2008年5月1日(木)掲載

◎企画・SLが走るまち(1)函館市
 白煙を激しく噴き上げ、生き物が発するような独特の音を立て走る蒸気機関車(SL)。大沼、駒ケ岳方面に向かい函館を出る「SL函館大沼号」だ。

 1940(昭和15)年に製造されたC11形SL。現在でも美しい姿を誇り、春と夏に道南を駆け抜ける。函館駅付近は青森方面へ向かう特急列車などのため電化されている。その下をSLは、時代の移り変わりを超えた勇姿で疾駆する。

 大型連休中、6日まで道南の5市町を走る「SL函館大沼号」。各地の豊かな自然の中を走る姿を紹介します。(山崎純一)



◎ガソリン税復活、ガソリン大幅値上げへ
 租税特別措置法改正案が30日、衆院本会議で再可決、成立したことを受け、揮発油(ガソリン)税などの暫定税率が5月1日から復活することが決まった。これによって5月以降のガソリン価格の大幅値上げは避けられず、30日には安いうちに給油しようと函館はじめ各地の給油所で車が列を作った。

 暫定税率廃止による値下げからわずか1カ月でのガソリン再値上げは、税率分の約25円に原油卸価格上昇分も含め約30円程度になる見通し。これまでの最高値を更新する可能性もでてきた。

 函館市内でも29日前後から駆け込み給油による車の列が目立つようになり、五稜郭駅近くのスタンドでは30日、「例年の3倍の利用者が訪れており、深夜まで在庫が足りるか微妙な状況」(同店店主)。ただ利用客の中には「いつもはタンクが空に近くなってから給油するが、今日は数リットルだけでも安いうちに入れたかった」(函館市の男性会社員=46=)と、少量給油する人が目立っていた。

 ガソリン値上げの時期については、各店舗とも頭を悩ませている。道南を中心にチェーン展開する業者は「4月の時は、3月中の在庫がなくなってから値下げする予定だったが、周辺店が1日から一斉に値段を下げたのであわてて追随することになった。今回も4月分の在庫がなくなった段階ですぐ値上げしたいが、先頭を切って上げると、値段の高いイメージがついてしまう」と話す。

 市民には、値下げの時に比べ強い抵抗感が見られる。函館市の無職男性(65)は「一度下がったものを再び上げるのは納得いかない。まずは税金の無駄遣いをしっかりと正してほしい」と話す。また市内の会社員男性(52)は「公共交通機関が万全でない地方の場合、日常の移動手段として車は不可欠。道路の整備も大切だが、政府はガソリンの値段安定にも真剣に取り組んでほしい」と訴える。

 一方、各自治体や関係業者などは暫定税率復活にひと息つきながらも、先行きへの不安は拭いきれない。函館市の場合、本年度は道路、街路整備の交付金事業として、西桔梗中央線や昭和団地通整備など予算は15億7600万円。そのうち8億1600万円が揮発油税を原資とする国庫補助金で賄われている。

 市土木部は、特定財源確保をめぐり、1カ月間の空白ができたことで、工期の遅れなど“時間のずれ”を懸念。各事業は年度内の完了を目指すが「国から確たるものがない状況では工事の発注もできない。工期が1―2カ月間ずれることも出てくる。市道だけではなく、国道や道道の整備も含め業者にも影響や戸惑いがあったのではないか」と危ぐする。また、今後の一般財源化の動きには「国の流れに沿うしかないが、動向を注視しなければならない」としている。(小川俊之、今井正一)


◎桧山管内町村会と議長会が支庁再編反対で意見集約へ
 【江差】桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)と桧山支庁管内町村議会議長会(会長・若狭大四郎上ノ国町議会議長)は、道が提示した現行14支庁を9総合振興局に再編する支庁制度改革の最終案に対して、管内7町として反対姿勢を明らかにする方針を固めた。1日に江差町で開く緊急の合同会議で意見集約を行い正式決定する。

 6月の第2回定例道議会に向けて、支庁再編関連の条例提案を検討する道の動きをけん制するのが狙い。桧山管内商工会連合会、桧山建設協会、新函館農協、ひやま漁協などの産業団体も加わり、管内の官民が一体となり支庁再編に反対する共通認識を固める。

 管内7町が支庁再編をめぐり意思統一を図るのは2004年度、管内10町(当時)で組織していた桧山総合開発期成会が、市町村合併などの動向を踏まえて、管内共通の懸案事項として国や道に提出する開発予算要望で、支庁存続の条項を削除して以来4年ぶりとなる。

 これ以降、桧山支庁存続運動は、支庁所在地の江差町が、廃止対象となった他の支庁所在地と連携、道や道議会に支庁存続を訴えてきた。江差町以外の6町は支庁再編をめぐる動向を注視してきた。ところが、道町村会(会長・寺島乙部町長)と道市長会(会長・上野晃登別市長)が4月3日、道の最終案に反対する姿勢を表明、道議会に強い影響力を持つ道市議会議長会(会長・畑瀬幸二札幌市議会議長)も反対に転じるなど、道に対して慎重な改革を求める動きが全道的に広がりを見せている。

