2008年5月2日(金)掲載

◎企画・SLが走るまち(2)七飯町
 トンネルを過ぎると、そこには湖の絶景が広がる。

函館を離れたSL函館大沼号は七飯町に入り、山間部ではいくつかのトンネルをくぐる。最後の大沼トンネルを出ると、左に大沼国定公園の小沼が車窓から飛び込み、車内からは歓声が上がる。

美しい湖面、雄大な駒ケ岳のほか、今年は大沼公園駅周辺のサクラも見ごろで、全国から鉄道愛好家が集まる。豊かな自然の中を走るからこそ同列車は人々を魅了する。


◎支庁再編 “オール桧山”で撤回要求
 【江差】桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)と同町村議会議長会(会長・若狭大四郎上ノ国町議会議長)は1日、江差町役場で合同の緊急総会を開き、道の支庁制度改革について「道行政の複雑化は避けられない。支庁廃止地域の衰退に拍車が掛かる」として反対する方針を正式に確認した。管内の農漁協など産業団体もこの方針に賛同し、“オール桧山”の態勢で、撤回と関連条例案の道議会提案を先送りするよう道、道議会に求めていく。(松浦 純)

 会議には管内7町長と町議会議長に加え、檜山管内商工会連合会、ひやま漁協、桧山地区森林組合振興会、北桧山町農協、桧山支庁存続と権限機能強化を求める江差町連絡会議の代表が出席。新函館農協の小野寺仁組合長も総会の決定に賛同する考えという。

 寺島会長は「道は支庁再編を地域振興のためと説明しているが全然違う。最終案を提示してわずか半年で、条例提案を強行しようとしている」と強調。工藤昇上ノ国町長は「14支庁を平均的に削減して全道で痛みを共有すべきだ」と訴えた。

 せたな町の奥村喜美男町議会議長は「道は漁業分野で日本海対策に取り組んできたが、支庁を廃止して普及指導員が残っても何もできない。名前だけの振興局になる」と批判した。

 ひやま漁協の浜野節夫専務理事も「支庁から水産課がなくなると漁業者との意志疎通に隔たりが生じる」、北桧山町農協の大関秀人組合長も「支庁で決裁できたものが二重三重の手続きが必要になる。農家の意志が伝わらない」と強い懸念を示した。

 総会では管内7町全体で(1)桧山支庁存続(2)14支庁全体での行政改革―が必要とし、道が提示した再編案の撤回や条例提案の先送りを求める方針で一致。8日に桧山入りする嵐田昇副知事に対しても「条件闘争には一切応じない。町や団体での個別交渉にも応じるべきではない」(寺島会長)との方針を確認した。


◎市内でもガソリン値上げ、一気に160円超えも
 ガソリン税などの暫定税率を復活させる租税特別措置法改正案が30日に再可決されたのを受け、函館市内のガソリンスタンドも1日未明から続々とガソリンの値上げに踏み切った。レギュラーガソリンの場合、暫定税率分約25円に、原油の卸価格上昇分や全体的な物価上昇も加わり、1?当たり一気に30円を超す大幅な値上げに踏み切るスタンドもあった。160円(セルフ)を超える店頭価格も登場し、大型連休中に車で出掛けようと考えていた市民の財布を直撃する形になった。

 全道でチェーン展開する24時間営業のセルフ式のスタンドでは、1日に日付が変わると同時に約30円の値上げを実施。直前まで駆け込み給油で行列を作っていた車も、ぱったりと姿を消した。

 市内のほとんどのスタンドでもこの日の開店と同時に値上げに踏み切り、前日まで渋滞を引き起こすほどの利用者でにぎわった国道5号沿いの安売り店でも、従業員が手持ちぶさたの様子だった。

