2008年5月27日(火)掲載

◎函館に坂本龍馬記念館開館へ
 幕末の志士として活躍した坂本龍馬(1835―67年)の魅力を紹介し、その足跡を学ぶ「北海道坂本龍馬記念館」を函館に開設しようと、札幌のNPO法人「北海道坂本龍馬記念館実行委員会」(三輪貞治理事長)が準備を進めている。本道や函館と龍馬のかかわりを示す貴重な歴史的資料の展示のほか、青少年向けの剣道、柔道教室など“未来の龍馬”育成の拠点とし、本道開拓を目指した龍馬の志や偉業を広く伝えるのが狙い。開設予定は2010年。三輪理事長は「一緒に活動する“同志”を募りたい」と呼び掛けている。(新目七恵)

 坂本龍馬は高知県に生まれ、海援隊の創立や薩長同盟の成立など、明治維新の立役者として大きな役割を果たした。司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」をはじめ、多くのテレビや映画でも取り上げられている。

 龍馬は晩年、本道を新天地と考え、幕府解体で仕事を失う武士らを開拓に向かわせたいとの思いを抱いており、自身も何度も渡道を試みたが、船の沈没などでかなわなかったという。その構想は「屯田兵」として実現したほか、龍馬の意志を継いだ親族らが道内各地に骨を埋めた。

 函館とのかかわりでは、甥で龍馬の養子の坂本直が箱館裁判所権判事として一時開拓事業に携わったほか、龍馬の縁せきに当たる澤辺琢磨も函館ハリストス正教会で日本人として初の洗礼を受けている。

 同NPOは道内外の会社員や主婦らで2001年に発足し、ボランティアも含めメンバーは約60人。札幌を拠点にパネル展や各種イベント開催など同記念館の開設に向けた準備を進める中、函館市内で開設条件の良い物件を発見。ペリー来航や箱館戦争など幕末の歴史があり、坂本直らのゆかりの地でもあるため、函館での開設方針を4月に正式決定した。開設場所は十字街の電停に面した市内末広町8の家具展示場跡の建物(鉄筋コンクリート平屋建て、床面積約330平方メートル)。

 実行委では活動に参加する正会員やボランティア、募金(個人1口1万円から)、署名などを集めている。今後、開設予定施設でのパネル展示やグッズ販売、紙芝居などPR活動を展開。7月には三輪理事長が函館に移住し、活動を本格化させる。三輪理事長は「龍馬ファンはもちろん、歴史に興味のある人や今の日本を何とかしたいという思いのある人を多く募りたい」と意気込んでいる。問い合わせは事務局TEL011・592・1115。


◎市教委が卒業生から授業料を誤徴収
 函館市教委は26日、市立函館、恵山両高校の卒業生計415人から5月分の授業料などとして総額約700万円を誤って徴収したことを明らかにした。昨年5月分の引き落としデータを金融機関へ提出したため、口座から引き落とされたのが原因で、市教委は事務的なミスを認めている。記者会見で市教委の須田正晴生涯学習部長は「市民、関係者に深くお詫びします。今回の事実を真しに受け止め再発防止に努めたい」と陳謝した。(鈴木 潤)

 1人当たりの誤徴収額は授業料9300円と、PTA会費、生徒会費など諸会費8700円(恵山高は8500円)の計1万8000円。いずれも今年3月に卒業した市立函館高の398人と恵山高の17人から徴収した。

 市教委では、生徒の授業料などは毎月、保護者名義の金融機関の口座から引き落とす形で徴収している。引き落としのためのデータ処理については、市内の情報処理会社に委託していて、今回は同社が誤って昨年5月のデータに基づき処理し、市教委も十分なチェックをしなかったことが、誤徴収を引き起こす原因になったという。

 このため、今年入学した市立函館高の1年生からは授業料などが未徴収となっている。4月分の授業料については適正な徴収が行われている。

 同日、卒業生の保護者数人から問い合わせがあり、市教委で調査した結果、誤徴収していたことが分った。市教委は対象者全員に事情説明と謝罪の電話連絡を行うとともに、返還の手続きを急いでいる。須田部長は「チェック体制の整備、市教委、委託会社の連携を強化していく」と述べるとともに、事務を担当した職員、幹部の処分も検討する考えを示した。


◎支庁再編で自民党地方組織が反旗
 【江差】自民党江差支部(辻正勝支部長)は26日、桧山支庁などの統廃合を進める道の支庁制度改革に断固反対する方針を決めた。同党など知事与党が賛成することで、第2回定例道議会(6月10日開会予定)で支庁再編を進める条例案が可決された場合、支部役員が全員辞職して抗議の意志を示す構えだ。27日にも辻支部長ら役員が札幌の党道連(今津寛会長)などに緊急要望書を提出する。

 同支部は衆院の解散・総選挙を視野に、「管内7町は支庁再編に断固反対の立場。桧山管内は自民党や与党系道議が不在であり、さらに条例案が可決されれば選挙に備える行動も減速する」と指摘。「地方重視を明言する与党会派として、拙速な改革に断固反対の立場を明確にすべき」としている。