 このため、管内7町としても(1)本庁―総合振興局―振興局の3重行政による道行政の複雑化は避けられない(2)桧山支庁廃止後の農林水産業の振興策が不明確―など、支庁再編が地域に与える影響が大きいとして、再編案への反対姿勢を明確に打ち出す考えだ。(松浦 純)


◎企画 エコ宣言(3)…ノーレジ袋運動 着実に浸透
 消費者が手軽に参加できるエコ活動として広がっているのが、買い物時にマイバックを持参しレジ袋を使わない「ノーレジ袋運動」。スーパーやコンビニエンスストアで、購入した商品をマイバックに詰める姿は珍しくなくなってきたが、長年の習慣から、つい便利なレジ袋に頼ってしまう人も多い。

 早くからノーレジ袋運動に取り組んできたコープさっぽろ(本社札幌市)では、レジ袋が不要な組合員に、1回3ポイント(1ポイント=1円分)が加算されるほか、毎月5日、15日、25日を「レジ袋節約の日」と定め、この日はさらに倍の6ポイントが加算されるなど様々なアイデアで、削減を働きかけてきた。

 さらに今年の2月後半からは、5日ごとのレジ袋辞退率(レジ袋を使わなかった利用者の割合)の店頭掲示を開始。コープ札幌函館かじ店(函館市鍛冶2)では、掲示開始当初30%前半だった不要率が、4月後半には40%台後半まで上昇するなど、その効果は予想以上に大きかった。

 同店の小山薫店長は「これまでマイバックを持参するきっかけがなかった利用者も、具体的な数字を目にすることで、積極的にエコ活動に協力する体制ができたのではないか」としたうえで「50%突破がひとつの壁。(レジ袋)不要が半数を超えれば、一気に辞退率が加速するのでは」と期待する。

 劇的にレジ袋を削減する手段として「レジ袋有料化」という方法もある。道内ではすでに4月1日から釧路管内浜中町が町ぐるみによる有料化を実施。さらに6月からは苫小牧市内を中心にイオン北海道、マックスバリュ、コープさっぽろの各店舗が有料化を打ち出しており、その範囲は確実に広がっている。もちろん有料化の導入に関しては地域全体で足並みをそろえることが不可欠であり、大きな都市では難しい問題も少なくないが、ノーレジ袋運動が着実な広がりを見せれば、函館での実現の日も遠くないだろう。(小川俊之)


◎サミット目前、化学テロ想定 新フェリーで訓練
 7月に開催される北海道洞爺湖サミットに向け、道警函館方面本部などは30日、函館市港町3の東日本フェリーの函館ターミナルに停泊中の新青函高速船「ナッチャンWorld(ワールド)」(約1万トン)の船内で、生物化学物質を使ったテロに備えた対策訓練を行った。

 訓練は、青森発函館行きの船内で化学兵器のサリンが設置され、有毒ガスを吸い込んだ乗客2人が重軽傷を負い、さらに車両甲板から爆発物も見つかったという想定。警察官や同社従業員ら約80人のほか、今回は道警本部航空隊のヘリコプターや函館西署の警備艇も参加した。

 同社の従業員が乗客を避難誘導したほか、防護服に身を包んだ警察官が負傷者を担架で救助。このほか、汚染された場所を特殊な液体で洗浄したり、爆発物処理車で仕掛けられた爆発物を慎重に撤去したりして、現場は本番さながらの緊張感に包まれていた。

 訓練後、視察に訪れた同本部の大江宜信本部長は「サミット開催を目前に控え、関係者の連携や初期対応が十分に確認できた。今後も函館方面管内からテロを起こさせない気概で臨んでほしい」と訓示した。同高速船は5月2日に就航する。(森健太郎)


◎第2次函館市男女共同参画基本計画が完成
 函館市は、今後10年間の男女共同参画推進の指針となる第2次函館市男女共同参画基本計画「はこだて輝きプラン」を策定した。

 同計画は市男女共同参画推進条例に基づいて、市の諮問機関、市男女共同参画審議会が2006年12月から素案づくりを進め、07年6月に西尾正範市長に答申。パブリックコメント(意見公募)を経て計画を完成させた。

 計画期間は08―17年度で、計画の将来像を「男(ひと)と女(ひと) ともに輝く 豊かなまち」と定めた。同条例で掲げている6つの理念に基づいて基本目標を「人権尊重と男女平等の意識づくり」「あらゆる分野への男女共同参画促進」「多様な生き方が選択できる環境づくり」とし、さまざまな施策を展開。

 具体的な取り組みとして、ドメスティック・バイオレンス(配偶者等からの暴力)やセクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)の被害者への支援体制の強化や、男女の均等な就業機会と待遇の確保、女性の起業支援の充実などを盛り込んでいる。

 市役所男女共同参画課で計画書を配布しているほか、市のホームページでもダウンロードすることができる。各支所には、計画書の概要版を置いてある。

 問い合わせは同課TEL0138・21・3478。(鈴木 潤)