2008年5月29日(木)掲載

◎住民がつくる憩いのPG場人気…木古内泉沢自治会が整備
 【木古内】木古内町泉沢自治会(久保義則会長、200世帯)は長年、泉沢地区のJR泉沢駅隣にある「泉沢ファミリー公園」のパークゴルフ(PG)場を管理し、会員が毎月1回、草取りなどを行って地域住民の「憩いの場」を維持している。芝生の生育も会員たちが地道に取り組み、鮮やかな“緑のコース”に仕上げている。利用はいつでも誰でも無料で、公園入り口の小屋に備え付けの利用簿に名前を書き込むだけ。久保会長(76)は「会員が労を惜しまずに整備、管理に力を注いでくれる。いまでは泉沢地区の重要な交流拠点になっている」と話している。

 同公園は旧国鉄官舎跡地で、敷地は現在、町が所有している。1997年ごろに同自治会員から敷地の有効活用を望む声が町に寄せられ、特にPG場を伴う公園化の要望が強かったことから、99年から本格的に整備を始め2001年5月にオープンした。8年目を迎えた緑豊かな公園には、週末を中心に町内外から家族連れが訪れている。

 PG場の敷地は約2300平方メートル。当初はコンクリートや小石だらけだったが、町の支援を受けながら会員たちが草取りや草花が育つ土壌づくりに精を出してきた。中でも同自治会環境部長の吉田進さん(70)は整地作業の中心的存在で、ほぼ毎日公園に足を運んでいる。「何もかも手探りから始まった」と振り返る。

 芝生の生育は、出稼ぎで芝生関係の仕事に携わったことのある住民からアドバイスを受けたり、専門書を読んで研究を重ねた。経費削減のため、出来上がりの苗を移植するのではなく、土と種を混ぜてまく「吹き付け」と呼ばれる手法を取った。会員は「よくここまで育った」と声をそろえる。

 吉田さんは「年々芝生が根付くとともに、地域住民のコミュニケーションも深まってきた気がする」とし、「1周180メートル、5ホールと平凡なコース設定だが、気兼ねなくプレーできる楽しみがある。スコアも気にすることない。これが最高」と笑顔を見せる。

 コース沿いには会員が持ち寄ったオンコやサクラなどの樹木が並ぶ。土日曜、祝日には同自治会が所有するクラブとボール(10セット)を無料で貸し出している。住民の温かい思いに包まれたコースは、これからも人気を集めそうだ。(田中陽介)


◎江差の建設会社経営者4人を談合容疑で書類送検
 【江差】江差町が発注した2件の下水道工事の指名競争入札をめぐり、江差署は28日、町内の建設会社の経営者4人を談合の疑いで函館地検に書類送検した。

 調べによると、4人は2005年7月29日に行われた陣屋地区(予定価格1783万9500円)と円山地区(同1756万6500円)の下水管敷設工事をめぐり、事前に取り決めた2社が落札するよう金額や業者について談合した疑い。陣屋地区は1650万円(落札率92・5%)、円山地区は1630万円(同92・8%)で落札された。町は予定価格を事前に公表し、4人には個別に指名通知を行った。

 道警は3月から任意で事情聴取を行っていた。4人は容疑を認めているという。これまでの捜査では、官製談合や町職員の関与は確認されなかった。

 町発注工事をめぐっては昨年6月、今回と同じ4社を含む8社が参加した水道管敷設工事の指名競争入札でも事前に談合情報があり、入札を中止。町は全社から事情聴取したが「談合の事実は確認できなかった」として後日、入札をやり直した。入札では事前情報通りの業者が落札した。

 4人の書類送検について同町の飴谷逸男副町長は「談合が事実であれば遺憾だ。再発防止に向けて一般競争入札への切り替えを含めた入札制度の改革を早急に検討していきたい」としている。


◎函館も“たばこ離れ”加速…31日は「世界禁煙デー」
 公共施設の分煙化や禁煙タクシーの導入など、喫煙者を取り巻く環境は厳しさを増している。市立函館保健所が実施したアンケートによると、2006年の函館市内の喫煙者率(回答者に占める喫煙者の割合)は25・9%で、01年の前回調査時(36・7%)に比べて10・8ポイント減った。全国的に喫煙者数は減少傾向にあり、自動販売機への導入が義務づけられた成人識別ICカード「taspo(タスポ)」も“たばこ離れ”を加速させる要因となっている。31日の「世界禁煙デー」に合わせ、市内を含め各地で禁煙キャンペーンも展開される。

 同保健所の喫煙者率は、無作為に選んだ15歳以上の市民約840人を対象にしたアンケート結果をまとめた。それによると、喫煙率は男性が37・0%、女性が17・5%。01年に行った同様の調査(約1700人対象)に比べ、男性は15・8ポイント、女性は5・0ポイントそれぞれ減少した。

 日本たばこ産業(JT)がまとめた2007年5月現在の「全国たばこ喫煙者率調査」では、男性が40・2%、女性が12・7%で、合計は26%。同社は「喫煙率は毎年4%ずつ減少傾向にある」と話す。

 受動喫煙の防止などをうたった健康増進法の施行(03年)などを背景に、企業や官公庁でも分煙化の動きが広まり、たばこ業界では未成年者の喫煙を防ぐためタスポを導入した。ただ、タスポは「面倒くさい」などの理由で一般利用者の申し込み手続きが進まず、17日現在で道内の普及率は22・8%にとどまっている。

