2008年5月16日(金)掲載

◎キャップが途上国の子救う…知内高ボランティア部が運動
 【知内】知内高校(本間茂裕校長、生徒144人)のボランティア部(藤谷彩夏部長、部員14人)はペットボトルのキャップを集め、途上国の子どもたちのワクチン代とする「エコキャップ運動」に取り組み始めた。同部は「まずはこの活動を多くの人に知ってもらいたい」とし、「家庭や職場でごみとして捨てられるキャップがあれば、学校まで届けてほしい」と協力を呼び掛けている。

 この運動はNPO法人・エコキャップ推進協会(神奈川県、笹森清理事長)が提唱し、「あなたの行動が世界の子どもと地球の未来を創ります!」をスローガンに、昨年8月から全国的なボランティア運動として展開。同推進協がキャップ回収後、リサイクル企業に売却し、その益金をワクチン購入費としてNPO法人「『世界の子供にワクチンを』日本委員会」に寄贈し、世界の途上国に届けられる仕組みだ。

 同推進協によると、ワクチン1人分の概算単価は結核(BCG)7円、ポリオ(小児マヒ)20円などで、キャップ400個で10円程度の益金になるという。

 この活動を友人から聞いた同部顧問の佐藤真弓教諭(37)が部員に紹介し、すぐに運動を開始することになった。朝の会でクラスに活動の趣旨を伝え、校内には10枚の手づくりポスターを張ってPRし、各教室にはペットボトルを利用した回収箱を設置した。町スポーツセンターと町内の高齢者介護福祉施設「知内しおさい園」(吉田多加嘉施設長)にも協力を呼び掛け、専用の回収箱を置いた。

 顧問の渡辺若菜教諭(27)は「生徒のフットワークの良さに驚いた」とし、本間校長は「小学校のとき、空き缶のプルタブで車いすを寄贈するボランティアを続けた経験を持つ生徒が多いことも、この活動が盛り上がった一因では」と話す。

 2年生部員の村上礼奈さん(16)と青木恵里さん(16)は「エコキャップ運動の存在を知って、早く活動に参加したいと思った。同級生や先生も協力的でいい雰囲気」と目を輝かせている。

 15日現在で120個を回収。問い合わせ、キャップの持参、郵送は同校(〒049―1103 知内町重内984)、TEL01392・5・5071。(田中陽介)


◎函館市内でもバター不足深刻
 全国的なバター不足の影響が、函館市内でも広がっている。スーパーでは品薄状態が続き、消費者は「ないと不便」「いつまで続くの」と困惑気味。大量に使うパン屋では代用品に切り替えるケースも出始め、小麦など相次ぐ原材料の高騰の影響もあり、「値上げせざるを得ない」との悲鳴も上がっている。

 農林水産省によると、今回のバター不足は昨年の生産調整で国産生乳が削減された上、猛暑で生産量がさらに減少、国際的なバターひっ迫で国内需要が増えたことなどが要因。同省は4月末、乳業大手4社にバターの増産を要請、約230トンの増産が決まったが、飼料高騰などで酪農家も増産しにくく、改善の見通しはまだ立っていない。

 函館近郊で店舗展開する地元スーパーでは4月から品薄が顕著になった。現在客1人につき1個の購入制限を設けて対応しており、担当者は「納入量は昨年の8割程度」と明かす。市内大型店では道内店舗の数量調整から納品は月1度だけに。主力商品は納品後2週間ほどで品切れになる場合もあり、品薄をわびる張り紙で理解を求めている。買い物に訪れた主婦谷口朝海さん(60)は「今は買い置き分があるけれど、料理に使うのになくなると困る」と話していた。

 函館近郊のパン店などでつくる「焼きたてパン研究会」の川村清司会長(63)は「ほとんど手に入らない状況で代用品を使う店もある。小麦や生クリームも軒並み値上がりしており、今後は価格改定も検討せざるを得ない状況」と心配する。

 バター不足の影響は学校給食にも広がっている。道央圏を中心とした小、中学校に食材を提供する道学校給食会(札幌)は、献立で使用量を工夫するよう異例の要請を行った。北斗市学校給食共同調理場の沢村静夫所長も「今はまだ需要分を確保しているが、今後は代用品での対応も必要になる」と話している。(新目七恵)


◎がん診療体制を強化…市立函館病院
 市立函館病院(函館市港町1、吉川修身院長)は「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けたことに伴い、本年度からがん診療に関わる体制を強化している。肺がんや乳がんに特化した治療を行うため、「呼吸器外科」「乳腺外科」といった専門科を新設したほか、道内で初となる「放射線治療科」を新たに設けた。治療方針に納得できず複数の医療機関を巡る「がん難民」の増加が全国的な問題となる中、吉川院長は「がん難民の解消には情報開示、相談窓口などの設置が有効。医師の診療レベル向上と地域連携体制の整備を進め、拠点病院としての使命を果たしていきたい」としている。

 同病院は昨年1月、厚生労働省から同拠点病院の指定を受け、地域のがん医療体制の整備や人材育成、情報公開などの役割を担うことになった。公開講座の定期的な開講や相談支援センターの設置、診療成績の集計・公開などの取り組みは進めていたが、今年に入って医師の確保や設備投資に目途が立ったことから、専門的な診療体制の整備に着手した。

 呼吸器外科は心臓血管外科から、乳腺外科は外科からそれぞれ分離。呼吸器外科は増加傾向にある肺がん治療に対応し、胸の中を見る「胸腔鏡」を使う手術例がここ数年で倍増していることから専門医を配置した。乳腺外科は乳がんの術後に起こりやすいリンパ浮腫の軽減など、専属の医師による長期的な診療に対応する。

