2008年5月4日(日)掲載

◎企画・SLが走るまち(4)鹿部町
 森駅から函館駅に向かうSL函館大沼号の復路は、森町砂原、鹿部町を経由する。この区間は山林の中を走ることが多く、今年の春は暖かいため、沿線は早くも新緑に囲まれている。美しい自然を楽しみながら列車の旅は続く。

 同町駒見の道道大沼公園鹿部線沿いからは、折戸川を挟んで走行する場面が見られる。函館本線では珍しく、道路より高い場所を列車が走る。SLは山に汽笛を響かせながら大沼へ向かう。


◎企画 エコ宣言(5)…デネス・ハウレットさんに聞く
 環境問題などについて議論を交わす7月の北海道洞爺湖サミットに、カナダのNGO(非政府組織)代表としてメディアセンター入りし、サミットの行方を見守るデネス・ハウレットさん(55)。個人でエコに取り組む重要性を聞いた。

 ハウレットさんは、世界で貧困にあえぐ子供を救うキャンペーン「Make Poverty History」のカナダ版代表。「貧困、子どもの出生率低下にまで及ぶ環境問題への対策は手遅れに近い状態。なぜそうなったかを考え、自分でできることは全部やってほしい」と説く。

 個人のエコ活動についてデネスさんは「電化製品は省電力のものにする。買い物はマイバックを使う。生産、消費にエネルギーを多く使う肉より野菜を食べ、地産地消に努める。問題に取り組む企業や団体を応援する」とする。ありきたりと感じた瞬間、目つきを変え「どうですか、あなたはできていますか、生活は健康ですか、私は昔の生活を話しました」と鋭く語った。

 世界の生活格差、先進国に多いエネルギー消費量を例に挙げ、話を続けた。「生活に便利な道具を利用する時に体の筋肉を使っているか。その疑問を持つことです。人間は自分のエネルギーを使わず、化石燃料などのエネルギーを消費しているのです。その結果、地球、健康とも悪くなっている」

 口調は決して厳しくない。「私は決して難しいことを言っていません。エコ活動は生活をシンプルに見直すこと。環境の改善、生活のレベルが上がります」。求める生活通りの優しい言葉だ。

 今回のサミットでは、環境問題改善の討議に期待することは難しいという。そのため、個人、団体とも活動は普及、教育と同時に、政府や政治家に対して働きかけることも大切とする。「活動を政府、政治家にメールなどで送り、市民の方が環境問題に対して力を発揮していることを見せ、政府を動かす」。NGOらしい意見だ。(山崎純一)


◎愛ラブ9条フェスティバル
 「愛ラブ9条フェスティバル 5・3憲法記念日の集いin道南2008」(実行委主催)が3日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行われた。絵本の朗読や演奏会、映画上映などさまざまな催しが開かれ、参加者は平和憲法の意味や大切さについて考えを深めていた。

 同実行委は「戦争をしないための選択・9条を考える道南の会」を中心とした道南の市民団体約25で組織。毎年、同会では同集いを開いているが、実行委形式では初めて。

 2階ホールで行われたメーンプログラムの冒頭、実行委の横山節郎さん(54)が「平和を考える多くのイベントから、1つでも2つでも心に残してほしい」とあいさつ。第2次世界大戦末期の沖縄戦を題材にした絵本「おきなわ 島のこえ」(小峰書店)がスライドで上映され、地元の絵本サークル「函館絵本の会銀のふね」の和田ふみえさん(50)が朗読した。同絵本の海外販売に力を注ぐ函館ラ・サール中学・高校のカナダ人教師ピーター・ハウレットさんが「憲法9条は日本の宝。地球温暖化など危機的状況の今こそ、世界に持っていくべき」と訴えた。このほか、地元ミュージシャンによる演奏や平和を訴える映画上映、戦争パネル展などが行われ、会場は多くの家族連れらでにぎわった。

 絵本の朗読を鑑賞した函館市の計良正子さん(52)は「日常では当たり前な『平和』を守るため、1人1人の行動が必要とあらためて感じた」と話していた。(新目七恵)