 市内のたばこ販売店では導入後、自販機の売り上げが2―5割に落ち込むケースも多く、函館地方たばこ販売協同組合は危機感を募らせ、企業を訪問してタスポの利用を呼び掛けるなどPRに躍起。タスポ導入に伴い、店舗内で購入するケースは増えているが、全体的な売り上げは下降線だ。

 禁煙の個別相談や「おいしい空気の施設」推進事業などに取り組む渡島保健所は、「吸い続けるとがんや脳卒中などの発症リスクが増し、受動喫煙によって他人の健康まで害を及ぼす」と“警告”。市立函館保健所では31日―6月6日に1階ギャラリーで、パネルやビデオ上映など禁煙キャンペーンを実施する予定。喫煙者からは「分かっちゃいるけどやめられない」との声も聞かれるが、禁煙の動きはさらに広がりそうだ。(新目七恵)

  世界禁煙デー WHO(世界保健機関)が1988年に制定。日本では6月6日までを「禁煙週間」と定めている。ことしのテーマは「若者へのたばこの売り込みを止めさせよう」。禁煙マラソンなどさまざまなキャンペーンが各地で展開される。


◎恵山、南茅部病院 来月からの1病棟化断念
 函館市議会の民生常任委員会(佐古一夫委員長)が28日開かれ、2月に阿部善一議長に提出された「地域医療の確保のため函館恵山病院の一般病床の存続を求める陳情」を審査した。同病院と南茅部病院の経営改善策として検討されていた「1病棟化」について、市病院局の藤森和男管理部長は住民の理解が得られていないとして、6月からの実施は見送る考えを示した。陳情は継続審査となった。

 両病院をそれぞれ2病棟から1病棟にする案をめぐっては、同局が4月からの実施を目指し、2、3月に計4回の住民説明会を開いたが、住民の合意を得られず、さらに6月からの実施を目指して町内会ごとの説明会で理解を求めていた。

 審査の質疑で藤森管理部長は、原案通りに1病棟化することに変わりがないことを強調した上で、「地域の理解を得てできるだけ早期にやりたい」と述べた。委員からは「おおむね理解の得られた南茅部病院から先行することはできなかったのか」との指摘もあったが、藤森管理部長は「局内もその件について検討したが、両病院一緒に1病棟化に移行したい」とした。

 今年度中に策定が義務付けられている「公立病院改革プラン」との関係については、井上芳郎病院局長が「1病棟化の実施は、プランで強くうたわれている経営の効率化に含まれる」との認識を示した。

 1病棟化案は恵山病院が療養病床40床、一般病床26床から、療養病床60床のみに移行、南茅部病院が療養病床22床を休止し、急性期患者を受け入れる一般病床のみ37病床としている。(鈴木 潤)


◎10カ月連続で低下…4月の渡島・桧山 求人倍率
 函館公共職業安定所は28日、4月の渡島・桧山管内の雇用情勢を発表した。求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率は前年同月比0・07ポイント減の0・46倍で10カ月連続のマイナスとなり、2005年5月以来、2年11カ月ぶりに0・50倍台を割り込んだ。先行指標となる新規求人倍率は同0・12ポイント減の0・58倍と、2カ月ぶりに前年同月を下回った。(浜田孝輔)

 月間有効求人数は新規や繰越求人の動向から同12・8%減の5011人、月間有効求職者数は同0・3%減の1万870人。新規求人数は同18・1%減の1942人、新規求職者数は同1・3%減の3366人で、ともに求職者数の減少以上に求人数の落ち込みが著しく、求人倍率の大きな低下を招いた。

 新規求人を産業別でみると、サービス業が同241人減の336人、卸売・小売業が同175人減の300人と、3ケタ台の減少幅となる低調ぶり。一方、飲食店・宿泊業が同40人増の269人、医療・福祉が同27人増の382人など、小幅な伸びにとどまった。

 新規求人に占める常用パート求人の割合は35・6%で、同1・1ポイントの上昇。離職者は同122人減の1985人で、内訳は事業主都合(リストラ)が同57人減の933人、自己都合が同80人減の972人などだった。


◎子育てしながら求職活動する人へ…「マザーズハローワーク」開設
 函館公共職業安定所(函館市新川町26)の一角に28日、子育てをしながら求職活動をする人向けの相談窓口「マザーズハローワーク函館」が開設された。子供連れでも相談できるようにキッズコーナーが併設されているほか、待ち時間を解消するために予約制とし、担当者が求職者の就職に向け、きめ細かなサービス提供に努める。

 「マザーズハローワーク」は、厚生労働省が推進する子育て女性への就職支援事業の一環として、2006年度に札幌を含む全国12都市に設置。本年度は道内で5カ所に新設される。

 「マザーズハローワーク函館」の相談コーナーには、子供用のソファやベビーチェア、絵本を完備。対応する職員は担当者制で、求職者の希望に沿った求人を案内するほか、履歴書・職務経歴書の記入や面接の仕方について指導。地元自治体とタイアップして、子どもを預けるための保育施設に関する情報も提供する。

 同職安は「仕事と育児を両立できるように要望を聞きながら、再就職の支援に努めていきたい」と話している。

 利用時間は月―金曜日(祝日を除く)の午前8時半―午後5時15分。問い合わせは同職安TEL0138・26・0735。(浜田孝輔)