューを作り、関係者らに振舞った。

 同大会には全国から2008組が出場。関崎親子は「直火焼き野菜パンのお気楽エコランチ」のレシピを考案。昨年12月に札幌で行われた北海道地区大会に出場。直火で短時間にパンを焼き上げるというアイデアと、北海道の食材をふんだんに使用した地産地消の精神が高く評価され道内101組の頂点に。

 道代表として出場した全国大会でも、親子が心を通わせながら力を合わせて料理に取り組む姿が審査委員長で料理研究家の服部幸應氏などからも絶賛され、見事に勝利をつかんだ。

 聖子さんは「子どもたちに安心で安全な料理を食べさせたくて、パンなどを手作りしている姿に、心も幼いころから興味を持つようになった。1時間という限られた時間でパンを発酵させて焼き上げることは非常に難しかったが、1月から毎日二人で練習し研究を重ねた成果が実った」と振り返る。心君は「全国大会では緊張して100点満点中85点くらいしか力は出せなかったけれど、優勝できて本当にうれしかった」と笑顔を見せていた。

 この日の試食会では、関崎親子が全国大会さながらの手際のよさで、直火焼き野菜パンと付け合せのオードブルなどを調理。関係者は「全国一」の料理に舌鼓を打っていた。聖子さんは「これからも台所を通じて親子のコミニュケーションを育んでいきたい。心には決して強要することなく、自由で伸び伸びと料理を楽しんでもらいたい」と話していた。 (小川俊之)