2008年6月24日(火)掲載

◎昭和小でプール開き
  函館市内が初夏らしい陽気に包まれた23日、函館昭和小学校(秋元順一校長、児童506人)でプール開きが行われ、子どもたちが待ちに待った初泳ぎを楽しんだ。

 セレモニーは、5、6時間目のプール学習の前に6年生だけで行われ、秋元校長が「けがのないよう約束を守り、水泳の技量をアップできる学習にしてほしい」とあいさつ。代表児童9人がクロールや平泳ぎで「泳ぎ初め」をした。

 この日は室温34度、水温26度というプール日和で、準備体操を終えた児童75人が一斉にプールへ入った。最初は「冷たーい」と言っていた児童たちも、すぐにバシャバシャと水しぶきを上げ、大はしゃぎ。泳ぎ初めを披露した時兼裕也君は「自分たちで掃除し、きれいになったプールで泳ぐのは気持ちいい」と笑顔だった。

 プール学習は、市内の多くの小学校で6月下旬から9月中旬ごろまで実施される。 (宮木佳奈美)


◎道南公立小中学校「耐震性なし」58%
 文部科学省の調査によると、渡島、桧山両管内にある公立小・中学校の校舎と体育館計692棟のうち、大規模地震で倒壊の危険性が高い「耐震性なし」と判定された建物は、4月1日現在で402棟、58・1%に上ることが23日までに分かった。耐震診断の実施率平均は75・2%で、都道府県別で最下位の道内平均(74・1%)は上回ったものの、全国平均の93・8%に比べて大幅に低かった。耐震診断を全く実施していない自治体も福島など6町ある。(新目七恵)

 調査結果によると、現行の耐震基準(1981年施行)以前に建設された全施設数に対し、耐震診断を行った施設数の割合(耐震診断実施率)は松前町など4町で100%だった一方、福島、森、長万部、乙部、せたな、今金の各町が0%だった。このうち、小学校1校の改築工事を予定しているせたな町を除く5町は、本年度中の実施予定はない。知内、上ノ国両町は同年以前の建設施設はなかった。函館市は93・5%、北斗市は81・1%だった。

 82年以降の建設施設や耐震補強済みの施設数などの割合(耐震化率)は、木古内町が両管内で最低となる28・6%。続いて函館市(31・2%)、松前町(31・8%)、奥尻町(33・3%)の順。北斗市は42・2%だった。本道の耐震化率は48・4%、全国は62・3%。

 中国・四川大地震で多くの学校が倒壊したのを受け、政府は改正地震防災対策特別措置法を18日に施行、学校施設の補強工事費の国庫補助率を引き上げるなどした。文科省は各自治体に今後3年間で施設耐震化を進めるよう要請しているが、自治体の財政難などを背景に耐震診断は進んでいない。

 道教委は本年度、耐震診断を実施していない道南5町を含む道内22市町に職員を送り込み、簡略的な1次診断を支援するモデル事業に取り組む方針だ。


◎「テアトル シネマ」26日で閉館
 函館市松風町15の「テアトル シネマ」(石黒貴之社長)が26日の営業を最後に閉館することが、23日までに分かった。全国的な成人指定映画の制作不振に加え、道南経済の低迷や医療費・年金問題など社会保障の不安定化から、高齢化する固定客の足が遠のいたことなどが理由。市内映画館で唯一、昭和時代から52年間にわたり営業を続けていた老舗劇場が、また一つ姿を消す。

 テアトルシネマは1956年、「近代テアトル」として松風町内でオープン。当初は邦画の2番館(封切り後の次に上映する映画館)としてさまざまな作品を上映していたが、日活の制作路線変更に伴い、75年ころから成人映画専門となった。98年に現在地に移転し劇場名も改称した。

 同映画館によると、全国的な成人映画低迷などを背景に映画会社の制作本数が減り、十分な上映作品を用意しにくくなった上、大門地区の集客力の低下なども重なり、閉館を決めた。年間の売り上げはピーク時の91年に比べて6割程度にまで落ち込んだという。今後の土地と建物の利活用については未定。