 一方、4月の在庫分を売り切るまで暫定税率分を加算せず卸価格上昇分のみを反映させ、値上げを約10円程度に抑えている一部のスタンドでは、むしろ客足が増加傾向にある。ただ、在庫分は一両日中になくなる見通しで、「前月の値下げ時の損失分を取り戻すまでにはいかない」(同店店員)とため息をつく。函館市内の男性会社員(36)は「連休のど真ん中の大きな値上げは厳しい。観光に出かける意欲も失せてしまう」と話していた。 (小川俊之)


◎難病「シャルコマリーツース病」の横川さん、介助ボランティア募集
 手足が不自由で、24時間介助がなければ生活できない進行性の難病「シャルコ・マリー・ツース病」を抱える函館市田家町の横川由紀さん(32)は、自分らしく生きようと頑張っている。障害者の自立支援と地域社会への理解を深めようと活動する市民団体「自立の風 かんばす」(2005年7月発足)の代表も務める横川さんは「自分らしく―、それは誰もが生まれたときから得ているもの。障害のある人が当たり前に生活できる社会を目指したい」と話している。(小橋優子)

 横川さんは横浜市鶴見区出身。6歳のときに病気が発症し、7歳で神奈川県の施設に入所した。小学校高学年のころからひざに力が入らないといった症状が出始め、徐々に病気が進行し、今は車いすの生活となった。

 20歳のとき、施設を出て生き生きと暮らす障害者の姿を目の当たりにし、「わたしも普通の生活がしたい」と考え、自立ステーション「つばさ」(東京)で介助者を探したり、コミュニケーションについて学び、3カ月後には都内で自立生活を始めた。

 しかし、2年後には肺炎が原因で人工呼吸器を装着することに。その後は札幌での生活を経て、2005年5月から「旅行で訪れたとき、山や海などの自然に囲まれ、景色はもちろん、古い建物が立ち並ぶ異国情緒豊かな町並みに一目ぼれした」と、函館で暮らし始めた。

 「知人もいない中、一人になることだけは避けようと、とにかくデパートや学校、まちの中に車いすで出掛けた」と振り返る。現在は主婦や学生ら10人ほどが横川さんの介助に当たっている。当初から介助を務めている同市柏木町の松本百合さん(57)は「自分のペースになり過ぎず、横川さんの手足になったつもりで介助することが大切」と話す。

 「かんばす」の会員も発足当初の5人から35人にまで増えた。小冊子の通信「小石」の10冊目も完成。「冊子を通じてより多くの市民が障害者へ理解を示してほしい」と横川さんは願っている。

 冊子は「かんばす」事務所(市内宮前町19)のほか、市内、近郊の喫茶店や公共施設など約30カ所に置かれている。同事務所では、空いた時間を利用し、横川さんの着替えや外出、家事全般を介助してくれる女性も募集している。資料や介助についての問い合わせは同事務所TEL0138・86・7555。


◎市内2カ所でメーデー
 第79回メーデーの1日、連合系、全労連系の団体が函館市内の2会場それぞれ集会を開いた。租税特別措置法の再議決による暫定税率復活や後期高齢者医療制度の問題など、福田内閣に対する不満が続出。2団体計約2000人の参加者は、労働者の権利拡大と庶民の生活安定を訴えた。(浜田孝輔、今井正一)

 連合北海道渡島地域協議会(渡部正一郎会長)、函館地区連合会(同)は千代台公園(市内千代台町)で開催。ことしで19回目となる両会のメーデーは主催者発表で49団体から1570人が参加し、西尾正範市長や逢坂誠二衆院議員をはじめ、道南選出の道議、民主・市民ネット所属の市議らも駆けつけた。

 渡部会長は「社会的な格差が拡大し、年収200万円以下の貧困者は1000万人とされ、連合に組織する勤労者は労働・賃金条件を確保するだけでは社会的な使命を果たしたとは言えない。企業内の非正規社員やパート職員と連帯できるような労働環境を作らなければ、われわれの前進はない」とあいさつ。メーデースローガン案や宣言案、決議案などが読み上げられ、いずれも採択された。

