2008年6月29日(日)掲載

◎福島町でマグロ豊漁願い祈願祭
 【福島】福島町のマグロ漁師18人でつくる福島吉岡まぐろはえ縄船団(新山文明船団長)は28日、町内の吉岡漁港で出漁安全祈願祭を行った。神事で操業の無事を祈り、大漁旗を飾った船で海上をパレードし、今季の豊漁を願った。

 団員の家族や町職員ら約50人が参加。例年、個別に祈願祭を済ませてきたが、情報共有と連携強化で一層の好漁を図ろうと関係者が一堂に会した。

 演歌をスピーカーで流しながらの海上パレードには、団員の家族が乗船。海の守り神をまつる白神神社(白神岬)の沖合で円陣を組むように停泊し、海上にお神酒を注ぎ、手を合わせた。

 津軽海峡のマグロ漁は既に6月から始まっているが、同船団は7月1日から出漁する。まだ群れが入ってきていないことと、原油高による燃料費削減のため。

 新山船団長(58)は「仲間同士で無事に祈願祭を終えることができて良かった。ことしも大漁のあとのうまい酒を飲みたい」とし、ほかの団員も「燃料が高いのは深刻だが、その分マグロをいっぱいとる。何も問題ない」と意気込んでいた。(田中陽介)


◎支庁再編条例案が可決
 【札幌】第2回定例道議会は会期を1日延長した28日未明、14支庁を9総合振興局と5振興局に再編する、総合振興局設置条例案を自民・公明両党の賛成多数で可決した。道は江差町など支庁廃止地域の猛烈な反対を押し切り、条例成立にこぎ着けたが、与党会派の自民党では3人の造反を招いた。高橋はるみ知事は来年4月の条例施行に向け、廃止地域の理解を求めていく方針だが、関係市町との関係修復は容易ではない。廃止地域を対象にした振興策の具体化や条例の施行期日を左右する公選法改正をめぐる国会審議でも厳しい対応を迫られそうだ。

 江差町など支庁廃止地域から駆け付けた傍聴者約60人が注視する中、本会議での採決は28日午前4時20分ごろに始まった。賛否が割れた民主党は会派分裂を避ける苦肉の策として、議員40人が全員退席するという異例の展開となり、与党側から「採決の責任を尽くせ」との声も上がった。

 採決では、自民党の石塚正寛(留萌市)、藤沢澄雄(日高管内)、松浦宗信(根室市)の3氏が党議拘束に反して反対。3氏は「処分は甘んじて受ける。道案がベストという答えは今なお見いだせない」と述べた。

 道は来年4月の条例施行を計画。支庁を振興局に格下げする檜山、日高、根室、留萌の4地域では、道職員の削減に伴う打撃を考慮し、当初案では3年で段階的に進めるとした、職員削減と支庁機能の縮小を5年に延長する。4地域の産業振興などを目的に、1年間で数億円規模となる財政支援も5年程度継続する。

 本会議後に記者会見した高橋知事は、「改革の第一歩をを踏み出した。4地域とは早急に対話を始める」との考えを示した。しかし、条例施行まで10カ月。不信感が頂点に達する関係市町村の合意を得ながら、振興局の組織編成や新たな地域振興策、支援財源の確保、総合振興局への業務や職員の集約に至るプロセスなど、山積する懸案の処理には困難も予想される。

 また、道議会議員の選挙区は、都市部と14支庁の所管区域で区割りしているが、支庁再編後は、総合振興局が支庁に位置付けられ、振興局は出張所扱いとなるため、現行選挙区の枠組みを維持するには、公選法の改正が必要となる。総合振興局設置条例の施行期日も法改正を待って定めるとしている。だが、民主党など野党が過半数を占める参議院では、道の要望通りに法改正が進むかは微妙な情勢。

 江差町などでは、国会審議を支庁再編問題の“第2ステージ”に位置付ける動きもあり、公選法改正が新たな火種となる可能性もある。(松浦 純)


