2008年6月16日(月)掲載

◎浴衣で夏のおもてなし ホテルテトラの女性従業員
 函館市内のホテルテトラ(梁川町17、三浦孝司社長)グループは15日、同社が市内で展開するホテルや温泉施設など計5カ所で、女性従業員が浴衣姿で接客するサービスを始めた。普段は制服姿の女性従業員が8月末ごろまでの毎週日曜のみ浴衣に衣替えし、日本の夏の風情を演出する。

 夏らしい涼しげな装いでもてなし、利用客にも気軽に浴衣姿で来館してもらおうと、同社が05年から始めた顧客サービスの一環。同ホテルのほか、アネックスホテルテトラ(梁川町3)、函館パークホテル(新川町29)、天然湯の川温泉「湯っ多里」(湯川町2)など系列店の女性従業員計約20人が着用する。

 浴衣は、従業員がそれぞれ好みで選んだ綿生地に、朝顔や桜などの花模様があしらわれたデザイン。同ホテル本館ではこの日、女性従業員4人が青や水色、格子柄など色とりどりの浴衣に身を包み、フロント業務のほか、ビアガーデンやレストランなどで接客に当たった。

 同社によると、年々“浴衣接客”は市民に浸透を見せ、最近は浴衣姿で来館する女性の姿も少なくないという。今シーズン初めて浴衣に袖を通したという従業員の笠谷佳代さん(20)は「帯の締め付けがきつく動きづらいが、お客様に喜んでもらえたらうれしい。従業員一丸で函館の夏を盛り上げていきたい」と話していた。(森健太郎)


◎インサイド 支庁再編 知事と地方の埋まらぬ溝
 【江差】支庁再編を目指す高橋はるみ知事は、10日開会の第2回定例道議会に総合振興局設置条例案を提案した。江差町など支庁廃止地域は提案強行に猛反発し、道町村会など地方4団体も態度を硬化させている。条例成立に意欲を示し、4団体トップの説得に乗り出した高橋知事だが、不信感を強める地方側との溝は広がる一方だ。(松浦 純)

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 1月、再編案の説明のため江差町を訪れた嵐田昇副知事。会場は400人の住民で埋まった。冒頭で住民が「経済効率を優先した改革に疑問を感じる」と迫った。嵐田副知事は即座に「財政再建のための改革ではない」と言い切った。だが、3月の定例道議会では説明が一転。高橋知事は6日の記者会見でも、大阪府の橋下徹知事を引き合いに、道財政の再建に向けた支庁再編に意欲を見せた。

 濱谷一治江差町長は「道の説明は二転三転する。まったく信用できない」と憤る。高橋知事は13日の道議会で「支庁制度改革推進本部」を庁内に設け、来年度の体制移行を目指す考えを強調した。濱谷町長は「道の手順はおかしい。庁内議論や地方との対話を重ねてベストな提案をするのが筋道だ。こうした姿勢が拙速と批判される理由だ」と語る。

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 高橋知事は10日、道市議会議長会長、道町村議会議長会長と個別に会談したが、両会長は「支庁廃止地域の理解が前提」と、慎重姿勢を崩さなかった。11日に会談した、道市長会長の新宮正志・室蘭市長も「非常に危機感を持っている」と、拙速な条例提案に懸念を示した。高橋知事が自ら乗り出した説得は不発に終わったが、地方側では「提案前に議論はできたはず。道議会向けのアリバイ作りだ。説得に応じない地方に“抵抗勢力”のレッテルを張るつもりか」(関係者)との声も。

 また、道町村会長の寺島光一郎乙部町長とは、対話の糸口が見いだせない状態だ。財政難や過疎化に苦しむ町村にとって、支庁再編は浮沈にかかわる問題だ。道町村会は、道行政の複雑化を招き、支庁廃止地域から農林水産業など、地域振興にかかわる職員や権限を引きはがす再編案であると、異議を唱え続けてきた。

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 「道町村会は昨年から検討状況の説明を求めてきたが道は応じなかった。慎重な議論を求める145町村の総意を無視する姿勢は理解しがたい」と語る寺島会長。「支庁再編のメリットは何もない。再編で打撃を受ける仲間を見殺しにできない」として、高橋知事との対決色を鮮明にしている。

 道町村会は、地方4団体でも最大勢力。道議会でも「道町村会を無視して地方の理解を得たとは言い難い」との声も上がる。知事与党の自民党・道民会議では、支庁廃止地域やベテランの道議を中心に反対意見や慎重論が根強い。同じ与党の公明党も、地方4団体の理解が得られない状態での採決には慎重だ。支庁再編をめぐる論戦が過熱している定例道議会でも、知事の地方との“対話姿勢”が問われそうだ。


◎22日に朝市市民感謝祭
 毎年恒例の「函館朝市市民感謝祭2008」(函館朝市協同組合連合会主催)が22日、同朝市駐車場などで開かれる。会場には活イカ釣りコーナーをはじめ、ミニ丼やカニ汁、焼き物などの販売コーナーを設置。会場内3カ所の特設ステージでは全国の大道芸人が集結して日本一を決める「全国大道芸グランプリIN函館朝市」の開催も企画している。

 函館の観光スポットの一つとして定着している函館朝市の活気や対面販売の良さを広く市民に知ってもらおうと、1998年から年1回開催しており、今年で11回目を迎える。大道芸の大会は道内初で、今後の継続事業化も見据えている。

 目玉となる大道芸人のパフォーマンスは午前8時20分に開幕。98年に「大道芸ワールドカップin静岡」でチャンピオンに輝いた、パフォーマーKAMIYAMAさんを特別審査員に招き、全国各地の大道芸人9組が頂点を目指して自慢の妙技を繰り広げる。KAMIYAMAさんのパフォーマンスはメーン会場で午後零時25分から午後1時。

 特売コーナーでは、卵やホッケ、ホタテなどがそれぞれ数量限定で市価より割安に販売。このほか、同連合会加盟の朝市各店でも一品ずつ特価品を売り出すという。同連合会の成田晃浩事務局次長は「朝市は観光名所としての側面だけでなく、市民の台所でもある。地元の人に日常的に利用してもらえるきっかけになれば」と多くの市民の来場を呼び掛けている。問い合わせは同連合会事務局TEL0138・22・7981。


◎大森浜で海洋体験学習
 海や水産物について学ぶ「浜辺の漂着物を調べてアート体験しよう」(函館市教委主催)が15日、市立博物館(青柳町17)などで開かれた。参加者は大森浜で拾い集めた貝殻やコンブなどを使ってアクセサリーを作り、ふるさとの海への理解を深めた。

 国際水産海洋都市・函館の将来を担う子どもたちに海の魅力を伝えようと、市教委が06年度から実施している「水産・海洋学習プログラム」の一環。この日は、市内の小学生とその保護者ら約10組が参加した。

 同博物館で学芸員のレクチャーを受けた後、参加者はビーニール袋や火ばさみを手に大森浜へ。浜辺では軍手姿の親子連れが打ち上げられた貝や海藻、空き瓶などを熱心に“品定め”して、作品の構想を練っていた。

 参加者は午後から、拾い集めた漂流物を利用してアート作品の製作にいそしんだ。母親と参加した函館上湯川小2年の桑原祐皓(ゆうご)君は「こんなにウニや貝の殻があるとは思わなかった。宝探しみたいで楽しい」と笑顔だった。(森健太郎)