2008年6月7日(土)掲載

◎森、厚沢部自信のメロンをブランド化
 【森、厚沢部】自信の一品どうぞ―。JA新はこだて(本店・北斗市)は今季から森、厚沢部の両町で生産する赤肉メロンのうち、大玉で糖度15度以上の秀品を新ブランド「さぶりメロン」として出荷する。「あっ“さぶ”」、「も“り”」の町名から命名された新ブランドは9日、函館市内で初せりが行われる予定で、同農協では「ブランドを地域に広げていきたい」と期待する。

 同農協管内でメロンの生産しているのは2町のみ。それぞれ異なる品種を生産していたが、2005年から「地産地消を目指す」と品質の統一化など、検討を重ねた。07年度には規格の統一に着手し、本年度から1・8キロから2キロの大玉で糖度15度以上の秀品を新ブランド化することを決定。一般の赤肉メロンより日持ちし、甘みがある両地場産メロンをリーフレットやラベル、ポスターなどでPRし、地域のブランド化を図る。

 赤肉を扱う森町14農家は2月末の種まき、3月末の定植後、温度や水管理に注意を払い、8日からの収穫作業を待つ。同町白川の農業中澤忠さん(59)の畑ではビニールハウス0・2?に大きく育ったメロンがずらり。中澤さんは「ことしも良いできです」と微笑み、作業に備える。

 「さぶりメロン」に関する問い合わせは同農協本店TEL0138・77・5558。 (笠原郁実)


◎新幹線開業アンケート 6割関東への移動に利用 アクセスに懸念も 
 函館から関東地方への移動手段に新幹線の利用を考えている人が6割近くに上ることが、北海道新幹線開業はこだて活性化協議会(森川基嗣会長)がまとめた新幹線新函館駅開業に関するアンケート結果(速報)で分かった。地域の新幹線に対する高い関心を示すデータとなった一方、新函館駅へのアクセスや現在のJR函館駅周辺へのマイナス効果を懸念する声も多く、開業前に期待と不安が交錯する市民の本音が浮かび上がった。0ァ40ィ(森健太郎)

 アンケートは4―5月、函館商工会議所の会員事業所や同協議会の所属企業などに配布。選択方式で、函館市内を中心に計1068人から回答を得た(回収率49・7%)。

 開業後に関東への移動に新幹線を利用すると答えた人は57・2%で、その理由について「乗り換えなしで目的地まで行ける」(46・6%)、「運休のリスクが少なく、移動時間が確実に読める」(44%)などが目立った。利用しない理由としては「航空機の方が乗っている時間が短い」(82・8%)、「新函館駅まで遠くて不便」(47・8%)などが大半を占めた。

 現函館駅から新函館駅まで約18キロの距離感については、75%以上の人が「遠いイメージ」と回答。新駅までの移動手段は「自家用車」が61%に上った。一方、在来線やバスは所要時間が長く、運行頻度が少ないとして敬遠されがち。乗り換え負担の軽減や所要時間の短縮を求める声が多かった。

 地域社会・経済への影響では、交流人口や観光客の増加、経済波及効果の拡大などの期待感から「プラスに作用する」が63・6%に達し、「マイナスに作用する」(16・6%)を大きく上回ったた。ただ、現函館駅周辺への影響に限定すると「プラス」「マイナス」ともに約38%で、中心市街地としての存在感の低下を危惧(きぐ)する人が目立った。

 同協議会は現在、観光客向けにも同様のアンケートを実施しており、今回の調査結果と合わせて9月にも開業に向けたアクションプラン(行動計画)をまとめる方針。 (森健太郎)


◎支庁再編 高橋知事が条例提案を表明
 【札幌】高橋はるみ知事は6日、道庁で記者会見を開き、現行の14支庁を9総合振興局に再編する支庁設置条例改正案を10日開会の第2回定例道議会に提案する方針を明らかにした。支庁再編をめぐっては、支庁廃止対象の江差町など4市町が猛反発しているほか、道町村会など地方4団体の反対により、道議会最大会派の自民党・道民会議は、条例提案を容認したが、賛否をめぐる会派の意見集約ができない異例の事態に陥っている。条例案の採決は会期末の27日に行われる見通しだが、会期内での条例成立を目指す道と、支庁再編阻止を掲げる地方のし烈な攻防も予想される。

 高橋知事は会見で「改革に踏み出さなければ道財政が立ち行かなくなる」と強調。支庁廃止地域について「懸念は理解している。地域の政策課題に対して柔軟な支援を講じたい」と述べ、支庁廃止後から複数の年度にわたり、地域の産業振興などに向けた、数億円規模の財政支援を行う考えを示した。

 この中で、桧山管内については「新幹線開業を見据えた広域観光の推進やインフラ整備、漁業や水産加工など地域に密着した産業振興に取り組むことが道南全体のレベルアップにつながる」とした。

 再編案に対して、道市長会、道市議会議長会、道町村会、道町村議会議長会の地方4団体が、支庁再編に反対姿勢を示しているほか、知事与党の自民党・道民会議の一部でも反対論が根強いことについては「4団体とはできる限り早く直接話したい。ご満足いただける振興策を示したい」と述べた。

