2008年6月26日(木)掲載

◎未来大の学生が全国の小・中学校へマコンブ発送…南かやべ漁協を青年部を支援
 IT(情報技術)を活用した地域の水産振興に取り組む公立はこだて未来大(函館市亀田中野町)の4年生らは25日、南茅部で採れた生のマコンブを全国の幼稚園や小・中学校など25カ所に発送した。南かやべ漁協大船青年部を支援する活動の一環で、昨年度、東京の3小学校を対象に試行して好評だったため。加工品しか見たことのない子供たちに実物に触れ、コンブや漁村への理解を深めてもらうのが狙い。

 同青年部は2003年度から養殖コンブのオーナー制度を始め、コンブの消費拡大に努めている。同大は06年度からこのオーナー制度をITを駆使して支援する研究を進めており、専用ホームページの立ち上げや運営・管理の技術支援などを行っている。

 昨年度の魚食教育や都市漁村交流を目的とした生コンブの配送で、都内の児童の反応が良かったため、今回は送り先を増やして活動を本格化させた。郵送先は首都圏の小学校のほか、愛I揩`鹿児島、沖縄県の各小・中学校などで、函館市内では函館中の沢小と桔梗学園ききょう幼稚園の2カ所。

 この日、同大システム情報科学部情報アーキテクチャ学科の長野章教授(61)と長野教授の研究室の学生4人が同漁協大船支所(函館市大船町)を訪れ、漁業者が早朝に採った長さ10?前後のマコンブ2本を袋に詰め、箱詰めする作業に追われた。

 同青年部の高谷大喜さん(35)は「子供が興味を持てば消費拡大の地盤づくりになる。漁業者個人ではできない活動でありがたい」と話していた。同大の山本尚希さん(22)は「都市と漁村の交流が広がるきっかけになれば」と笑顔を見せた。長野教授は「大学が都市と漁村の仲介役となり、オーナー制の販売促進や南茅部の漁村振興につなげたい」としている。発送後はアンケートなども実施する。コンブのオーナー制のホームページは、http://www.konbu−info.com/ (新目七恵)


◎支庁再編反対で抗議集会…道町村会・議長会
 【札幌】道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)と、道町村議会議長会(同・川股博空知管内由仁町議会議長)は25日、道の支庁再編に反対する緊急抗議集会を札幌市内のホテルで開いた。渡島・桧山両管内をはじめ、全道の町村長と町村議会議長ら約300人が出席し、道民の視点に立った支庁改革を求める緊急決議を満場一致で採択した。集会には、道庁周辺で合同の抗議行動を行った江差町と日高管内浦河町などの住民約300人も合流。総勢600人の参加者が、支庁再編案の白紙撤回と条例案の可決阻止を求めて気勢を上げた。

 寺島会長は「地方再生を重視する国の方針に逆行する支庁再編は地方切り捨てだ。道民のための改革ではない」と批判。市町村の反対を無視して、条例案を議会提案した高橋はるみ知事に対し、「信頼関係にあった町村会が、意に反して道と対峙(たいじ)することは慚愧(ざんき)に堪えない。条例案の採決を前に一人ひとりが身をていして立ち上がろう」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。

 決意表明を行った濱谷一治江差町長は「疲弊する地方に追い打ちを掛けるのか。政治や行政のするべきことではない」として、再編案の白紙撤回を要求。網走管内佐呂間町の堀次郎町長も「道の進める改革に大義はない。行政改革のためならば全道14支庁すべてで痛みを分かち合うべきだ」と訴えた。

 集会では、支庁統廃合が豊かな自然環境を守り、全道の食料基地となっている町村の衰退に拍車を掛けるとし、(1)道民の視点に立った道民のための改革(2)第2期地方分権改革の動向を見極めた上での改革(3)本庁と14支庁全体での強力な行政改革の推進―を求める緊急決議を採択し、条例案の成立阻止に向けた結束を確認した。(松浦 純)


◎説明責任めぐり紛糾…支庁再編問題で道議会
 【札幌】濱谷一治江差町長ら3町長が24日、市町村の合意を得ずに支庁再編を強行するのは「道行政基本条例」に違反するとして、道に異議申立書を提出した問題をめぐり、25日の道議会予算特別委・知事総括質疑では、与野党双方の議員が、高橋はるみ知事の政治姿勢を「地方の理解を得る努力を欠いている」「条例制定を見送るべきだ」と厳しくただした。

 自民党・道民会議の清水誠一氏(帯広市)は、濱谷町長らが提出した異議申立書について質問。「地域の理解を十分に得てから条例を提案すべきだ。行政基本条例の精神を無視している」とした。高橋知事は「地域に足を運んで理解を得たい」との答弁を繰り返すにとどまった。

 現行14支庁を9総合振興局に再編するのに伴い、14支庁と市部からなる道議選挙区を存続するのは公選法改正が必要となる。道が提案した総合振興局設置条例案は、公選法改正を待って施行期日を定めるとしている。高橋知事は来年4月に支庁再編を行う方針を示しているが。清水氏は「ねじれ国会の中で公選法改正の担保はあるのか。新年度に条例が施行できなければ道政は混乱する。知事は責任を取るのか」とただした。高橋知事は「総務省などに働き掛ける」として、具体的な答弁を避けた。