◎支庁再編案可決、格下げ地域 憤り
 【江差】地域を守りたいという思いはエゴですか―。未明の採決を見守った江差町の職員は、がっくり肩を落とした。支庁が振興局に格下げされる、桧山、日高、根室、留萌の4地域は、支庁改革の意義を認めながらも、身近な視線で農林水産業の振興や地域課題の解決といった機能を引きはがす再編案に反対してきた。しかし、道は対話の姿勢を見せることなく、地域振興をめぐる議論も置き去りにしたまま、支庁存続運動の押さえ込みに動いた。4地域には根強い不信感と重い徒労感だけが残された。(松浦 純)

 「支庁の機能と権限は残して欲しいと訴えてきたのに…」。28日未明、江差町と連携してきた日高管内浦河町の担当者が無念の表情を見せた。江差町の担当者も「職員削減は避けられないが、権限や機能まで奪われることは到底納得できない」と憤った。地方における道行政の在り方を問う形で、支庁廃止反対の声は道町村会などを通じて全道に広がった。

 だが、条例成立を目指す道は、地元有力者の切り崩し、町村会の分断、抗議集会参加者への圧力など、押さえ込みに動いた。道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「市町村を意のままに操れるという、道の思い上がりは時代遅れだ。市町村と道は対等の関係にある。政策に誤りがある時は“物申す”という姿勢が地方分権時代には必要」とし、高橋はるみ知事の政治姿勢を疑問視する。

 道町村会は、6支庁案を軸とする再編案が昨年11月、何の前触れもなく「9総合振興局案」に様変わりした理由について、道に説明を求めたが「明確な回答は今もない。真相は闇の中だ。検討過程の情報公開が必要」(寺島会長)。採決で反対に回った自民党の石塚正寛道議(留萌市)、松浦宗信道議(根室市)も「9案の説明がない。道は地方への説明責任を果たしていない」と述べ、道の姿勢が造反の要因となったとしている。

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 28日未明。道議会が空転する中、4地域の職員が語り合った。江差町など“支庁城下町”には、国の出先機関、企業や金融機関の支店が集中しているが、国の行革や景気低迷のあおりで撤退も相次いでいる。

 江差町では、ある国の出先機関トップが「支庁廃止が撤退の理由となるのは確実だ。うちの役所も時間の問題かもしれない」と語る。官公庁の撤退がさらに進めば、踏みとどまっている企業も“総崩れ”となる恐れがある。

 4地域には、急速な過疎化に伴い、市町の財政難、農漁業の衰退、地域医療の崩壊といった共通課題がある。「少ない職員で財政再建に集中している。地域振興に手が回らないのが実情だ。地域に密着した支援こそ必要な時期だ」と江差町は強調する。濱谷一治江差町長は「さらなる官公庁の撤退を危ぐしている。地域を守る使命感に従って行動してきたが、何が良識なのか分からない」と、言葉少なに道議会を後にした。



◎環境サミット、講演やディスカッション
 「環境サミット2008in函館」(函館市主催)が28日、函館国際ホテルで開かれた。明治学院大学国際学部教授で文化人類学者の辻信一氏が「幸せって、なんだっけ?―スローライフとGNH(国民総幸福量)でホンモノの豊かさを」と題して基調講演。パネルディスカッションでは函館市内や近郊で環境保全活動に取り組む団体の代表など4氏が、それぞれの環境への思いを熱く語った。

 7月の北海道洞爺湖サミットに合わせて開催した。会場には、亀田川をきれいにする会や函館の森林の再生と活用を考える会、道南花いっぱい道づくりの会など、11の市民団体や企業が、それぞれの活動を紹介するコーナーを設置。約250人の市民が来場した。

 辻氏は「これまで『豊かさ幻想』が人間を駆り立ててきた」として、戦争に進んだり、国内総生産(GDP)を上げることに躍起になってきた経済活動優先の考え方を批判。ブータンが発したGNHの考え方などを例に、「一人一人が幸せとは、一番大切なこととは何かを考えるだけで、世界の問題の半分は解決する」として、まずは経済を優先する考えを改めるよう訴えた。

