2008年4月7日(月)掲載

◎函館山にキクザキイチゲ
 函館山のハイキングコースでは、菊に似た雰囲気を持つ「キクザキイチゲ」が白や紫の花を咲かせている。今年は3月の暖かさで雪解けが進み、例年より早く見ごろが訪れている。

 キクザキイチゲはキンポウゲ科で、山の斜面で群生する。登山道入り口から碧血碑(へっけつひ)に向かう「宮の森コース」(約1200メートル)では、函館八幡宮裏付近で道の両側に咲き誇っている。春の風に揺られ木洩れ日を浴びながら光る姿に、ウオーキングを楽しむ人は心を癒されている。(山崎純一)


◎【キラリ!道南】(6) ホタテ養殖漁業 松川浩樹さん(22)
 午前2時―。暗闇の先に、漁火の下で懸命に働く“海の男”の姿がある。この時期、鹿部町の本別漁港では「ホタテの水揚げ」が盛んで、連日地元漁師たちの威勢の良い声が飛び交う。

 子どものころから父親の二三雄さん(49)の姿を見て育ち、高校1年の冬、家業を継ぐことを決め高校を中退した。現在も修行中で、「平均睡眠時間は3時間。でも、自分が好きで選んだ仕事だから苦に感じたことはない。家族が一緒に仕事できることは幸せ」と笑い飛ばす。

 6・6トンの第八新興丸に家族や親類ら5人が乗り組み、目に見えないほどの稚貝から丹精込めて育てた「二年貝」を水揚げする。陸に戻ると選別作業が待っている。ガラガラと選別機に流れ出てくる大量のホタテを見つめ、これまでに培った感覚で瞬時に取り分けていく。集中力が一気に高まる。

 「同世代の漁師には負けたくない」。人一倍、負けん気は強い。そんな姿を見つめ、二三雄さんは「まだまだ修行は足りないが、まぁよくやっている。後継ぎがいることは何より」と目を細める。「夢は船舶1級の免許を取得し、父さんみたいな立派な漁師になること」。家族の絆(きずな)に守られた第八新興丸はきょうも漁へ出る。(小橋優子)


◎北斗でクマに襲われ男性死亡
 【北斗】6日午後1時45分ごろ、北斗市峩朗の峩朗鉱山付近の山林に山菜採りに出掛けていた七飯町桜町、建設会社作業員堀抜誠一さん(50)が戻らないと、近くにある勤務先から北斗市役所などに通報があった。連絡を受けた地元のハンターらが山林を捜索したところ、同2時ごろ、付近でクマを見つけて射殺、同2時半ごろ、近くであおむけに倒れている堀抜さんの遺体を発見した。遺体には頭や顔など数十カ所に深い傷あとが残されており、函館中央署はクマに襲われたとみて調べている。

 調べによると、堀抜さんは同日午前11時半ごろ、同僚の男性(43)と2人で入山。下山予定の午後零時半を過ぎても戻らなかったため、同僚男性らがクマに襲われた可能性もあると思い、同市の有害鳥獣駆除協議会に連絡。駆け付けたハンターが同鉱山入り口のゲートから約1キロ離れた地点でクマを見つけて駆除した。堀抜さんはクマから約15メートル離れた地点で見つかったが、既に亡くなっていた。

 見つかったクマは、体長1・2メートル、体重約70キロの雄で、推定年齢は5歳。ハンターらによると、現場付近では2日にも雌のクマ1頭(推定年齢4歳)を捕獲したばかりだった。現場はささやぶで視界が悪く、突然鉢合わせたためにクマが驚き、襲い掛かった可能性が高いという。

 堀抜さんはギョウジャニンニクを採りに行くため、勤務先の昼休み時間を利用して同僚男性と2人で入山。つなぎの作業着にヘルメット、長靴姿で、見つかった遺体には体中にかまれたり、つめで引っかかれたようなあとが残されていたという。

 現場はJR上磯駅から北西に約8キロの地点で、付近に民家はない。同鉱山は太平洋セメントの私有地で、工事関係者以外の立ち入りは禁止されている。


◎ヒグマ人身事故/「注意月間」直後の惨事
 【北斗】北斗市峩朗(がろう)の山中で、山菜採りをしていた七飯町の会社員掘抜誠一さん(50)がヒグマに襲われて死亡した事故は、道の「ヒグマ注意特別月間」が5日に始まったばかりの惨事だった。山菜採りや渓流釣りなどのシーズンは、これから本格化するだけに関係者は改めて注意を呼びかけている。

 渡島半島は、人とヒグマの生息圏が一部で重なるため、道内でも特にヒグマと接触する危険性が高いとされている。平成に入ってから道南でヒクマに襲われた死亡事故は、1999年5月に木古内町で川釣り中の男性(当時47)、90年9月に森町で山菜採りの男性(当時75)、同年10月には、上ノ国町で花を摘んでいた男性(当時85)が命を落としている。

 ヒグマの目撃例は毎年夏に多いが、死亡、負傷事故は4―6月、9、10月に集中している。そのため道では、毎年春と秋にヒグマ注意特別月間を設定している。この春は5月11日までで、出没地域に住む人のほか、山菜取り、登山、渓流釣り愛好者にクマとの遭遇事故をなくすため注意を促している。主にクマに出会わないため出没情報に気をつけたり、危険なヒグマを作らないためにごみを捨てないなどを呼びかけている。

 道南で道アウトドアガイド(山岳ガイド)として活躍する函館山楽クラブの丸岡進一会長は「道南の山に入る時は、常にヒグマと出会う危険性があることを認識しなければならない。最大の予防法は、鈴やラジオなどの音がする物を必ず持参し、人間が近くにいることを知らせることで危険を回避できる可能性は高い。山菜取りや、登山の時にごみを放置しておくと、それを目当てにしたクマが現れやすくなるので、必ず持ち帰ってほしい」と訴える。


◎厚沢部でばん馬競技大会
 【厚沢部】第26回厚沢部町ばん馬競技大会(厚沢部町馬事振興会主催)が6日、赤沼河川敷特設コースで行われた。

 春の訪れが早い道南を舞台に、全道のトップを切って行われる伝統の大会で、本場・帯広市で開かれるばんえい競馬にも登録している大型馬をはじめ全道から約60頭が出場した。

 U字型の特設コースを一望できる堤防上には、開会前から大勢のばん馬ファンが観戦に詰め掛け、暖かい春の日差しの下で勇壮なレースを楽しんだ。

 河川敷に設けた約200メートルの周回コースを、巨大なばん馬が1トンものおもりを乗せた鉄製のソリを引いて力走。土を盛った2カ所の障害に差し掛かかると、馬の呼吸は激しさを増し、ソリに乗った騎手のムチも鋭くうなった。最後の急坂を越え、こん身の力を振り絞ってゴールを目指す馬と騎手の勇姿に、レースを見守る観客からは盛んな声援が贈られた。(松浦 純)