2008年7月1日(火)掲載

◎サミット控え警備強化、厳戒体制
 北海道洞爺湖サミット(7―9日)の開幕まで1週間―。主会場(胆振管内洞爺湖町)から約170キロ離れた函館市内の駅、空港などでも多くの警察官が出動し、警備体制が強化され、物々しい雰囲気に包まれている。道警函館方面本部警備課は「会場から離れているとはいえ、油断はできない。いかなる事態にも対応できるように、万全な態勢を整えたい」とする。厳戒ムードの市内に観光客からは困惑の声も聞かれるが、多くは「安全のために仕方がない」との認識のようだ。サミット目前の市内の様子を探った。

 東日本フェリーのフェリーターミナル(港町3)では30日午前、普段は見慣れない「神奈川県警」と記されたパトカーが目を引いた。道警函本警備課によると、同県警と愛知県警からの応援部隊がサミット終了まで市内に滞在するという。

 青森からのフェリー到着時間になると、多くの警察官が出動し、下船する車両や乗客に目を光らせている。函館海上保安部の職員は出港するフェリーに乗り込み、不審物チェックを実施している。

 函館空港でも警備体制は強化されている。ターミナルビルを管理する函館空港ビルデングは6日から10日までの間、空港内のコインロッカーの使用を禁止し、国内線ビル屋上の送迎デッキも閉鎖する。東京に向かう途中の同市内の女性(55)は「サミットが間近なので警察官が多くいるのは知っていた。安全のために警備をし、安心して飛行機に乗れるのだから、ありがたいと思う」と話した。

 警察や関係機関による事前のテロ対策訓練を入念に実施したJR津軽海峡線では、1日から青函トンネルを通過する全列車に警察官が乗り込み、警戒に万全を期す。JR函館駅は6日から、駅員の目に付きやすい場所以外のごみ箱を撤去し、不審物の放置に備えるという。

 ただ、こうした緊迫感に戸惑う市民、観光客もいる。宮城県仙台市から観光で訪れ、JR函館駅に着いた女性(58)は「多くの警察官がいて物々しく、少し緊張した。サミットが始まるので仕方がないですが…」と話していた。(水沼幸三)


◎太陽の光で輝くイルミネーション展示…未来大
 北海道洞爺湖サミットに合わせ、公立はこだて未来大(中島秀之学長)の3年生8人がエネルギー問題をテーマにしたプロジェクト学習「函館ルミナート」に取り組んでいる。市民への啓発活動として、6月30日には京都のアーティストによる太陽電池パネルを使ったイルミネーション作品の展示、学生による調査発表のパネル展が同大で始まった。いずれも11日まで。

 同大は2005年度から2年間、科学技術や光学研究を生かした地域貢献として同学習を実施。エコロジー(人間生活と自然との調和)の観点から市民に電気の無駄などを考えてもらおうと本年度、活動を再開した。12月に学生の最終報告を予定している。

 イルミネーション作品は、京都市立芸術大の砥綿正之准教授(49)と京都嵯峨芸術大の松本泰章教授(同)が制作。太陽電池パネル4枚が入った鏡面ガラス(高さ2200センチ、横幅72センチ、厚さ9センチ)を同大前庭に立て、周囲に設置した36個のクリスタル型LED(発光ダイオード)がその電力で光る。太陽光の向きなどで光量が変化する仕組みで、砥綿准教授は「ささやかな光を感じて」、松本教授は「写真では伝わらない光を体験してほしい」と話す。

 一方、学生のパネル展は7つの発電方法の仕組みや二酸化炭素排出量などを紹介。プロジェクトリーダーの西裕子さん(20)は「エネルギーの大切さを感じて」とPRする。問い合わせは同大TEL0138・34・6133。(新目七恵)


◎ガソリン180円台へ…駆け込み給油 月末恒例に
 原油価格の高騰で7月から石油元売り各社が卸売価格を引き上げるのに伴い、函館市内のガソリンスタンド(GS)では30日、駆け込み給油で混雑する光景が相次いだ。多くの給油所が10円前後の値上げに踏み切るとみられ、レギュラーガソリンの販売価格は1リットル当たり180円台に突入する見通し。3カ月連続の大幅値上げで、駆け込み給油も月末恒例に。家計への負担は一層大きくなりそうだ。

