2008年5月18日(日)掲載

◎「箱館五稜郭祭」開幕
 戊辰(ぼしん)戦争の最後の戦地・五稜郭を題材にしたイベント「第39回箱館五稜郭祭」(同祭協賛会主催)が17日、開幕した。官軍にふんした一行が、戦没者の祭られている函館市内5カ所を巡る碑前祭を皮切りに、五稜郭タワー(同市五稜郭町43)の1階アトリウムでは「2008(第21回)土方歳三コンテスト全国大会」が行われた。新選組副長の土方になりきった名演技が、会場を沸かせた。

 碑前祭では、官軍総参謀の黒田清隆役を務める中野豊同祭実行委員長をはじめとする総勢約40人が午前10時、中島三郎助父子最後の地碑(中島町)を訪問。このほか、碧血碑(谷地頭町1)や土方歳三最期の地碑(若松町33)、「開城会見の地」・亀田八幡宮(八幡町3)、同タワー前の箱館戦争供養塔を巡り、祭文の奉上や献花をして戦死者の冥福を祈った。

 午後1時半からは同タワーアトリウムで、土方歳三コンテストが開催され、道内外から応募のあった女性5人を含む17人が出場。6人の審査員が出場者の容姿やアピール度などの選考基準に沿って、真剣な表情で見極めた。

 審査の結果、東京都日野市の会社員伊藤麗子さん(35)が、過去21回で3人目となる女性の優勝者に輝いた。土方の生誕地と同じ伊藤さんは4年連続の出場で、「思いを込めて演じ切れたのが評価されたのでは」と振り返り、「温かく送り出してくれた友人に、ようやく報いることができた」と感激の涙をぬぐっていた。

 最終日の18日は午後1時に、地元の中学・高校8校による音楽パレードが千代台公園を、維新行列が中島町廉売通をそれぞれ出発。行啓通では両軍による白兵戦が再現され、同3時ごろからは五稜郭公園内で開城セレモニーを行い、2日間を締めくくる。

 問い合わせは同祭協賛会事務局(同タワー内)TEL0138・51・4785。(浜田孝輔)


◎オンブズマン市民フォーラム・福島矢祭町の根本前町長が講演
 北海道・東北市民オンブズマンネットワークと道南市民オンブズマンが主催する講演会と市民フォーラムが17日、函館市大森町のサン・リフレ函館で開かれた。講演会には「合併しない宣言」で自立した町づくりを実践してきた、福島県矢祭町の根本良一前町長が登場。町財政立て直しのために取り組んできた議会改革などについて語った。

 根本さんは1983年の初当選から2007年に勇退するまで6期24年、矢祭町長を務めた。2003年には議員提案により「合併しない宣言」を全国に先駆けて議決。平成の大合併が進む中、あえて厳しい自立の道を選択するとともに、大胆な町財政改革に挑んだことが大きな話題を呼んだ。

 根本さんは合併しないという選択について「アンケートによると町民の7割が合併を望まない状況ではあったが、合併しないことで人口が減るなら意味はない。自立するための一番の課題は人口を増やすこと」と説明。そのために「保育所や幼稚園の利用料や小中学校の給食費などを低額に抑え、子供たちを育てやすい環境づくりを進めた」と話した。

 財政再建については議会改革に全力を注ぎ、議員定数を18から10に減らすとともに、議員報酬の日当制を実現。また町職員を半分に減らしながら、住民サービスは3倍に増やす努力も続けた。「財政力指数も確実に上昇している。合併しなくても工夫と努力によって財政を立て直すことは可能」と訴えた。

 続いて行われた市民フォーラムでは、道南市民オンブズマンの大河内憲司代表をコーディネーターに根本さんなど5人のパネリストが参加し、費用弁償など議員報酬に関する問題点などについて熱い議論を交わした。(小川俊之)