 一方、全労連・函労会議(議長・佐々木正美メーデー実行委員長)は、はこだてグリーンプラザ(同市松風町)で開き、主催者発表で38団体400人が参加。貧困格差の解消、憲法9条堅持、後期高齢者医療制度の廃止を柱に気勢を上げた。

 議長団に選出された谷地重成議長は「ガソリンが値上がりし、我々の生活が圧迫されている。新しい政治の流れをつくるため、頑張っていきたい」とあいさつ。佐々木実行委員長は「自公政権は弱者切り捨ての政権。団結の力で福田政権を変えなくてはならない」と訴えた。共産党函館地区委員会の古岡友弥道政対策委員長は「暮らしと雇用の破壊だ」として、平和問題や後期高齢者医療の問題点を指摘した。

 これらの訴えを盛り込んだスローガンとメーデー宣言を採択し、「団結頑張ろう」とこぶしを突き上げ大会を締めくくり、五稜郭公園まで労働旗を掲げてデモ行進した。


◎「まちのチカラ」サポートデスク開設
 市民活動やボランティアなどの情報を一括して提供する「はこだて『まちのチカラ』サポートデスク」(地域活力人材センター)が1日、函館市末広町の市地域交流まちづくりセンター内に開設された。同センターを運営するNPO法人・NPOサポートはこだての丸藤競事務局長は「まちづくりに取り組みたい市民が気軽に活動できるよう後押ししていきたい」としている。

 市が地域活性化の一環として新たに始めた事業で、同NPO法人に運営を委託。市内には、市教委が行っている人材登録「生涯学習リーダーバンク」や、市社会福祉協議会の「市ボランティアセンター」があるほか、まちづくりセンターでも市民活動団体の情報をとりまとめている。同デスクではこれらの情報を一元化し、市民活動やボランティア参加を希望する市民に案内する。

 専門スタッフが常駐し、相談業務や団体、活動の案内のほか、ホームページなどでまちづくりについての情報を発信していく。団塊世代など潜在的な人材の発掘も進める。丸藤事務局長は「市民と団体の橋渡し役になれば」としている。

 開設は午前9時―午後5時。問い合わせは同センターTEL0138・22・9700。ホームページのアドレスはhttp://www.hakomachi.net/ (鈴木 潤)


◎男性ユニット「りぼん」初のCD
 函館市内で活動する男性ユニット「りぼん」のファーストシングル「ポケットの中の虹」が完成した。脳外傷友の会「コロポックル」道南支部作業所(大町)に通うナミ(奥井直実)さんの作詞、職員のタッカ(高島啓之)さんの作曲で初めて形になった1曲。市内で音楽活動する曽山哲夫さんがCD制作を手掛け、プレゼントした。2人は「活動のきっかけとなった大切な曲を多くの人に聞いてほしい」と話している。(宮木佳奈美)

 りぼんは、昨年春から活動をスタート。交通事故の後遺症で同作業所に通うナミさんが以前、バンド活動をしていたことを知り、タッカさんが「詞を見せてほしい」と持ち掛けたのがきっかけ。ナミさんの詞にタッカさんが曲を付け、誕生したのが「ポケットの中の虹」だった。

 世の中の厳しさをまだ知らず、何でも宝物にしてポケットに詰め込み、走り回っていた子供時代の淡い恋心を表現したラブソング。ハーモニカ担当のナミさんは「子供のころを思い出し、鼻歌で歌ってもらえる曲になれば」と話す。生演奏と雰囲気を変え、CDはタッカさんがささやきかけるように歌い、安らげる曲に仕上がった。

 3月のライブで2人の演奏を聴いた曽山さんが「この曲をCDにして名刺代わりにしたら」とレコーディングや編曲に協力し、CD化が実現。2人は「自分たちではできなかったことなので、せっかくのチャンスを生かしたい」と感謝。「この先があると信じて、どんな形でもいつかフルアルバムを作りたい」と意欲を見せる。

 市総合保健センター(五稜郭町)1階の売店「あんだんて」で5月中旬から販売予定。1枚500円。問い合わせはコロポックル(高島さん)TEL0138・22・6188。