 パネルディスカッションでは、特定非営利活動法人(NPO法人)NATURAS代表の赤石哲明氏、ラッキーピエログループ専務の王未来氏、函館青年会議所理事長の寺井慎一郎氏、NPO法人南北海道自然エネルギープロジェクト代表のピーター・ハウレット氏が登壇。体験を通して子どもに自然の大切さを伝えたり、分別を徹底してリサイクルに役立てている活動を伝えた。(小泉まや)


◎野外劇7月4日に開幕/初日は北水、函高専応援団がエール
 第21回市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」は、7月4日に開幕する。ことしは例年より2回多い12回公演で、ファンから要望が多かった日曜日公演も行う。初日の開演前には初めての試みとして、北大水産学部(北水)と函館工業高等専門学校(函高専)の応援団が野外劇にエールを送る。このほか、野外劇を支援する寄付金で税制上の優遇措置が受けられることになり、市民全体で野外劇を盛り上げる機運が高まりそうだ。

 函館野外劇は、NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)が運営。フランスの「ル・ピディフ野外劇」から火種をもらい、1988年から国の特別遺跡「五稜郭」を舞台に、函館の歴史をダイナミックに演じている。スタッフ、キャストはすべてボランティア。ことしは8月10日までの間、毎週金、土曜日を中心に公演する。日曜公演は7月27、8月10日の2回で、8月1、2日は「函館港まつり」のため休演する。

 北水と函高専の応援団による合同応援は、両団にとって初めての試み。両校が一緒に活動する機会を設けようと企画し、同会が登場を快諾した。28日午前には両団員の約20人が会場の五稜郭公園内の特設舞台を訪れ、合同でのエールの動作や礼のタイミングなど、流れを確認した。函高専の高田健司団長(5年)は「本番ではいつも通りのエールを決めたい」と意欲を語り、北水の安部健一郎副団長(4年)も「両校の歌やエールを楽しんでほしい」と話す。2人は「函館、野外劇を心から応援する。ぜひ来場を」と呼び掛けていた。

 ことしは、野外劇を資金的に支援する面でも新たなことが始まる。企業や個人が野外劇に寄付することで税制上の優遇措置が受けられる、特定公益増進法人「企業メセナ協議会」の「助成認定制度」の認定を受けた。

 同制度は企業、法人は5万円以上、個人は1万円以上を同協議会経由で寄付すると、一般の寄付金と違い、税の優遇措置が受けられる。この制度は民間の芸術文化を税制面から支援するもので、野外劇事務局は「野外劇の演劇内容が優れていると評価された証し。恥じないように活動したい」とし、一層の支援を呼び掛けている。同制度についての問い合わせは同事務局へ。

 ことしの公演日は7月4、5、11、12、18、19、25、26、27日、8月8、9、10日の計12回。開演時間はすべて午後7時45分。入場料は大人2000円(前売り1800円)、高校・短大・大学生1000円(前売り900円)、小・中学生500円(前売り400円)、親子セット券2000円(前売りのみで、大人1人と小・中学生のいずれか1人観覧可)。公演などの問い合わせは野外劇事務局TEL0138・56・8601。(山崎純一)


◎高校野球支部代表に函大有斗、函大柏稜、函大谷
 第90回全国高校野球選手権南北海道大会函館支部予選(道高野連など主催)最終日は28日、オーシャンスタジアムで代表決定戦3試合を行った。Aブロックは函大有斗が最終回に松田大将主将(3年)の中犠飛で得た1点を、エース工藤翔太(2年)が3試合連続完封の力投で守り抜き、函中部に1―0で快勝。4年連続35度目の代表を決めた。Bブロックは函大柏稜が足攻などを絡めて着実に加点し、函商に5―4で逆転勝ちを収め5年ぶり3度目の代表権を手にした。Cブロックは函大谷が好機に着実に加点して知内に4―2で逆転勝ち。13年ぶり3度目の南大会進出を果たした。3校は7月13日から札幌・円山球場で行われる南大会に出場し、“甲子園”を目指す。(岡部彰広、小林省悟)