◎函館市史通説編のデジタル化修了、第4巻もHP公開
 函館市が進めてきた市史通説編全4巻のデジタル化がこのほど終わり、市のホームページ(HP)で公開している。新しく公開された第4巻では「戦後の函館の歩み」と、敗戦から復興、成長、転換を象徴する話題を取り上げたコラム64本を紹介している。

 第4巻は、連合国軍の函館進駐から始まり、市長公選、北洋漁業の再開、労働運動の展開、高度成長期の市財政、北洋母船式サケ・マス漁業の変容、商業・流通業界の変化などについて詳述している。戦後の教育、文化、宗教の諸相も伝えている。

 コラムは、通史で書ききれないトピック的なことを、写真や図版を多用し、親しみややすい文章で記している。「樺太引揚者を迎えた港」「函館山と観光」「北洋博覧会の開催」「オイルショックと狂乱物価」「ソ連戦闘機ミグ25事件」などの話題や事件を取り上げた。

 作業は旧市史編さん室の元編集員で、現在は中央図書館で古地図などのデジタル化を進めている奥野進さんが担当した。奥野さんは「市史はさまざまな歴史事項を調べる概説書。検索でヒットした史料の出典も明記しており、それらの史料を図書館で閲覧し、研究を深めることができる」と話している。

 同図書館所蔵の古地図などのデジタル化と合わせ、市史亀田市編のデジタル化も進めており、相互にリンクすることで研究や調査の幅が広がることが期待されている。

 市史通説編は、第1巻を2006年4月にHPで公開してから、ほぼ2年で全巻公開を終了した。市のトップページから「教育・文化・スポーツ」の項に進むと『函館市史』デジタル版がある。(高柳 謙)


◎コープさっぽろ、児童対象の食材や料理に関する勉強会
 函館市内・近郊の小学生を対象にした食材や料理に関する勉強会「海賊・クラブ」が17日、コープさっぽろ山の手店(同市山の手2)で始まった。児童はテーマを変えながら3回にわたって、地元でとれる農産物や調理法について知識を深める。

 コープさっぽろ函館地区委員会(田中いずみ委員長)の主催。地産地消や食育活動の推進などを目的に初めて企画し、参加した14人は1年を通して計3回の講座を受ける。

 第1回に取り上げた食材は「卵」で、鶏卵業「鈴木農園」(同市宇賀浦町9)の鈴木秀巳社長からニワトリの特徴や、出荷までの作業工程などについて説明を受けた。児童からは「ヒナのオスとメスの見分け方は」「とさかはどうして赤いのか」などの質問が挙がった。

 終了後、参加者は店内での買い物や目玉焼きの調理を体験。吉野静夏さん(北斗市渡小4年)は「友達に食べ物のことを聞かれても答えられるように、教えられたことをしっかり覚えたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎陸自隊員が函館山でごみ拾い
 陸上自衛隊函館駐屯地(函館市広野町6)の陸曹隊員で構成する同駐屯地曹友会(齋藤一美会長)は17日、函館山の清掃活動を行った。同会メンバーら約150人が函館山山頂の展望台周辺や立待岬に散乱したごみを拾い集めた。

 道内外から多くの観光客を迎えるこの時期に合わせ、1994年から毎年実施している。ことしは海上自衛隊函館基地隊(同市大町10)の隊員も参加。ロープで体を固定するなどし、山の急斜面や立待岬のがけなどに捨てられたごみを入念に収集した。

 用意した90リットル入りのごみ袋約100枚は、1時間ほどで空き缶やペットボトルなどでいっぱいになり、「たくさんのごみが捨てられていて残念」などと嘆く隊員の姿もみられた。

 初めて参加したという清水一樹さん(32)は「予想した以上にごみが落ちていてびっくりした。観光客にはごみのない美しい函館山を楽しんでほしい」と笑顔、齋藤会長は「急斜面や切り立ったがけなど訓練を積んだ隊員だからこそできる場所。美しい函館山を守るため、今後も続けていきたい」と話していた。(水沼幸三)