2008年6月25日(土)掲載

◎留守中の交番 OBが守る…中央、西署で「交番協力員」運用開始
 北海道洞爺湖サミットの期間中、会場周辺などの警備に多くの警察官が派遣され、不在になりがちな交番を警察官OBが支援する「交番協力員」の運用が23日から、函館中央、函館西の両署で始まった。38人の協力員は、パトロールなどで警察官が留守中の交番にいて、道案内のほか拾得物や事件、事故について本署に連絡するなどし、交番業務を地道に支える。

 協力員は両署の本町や湯川、青柳など10交番に配属された。このうち、函館市本町や梁川町などを管轄する函館中央署「本町交番」(本町7)では、道警刑事部鑑識課や道警函館方面本部鑑識課などに勤務し、1990年3月に退職した市内在住の金谷寿雄さん(76)が活動を始めた。

 同交番で24日朝に開かれた出動式では、石山伸幸警部補(43)ら3人の署員が「体に気を付けて活動してください」などと金谷さんを激励。金谷さんは「交番に警察官がいるといないとでは市民の安心感が違う。元警察官だったからこそ、事件や事故を迅速に連絡することなどの対応ができると思う。約50年前に交番で勤務していたころの経験を思い出しながら頑張りたい」と話した。

 同交番の菊地誠司巡査(21)は「先輩の近くで仕事をするので気が引き締まる。市民と接するコツなど、さまざまなことを吸収したい。連携を強く取りながら、まちの安全を守りたい」とした。

 協力員は、道警OBでつくる北海道警友会のメンバーの中から希望者を募った。同サミットが終わる7月9日までの間、ボランティアで活動する。繁華街や住宅街、大型商業施設などを多く抱える交番に配置され、活動中は青地に赤で「交番協力員」と書かれた腕章を着用している。

 函館中央署の斉藤智昭副署長は「長年培った経験を生かして地域住民のために貢献していただけるということで、大変感謝している」と話している。(水沼幸三)


◎昨年度 給食費未納630万円…函館市内公立小・中学校
 函館市内の公立小・中学校の昨年度の給食費の未納額が計約630万円に上ることが、24日までに分かった。徴収率は99・28%で「道内の主要都市としては高い」(市教委)が、未納の保護者対応を任されている学校では滞納対策が進まず、「教育現場で対応するのはもう限界」との声も出ている。未納率は学校ごとに異なるが、献立は市内各ブロック単位で決めており、収納額との調整のためにブロックや学校間で食材に差が出たり、おかずの分量が減ったりするなどの影響も出ている。食材の高騰なども直撃し、献立調整のやりくりに追われる給食関係者は悲鳴を上げている。

 給食費は学校給食法で原則保護者負担と定められ、市内は学校単位で徴収している。献立は栄養教諭が考え、年度末に徴収額に見合うよう食材などで調整している。

 市教委によると、昨年度の給食費未納額は小学校で約301万円、中学校で約329万円。小学校で約1万3744食分、中学校で約1万1792食分相当になる計算だ。過去5年間の徴収率は03年度が99・14%、04年度99・27%、05年度99・33%、06年度99・26%と推移している。

 学校現場では滞納者に対し、督促状を出したり、教頭らが家に出向いて理解を求めたりしているが、解決は難しいのが現状。中には、納付能力があると思われるのに支払う意思がない親や、催促した学校側に怒りをぶつける親もいるという。複数の学校関係者は「子供への影響も考えると、教員が取り立てるのは教育的に良くないのでは」と漏らす。

 未納は献立にも影響している。小麦や乳製品など原材料の相次ぐ値上げ、中国産から国産、道産への切り替え促進などを背景に、市内のいくつかの小学校では既に4、5月で数十万円の赤字が出ており、ある給食関係者は「今後は果物の分量減や豚肉の部位の変更などでやりくりしたいが、ことしは特に見通しがきかず、未納があると調整のしようがない。給食の質の低下を招きかねない」と危機感を募らせている。