 3代目となる石黒社長(43)は「閉館は残念だが、長い間支えてくれたファンの皆さんに心から感謝したい。この映画館の存在をいつまでも覚えてくれるとありがたい」と話している。これまでの愛顧に感謝し、最終日は鑑賞料金を1000円とする。

 市内の映画館は全盛期に25館を数えたが、テレビやDVDの普及などで年々観客が減り、それに伴い劇場数も減少した。テアトルシネマの閉館で、「シネマ太陽函館」と「シネマアイリス」の2館となる。(新目七恵)


◎学童保育所「風の子クラブ」の卒所作品が文科大臣賞
 函館市八幡町の学童保育所「風の子クラブ」の2007年度の卒所制作で、当時の小学5、6年生10人が共同制作した絞り染め作品「北の大地に生きる」が、第67回手工芸美術展(東京、日本手工芸文化協会主催)の文部科学大臣賞を受賞した。2年前から市内の元教員大内克子さん(63)の指導を受け、同クラブとしては2度目の応募で最高賞に選ばれる快挙を成し遂げた。作品は24日から29日まで東京都美術館で開かれる同展に展示される。(宮木佳奈美)

 3月まで同クラブに通っていた立石勇気君(五稜中1年)の卒所制作で1月から作業に取り掛かり、3月に完成。当時5年生の清水聖也君、飛内俊亮君、松下達哉君、中田祐樹君、山谷武君、水口雄介君、守村千里さん、山石朋実さん、大山純奈さん(いずれも八幡小6年)の9人が協力した。立石君は28日に同美術館で開かれる授賞式に出席する。

 作品は縦174センチ、横90センチの大きさ。北海道の動物をテーマに、図鑑などで調べてシマフクロウ、ヒグマ、エゾシカ、キタキツネの下絵を描いた。これを基に綿生地を縫い、模様を表現して染める「絞り染め」と、ろうを塗って染める「ろう結染め」を融合させた技法で仕上げた。背景は2色に染め分け、上部が藍色で水と空、下部は緑色で森をイメージ。フクロウの羽毛やキツネのふわふわとした毛、クマの硬い毛など細部も表現した。

 フクロウを手掛けた立石君は「羽毛の細かい部分に苦労したが、最高の賞をもらって挑戦したかいがあった」と喜ぶ。水口君は「あまりできない体験だから作ってよかった」と笑顔、大山さんは「まさか受賞するとは思わなかった」と驚く。

 「絞り染め」と「ろう結染め」の組み合わせは、大内さんが東京都内の小学校に勤務していたときに考案した技法。高度な技術が必要で珍しい作品という。大内さんは「子どもの感性がいい結果で表れた作品を多くの人に見てほしい」とし、作品を展示してもらえる公共施設などを探している。問い合わせは同クラブTEL0138・42・2605へ。


◎支庁再編 桧山7町議会が反対決議
 【江差】桧山管内の7町議会は23日までに、支庁再編の関連条例案を道議会に提案した高橋はるみ知事に抗議、あらためて支庁機能の充実・強化を求める決議を議決した。支庁再編をめぐっては25日、道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)などが主催する緊急抗議集会が札幌市内で開かれる。

 管内7町では17日から定例町議会が開会。上ノ国、乙部、江差、奥尻、今金、せたなに続き、厚沢部町が23日に決議案を可決したことで、全ての町議会で決議が出そろった。

 一方、緊急抗議集会に呼応して、江差町からは約60人の住民代表や町議会議員が、札幌の道庁周辺で9日に続く第2波の抗議行動を展開する。同集会への合流も予定している。同日は道議会予算特別委で行われる高橋知事の総括質疑を、江差町議会や留萌市議会の議員らが傍聴し、支庁廃止地域の懸念をアピール。

