2008年6月27日(金)掲載

◎和洋折衷がトレンド 浴衣商戦本格化
 夏本番を前に、函館市内の百貨店や量販店などで浴衣商戦が本格化してきた。昨年に続いて人気の古典的な和柄の浴衣に加え、ことしはレースやコサージュなど洋風の小物を取り入れた“和洋折衷”の着こなしがトレンド。各店とも個性を主張したい女性のニーズを意識し、浴衣を手軽にアレンジできる小物類にも力を入れている。

 道内最大級の品ぞろえを誇る棒二森屋(若松町17)の呉服専門店「きものサロンつねかわ」は、若者向けに襟に付けるレースや帯に重ねる光沢素材の帯リボンなど小物類を充実。「ことし風に着こなすため、小物だけ買い求める人も多い」と話す。一方、浴衣は2、3万円台が主流で、社会人や主婦層には、モノトーンカラーに肩とすそにだけ絵柄が入った絵羽浴衣を売り込む。

 テーオーデパート(梁川町10)は9800円で浴衣、帯、下駄が3点セットになった低価格商品から2万円以上のブランド物まで展開。レース素材の足袋、帯板など小物類もそろえる。「結び方を自在に変えられる兵児帯(へこおび)や、銀糸の縦線が入った浴衣が売れ筋」と同店。

 「黒、白、紺地に古典的な和柄をあしらった浴衣が根強い人気」と話すのは丸井今井函館店(本町32)。2万円から3万5000円台の浴衣を中心に扱い、今後は8月の港まつりに向け、さらに商品を増やしていくという。

 このほか、イトーヨーカドー函館店(美原1)、長崎屋函館店(同)も売り場の一角に浴衣コーナー設けている。棒二森屋は7月2日まで7階に特設会場を設置し、同3日以降は6階の呉服売り場に移るが、各店とも8月中旬から下旬ごろまで取り扱う。(宮木佳奈美)


◎「報奨金制度」の対象事件に…函館のタクシー運転手強殺
 警察庁は26日までに、函館市港町3の岸壁で2006年12月、北斗市の運転手八木橋朋弘さん(当時42)がタクシー車内から遺体で発見され、売上金が奪われた未解決の強盗殺人事件を「捜査特別報奨金制度」の対象事件に指定した。犯人逮捕に結びつく有力情報の提供者に最高300万円が支払われる制度で、道警函館方面本部管内の発生事件では初めてで、道内の事件でも2件目。道警函本捜査課と函館中央、函館西署でつくる合同捜査本部は、広く市民に新たな情報提供を呼び掛けるとともに、事件の一日も早い解決に全力を挙げる。

 指定された「函館市タクシー運転手強盗殺人・死体遺棄事件」は函館西署に合同捜査本部が設置されている。事件発生以来、延べ約2万5000人の捜査員を動員。現在も33人態勢で事件解決に向け、聞き込みや不審者情報の収集などを続けている。

 これまでに100件を超える情報が寄せられているが、有力な手掛かりは得られていない。約1年半が経過し、捜査は長期化の様相をみせているが、報奨金制度で新たな情報が寄せられることを期待している。

 同制度は未解決事件に関する新たな情報を求める目的で、警察庁が昨年4月に設けた。殺人や強盗、放火などの凶悪犯罪を対象に、警察庁が社会的影響の大きさなどを考慮して指定する。原則、発生から6カ月以上が経過し、各都道府県警に捜査本部が設置されている事件から選ばれる。事件解決への貢献度により、300万円の範囲内で報奨金が支払われる。

 今回、函館の事件のほか、岩手・一関市の強盗殺人事件や愛知県豊川市の強盗殺人事件など4件が対象となった。この5件を含めてこれまでに全国で延べ28件が指定されている。道内では昨年、石狩湾新港での会社員強盗殺人事件(05年1月発生)が初めて同制度の対象に指定された。指定に伴い多くの情報が寄せられているという。

 制度対象の情報提供期限は09年6月26日までの1年間。道警函本捜査課の宮下貴一郎課長は「遺族の無念さを少しでも晴らすために、犯人は必ず捕まえる」としている。

 情報提供は合同捜査本部フリーダイヤル0120・004・179、函館西署TEL0138・42・0110(24時間対応)。


◎条例案きょう可決へ…支庁再編
 【札幌】現行14支庁を9総合振興局に再編する「総合振興局設置条例案」が27日の道議会本会議で採決される。26日には知事与党の自民党道民会議(51人)が条例案に賛成する方針を決め、与党会派の公明党(7人)も同調する方針。自民党では6人前後が反対するとみられるが、野党会派の民主党・道民連合(40人)も再編を支持する8人程度が採決時の退席を示唆しており、条例案は賛成多数で成立する公算が強まった。

 自民は26日の議員総会で、条例案に賛成する方針を正式決定。支庁廃止地域の石塚正寛(留萌市)、藤沢澄雄(日高管内)、松浦宗信(根室市)の3氏は反対する考えで、ベテラン議員も3人前後が反対か採決時退席の考えを示している。採決には党議拘束がかかり、反対議員は党規による処分対象となる。同会派の布川義治幹事長は「直前まで反対議員に理解を求める」と述べた。公明も同日、賛成の方針を決めた。

 民主は同日、条例案に反対する方針で意見集約したが、支庁再編を支持する議員が退席の意向を示すなど足並みが乱れている。共産党(2人)は反対し、中間会派のフロンティア(5人)も反対の方針だが、議員個人の判断を尊重するという。

