2008年6月10日(火)掲載

◎ハマナス 咲き始める
 9日の道南地方は高気圧に覆われて晴れ間が広がり、各地で気温が上がった。函館海洋気象台によると午後3時までの最高気温は、森26・1度、八雲町八雲26・0度と夏日を観測したほか、今金23・4度、函館21・6度、北斗21・2度と7月上―下旬の暖かさとなった。

 函館は朝のうちは霧に覆われていたが、日中はすっかり初夏の陽気になった。立待岬では、ハマナスの赤い花が目立ち始め、観光に訪れた人たちは約10センチの花に顔を近づけ甘い香りを楽しんでいた。

 今年の咲き始めは例年通り5月25日だったが、その後の暖かさで見ごろを迎えるのは例年より約1週間早くなりそうだ。(山崎純一)


◎さぶりメロン初競り
 森町と厚沢部町で生産された赤肉メロンの新ブランド「さぶりメロン」の初競りが9日、函館市中央卸売市場(西桔梗町589)で行われた。この日は森町産の5箱10玉が並び、うち1箱は昨年の2倍の2玉2万円で落札された。

 「さぶりメロン」は両町で収穫した赤肉メロンのうち、大玉(1・8キロ―2・0キロ)で糖度15度以上の秀品だけをブランド化。上品な甘みと果汁感を楽しむことができる。

 大勢の卸売業者が注目する中、午前7時半に始まった競りではスタートと同時に野菜・果物卸売業の北印青果(函館市)が最も大きな2玉を2万円で落札。そのほかも5000円から1万円ですべて落札された。

 落札されたメロンは早速、ホクレンショップ函館昭和店(昭和1)の店頭で落札価格と同額で並んだ。同店スーパーバイザーの川嶋力也さん(34)は「糖度15度以上のメロンは珍しいのでぜひ一度どうぞ」とPRしている。同店では今後、ギフト用としても販売する予定。(笠原郁実)


◎時計修理の道50年 時計店経営の寺田 昭吉さん…きょう「時の記念日」
 函館市堀川町で時計店を営む寺田昭吉さん(66)はこの道一筋50年。ゼンマイ仕掛けから電池で動かすクオーツ式へと、時代と共に仕様が変化しても、変わらぬ技術で数多くの思い出の時計や眠っていた時計をよみがえらせてきた。「技術を磨き続け、100歳になっても時計職人でいたい」。熟練の時計職人は静かに“年輪”という時を刻み続けている。6月10日は「時の記念日」―。

 寺田さんは長万部町出身。16歳の時、集団就職で函館市内の時計店に入店し、計2店舗で20年間修行を積んで独立した。当初は、手巻きのゼンマイ時計や自動巻きだったが1970年代からクオーツ式が主流となった。

 「クオーツは内部の機械を交換するだけだが、手巻き、自動巻きの修理は職人の腕次第。メーカーが作った通りに何としても直すという執念で挑む」と寺田さん。手巻きや自動巻きの修理は、部品が精密で細かく、ネジ1個バネ1本でも失うと仕事が進まない。ネジが少しでも緩むと時間が合わなくなる。

 「決して楽ではないが仕事にほれ込んでいる。自分が満足できない結果だと代金をもらわない」ときっぱり。国家資格の時計修理一級技能を持ち、腕には自信があるが、技術を磨く研究努力は惜しまない。大事な商売道具でもある「右手」を守るため、「持つのは修理で使うピンセットとはしぐらい」と笑う。

 クオーツの時代が到来し、修理の依頼が減った時期もあったが、地道に誠意を持って依頼を受けた結果、仕事の紹介が増えた。入学や進学、結婚などの節目にもらった記念の時計を直したいという依頼は後を絶たない。

 安価な時計は修理するより、買ったほうが安い場合もあるが、寺田さんは「いい時計は修理代がかかるけど、定期的に手入れをすれば長く使える」と話す。毎年、客への年賀状には「直した時計は使ってますか?」と一言添えてみる。「やっぱり直した時計を長く使ってもらえることが一番うれしいから」と目を細める。(宮木佳奈美)