 こうした状況について、市教委保健給食課の紫前雅夫課長は「函館市の給食会計は学校長が徴収義務を負う形とし、校務の一環として学校側に協力をお願いしている。給食運営そのものに支障をきたすと判断した場合には、自治体としての対応も検討する」と話す。

 渡島管内では北斗市が2月、滞納者に対して函館簡裁に「支払督促」を申し立てる法的措置に踏み切ったほか、全国的には自治体が滞納者の給与の差し押さえを行う強制執行などの事例もある。(新目七恵)


◎3町長が異議申し立て…支庁再編
 【札幌】支庁廃止対象地域となっている江差町の濱谷一治町長、日高管内浦河町の谷川弘一郎町長と泉亭俊彦石狩管内当別町長が24日、市町村の合意を得ないまま支庁再編を強行することは、道民との協働や市町村との連携など、行政運営の原則と理念を定めた「道行政基本条例」に違反するとして、高橋はるみ知事に異議を申し立てた。

 濱谷町長ら3町長は道の谷本辰美総務部行政改革局長を訪ね、異議申立書を提出した。同条例に基づく異議申し立ては初のケースで、道や道議会の対応は未定だ。3町長とは別に、支庁廃止地域の住民を代表して、飯田隆一江差商工会長も同日、同様の異議申立書を道に提出した。

 3町長は、高橋知事と支庁再編を担当する道職員が、道町村会などを通じた再三の要請にもかかわらず、市町村との対話を怠り、合意形成を得ないまま、支庁再編関連の条例提案を強行していると批判。同条例の「関係市町村の意見を求め、政策に反映するよう努めなければならない」(第17条)とする条項に違反していると指摘している。

 知事と道職員の責務として、条例が定める理念や原則を順守すべきとする条項にも違反しているとしている。

 濱谷町長は「知事は拙速な支庁再編を行うべきではないとする全道180市町村の意見を押し切って条例提案を強行した。市町村との連携協力などを定めた条例に違反しているのは明らかだ」としている。

 同条例は2002年、全国47都道府県で初めて施行され、道政運営の透明化を目的に、道民への説明責任の履行、重要な政策の立案や実行過程では、道民や市町村の意向を把握し、政策に反映することなどを定めており、道民投票の規定も盛り込まれている。(松浦 純)


◎新理事長に山本専務理事…函館商工信用組合
 函館商工信用組合(函館市千歳町9、石井正之理事長)は24日、同市大森町のホテル函館ロイヤルで総代会を開き、同日付で勇退する石井理事長の後任に山本富靖専務理事(55)が就任する役員人事を正式に決定した。

 石井理事長の任期は来年6月までだが、70歳を超える年齢を考慮して経営陣の若返りを図るため、任期途中で退任する意向を固めていた。役員人事は5日に開かれた理事会で決議されていて、24日夕の総代会で報告された。石井氏は理事長を計4期9年間務めた。

 山本氏は大阪府出身。滋賀大経済学部卒業後、76年に北海道拓殖銀行に入行。札幌東支店次長や札幌本店営業部課長を歴任し、97年4月に同信組に出向。拓銀破たん後の98年11月から同信組に入り、審査部長、常務理事などを経て、2000年7月から専務理事を務めていた。

 山本氏は「信用組合の原点である相互扶助の精神を引き続き大切にして、これからも今まで通り地道に着実に職務に当たりたい」と話している。(森健太郎)


◎辻仁成、アントニオ猪木さんが市長訪問…映画「アカシアの花の咲き出すころ」
 函館西高校卒で、はこだて観光大使を務める作家、辻仁成さん(48)が監督する映画作品「アカシアの花の咲き出すころ―ACACIA―」が函館市内でクランクインするのを前に、辻さんと同作品に主演する元プロレスラーのアントニオ猪木さん(65)が24日、函館市の西尾正範市長を表敬訪問した。

