2008年6月3日(火)掲載

◎スルメイカ漁解禁
 道南に初夏の訪れを告げるスルメイカ(マイカ)漁が1日解禁となり、松前沖に漁に出ていたイカ釣り漁船が2日早朝、函館市入舟町の函館漁港に初水揚げした。スルメイカは市水産物地方卸売市場(市内豊川町)で早速競りに掛けられ、その日のうちに市内の鮮魚店などに1匹150円前後で並んだ。

 同市場によると、初水揚げされたスルメイカは、活イカで約200キロと昨年に比べ1トン以上の大幅減。大きさも15センチ、50センチ前後の小ぶりで、市場関係者は「今年は水温が低い状態が続き、例年より2週間ほど(イカの)北上が遅れている」としている。

 価格は、昨年初日の高値(1キロ1200円)を6割ほど上回る1キロ2000円で取り引きされた。卸売業者は「燃料高やしけの影響で出漁を見合わせた船が多かった。初日の値段としてはまずまずでは」と今後に期待を寄せていた。漁は来年1月まで続けられる。 (森健太郎)


◎函館市教委、将来の学校適正数 小学48→30〜35校、中学28→16〜20校
 函館市教育委員会は2日までに、市立小・中学校の再編に関する基本指針の素案をまとめた。小学校は12学級以上、中学校は9学級以上を「望ましい学校規模」として試算した結果、2014年度の適正な小学校数は現在の48校から18―13校減となる「30―35校程度」、2020年度の中学校数は現在の28校から12―8校減となる「16―20校程度」とした。現在、市教委では素案のパブリックコメント(意見公募)を実施しており、今後、保護者や地域の意見を聞いた上で具体的な配置計画を検討し、年度内の策定を目指す。(新目七恵)

 市内では少子化が年々進み、本年度は各学年1学級以下の小学校が全体の44%、中学校が25%となるなど、小規模校化が顕著になっている。これに伴い、児童、生徒の多様な集団活動や部活動の実施が困難になったり、教員が専門教科外の指導を行うなどの影響が出ている。

 こうした状況を踏まえ、市教委はより望ましい教育活動の確保を目的とした市内全域の再編計画に初めて取り組み、07年8月に市学校教育審議会から受けた再編に関する答申を踏まえ、5月末に素案を取りまとめた。

 素案では、今後も減少傾向が続く児童、生徒数の推計と、それに伴う教育活動上の課題などを提示。「望ましい学校規模」について、小学校はクラス替えが可能な1学年2学級を最小規模とした「12―18学級」、中学校は全教科の教員配置可能な規模などで「9―18学級」をそれぞれ目安とし、旧4町村地区など地域性や通学区域の調整などを勘案した上で、将来の市内の適正学校数を試算した。具体的な学校配置に関しては、新函館市総合計画の区分などを基に7つの「再編グループ」を設定している。

 市教委学校教育部では「必ずしも小規模校が悪いわけではないが、社会性が失われる点などもあり、ある程度の学校規模は必要」としている。

 市教委では、7月1日まで素案のパブリックコメントを実施中。内容や資料は市教委のホームページ(http://www.hakodate−hkd.ed.jp/)からダウンロードできる。7月以降には地域別の懇談会も開催する予定。問い合わせは市教委同部TEL0138・21・3550。


◎ツチクジラ初水揚げ
 渡島・桧山管内の日本海沖を操業海域とするツチクジラ漁で、本年度の1頭目が2日に捕獲され、函館市豊川町の豊川ふ頭に水揚げされた。処理場でブロック状に解体したクジラ肉は3日朝に市場で競りにかけられ、同市内や近郊の鮮魚店などで販売される。

 IWC(国際捕鯨委員会)の管理対象外となるツチクジラ漁は、農水相許可による商業捕鯨として、函館では1999年度から捕獲枠8頭で始まり、2005年度からは10頭に拡大。本年度は5月25日に解禁されたが、しけの影響で出港を見合わせたりするなど、実質的な出漁は25日と2日にとどまっていた。

 操業した和歌山県太地町漁協の小型捕鯨船、正和丸(15・2トン)は2日午前3時20分に松前港を出港。同6時半にツチクジラの群れを発見し、松前町江良沖約10キロの水域で、そのうちの1頭を捕らえた。捕獲したツチクジラは雌で、体長約9メートル、重さ約7・5トンと平均的な大きさ。同ふ頭で関係者らが見守る中、ツチクジラはクレーンでつり上げてトレーラーに積載、同市内の鯨体処理場に運び込まれた。

 道南でのツチクジラ操業は30日まで続き、10頭を捕獲した時点で終了となる。 (浜田孝輔)


◎6月石油価格 レギュラー平均170円台突入
 函館消費者協会(米田イツ会長)が行った6月の石油製品価格調査によると、レギュラーガソリン(1リットル当たり)の平均価格は、フルサービス式給油所が前月比10・09円高の172・91円、セルフサービス式給油所が同11・17円高の169・67円と、ガソリン税の暫定税率が復活した5月を除けば過去最大級の値上げ幅を見せた。

 調査対象は函館、北斗両市内の25店舗。レギュラーガソリンの最高値は、フルサービスで182円(前月比16円高)、最安値の店は160円(同2円高)。セルフ式では、最高値が171円(同11円高)、最安値が169円(同)だった。前年同月と比べると、フル、セルフとも35円前後の大幅な値上がりで、価格高騰に歯止めが掛からない状況だ。