 この日、JR五稜郭駅近くのセルフ式給油所では、平日にもかかわらず午前中から車列が途絶えず、1000円分など少量を給油する客が目立った。5リットル分の給油に訪れた市内の主婦(55)は「少しでも安い店を探して来た。10円の値上げでも家計への打撃は大きく、毎月の値上げに付き合わされるのはもううんざり」とため息を漏らす。

 市内でGS5店舗を展開する業者は1日の開店と同時にレギュラー1リットル当たりセルフ式で179円台、フル式で182円台に値上げする見込み。同店は「量販店は他店の動向を見て値段を変えるところが多いのでは」と話す。

 同じく1日からの値上げに踏み切る別の販売店は、フルサービスでレギュラーの販売価格が180円を超える見通し。同店は「最近はお客さんの方が値上げに敏感。毎月末になると駆け込み給油で混雑するのが当たり前になった」という。管外に本社のある市内のセルフスタンドでは30日、店の従業員を通常より増やして利用客の対応に当たっていた。

 このほか、北海道電力(札幌)も原油高に伴い、7―9月の電気料金を値上げ。原油価格の上昇に連動した「燃料費調整制度」に基づく措置で、標準家庭(1カ月30アンペア・260キロワット時)では1カ月当たり68円の値上げとなる。(森健太郎、宮木佳奈美)


◎採血器具使い回し 函館でも138人
 微量採血器具のキャップの使い回しが函館市内でも行われていたことが、30日分かった。市立函館保健所の発表によると、函館市と合併する前の旧椴法華村で96人、旧南茅部町で42人の計138人に上り、市は今後、特定可能な対象者に肝炎検査を受けるよう勧める。

 この採血器具は主に血糖値測定に使われ、針と針の保護部分は毎回交換するが、これをさらに保護するキャップ(先端カバー)の部分をアルコール消毒して複数人に使用していた。針を交換しても周辺に付着する血液から肝炎の感染が否定できず、厚生労働省からの調査要請を受けて調べた。

 使い回しがあったのは、旧椴法華村では1998―2004年度に実施した村民ミニドック結果説明会、定例健康相談、庁内健康相談、村民文化祭健康相談、糖尿病個別健康教室。03、04年度対象者35人は特定可能だったが、98―02年度の61人は特定できなかった。

 旧南茅部町では97、01、02年度の高脂血症予防教室で、02年度の18人は特定できたが、97、01年度の24人は特定不能だった。

 同市では無料で肝炎検査を受けることができるため、各地の支所などで心当たりの人への検査を勧める。対象者に対しては、市立恵山病院で7月8日午前8時15分―午後4時45分、市立南茅部病院で同10日午後2時―3時に出張肝炎検査を実施する。詳しくは同保健所東部保健事務所TEL0138・86・3033。(小泉まや)


◎店に新風 砂の書道…やきとりBAR「蔵」2階をギャラリーに
 函館市万代町14のやきとりBAR「蔵」(横尾孝志代表)は21日から、2階スペースを市内の書道家櫂(かい)さん(43)に提供し、ギャラリーとして開放する。櫂さんは砂を使ったオリジナルの書道作品を制作しており、オープンを前に、5日午後5時からは市内のDJと“書と音楽の融合”を目指したパフォーマンスイベントを同店2階で開く。櫂さんは「書の楽しさを知ってほしい」と参加を呼び掛けている。

 櫂さんは東京や道内各地で書の個展や指導活動などを続け、函館に拠点を構えた2005年ごろから「型にはまった書道から抜け出したい」と、「砂の書」制作に取り組み始めた。3月ごろに古い蔵の雰囲気を生かした同店を訪れ、「書のイメージと店の雰囲気が合っている」と作品を提供。6点を店内に飾ったところ好評で、横尾代表(48)が2階スペースの使用を持ち掛け、ギャラリーの開催が実現した。