 道議会の議席数は105人(欠員1)で、過半数は53人。野党・中間会派が全員反対した場合、与党で6人以上が反対に回れば条例案は否決されるが、道幹部や自民党執行部は造反組が少数にとどまるほか、民主側にも造反の動きがあり、「小差での条例可決が可能」とみている。

 27日には支庁廃止に反対する4市町の首長や議会代表ら約60人が本会議を傍聴。江差町からは濱谷一治町長と打越東亜夫町議会議長ら約20人が参加する。

 一方、高橋はるみ知事は26日の道議会予算特別委で、3年間で行うとしていた廃止支庁の職員削減を5年間に延長し、期間を5年程度に絞り、年間数億円の交付金を支庁廃止地域に配分するほか、市町村との政策協議の場を設ける条例制定を検討する方針を示した。(松浦 純)


◎昭和の映画に魅せられて…稲田博さん幼少から映画の資料収集
 【北斗】北斗市内に住む稲田博さん(79)は、昭和時代の映画に関する資料のコレクションを幼少期からずっと続けている。映画雑誌や新聞、ビデオなどその数は膨大で、自宅の室内には貴重な品々がびっしりと並ぶ。戦前の東京に存在した制作会社「大都映画」をはじめ、昔懐かしい日本映画の資料に囲まれて暮らす稲田さんは「唯一の趣味でコツコツと集めた。市内でもこれだけの量は珍しいのでは」と話している。

 稲田さんは八雲町生まれ。小学生のころ、6歳年上の長兄の故・勝三郎さんが大都映画に熱中し、東京から映画雑誌を取り寄せるなど資料収集を始めた。稲田さんは兄の兵役を機にコレクションを引き継ぎ、資料集めにも力を注いだ。国鉄に勤めて長万部駅で働く傍ら、新聞や雑誌を買い集めたり、東京に足を運んでは古本屋で資料を探した。「給料はほとんど映画に注ぎ込んだ」と笑う。

 自室に並ぶコレクションは、集め続けた雑誌「キネマ旬報」や映画専門の新聞「アサヒ藝能新聞」、映画関連本のほか、当時の映画広告の切り抜きまである。ビデオに録画して保管してある映画作品は1950年代を中心に松竹、大映などの時代劇から現代劇まで2000本余に上る。

 中でも、資料集めのきっかけとなった大都映画への思いは強い。人気役者だった大乗寺八郎さんを偲(しの)ぶ会(東京)に戦後間もなく入会し、全国のファンや大都映画関係者とも交流を重ねた。看板スター、ハヤフサヒデトさんとも「親せき並みの付き合い」で、亡くなる前までやり取りした手紙も大事にしまってある。

 9月に同市で行われる「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)では、ハヤフサさん出演の「争闘阿修羅街」(八代毅監督)が弁士付きで上映される。稲田さんは「再びスクリーンで見れるとは感無量」と話している。(新目七恵)


◎「唐草館」丹崎さんがシニアソムリエに合格
 函館市青柳町のフランス料理店「唐草館」の丹崎文緒さん(42)がこのほど、日本ソムリエ協会(本部・東京)認定のシニアソムリエの試験に合格した。道内でも資格を持つのは40人程度という難関で、2004年にソムリエを取得後、初めての挑戦で見事突破した。丹崎さんは「お客さまが料理とワインを一緒に楽しめるようお手伝いができれば」と話している。

 シニアソムリエの受験資格はソムリエになって3年以上、飲食サービス業の経験が10年以上。生産国の特徴やワインに関する法律などの筆記試験、生産年などを見分けるテースティングがあり、ソムリエよりも問われる知識は幅広い。4月21日に札幌市で受験し、5月11日に合格通知を手にした。

 丹崎さんはソムリエに合格してから、周囲に「ワインの専門家」として期待される半面、最初の1年間は自信が持てず、ソムリエのバッチを付けて店に出られなかったという。フランスでブドウやワインの生産者のこだわりに触れるなどし、2年目、3年目と経験を重ねる中で自信を付け、「もう1度3年間を振り返って勉強したい」と力試しで挑戦した。

 夫婦で店を営み、2児の母でもある丹崎さんは、仕事と家事の合間を縫って店の休憩時間などに勉強に励んだ。「好きなことなので勉強は苦にならなかった」と振り返る。

 同店では常時100種類以上のフランスワインを用意しており、銘柄だけでなく生産者にも重点を置くようになった。「生産者のこだわりが味の違いとなって表れるのがワインの奥深さ」と丹崎さん。「函館でもワインについて学べるよう、いろいろな形で協力していきたい」と意欲を見せている。 (宮木佳奈美)


◎函館市議会 20議案可決し閉会
 函館市議会の第2回定例会は26日、本会議を再開し、本年度の一般会計補正予算案など提案された議案20件を原案通り可決した。固定資産評価員に片岡格財務部長を選任する人事案などに同意。地域医療の確保や診療体制の見直しを求める陳情などを採択、意見書案20件を可決して閉会した。

 一般会計は7億3592万円を追加し総額を1231億4592万円とした。病院事業会計は691万円追加して収益的支出の総額は174億3937万円。市立函館病院で適切な処置が行われず双子の胎児が死亡したとして、石狩管内に住む女性とその夫が函館市を相手取り損害賠償を求めた訴訟の和解金として、480万円を計上した。

 市農業委員には本間新氏(市民クラブ)、小山直子氏(民主・市民ネット)、金沢浩幸氏(新生クラブ)を推薦。「大間原子力発電所建設に係る函館市民への安全性に関する説明を求める意見書」では、事故が起きた場合の函館への影響、海産物の風評被害を懸念し、市民や近隣住民への説明が必要とした。(小泉まや)