2008年4月6日(日)掲載

◎遺愛学院のクロッカス見ごろ
 国の重要文化財に指定されている遺愛学院(函館市杉並町23)の「旧宣教師館(通称・ホワイトハウス)」周辺の、約1000株のクロッカスが見ごろを迎えた。暖かな陽光が、白や紫の薄紙のような花びらを透かして地面に差し込んでいる。

 このクロッカスは、1950年に来函した米国の宣教師、グロリア・リード氏が数株を植え、周辺にある落ち葉などを養分にして分割を繰り返し群落となった。同学院によるとことしは3月下旬から咲き始め、4月上旬まで楽しめるという。

 同館の周囲をぐるりと囲むように咲き誇る様は壮観。若草もえる庭の至る所に顔を出し、わずかな風にも繊細に揺れて春の訪れを告げている。(小泉まや)


◎「死活問題」業者悲鳴 ガソリン値下げ 客争奪戦
 暫定税率の期限切れによって実現したガソリンの大幅値下げは、日用品の値上げラッシュに苦しむ消費者にはうれしいニュースとなった。その一方で悲鳴を上げているのがガソリン販売業者。函館市内や近郊でも、3月分の在庫を抱えながら苦渋の決断で値下げに踏み切った業者が続出。利益を度外視した顧客争奪戦に、業界からは「死活問題」との声がある。一方で、再び暫定税率が復活する可能性も高まっており、先の見えない国政の行方は業界全体に不安の影を落としている。

 函館に本社を持ち全道で店舗展開する業者は「暫定税率分が上乗せされている3月分の在庫を長期間抱えないためには値下げはやむを得ない」と1日からの価格改定を断行。それでも思うように売り上げは伸びず、当初は3日間で売り切るとみていた在庫は、丸4日かかってようやく姿を消した。同業者は「ただでさえ石油業界は利ざやが少なく厳しい状態。一日も早く暫定税率の問題が決着しないと、今後の経営の見通しが立たない」と政府の明確な対応を強く訴える。

 札幌に本社を持ち全道展開する業者は、当初は3月分の在庫がなくなってから店舗ごとに値下げする予定だった。しかし、周辺の値下げラッシュで客足が遠のき、1日の午後から価格を改定せざるを得なかった。函館市北部のスタンドが3月分の在庫をすべて売り切ったのは2日の昼ごろ。5日現在、客足はほぼ通常通りに戻り“4月危機”は何とか乗り切ったものの、「5月には暫定税率復活のうわさもあり、今度は4月分の安い在庫をどれだけ確保しているかが値上げのタイミングに影響してくる。4月末には駆け込み需要でガソリンが売り切れになり、本当にパニックになる可能性もあるかもしれない」と不安の種はつきない。

 函館市内を中心に店舗展開する業者も初日から値下げを行ったが、下げ幅は25円ではなく22円。世界的な原油高騰の影響で石油元売り各社は4月から卸値を3円前後引き上げており、「22円」は同店にとってぎりぎりの値下げ額だが、消費者は3円の差に敏感に反応。セルフ給油とスタッフ給油を併設する函館市近郊のスタンドでは「周辺に大手の競合店が多く、客足は現在(5日時点)も通常の半分程度に落ち込んでいる。スタッフ給油を利用するお得意さまの客足が減っていないのが唯一の救い」と話す。

 同スタンドは「我々のような規模の小さな業者はこれ以上値下げするのは難しい状態。政府は今回のガソリン値下げについて『大きな混乱はなかった』とコメントしているが、業者にとっては死活問題であることを認識してほしい」と強く訴えている。(小川俊之)


◎環境問題 1年生 9割興味…附属中アンケート
 函館の環境を考える会(山本正子会長)は、2007年度のアンケート活動の成果「ゴミ減量・リサイクル推進アンケートPARTVI 結果報告書」をまとめた。道教育大学附属函館中学校の全校生徒346人を対象に実施。環境問題や地球温暖化についてなど、中学生の環境意識を把握した。

 毎回対象を変えて実施している。今回の調査は昨年11月に同校の1年生116人、2年生121人、3年生109人に実施し、全員から回答があった。

 学年や性別を除いた質問は12項目。「環境問題に興味があるか」の質問には、1年生ではほぼ9割が「ある」と回答したのに対し、2、3年では4―7割にとどまった。これについて山本会長は「同校では1年生の時に環境教育に取り組むのでその成果が表れているが、時間経過とともに意識が薄れるのではないか」とした。

 「家族と環境問題について話すことがあるか」の問いには、1年は約4割、2年は約3割、3年は約2・5割が「ある」と回答。「日常生活で節電しているか」の設問に対しても、1年生が最も意識が高く、学年が上がるにつれて低くなっていった。