 砂の書は、透明なアクリル板などに墨汁の濃縮液で文字を描き、その上に砂をのせる。背景に和紙やガラスなどを用い、「砂のきらめきや立体感を生かした影などで作品を総合的に創り出す」(櫂さん)という。

 「墨砂」と銘打った5日のプレイベントでは、音楽にのせて櫂さんが一畳分の大きさの作品を即興で制作したり、一般参加による「競書」も予定(入賞者には蔵の食事券を用意)。午前零時まで飲み放題のチケットは前売り3000円、当日500円増し。

 横尾代表は「作品が並び店内に生気が入り、高級感も加わった。ぜひアートに触れてほしい」と話し、櫂さんも「パフォーマンスは感性と感性のぶつかり合い。食事と一緒に作品を見て楽しんで」と話している。問い合わせはイベントプロデュースの杉村正人さんTEL090・7644・2316。(新目七恵)


◎26日に駒ケ岳登山実施
 【森】函館市と森、七飯、鹿部の3町で構成する駒ケ岳火山防災会議協議会(会長・湊美喜夫森町長)と、駒ケ岳自然休養林保護管理協議会(同)は、登山規制中の駒ケ岳を登る「火山勉強会」の日程を決定した。実施は26日で、各市町50人ずつと市町外の50人計250人を募集。公平性を保つため、ことしから申し込み多数の場合は抽選とする。

 同山は1998年10月から入山規制を敷いている。2001年の火山性微動以降目立った活動はなく、登山愛好家らの声に応え、火山活動などを学ぶ勉強会という形で昨年7月、9年ぶりに一般開放された。ことしも6合目から馬の背まで約1キロを登山し、学識者による火山のメカニズムや火山観測施設の説明を受けながら、山頂約1キロを巡り、96年南火口列や明治火口、昭和4年火口を見学する。

 参加費は保険代や諸費用として500円。小学生以上(小学生は保護者同伴)が参加可能で函館市民、七飯、鹿部、森の3町民は各自治体に申し込み、他の住民は森町に申し込む。希望者は10日から16日まで各自治体窓口、ファクス、電子メール、はがきで申し込む。1回の申し込みで3人まで受け付ける。登山決定者には別途詳細を通知する。(笠原郁実)


◎医療関連の図書充実…函病内に患者情報室「フォンテ」開設
 市立函館病院(吉川修身院長、港町1)は1日、患者と家族に病気や治療方法の情報を提供する患者情報室「フォンテ」を院内に開設する。従来の「やさしい医学書コーナー」を移設、リニューアルし、スペースや開設日を拡大。医療関連の図書を充実させ、インターネットを配備した。新たに看護師も配置し、利用者の相談にも応じる。

 治療への不安解消や、患者・家族と医療者の情報共有などを目的に、同病院は2005年6月から医学書コーナーを設置。図書の充実、開設日数や時間の延長を要望する利用者の声を受け、外来患者も利用しやすい1階の旧医療連携室に場所を移した。同病院は「利用者が知りたい情報にたどり着ける場とし、看護師の配置が相談を受けるきっかけづくりにもなれば」と期待する。

 蔵書は、がんや糖尿病などの病気に関する図書が300冊、体の仕組みなどをテーマにした子ども向けの図書や一般の絵本が200冊。同病院の入院案内や疾患別の治療の流れなどを説明する資料も用意した。このほか、インターネット用のパソコンを2台、医療関連のビデオやDVDソフトを視聴するテレビも備えた。

 部屋は従来の約3・5倍の広さの約30・3平方メートル。開設日は週2回から月―木曜の週4回に増やし、図書館司書の丸山泉さん(51)か看護師の高橋萬里さん(60)が常駐する。外来患者も利用できるが、図書の貸し出しは入院患者とその家族に限る。午前9時から午後3時まで(正午から午後1時までは昼休み)。

 問い合わせは同病院庶務課TEL0138・43・2000(内線4203)。(宮木佳奈美)