◎NPO会員を名乗り会社役員に現金要求 厚沢部町議ら3人を逮捕
 【厚沢部】環境保護を活動目的とするNPO(特定非営利活動法人)の会員を名乗り、産業廃棄物の不適正処理を口実に厚沢部町の男性会社役員(62)から現金を脅し取ろうとしたとして江差署は3日までに、すし店経営針谷喜代治(62)=江差町本町123=、造林業高野勝紀(52)=厚沢部町松園町7の8=、厚沢部町議会議員で農業若佐清春(57)=同町美和300=の3容疑者を恐喝未遂の疑いで逮捕した。

 調べによると、針谷容疑者らは3月11日、桧山管内に支部を置く環境保護を目的とするNPOの会員を名乗り、男性が経営する厚沢部町のキノコ類の生産施設を訪れ、栽培用に集積していた多量の木粉を指して「産業廃棄物の不法投棄だ」「桧山支庁が告発すると言っている」「新聞沙汰になるぞ」などと脅し、問題を穏便に処理する名目で、現金100万円を脅し取ろうとした疑い。3人はいずれも容疑を否認している。町などによると木粉の管理状態に問題はなかったという。

 針谷容疑者は3月までNPOの会員だったが、野外に家畜のふん尿や農業廃棄物を放置していた管内の農業者に金銭を要求するなどの問題を起こした理由で除名された。同署は針谷容疑者が犯行を主導したとみて、高野・若佐両容疑者との接点、余罪や他の共犯がいないか追及する。若佐容疑者は現在5期目。町農業委員や厚沢部土地改良区理事長も務めている。


◎JTSが五稜郭公園で日本語サロン
 函館在住の外国人に日本語を指導するボランティア団体「函館日本語教育研究会(JTS)」(田中慶子会長)が3日、五稜郭公園で「日本語サロン お花見ポットラックパーティ」を開いた。函館市内近郊で暮らす外国人と同会メンバー合わせて約40人が集まり、満開の桜の下でゲームや食事を楽しみながら交流を深めた。

 JTSは外国人に無料で日本語を指導する団体で、月2回の学習会に加え、日本の文化や習慣を学ぶ「日本語サロン」などを実施している。「お花見ポットラックパーティ」は、日本独自のお花見文化を学びながら、各自が料理を持ち寄る「ポットラック」形式で各国の味に親しんでもらおうと8年前に実施。今年はポルトガル、中国、韓国、ペルー、アメリカ、カナダなどから約20人の外国人が参加した。

 田中会長が「例年よりも開花が早かったので桜が残っているか心配だったが、天気も最高で絶好の花見日和に恵まれた。今日は存分に楽しみながら新しい友人を作ってください」とあいさつ。この後、2人1組になりお互いのプロフィルを紹介しあうレクリエーションなどを通して、参加者は打ち解けていった。

 5年前にポルトガルから函館に来たアナさん(北大大学院生)は、ポテトと肉を重ねて焼いた独特の郷土料理を持参。「一生懸命作ったのでみんなにおいしく食べてもらいたい」と話していた。(小川俊之)


◎薬師山のシバザクラ見ごろ
 【木古内】木古内町木古内の町営野球場裏にある薬師山(標高72メートル)の山頂では、シバザクラの花々が満開となっている。暖かな日差しと海からの心地よい潮風を浴びながら、斜面を覆うピンク色のじゅうたんは一層鮮やかさを増している。

 初夏の木古内を彩る名所。「ことしの咲き具合はどうですか?」と町役場には問い合わせが相次いでいる。

 花は4月中旬からつぼみを膨らませ、ここ数日の記録的な暑さで一気に開花。満開になると約830平方メートルの敷地一帯が、かれんな花びらで埋め尽くされる。

 友人3人と訪れた知内高校1年の新井田茂君(15)は「小さいころからこの景色が好きで、よく遊びに来た。木古内が全国へ自慢できる眺めの一つ」とさわやかな笑顔を見せていた。

 開花状況は木古内町ホームページ(HP)でも確認することができる。HPアドレスはhttp://www.town.kikonai.hokkaido.jp/(田中陽介)