 行政基本条例の問題については、民主党・道民連合の三津丈夫氏(同)の質疑で3時間余にわたり議事が空転。3町長ら申立人への早急な回答を求めた三津氏の質問に対し、高橋知事は「法的な位置付けを確認して一両日中にも対応する」と答えた。特別委は空転に伴い4氏の質問を26日に持ち越した。 (松浦 純)


◎メンバー2人全国大会へ…しりうち緑の少年団、道代表に
 【知内】植樹や山林の清掃活動、自然観察などで子どもたちの健全育成を図る知内町の「しりうち緑の少年団」(市川瑞樹団長、団員17人)が、7月30日―8月1日の3日間、福島県郡山市や会津若松市の猪苗代湖周辺で開催される「第19回緑の少年団全国大会」(全国緑の少年団連盟など主催)に、道代表として初めて出場することが決まった。道代表は同少年団だけで、引率する同少年団育成会の五十嵐捷爾会長は「活動が評価されてうれしい。全国大会での貴重な経験が今後の活動の弾みになるはず」と喜んでいる。

 ことしで10年目を迎えた同少年団の地域貢献活動と人材育成が評価された形で、全国大会には昨年度の団長の阿部島千優さん(知内小6年)、副団長の岡田桃代さん(同)の2人が出席する。

 同少年団は町民有志によって1998年5月に発足。「自然との共存」を活動趣旨に掲げ、知内町内の山林の草刈りやごみ拾い、緑の募金活動などを精力的にこなし、規律ある団体行動で子どもたちの協調性や自主性もはぐくんできた。

 「森林との共生」がテーマの全国大会には、各都道府県の関連団体から約1500人が集まる。期間中は合宿をし、各団体の活動報告の発表や意見交換を図るほか、清流散策、昆虫観察、遺跡出土品の見学などの体験学習も行われる予定だ。

 同育成会事務局の竹田徹夫さんは「団員を代表して大会に参加する2人には積極的な行動でプログラムに参加し、視野を広げて来てほしい。他の団員の良い刺激にもなる」と期待する。

 阿部島さん(11)は「緑について知識を深め、学んだことを仲間に伝えたい」、岡田さん(11)は「大勢が集まる大会に参加するのは不安もあるが、精いっぱい勉強してきたい。友だちもたくさん作りたい」と声を弾ませている。(田中陽介)


◎国内初のアワビ?痕…豊崎B遺跡でアスファルト塊出土
 NPO法人・函館市埋蔵文化財事業団(佐藤一夫理事長)は25日、同財団が発掘する函館市豊崎町の豊崎B遺跡で、アワビとみられる貝殻痕が付いたアスファルトの塊(366グラム)を出土したと発表した。縄文時代後期後半(3200―3500年前)の集落跡から見つかった。佐藤理事長は「南茅部が交易や技術の中心地だったことを裏付ける貴重な資料」としている。

 同事業団によると、2枚貝とみられる貝殻痕があるアスファルトの塊は1995年に青森県実吉遺跡で発見されているが、アワビとみられる痕は国内で初めて。豊崎Bの周辺ではこれまで、豊崎N遺跡で742グラム、磨光B遺跡で2350グラムと860グラムのアスファルトの塊が見つかっており、南茅部地区では4個目の出土となる。

 今回の塊は3日に見つかり、最大値は長さ13.7センチ、幅9.8センチ、厚さ5.2センチ。貝殻痕の反対側には動物の皮と思われるしわ状の模様があり、揮発を防ぐために皮と貝で包んでいたと推測され、当時の輸送状態もうかがえるという。

 道内でこれまで出土したアスファルトの塊の産地は、秋田県、新潟県、サハリンの3カ所。南茅部で以前に見つかった3個は秋田産だが、今回の塊の産地は今後調査する。当時アスファルトはやじりの固定材などとして使われ高価な物だったため、佐藤理事長は「一度南茅部に来てから分割して道内各地に運んだ可能性がある」とする。塊は半固形状態のため乾燥しないように処理を施し、将来的には市民に公開したい考え。(小泉まや)


◎全編函館ロケ クランクイン…映画「アカシアの花の咲き出すころ」
 芥川賞作家の辻仁成さん(48)が監督を務める映画作品「アカシアの花の咲き出すころ―ACACIA―」の撮影が25日、函館市内で始まった。辻監督にとって6年ぶりとなる同作品は全編函館ロケで制作され、7月末ごろまで行われる。

 撮影された最初のシーンは、ケースワーカー役の北村一輝さん(38)が腹話術の人形を手に、川津祐介さん(73)演じる老人の自宅を訪れるという内容。辻監督やスタッフらが緊張した表情で見守る中、2人は迫真の演技を見せ、無事に終了した。主演のアントニオ猪木さん(65)は26日に撮影入りする。

 辻監督は「難しい芝居を求められるシーンだったが、役者さんの緊張感が高まる中、いいスタートを切れた。元気のない老人、行き場のない少年らが互いに足りない部分を補っていくという、人の交流を描いていきたい」と話していた。(浜田孝輔)