◎コンブ加工施設見学…黒島から13人、市民と交流
 沖縄県八重山諸島の黒島から、コンブの生産地を巡る訪問団13人が訪れ、函館市と近郊のコンブ加工施設や販売所などを見学している。黒島老人クラブと黒島婦人会の合同訪問で、9日は南かやべ漁協が直営する同市尾札部町の昆布加工センター、同川pヤ町の地場振興センターなどを訪れ、コンブの種類や生産、加工、流通などを学んだ。

 黒島は台湾のすぐ手前で、人口222人、牛が3000頭いる和牛の里。沖縄は日本有数のコンブ消費地で、黒島老人クラブは函館の根崎長寿クラブ(黒島宇吉郎会長)と親交があることから、コンブの“古里巡り”が実現した。

 8日夜に函館入りし、9日は黒島会長らとともに七飯町の北海道昆布館や大沼などを訪れ、昆布加工センターでは南茅部支所の梅田誠治支所長と鎌田輝蔵産業課長が出迎えた。参加者は白いキャップをかぶり、消毒室で空気のシャワーを浴びて加工室入り。鎌田課長が南茅部地域のコンブの生産量や加工施設の概要などを説明し、袋詰めの作業工程やコンブの貯蔵庫などを見学した。

 黒島老人クラブの又吉智永副会長は「コンブは1種類だけだと思っていたが7種類もあり、食べ方も昆布巻きだけでなく、粉末やおやつ、体にいいガゴメの成分を生かした食品やせっけんなどがあることを知り、見聞が広がった。函館の老人クラブや婦人会とさらに交流を深めたい」と話していた。

 10日は市内観光を楽しみ、夜は湯の川温泉で函館商工会議所や函館国際観光コンベンション協会、市関係者が出席して歓迎交換会を開く。11日に離函する。(高柳 謙)


◎21日に初のマグロサミット…津軽海峡魚場
 津軽海峡で獲れるマグロについて語り、その魅力を全国へ発信する「つがる海峡マグロサミット」(実行委主催)が21日午後2時から、函館市港町3の東日本フェリーターミナルで開かれる。津軽海峡を漁場にする函館市戸井地区、松前町、福島町、青森県の大間町と外ヶ浜町の漁業従事者や飲食店業者、マグロの仲買人らが集い、「日本一の高級マグロ産地を目指して」をスローガンに意見を交わす。初めての開催で、7月からの本格的なマグロ漁を前に地域間で情報を密にして特産のさらなる知名度向上に努める。

 津軽海峡を拠点に人や物資などの交流で地域活性化を図る「『な』と『わ』で育む海峡交流プロジェクト」が企画。同プロジェクトは、亀田半島、松前半島、下北半島、津軽半島の漁業関係者や行政職員らで構成している。「『な』と『わ』」とは津軽の方言で、「『あなた』と『わたし』」の意味。

 当日のプログラム1部は、商品のブランド化への活動内容を紹介。品質管理の徹底や漁場での努力や苦労話などの体験談を披露する。

 2部は、国内各地から選りすぐりの海産物が集まる東京の築地市場関係者が加わってのパネルディスカッション。前田一男松前町長がコーディネーターを務め、津軽海峡産のマグロの評価や課題、地元住民の消費拡大などに焦点を当て、今後の津軽海峡産のマグロの展望を探る。

 開場は午後1時半。入場は無料で、来場者の中から抽選で「津軽海峡産マグロ切り身(500グラム)」が20人に、「東日本フェリーの高速フェリー ナッチャン『Rera(レラ)』とナッチャン『World』で使えるペア乗船券が2人に当たる。

 前田町長は「縄文文化など、津軽海峡を挟んで古くから交流のあった歴史事実を踏まえ、現代における地域間の連携と交流の強化に弾みをつけるチャンスにしたい。津軽海峡のマグロのおいしさはもちろん、刺し身などで食卓に並ぶ一連の過程を『交流』というキーワードで多くの人にその魅力を伝えたい」と話している。

 問い合わせは実行委(松前町役場産業振興課内)TEL0139・42・2275。(田中陽介)