 「買い物の時に買い物袋を持参するか」の質問に対し、「している」と回答したのは1年生女子の約4割が最も高く、3年生男子の約2割が最も低かった。自由記述では「もう気付いていないふりをするのをやめたい」や「ごみの分別をしっかりする」「みんなで協力して環境対策をする」「世界中で取り組んでいかなければならない」など、危機感を持っていることがうかがえた。

 結果について山本会長は「環境問題への取り組みは、一人一人の意識がなければ継続できない。きれいな地球環境を残すためには、早くから継続的に環境教育を行った方が良い」と話している。

 報告書は、会員のほか同市環境部など関係機関に配布。同会の活動拠点の市女性センター(同市東川町)で閲覧できる。(小泉まや)


◎ドラえもん展 親子で盛況
 「みんなのドラえもん展―魅力のひみつ」(道立函館美術館など主催)が5日、同美術館で始まった。開幕を待ちわびた親子連れらでにぎわい、愛らしい国民的キャラクターの世界を楽しんだ。

 「ドラえもん」は、1970年に連載開始された藤子・F・不二雄さんの漫画。未来からタイムマシンに乗ってきたネコ型ロボットで、約40年が経過した現在でもテレビや映画などに登場しており、親子3世代で親しまれている。同日朝に行われた開会式で、同館の中江修館長は「一人一人が心の中のドラえもんと出会って楽しんでほしい」とあいさつした。

 会場には、誕生からこれまでのあゆみや、漫画の白黒原画(一部複製)約50点、映画のカラー原画などの資料展示のほか、“どこでもドア”の模型や、ドラえもんの大型マット、小型電機自動車など現代作家とのコラボレーション作品を紹介している。子どもたちは「あっちにもこっちにもドラえもんが居る」と歓声を上げている。

 原画では、69年12月に発売された「小学4年生」の「予告編」で、この時はまだドラえもんのキャラクターが決まっておらず姿はないという、誕生から謎に包まれていたことを紹介しているほか、友だちや家族とのきずなの大切さを訴える物語もあり、大人と子どもが一緒になって楽しんでいる。

 七飯町大中山の大川慶彦さん(38)は長男の優ちゃん(5)ともに来館。「子どもに頼まれて来たが、自分が懐かしい気持ちになれ興奮している」と話す。優ちゃんは「ドラちゃんに囲まれて楽しい」と笑顔を見せていた。

 期間中、5月3日には等身大のドラえもんが来館し、握手会や記念撮影会を開く。問い合わせは同館TEL0138・56・6311。(山崎純一)


◎函館大学で入学式
 函館大学(溝田春夫学長、函館市高丘町)の本年度の入学式が5日、同校で行われた。146人の学生に対して溝田学長は「皆さんの函館大学への入学を許可します」と述べ、歓迎した。

 スーツ姿の新入生は緊張した面持ちで式に臨み、保護者や同校の教授らが見守った。本年度の新入生は前年度比24人減。編入を含め、商学科には124人、英語国際ビジネス学科には22人が入学した。

 式辞で溝田学長は「大学は一人一人が自由に探究する知を大切にするところ」として自発的な学びを求め、「知性と感情、意志のバランスの取れた人材となるよう、高く大きな志と目標を持って函館大学で学んでほしい」と期待。新入生代表の斉藤大侑さん(18)は「大学生として学修と生活の目標をつくり、幅広い職業人としての人格に高めるよう努力します」と宣誓した。(小泉まや)


◎早くもこいのぼりスイスイ…木古内の緑川さん宅
 【木古内】日ごとに暖かさが増す中、木古内町の民家では5日、こいのぼりがそよ風を受けながら泳いだ。春の訪れも足早に、端午の節句の風物詩が早くも登場した。

 こいのぼりを上げたのは、木古内町泉沢183の緑川二三男さん(64)。孫ののあちゃん(5)、慶将ちゃん(4)、菜々ちゃん(4)から「おじいちゃん早く上げて」とせがまれ、午前11時半に自宅前の庭に取り付けた。

 自宅と車庫の屋根にロープを張り、子どもたちが手に届く高さにつり上げた。時折吹く潮風を受けながら、こいのぼりは元気良く泳ぎ、「すごい」「泳いでる」と子どもたちは大喜び。

 緑川さんは「室蘭から孫が遊びに来ていたので、帰る前にこいのぼりを見せられて良かった。5月まで晴れの日は毎朝上げて、日が暮れたら下ろすのが毎日の日課」と目を細めていた。(田中陽介)