2008年5月5日(月)掲載

◎企画・SLが走るまち(5)北斗市
 仁山高原から急なこう配を駆け下るように走ってきたSL函館大沼号が渡島大野駅に差し掛かる。車窓からの風景は豊かな自然から北斗市大野平野の田園風景に変わる。

 同駅近くに住む女性(79)が函館に向かう同列車を見つめる。「新幹線とSLが一緒に走るのを見たいですね」。ここは7年後の2015年度に開業する北海道新幹線の新函館駅(仮称)の建設予定地だ。SLは将来に向けた夢を乗せて走り続ける。


◎北斗でばんば大会
 【北斗】北斗市市渡の旧大野町家畜市場跡地の特別コースで4日、第75回渡島家畜商協北斗大野支部定期ばんば競技大会が開催された。屈強なばんばが力強くコースを駆ける姿に、会場に詰め掛けた大勢の観客から拍手が送られていた。

 ばんば(ばんえい競馬)とは、800―1200キロ前後の農耕用大型馬が、鉄製のそりに騎手と重石を乗せ、2カ所の障害が設置された200メートルの直線コースを競う北海道独自のレース。同大会は旧大野町時代から毎年この時期に行われており、この日は全道各地から約50頭が参加。全8レースで熱戦を展開した。

 レースでは、障害物として設けられた小山に苦しむ馬が続出。騎手のむち入れによってようやく乗り越えると一気に加速してゴールへ向かっていった。また、ポニーによる特別レースも行われ、愛らしい姿で来場者を楽しませた。

 渡島家畜商協北斗大野支部の高田和廣支部長は「天候にも恵まれ大勢の来場者が集まってくれてよかった。公営レースは厳しい運営状況が続いているが、今後もばんばの火を消さないように盛り上げていきたい」と話していた。(小川俊之)


◎宮崎加奈古さん11日に25年ぶり箏リサイタルを開催
 函館の箏奏者で筝曲美音和(みねわ)会を主宰する宮崎加奈古さんが11日午後2時から函館市芸術ホール(五稜郭町37)で約25年ぶりのリサイタル「〜春に奏でる〜箏・三弦リサイタル」(同会主催)を開く。「和楽器の魅力のほか、私の音楽に対する純粋な気持ちを伝えたい」と準備にも熱を込めている。

 宮崎さんは6歳の時、筝演奏家で母の美音和さんに師事。現在は、母が1937年に創立した同会を引き継ぎ、伝統的な筝曲を指導、演奏する傍ら、現代的な邦楽、洋楽とアレンジ演奏するなど幅広く活動する。2003年度函館音楽協会協会賞を受賞。

 これまでは客と同じ高さでのフロアライブは交流の場として開いていたが、リサイタルは四半世紀ぶり。07年6月に同会が創立70周年を迎えた記念公演を終えた後、自身の演奏や箏に対する思いを披露したいと開催を決めたという。「久しぶりで特別な印象を持たれるかも知れないが、これまで通りの宮崎であり続けることを見て、聞いてほしい」と話す。

 プログラムは2部構成の6曲。同会のほか尺八演奏家の菅原久仁義さん(東京)が賛助出演する。柳田国男作で東北・岩手を舞台にした「遠野物語」を題材にした「遠野」を三弦と歌で、沖縄の「琉球民謡による組曲」を筝、十七弦、尺八のアンサンブルでなど対比をつけ来場者に楽しんでもらう。宮崎さんのソロは函館で初演奏となる「手事四綴(てごとしてい)」など。

 菅原さんは「多彩な音楽を展開する宮崎さんの活動は全国でも例がない。このリサイタルで改めて宮崎さんの魅力を函館の内外に発信できれば」。宮崎さんは「演奏したい曲を集めた。函館では箏の演奏の機会が少ないだけに精一杯奏でたい」と話している。

 入場料は一般1500円、高校生以下1000円。で同ホール、松柏堂各店で発売中。問い合わせは宮崎さんTEL0138・51・2656。(山崎純一)


◎渡島市町村圏振興協議会、第5次長期計画を策定
 渡島管内11市町で組織する渡島広域市町村圏振興協議会(会長・西尾正範函館市長)はこのほど、本年度から10年間の第5次長期計画を策定した。圏域の将来像を「新幹線とともに輝ける未来へ〜人々が躍動し魅力あふれる渡島」とし、産業振興や高速交通網整備などの主要施策を盛り込んだ。

 同計画は序論、基本構想、基本計画の3部構成。序論で圏域の概況を述べ、低迷もしくは横ばい状態となっている一次産業、商工業、観光産業の現状を記した。

 これに基づき、基本構想では、産業、交通・情報、生活環境、保健・医療・福祉など9分野で施策の大綱を記した。総体的な展望・目標として「北海道新幹線の開業効果を最大限に生かした地域づくり」「広域交通ネットワークの形成と国内外との交流拡大」「地域の個性を生かした活力と創造性に満ちた産業の展開」などを挙げている。

 基本計画では9分野の大綱ごとに基本的な方向や主な施策を列挙した。産業分野では▽安全・安心な農畜産物の供給と地域ブランドの確立▽つくり育てる漁業・資源管理型漁業の推進▽観光情報の発信や国内外でのプロモーション活動など誘致宣伝活動の強化―などを挙げている。

 交通・情報分野では▽北海道新幹線の早期開業と新函館―札幌間の早期着工▽新幹線新駅周辺整備と交通アクセスの確保―などがある。

 いずれも各市町の長期計画と整合性を持たせた内容で、具体的な実施計画は本年度から毎年3カ年分をローリングして策定していく方針。

 同協議会事務局の函館市企画部は「広域的な視点で各市町が連携・協力し、圏域の発展・振興に結び付けていきたい」と話している。(高柳 謙)