 支部役員の1人は「支部の動きは管内全体に波及する。厳しい選挙情勢が予想される衆院選の態勢は瓦解する」と語り、文字通り“捨て身”の作戦で、道連執行部や道議会自民党に翻意を迫る構え。

 同支部は党道連のほか、道議会自民党の神戸典臣・支庁制度改革検討協議会長、道議会の道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会の竹内英順委員長(自民党・上川管内)などに要望書を提出する。同党の統一組織が無い桧山管内では、同支部が国政選挙や統一地方選で管内全体の司令塔役を果たしている。同党の地方組織が道政上の重要施策をめぐり、執行部に反旗を翻すのは異例の事態だ。

 高橋はるみ知事が条例提案に強い意欲をみせる中、道議会自民党は提案を容認する方向で最終調整を進めているが、日高、根室、留萌の3支庁管内では支庁統廃合に反対する同党の道議らが会派離脱や造反を示唆するなど、会派内の調整は難航している。

 同特別委は27日、支庁再編に反対姿勢を示している道町村会長の寺島光一郎乙部町長らの意見聴取を行う。江差町などは傍聴団を派遣して反対姿勢をアピールする。(松浦 純)


◎台湾から初めての修学旅行生
 台湾から函館を訪れる初めての修学旅行生となる台中市の高校生らが26日夜、函館空港に到着した。市観光コンベンション部の鈴木敏博部長らが「熱烈歓迎」と書いたウエルカムボードを手に持ち、生徒らを出迎えた。大きな荷物を手にした生徒らは長旅の疲れも見せずに、笑顔でバスに乗り込んでいった。函館には28日まで滞在し、観光を楽しむほか、市内高校生との交流行事に参加する。

 函館を訪れたのは、国立台中第一高校と台中女子高校の生徒70人と教職員ら。一行は27日に函館白百合高校、28日は市立函館高校を訪れ、音楽や英語などの合同授業で国際交流を深める。帰国は31日。

 市は修学旅行誘致のため2006年から、台湾の視察団招請や地元関係者と受け入れ体制確立の研究会を設立するなど、積極的に取り組んできた。新たな観光振興の可能性が広がるとの期待もある。鈴木部長は「観光の視点だけではなく、教育や文化交流が進み、さまざまな形で波及することを期待している。7月に台湾を訪問するので、さらに函館のPRにも努めたい」と話していた。(今井正一)


◎道南脳卒中地域連携協、地域連携パス説明会
 脳神経外科医らでつくる道南脳卒中地域連携協議会(伊藤丈雄代表)が運用を進めている診療情報共有システム「地域連携パス」の説明会が26日夜、函館市梁川町のベルクラシック函館で開かれた。市内と近隣市町の医師や看護師、医事職員ら約130人が出席し、ソフトの操作方法などを学んだ。(鈴木 潤)

 地域連携パスには治療内容や薬の処方歴、入退院時の状況などを入力し、患者の同意を得て転院先の医療機関に情報を伝達する。転院やリハビリへの移行などで円滑な治療が期待されている。札幌市の手稲渓仁会病院が構築したシステムを採用する考えで、6月の始動に向けて準備を進めている。

 説明会では同病院の板本孝治・脳神経外科部長と、青山誠・リハビリテーション部長が連携パスの概要や機能などを紹介。板本部長は「(連携パスは)連携を主とした情報共有のツール(道具)。多数の施設で使用が可能で、さまざまな症例に対応できる」などとメリットを語った。

 その後、職種別の実務講習会が開かれ、講師の指示を聞きながら出席者は実際にパソコンを使ってデータの入力方法、情報管理の注意点などを確認した。


◎函館雇用創造促進協総会/3カ年の実績595人、目標上回る
 函館雇用創造促進協議会(桜井健治会長)の本年度総会が26日、函館市役所で開かれた。2005年度から3カ年計画で実施してきた地域提案型雇用創造促進事業(パッケージ事業)の実績が示され、目標数値の347人に対し、595人の雇用を生んだことが報告された。

 パッケージ事業は、厚生労働省の委託事業で、同協議会が地場産業の活性化、観光関連産業の人材育成などを観点に各種事業を展開。最終年度の07年度は、タクシードライバーの接遇向上を図るセミナーや東京都内で函館UIターンフェアを開催するなどし、延べ193社、678人が参加。雇用目標158人に対し、効果は計216人だった。

 総会では、副会長の酒井康次函館商工会議所事務局長が「3カ年の事業でそれなりの成果を挙げることができた」と述べた。事業がすべて終了したことから、委託費の余剰額を国に返還し、同協議会を解散することを決めた。

 一方、市は後継事業の「地域雇用創造推進事業」(新パッケージ事業)の受託に向け、検討を進める方針を明らかにした。新パッケージ事業では、新たに重複しない事業構想の提案を目指す。市は「これまでの事業で観光や市内の商業を網羅してきたので、違う視点の計画が必要になる。新事業には苦慮しているが、全庁でアイデアを検討している」とし、一定のめどが立ち次第、新たな協議会立ち上げなどの準備を進める。(今井正一)