2008年6月11日(水)掲載

◎「箱館ハイカラ號」見学会
 函館市電の復元電車「箱館ハイカラ號(ごう)」の見学会が10日、同市入舟町の電停「函館どつく前」で開かれた。地元の電車ファンのほか、近隣の駒止保育園(奥本芳子園長)の園児55人も会場を訪れ、レトロ調に装飾された車両を物珍しそうに見つめながら、元気な歓声を上げていた。

 6日から市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれてきた「第2回函館路面電車まつり」(チンチン電車を走らせよう会など主催)の最終日イベントとして実施。10日は「路面電車の日」にも当たり、市交通局の協力を得て、市民や観光客に人気の高い「箱館ハイカラ號」を一般開放した。

 この日を待ちわびていた同園の園児たちは、間近で見る車両に興味津々の様子で、普段は立ち入ることのできない運転席も見学。小松由来ちゃん(5)は「電車がきれいな色で、窓から顔を出したり、席に座ったり、とても楽しかった」と笑顔を見せていた。 (浜田孝輔)


◎支庁再編、道議会で知事が条例案を提案
 【札幌、江差】第2回定例道議会が10日開会し、高橋はるみ知事が現行14支庁を9総合振興局と5振興局に再編する「総合振興局設置条例案」を提案した。支庁が振興局に格下げされる桧山管内など道内5地域、道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)が再編案に強硬に反対しているほか、道議会でも知事与党の自民党や公明党の一部でも慎重論が根強く、審議の行方が注目される。(松浦 純)

 条例案では渡島支庁など規模の大きい9支庁を「総合振興局」とし、渡島支庁は「道南総合振興局」となる。総合振興局長には組織編成などの権限を与え、出先機関となる振興局の組織機構を含めて、地域の特殊事情に合った独自部署の設置など柔軟な組織編成を可能とした。

 桧山、日高、石狩、根室、留萌の中小5支庁は、出張所に当たる「振興局」に格下げとなり、実質的な支庁廃止となる。3年間程度で段階的に縮小、最終的に職員は4割減とし、5支庁で900人程度の削減となる。道は条例施行から5年間で、地方分権や社会情勢を踏まえて制度の見直しを図る方針としている。

 道は都市部と14支庁で区割りしている道議選挙区は現状維持とするが、条例改正に合わせた公選法改正が必要となる。道は法改正を経て2009年度の新体制移行を検討している。

 高橋知事は本会議で「広域的観点に立ち、地域振興を推進する体制を整備する」と提案理由を説明。閉会後には、道市議会議長会長の畑瀬幸二・札幌市議会議長、道町村議会議長の川股博・空知管内由仁町議会議長と個別に会談し、道の説明不足を認めた上で改革への理解を求めた。11日には道市長会長の新宮正志・室蘭市長との会談も行う。高橋知事は道町村会を含む地方4団体とのトップ会談を求めているが、道町村会は提案を強行した知事との対決姿勢を深めており、実現は難しい状況だ。

 濱谷一治江差町長は「地方との対話をないがしろにする道は、改革案公表からわずか半年で提案に踏み切った。知事の責任が徹底的に追及されるべきだ。可決はあり得ない」としている。同日は民主党北海道代表の鉢呂吉雄衆院議員(道4区)も「改革案は容認できない」とのコメントを発表した。定例会の会期は27日まで。


◎ヤマムラ時計宝飾店で真珠を飾った奉行所の模型展示
 10日の「時の記念日」に合わせて、函館市本町6、ヤマムラ時計宝飾店の山村豊社長(77)が、真珠を散りばめた箱館奉行所と五稜郭の模型を作り、同日から店内で展示を始めた。五稜郭公園内で行われている箱館奉行所の復元工事が2年後の2010年夏に完了するのを見据えた作品で、「奉行所の復元を多くの人に注目してもらうきっかけになれば」と話している。(鈴木 潤)

 山村社長は1962年から、時の記念日にちなんだ奉仕活動で市内の福祉施設を訪問して記念品を配り、68年からは毎年、自ら考案して模型を作ったり、珍しい時計を店内に展示するなどしてきた。古時計のコレクション展(68年)や、青函トンネルの工事現場から出た安山岩を加工して作った置時計(74年)、古代原始時計模型展(07年)など趣向を凝らした作品が、来店客らの注目を集めている。作品は公共施設に寄贈するなどしてきた。

 今年は奉行所の復元を盛り上げようと、時計そのものに関する作品展示ではなく、復元までの“時間”にこだわって奉行所と五稜郭の模型を作った。

 作品は約1カ月かけて厚紙で丹念に作り上げ、28センチ四方、高さ25センチの立体像の奉行所に、同様に厚紙(縦30センチ、横60センチ)に描いた五稜郭が付加されている。奉行所の屋根と五稜郭の堀の部分には、メーカーから借りた真珠約1250個を敷き、五稜郭の周辺にはダイヤモンドやエメラルド、アメジストの原石を置いた。「五稜郭は国際観光都市、函館の宝。磨けば光ります」(山村社長)との思いを込めて宝石や原石を散りばめたという。

 物心がついた時から、祖父に五稜郭にまつわる話を聞かされた山村社長は、五稜郭に対する思い入れも人一倍。「奉行所ができることによって、函館観光にいっそうの輝きが増すと思う。完成を楽しみにしている」と話す。