 26日には道議会の道州制・地方分権改革等推進調査特別委も開かれ、支庁廃止地域の住民らが傍聴に参加する予定。

 高橋知事は23日、留萌支庁が統廃合される留萌市を訪れ、市町長や議会議長、産業団体代表と会談した。地元側は「条例提案前に説明すべきだ」と反発した。高橋知事は江差町、日高管内浦河町にも直接会談を求めているが、「道議会での採決目前に申し入れがあっても誠意を感じない」(濱谷一治江差町長)として、両町とも応じない方針だ。 (松浦 純)


◎来春閉校の恵山高で最後のホッケの薫製作り
 来春閉校する市立函館恵山高校(日向稔校長、生徒13人)の生徒たちが、最後の水産体験学習としてホッケの薫製作りを行った。前身となる水産高校の取り組みを引き継ぎ、普通科に転換した後の1987年から毎年続けていた同校独自の活動で、砂糖や塩などの配合率は先輩から受け継いだ資料を基にした“伝統の味”。日ごろの感謝を込めて近く、完成品を地域住民にプレゼントする予定だ。

 この体験学習は地域の主幹産業である水産業への理解を深め、ものづくりの喜びを感じる貴重な機会とするのが狙い。2年生が春にホッケ、3年生が秋にサケを使って薫製作りに挑戦していたが、今回は同校最後の年度として、在校する3年生13人が昨年度に続いてホッケの薫製作りに取り組むことになった。

 作業は高岱町の旧校舎敷地内にある水産加工場で6月上旬に始まった。生徒は地元から仕入れたホッケ260枚をさばき、身を水洗いして砂糖や塩などに2日間漬け込んで味を付け、乾燥室に並べるためのつるし作業に励んだ。

 3、4日後、乾燥したホッケを指導教員らが薫煙室に移し、約1週間後に取り出して真空パックに詰めた。

 湯澤洋二君(18)は「うまくできた自信がある。最後の薫製なのでぜひ味わって食べてほしい」と笑顔で話していた。薫製作りの指導に当たった安芸宏和教諭(36)は「薫製は評判が良く、食べた家族や住民から感謝される喜びを知った生徒が、今回は特に一生懸命に、丁寧に作業していた」と話している。(新目七恵)


◎厚沢部町議会、恐喝未遂容疑逮捕、若佐氏の辞職勧告を可決
 【厚沢部】厚沢部町議会は23日の第2回定例会で、恐喝未遂容疑で逮捕され、その後不起訴(起訴猶予)処分となった若佐清春氏の議員辞職勧告決議案を賛成多数で可決した。賛成7人、反対3人の賛成多数で、決議は「町議会議員としての品位を著しく損ない、信用を失墜させた」と指摘している。(松浦 純)

 若佐氏は4月30日、産業廃棄物の不適正処理を口実とした恐喝未遂容疑で逮捕されたが、函館地検が起訴猶予とした。若佐氏は事件後、町議会議会運営委員長、厚沢部土地改良区理事長を辞任。決議については「道義的責任を感じている。今後は一議員として責任を全うし、信頼を回復したい」としている。

 この日の議会は、後任の議会運営委員長に山崎孝一氏を選出。道の支庁制度改革に反対する決議を全会一致で可決した。決議では、道の支庁再編関連の条例提案を拙速とし、桧山管内の基幹産業である農漁業の振興に向けた支庁機能の強化を求めた。

 定例会は、総額1億807万円の一般会計補正予算案など7議案を可決、同日閉会した。本年度の一般会計総額は37億8394万円となる。

 補正予算では、地上波デジタル放送の開始に伴う中継局整備に7850万円を計上。整備費のうち2分の1を国が補助する。また、高齢者住宅の整備や高齢者福祉モデルの検討などを進める町の独自プロジェクトに1100万円を計上。プロジェクトは、道の「地域再生チャレンジ交付金」の対象事業に採択され、道が事業費のうち1000万円を補助する。