 映画は、猪木さん演じる初老の男が、他人に心を許さない一人の少年と出会い、親子のような生活を送りながら、過去に負った苦しみを乗り越えていくという内容。6年ぶりの新作となる辻さんは「猪木さんが函館であれば引き受けてくれるというので場所を決めた。高齢化社会の中で、元気のない日本を活気づけたい」と話した。

 西尾市長は「函館で映画を制作してくれることを光栄に思う。気候的に良い時期で、おいしいものを食べながら、素晴らしい作品を完成してほしい」とし、猪木さんにはこだて観光大使の委嘱状を授与した。猪木さんは「函館から全国にメッセージを送れるように頑張りたい」と語った。

 会談後、猪木さんが西尾市長に気合いを入れる“闘魂注入”はかなわなかったものの、映画初主演となる猪木さんが拳を突き上げるお決まりの「1、2、3、ダー」を披露し、映画の成功を祈った。同作品のロケは25日から7月末にわたって同市内で実施。作品は11月に完成し、公開は来年の予定。(浜田孝輔)


◎北斗産ミニトマト給食に登場
 【北斗】道内有数のトマト産地・北斗市で7月1日から、学校給食に市内で栽培されたトマトが初めて登場する。使用するのは糖度が高く、果汁が飛び散りにくい縦長の新種のミニトマト「アイコ」。市内清川673の農業木村英一さん(57)は「子どもたちに地元のおいしい食材を味わってほしい」と話している。

 市はこれまで地元産の大玉トマトは使用せず、道内外で栽培されたミニトマトを月1回の頻度で使っていたが、地産地消の一層の推進を図ろうと、栄養士らが農家を訪れて試食し、学校給食の食材に選定。本年度は試験的な導入で、児童らの声を聞きながら来年度以降の使用を検討する。

 市内で同種のミニトマトを栽培するのは木村さんを含め3農家だけ。木村さんは2005年度からの試験栽培を経て、07年度から本格的な栽培を始めた。本年度はビニールハウス約100平方メートルに360本の苗を植え、5月下旬から市内の直販所などに出荷している。生活習慣病の予防や老化を抑えるとされる抗酸化物質リコピンを多く含み、購入者からは縦長の形状が食べやすいと好評という。

 木村さんは「子どもたちが喜ぶ顔が一番」と笑顔。収穫量が限られているため、学校給食では1日から18日までの間、6回に分けて出される。(笠原郁実)


◎裁判員選任で集団面接…模擬裁判
 来年5月の「裁判員制度」導入を前に、7回目の模擬裁判が24日、函館地裁で始まった。26日までの3日間、市民から選任された6人の裁判員役が加わり、架空の殺人未遂事件を審理し、判決を出す。この日の裁判員選任手続きでは、候補役の市民らが5、6人のグループで裁判官から面接を受ける質問手続きを同地裁で初めて実施、本番を想定した一連の流れを確認した。

 3日間にわたり模擬裁判を行うのは1月に続き2回目。裁判員候補役として、市内や近郊の企業、団体などの協力を得て、独自に作成した候補者名簿から無作為に選ばれた24人が集まった。

 裁判員選任の質問手続きでは、24人のうち個別面接に13人、集団面接に2グループ11人が臨み、柴山智裁判長が「3日間参加可能か」「審理する事件当事者とのかかわりがあるか」などを質問した。

 個別面接を受けた候補役は「休むことのできない仕事がある」「会社の取締役会があり参加できない」などの辞退理由を述べた。事前の調査で特に辞退する理由がないと答えていた候補役を5、6人のグループとして実施した面接では、1人当たりの面接時間が個別面接と比べ短縮されるなど、手続きの簡略化の効果があった。

 午後からは、抽選で決定した6人が法廷の裁判員席に座り、殺人未遂事件の検察、弁護側双方の冒頭陳述、証人尋問などが行われた。(今井正一)