 模型は今月いっぱい展示する予定で、展示期間中、真珠のネックレス(数量限定)を定価の3割引きで販売する。営業時間は午前9時―午後5時。日曜定休。


◎障害者手帳不正交付問題、福島町の取得34人全員が返還
 【福島】札幌市の耳鼻咽喉科医師が作成した虚偽の診断書や意見書で、聴覚の身体障害者手帳が不正に交付された問題で、この医師の診断を受けて同手帳の交付を受けた福島町の町民34人全員が道に同手帳を返還していたことが、10日の町議会定例会で報告された。身体障害者の認定を受けると、町税や医療費の減免措置が適用されるため、村田駿町長は「不正受給の事実が明らかになった場合は、受給額の返還要求などの厳しい処置を求めていく」と述べた。

 木村隆氏が一般質問で取り上げた。

 町によると、34人は補聴器を使用しても通常の会話が困難とされる2級重度障害者認定を受けていた。道の連絡を受け、町役場で3月6日に渡島支庁担当者らが34人と面会調査を実施。全員が通常の会話ができ、2級重度障害者に当たらないことが分かった。

 これを受け、4月23日までに34人全員が自主的に道へ同手帳を返還したという。この医師が関連したとされる道内の障害者手帳取得者は3月末時点で804人。福島町は道南全体(70人)で特に多かった。疑惑の渦中にいる同医師は5月26日、札幌市から障害を認定する指定医の取り消し処分を受けている。

 村田町長は「この問題が福島で起きたことは非常に残念。しっかりと調査を進めなくてはならない」と述べ、道と連携しながら、早期に問題解決を図っていく考えを示した。(田中陽介)


◎市教委「はこだてっ子水産・海洋体験学習事業」
臼尻と中央小ペアなど8校
 函館市が昨年度から独自に取り組む「はこだてっ子水産・海洋体験学習事業」の本年度の対象校が、10日までに決まった。旧4町村地区と旧函館市地区がペアを組む小学校は、臼尻と中央、日新と神山、磨光と青柳、木直と湯川の計8校、中学校では港が選ばれた。対象校の児童、生徒は今後1年間、前浜での自然体験や水産関連施設への訪問などを通して交流を重ねたり、海の生物や生態系などの知識を深めていく。

 同事業は2003年度から始まった函館市の「函館国際水産・海洋都市構想」に基づき実施。豊かな海洋資源に恵まれた函館の子供たちに海への理解を深め、豊かな心と郷土愛を育んでもらうのが狙い。初年度は大船や東山など小学校8校と亀尾中で行った。2年目は4月中旬まで公募し、市教委内での選定を経て対象校を決定した。本年度の事業費は225万円。

 具体的な活動としては小学校の場合、旧函館市内の学校が旧4町村の学校に出向いて各地区の浜で観察活動を行ったり、逆に旧4町村の学校が旧函館市内に足を運んで水産施設を一緒に見学するなど、ペア校相互に交流を重ねて海や河川に関する学習を進める。一方、単独で行う中学校は、生徒個々の水産に関するテーマ学習の推進などを想定している。ことしの活動内容は現在各学校で詰めているが、同事業の第1弾として、7月2日から臼尻小と中央小が北大の臨海実験所(函館市臼尻)で学習する予定。

 市教委は「函館の海の素晴らしさを実感できる貴重な経験ができ、交流の場としても大きな成果があったと評価している。2年目は函館市臨海研究所など関係学術機関と連携を図り、より充実した内容にしてほしい」としている。(新目七恵)


◎調理師学校の遠藤さん道洋菓子コンで旭川協会会長賞
 函館短期大学付設調理師専門学校(下野茂校長)製菓衛生師科の遠藤美穂さん(26)が、本年度の「道洋菓子作品コンテスト大会」(7、8日、札幌市)の「ジュニアの部」で旭川洋菓子協会会長賞に選ばれた。同校では昨年に続いて2年連続の入賞。入学して2カ月余の受賞に、遠藤さんは「賞を励みにさらにチャレンジしたい」と喜んでいる。(新目七恵)

 同大会は道洋菓子協会が主催。ジュニアの部は製菓を学ぶ学生が対象で、ことしは160点が出品された。アーモンドをペースト状にした「マジパン」の土台と細工した人形などをスポンジに載せ、その技術や仕上がり具合などを競う。関係者6人が審査に当たり、最高賞の道洋菓子協会会長賞1点、金、銀、銅賞計28点に続き、道内7都市の各協会会長賞各1点を選んだ。

 遠藤さんの作品は、白い台にウェディング姿の新郎と新婦を並べ、緑の芝生や真っ赤なカーペットを敷いたかわいらしい作品。「大会当日に知人の結婚式があり、その幸せなイメージをテーマにした」という。

 ジュニアの部は札幌など専門学校の2年生による技術力の高い作品も多い。今回の審査員も務めた同校製菓技術研究室長の小室正雄さんは「競争率が激しい中、学生らしいデザインが評価されたのでは」と話している。

 市内での団体職員勤務を経て、夢だった製菓職人への道を歩み始めた遠藤さん。「来年は調理師免許を取り、将来は菓子製造の仕事に就きたい」と目を輝かせている。