 放射線治療科は放射線科から分離。これまでは3人が診断と治療を兼務しながら行っていたが、治療を専門とする医師を配置した。がん患者の治療方針などについて意見交換、検討し、放射線治療医の意見も取り入れる狙いがある。治療科新設をきっかけに、放射線治療の新機器の導入も検討している。

 大学からの派遣医師で外来診療のみ開設していた産婦人科に4月から常勤医を配置し、がん検診の充実と同時に、卵巣腫瘍(しゅよう)などの手術も可能となった。吉川院長は「相談支援センターの強化や、がん患者の会などの設立も働き掛けていきたい」と話した。(鈴木 潤)


◎他薦で3人の名前…自民党8区支部長候補
 自民党衆院道8区の新支部長(次期衆院選候補)を決める地元選考委員会の幹事会(会長・川尻秀之道議)の2回目の会合が15日、函館市内のホテルで開かれた。9日までに自薦・他薦を問わず受け付けた候補は3人で、川尻会長が今後、各氏と会って本人の意向などを確認することを決めた。5月末を目標に、地元選考委の結論を出したい考え。

 会議は非公開で行われ、終了後に会見した川尻会長によると、名前が挙がった3人はいずれも他薦で、男性2人、女性1人。現職の国会議員がいるか、地元ゆかりの人物かどうかについては明らかにしなかった。川尻会長の名前は入っていないという。

 今後、3人の意向を受けてどのような形で選考作業を進めていくかを決めていく。次回の幹事会、選考委員会の開催は未定。 (高柳 謙)


◎自分のメニュー考えよう…オンパク「地域でつくる小さな旅」募集
 「あなたのアイデアがオンパクのメニューに」―。函館市は、体験型観光プランを募集するコンテスト企画「地域でつくる小さな旅」の参加を呼び掛けている。市民や観光客が楽しめ、函館の可能性を掘り起こすような優秀なアイデアは「第4回はこだて湯の川オンパク」で実証実験プログラムとして実現する。観光振興課は「既存の形にとらわれない柔軟な発想を寄せてほしい」と話している。

 近年、観光スタイルが個人型にシフトし、観光客は地元との触れ合いや体験などを求める傾向にあり、特にオンパクは多彩な参加型プログラムで人気を集めている。

 募集するアイデアはこれまでに商品化されていないこと、市内や近郊で実施できることなどが条件。概要や発想の動機などについて書類で応募する。6月中旬に▽独自性・新規性▽実現性▽地域性▽市場性▽総合評価―の5項目で評価し、優秀なプランを数点選考。実現可能なプランは10月実施のオンパクに向けてメニュー化を図る。結果は市のホームページ(HP)上で公表を予定。同課は「観光客がやってみたい、参加してみたいと思うような魅力のあるメニューが生まれることを期待したい」としている。

 応募用紙は同課で配布しているほか、HP(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/)からも応募できる。件数に制限はなく、法人や学校など団体でも応募可能。締め切りは6月13日。問い合わせは同課TEL0138・21・3383。(今井正一)


◎移住PR活動を強化…道促進協総会
 【札幌】北海道移住促進協議会(会長・西尾正範函館市長)の2008年度総会が14日、札幌市内のホテルで開かれた。本年度事業として首都圏や大阪、名古屋で移住プロモーション活動を積極的に展開し、体験移住「ちょっと暮らし」の実施市町村を拡大していくことなどを決めた。任期満了に伴う役員改選では、西尾会長はじめ全員を再任した。

 同協議会は2005年9月に道内14市町村で発足。昨年度は69、本年度は78市町村まで増えた。昨年度38市町村で実施した体験移住には、首都圏を中心に240組の利用があった。

 総会には約60人が出席。西尾会長が「退職が始まった団塊世代の移住はこれから本格化する。北海道の暮らしやすさなどを広く発信し、各地域での受け入れ態勢の整備を進めたい」とあいさつした。

 本年度事業では、新たな試みとして、海外の長期滞在や国内の都会・田舎暮らしの二重生活スタイルを提案するプロモーションイベント(11月、東京)に参加し、北海道を売り込む。パンフレット作製やホームページの充実など情報発信の充実に努め、移住者を対象にしたビジネスモデル創出に向けた研究も引き続き実施する。(高柳 謙)


◎緑豊かな未来にしよう…植樹祭式典
 第59回函館市植樹祭式典が15日、函館市上湯川町の市民の森で開かれた。あいにくの天気で記念植樹は中止となったが、式典には市民や市議ら関係者約80人が出席。谷沢広副市長は「ことしは環境をテーマに洞爺湖でサミットが開催される。樹木を育て、未来に引き継ぐことは大きな使命」と、緑豊かな環境を維持する大切さを述べた。

 市では5月中旬を「緑の週間」と定め、式典や記念植樹、苗木の配布などで市内の緑化に努めている。

 式典では来賓の畑秀叔渡島支庁長が「森林は生活になくてはならないもの。サミットを機会に、緑の大切さや美しい森づくりに参加してほしい」とし、道森林管理局函館事務所の田中正義副所長が、地球温暖化対策として森林の果たす役割について語った。

 本年度の緑化モデル校の函館あさひ小学校(安藤信男校長)、函館港中学校(名古屋貞俊校長)、さらに公園利用者を代表して旭岡保育園(柴田トメヨ園長)、おおぞら保育園(大日向久美子園長)にクルメツツジの苗木が谷沢副市長から贈られた。長男暁也ちゃん(6カ月)の誕生記念に苗木を受け取った市内日吉町の山下千恵さん(30)は「子どもと一緒にすくすくと育ってほしい」と話していた。 (今井正一)