 一方、道市長会など地方4団体は同日、「道民をはじめわれわれの理解が十分に得られていないにもかかわらず条例案の提出を表明したことは極めて遺憾」とする4会長連名の緊急声明を発表。条例案を審議する道議会に対しても「道民をはじめ4団体の声にあらためて思いをいたし、審議されるよう強く望む」とした。道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「全道180市町村だけでなく、多くの産業・経済団体からも反対の声が上がる中、条例提案を強行することは理解に苦しむ。全道14支庁管内の町村会とも協議して必要な対応を取る」としている。支庁再編をめぐっては江差町など4市町の住民が9日、道庁周辺で大規模な抗議行動を計画している。(松浦 純)


◎絵本から響く混声合唱 函館メサイア 史実に基に作製
 音楽文化を中心に函館の地域活性化を目的とした各種活動に取り組む「函館メサイア教育コンサート実行委員会」(委員長・松原仁公立はこだて未来大教授)が、函館が混声合唱の発祥地だったという史実を基にした絵本を作製した。2006年に市民が文をまとめ、市内に住む木版画家の佐藤国男さんが絵を担当した作品。7月には出版を記念したイベントを市芸術ホール(五稜郭町37)で開く予定で、同実行委音楽監督の徳永ふさ子さんは「多くの人に活用してもらえれば」と期待を寄せている。

 作品は、道内の地域文化の継承を目指して道が行っている「伝えたい北海道の物語」コンテストで、06年度の優秀賞に選ばれた「実行寺の小坊主 とっ珍さんはおおいそがし」。1858(安政5)年、函館に着任した初代ロシア領事ゴシケヴィチ一行が市内の実行寺に止宿し、境内に建てた仮聖堂や函館ハリストス正教会で混声合唱を歌う様子を、寺の小坊主の「とっ珍さん」の目を通して描いている。同コンテストの応募作品は道のホームページで紹介されているが、製本化はされていない。

 同実行委は05年に発足して以来、混声合唱発祥の地として特色ある音楽文化を守ろうとヘンデル作曲の「メサイア」などの合唱曲の演奏会やワークショップ、講演会などに取り組んでいる。今回、絵本の内容が「自分たちの活動の原点」として昨秋から製本化を企画し、今年に入ってから準備を本格的に進めてきた。

 絵本はハードカバータイプのA4判(1575円)とA5判(630円)の2種類。「より多くの人に伝えたい」と、文章はすべて英語とロシア語の翻訳文を併記し、1800年代後半の函館の街並みを記す絵図の資料なども加えた。各2000部印刷し、函館市にも寄贈する予定。

 徳永さんは「多くの人や機関の協力があってこそ完成した。函館が日本で初めて混声合唱が響いたまちという史実を多くに知ってほしい」と力を込める。原作文を担当したあまさかゆうさんも「徳永さんたちの熱意に感服。2年前の作品が絵本になり世界に発信されることは非常にうれしい」と喜んでいる。

 絵本は7月21日に同ホールで午後2時から開く「函館メサイア2008」の会場で販売するほか、現在予約を受け付け中。問い合わせは同実行委事務局TEL080・5583・6832。(新目七恵)


◎公共性やデザイン重要 利活用へ検討委が意見…駅前市有地
 長く懸案となっているJR函館駅前の市有地など約1万平方メートルの活用方法を探る検討委員会(委員5人)の初会合が5日、市役所会議室で開かれた。委員長に北大大学院工学研究科の瀬戸口剛・准教授(都市計画)を選出し、有効活用に向けて意見交換。従来の概念にとらわれず、低容積でデザイン性や公共性がある施設や空間が必要ではないか、とする意見が寄せられた。

 同地は、ホテルルートイン函館駅前の裏側で、市土地開発公社と市所有が約6800平方メートル、JR北海道所有が約3100平方メートル。事務局の市企画部が、市の土地区画整理事業で整備され、1997年3月に策定された駅周辺の土地利用基本計画で青少年科学館、総合情報センターなどの整備が盛り込まれたことなどを説明した。

 意見交換では「対象地はホテルなどの裏側で、国道5号からも距離がある。施設を建てるとするならば、新たな動線が生まれるよう、集客力や魅力を持たせなければならない」「商業施設は難しく、サービス性と公共性のあるものをミックスしたものが望まれる」「函館の“顔”であり、居心地のいい公開空地やデザイン性が必要では」などの意見が寄せられた。

 7月末まで委員会を3回開く予定で、活用方針をまとめて市長に提言する。市の渡辺宏身企画部長は「民間の力を導入しながら、駅前地区の活性化や雇用創出に結び付く活用法の検討をお願いしたい」とあいさつした。

 他の委員は次の通り。

 木村健一公立はこだて未来大学教授、藻谷浩介日本政策投資銀行参事役、渡辺良三函館都心商店街振興組合理事長、桜井健治函館商工会議所常務理事(高柳 謙)