 米田会長は「ガソリンの価格高騰はもはや景気の問題だけではなく、国際問題化している。消費者は買い控えで対抗せざるを得ないが、車が必要不可欠な消費者にとっては生活が脅かされている。今後も急激に安くなるとは考えにくく、国の緊急対策を待つしかない」と話している。 (森健太郎)


◎ガソリン170円台突入、石油離れに業界危機感
 函館市内・近郊にある多くのガソリンスタンドは、2日午前中に相次いで値上げに踏み切った。フルサービス式で1リットル当たり172円台、セルフサービス式では169円台が主流。前日の駆け込み給油で、この日は給油する人も少なく、スタンドは閑散としていた。

 市内でスタンド10店を展開する燃料販売店は13円引き上げ、フルサービス式が1?当たり174円、セルフサービス式は同169円に。「本当は1日から値上げしたかったが、日曜日しか車に乗らない客の需要に応えて遅らせた」と話す。

 4月から6月にかけ、暫定税率の失効と復活、追い討ちをかけるように原油価格の高騰と、消費者も小売業界も振り回されている。市内の別の販売店は「元売りが値段を上げるからどうしようもない。もうけようと値段をごまかしているわけではないのだが…」と嘆く。

 渡島・桧山管内の石油小売業113社が加盟する函館地方石油業協同組合(和田善助理事長)によると、1リットル当たり170円を突破したのは1970年代のオイルショック以来。消費者の買い控えも顕著で、暫定税率が復活した5月は全体で2割ぐらい売り上げが落ち、業界への影響も大きい。昨年度は同組合に加盟する4社が廃業、スタンド8カ所が閉鎖され、業界の淘汰(とうた)が進んでいる。

 和田理事長は「今のところ原油価格が下がる要素も見当たらなく、7月以降の価格上昇も否めない。消費者の節約意識が高まり、灯油や重油も含め石油離れに危機感を感じる」と懸念している。


◎ハトレースで加藤さん優勝
 1000キロもの距離を飛ぶ速さを競うハトレース「2008春期北海道南部桜花賞レース」(日本鳩レース協会北海道南部地区連盟主催)がこのほど、鳥取県米子市を放鳩地(スタート地点)に行われ、函館市湯浜町の加藤明裕さん(59)が育てた雄のハト(1歳、体長約25センチ、体重450―500グラム)が見事に当日帰還し、優勝を果たした。当日帰還は道南で25年ぶりの快挙となり、加藤さんは「一生に一度あるかないかの奇跡。今でも信じられない」と喜びをかみしめている。(小橋優子)

 このレースには、道南の24鳩舎から42羽が出場。無事に鳩舎に帰還したのはわずか11羽という過酷さで、函館競翔連合会の三浦義昭会長(59)は「持続的な体力を必要とし、1000キロという長距離レースは通常、一か八かのfイけとして出場するほど帰還は困難。暗くなり始める中、勇気を振り絞って津軽海峡を渡ってきた度胸はすごい」と話す。

 午前5時15分に米子市で放鳩し、自宅の鳩舎に帰還したのは午後6時52分。タイムは13時間37分。まさかと思いながらも鳩舎へ行くといつもと変わらず、平然としたハトの姿があった。加藤さんは「とにかくびっくりして言葉が出なかった」とし、「天候がよく、別のレースに出場したばかりで体が引き締まっていたこと、さらに雌ハトが産卵したため、帰巣したいという本能が芽生えたことが勝利につながったのでは」と笑顔を見せる。

 05年11月から本格的にレースに出るハトを育て、自宅周辺をはじめ、木古内、知内までの長距離練習や、狭い空間に耐える精神力を付けようと、かごの中に長時間入れるなど、さまざまな訓練を行ってきた。今回優勝したハトはレース経験も豊富で、昨年は同連合会の「新人賞」も受賞している。

 現在は、03年に「北海道南部地区ナショナル」(600キロレース)で優勝した三浦会長の雌ハトと種付け中。今後も種付けとして活躍するためにレースへの出場はないが、加藤さんは「最強のペアのヒナを育て、もう一度1000キロレースで優勝する感動を味わいたい」と期待を膨らませている。


◎支庁再編、9日に道庁周辺で合同抗議行動
 【江差】支庁統廃合の対象になっている江差町など道内4市町は2日、札幌の道庁周辺で9日に抗議集会や街頭運動などを行うことを決めた。各市町それぞれ支庁再編に反対する住民、経済団体の関係者ら約200人が札幌入りする見通しで、計1000人規模の動員態勢を組み、道や道議会に桧山支庁など5支庁の統廃合を盛り込んだ再編案の撤回を訴える方針だ。

 抗議活動を行うのは江差町、日高管内浦河町、根室市、留萌市の住民ら。道庁周辺でビラ配りや総決起集会を開き、抗議の意志をアピールする。4市町長と市町議会議長は、高橋はるみ知事や道議会各会派に再編案撤回を要請する方向で調整している。

 9日は第2回定例道議会の開会前日。道が支庁再編関連の条例を正式に提案するのは定例会初日の10日で、江差町は「4市町の総力を挙げて条例提案の阻止をアピールしたい」としている。

 一方で“オール桧山”の態勢で、支庁再編への反対を決めた桧山支庁管内町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)や町村議会議長会(同・若狭大四郎上ノ国町議会議長)も、管内の町長や町議会議長らに抗議行動への協力を呼び掛ける方針だ。

 支庁再編をめぐっては、道議会最大会派の自民党・道民会議の支庁制度改革検討協議会(神戸典臣会長)の幹事会が5月30日に道の再編案を了承し、第2回定例会への提案を容認。同会派は3日の議員総会で、最終的な方針を協議する。 (松浦 純)