2008年7月13日(日)掲載

◎科学おもしろ実験室、模型づくりに挑戦
 子どもたちに理科の楽しさを知ってもらう「科学であそぼ『おもしろ実験室』」(北電函館支店主催)が12日、函館駒場小(伊勢昭校長)などで開かれ、函館市内の小学生らが薬品を使った化学変化や燃料電池自動車の模型づくりに挑戦した。

 北電が全道各地で行っている地域貢献事業の一環で、道南地区では今年で11回目。7月下旬までに函館のほか、北斗、八雲、木古内、江差の計5カ所で出前講座が開かれる。函館ではこの日、一般公募した市内の小学5、6年生47人が参加した。

 市内の小学校教諭でつくる市小学校理科研究会(碇幸信会長)のメンバーが講師を務めた。児童らはテーマ別に2教室に分かれ、薬品を使って水溶液の性質や色の変化を確かめたり、フィルムケース型の燃料電池を電源に模型自動車を走らせたりと、実験や工作を通じて理科の面白さを学んだ。

 参加した函館柏野小6年の布川亮(たける)君は「学校の授業より分かりやすく電気の仕組みを知ることができて面白い。工作は少し難しいけど、できた時の達成感がいい」と笑顔だった。12日午後からは、北斗市の久根別小でも「表面張力のふしぎ」と題した教室が開かれた。(森健太郎)


◎函館写真協会が解散
 函館写真協会(川村明雄会長)は11日、北斗市で臨時総会を開き、協会の解散を決めた。所属団体や会員の高齢化、時代の流れにより新規会員の発掘が困難となり、協会の存続が厳しくなった。北海道における写真発祥の地・函館で、50年以上も地域の写真文化の普及、発展に尽力してきた協会の解散に、川村会長(62)は「協会の灯は消したくなかったが、組織運営が難しくなった」と話している。

 同協会は1955年6月1日の「写真の日」に、市内や近郊の企業の写真クラブやグループなどの団体で結成。同年の加盟は20団体で、会員は434人、ピーク時は30団体以上が加盟し、年に1度、合同写真展、公募写真展のほか、プロの写真家を招いた講習会を開くなどし、道南の写真愛好家のすそ野を広げ、写真技術のレベルアップを果たしてきた。70年には長年の活動が評価され、函館市文化賞を受賞した。

 1994年には加盟団体が16、会員数は118人に減った。吉江和幸副会長(64)は「一眼レフカメラの機能が向上し、多種多様なコンパクトカメラが登場したこのころから、芸術として奥深さを追求しようとする考えを持つ人が少なくなり、楽しく自分が満足できれば良いとする人が増えてきた」と話す。

 さらにこの数年、カメラはデジタル化が進み、誰でも簡単に撮影、プリントができるようになり、市内でも女性だけの写真サークルなどが増えてきた。協会では入会を勧めたが、「写真は余暇として楽しむだけにしたい」などと断られ、新規会員の増加にはつながらなかった。川村会長は「協会としてデジタルカメラの講習会を開くなど、新しい波に乗る必要があったかも」と話す。

 会員の減少、高齢化は加速し、昨年度の会員は7団体4個人の計72人まで減った。事業は公募展、合同展のみ。高齢化で組織運営を担える人が減ったほか、若いころにあった写真への熱い情熱も少なくなり、写真文化の高揚を目指す会としての意義が問われた。吉江副会長は「この数年、なんとか協会に活気を取り戻そうとしたが、名案は出なかった」と振り返る。

 4月に本年度の通常総会を開いた際、川村会長の留任は決まったが、道写真協会の仕事で多忙な吉江副会長が辞任を申し出て、後任が決まらなかった。5月の臨時総会でも副会長が決まらず、協会の存続は難しいとされた。

 11日に再び行われた臨時総会では、初めに会の存続について採決したところ「解散」とする団体が6、「休会」が1で、53年の歴史を閉じることが決まった。個人会員の松村幸平さん(75)は「高齢化という時代の流れでやむを得ないのだろうが残念」と語り、川村会長は「カメラを持つ人が増えている限り、協会は再開し、写真文化が盛り上がる日が来てくれるだろう」と話している。(山崎純一)


◎「市民のためのがん治療の会」医療講演会
 がん患者を支援する市民団体「市民のためのがん治療の会」(本部・東京都国立市、會田昭一郎代表)の医療講演会が12日、市立函館病院(函館市港町1)で開かれ、市民ら約200人ががん治療の現状について理解を深めた。

 同会は、放射線治療で舌がんを克服した會田代表が「最適な治療方法、専門医を見つけるためのシステムを作りたい」と、がん治療の専門医らに呼び掛け、2004年に発足。全国各地でがん治療にかかわる講演会を開いており、函館での開催は初めて。

 同会の創立メンバーの1人で、北海道がんセンター(札幌)の西尾正道院長をはじめ、市立函館病院の医師らがそれぞれの立場でがん治療の現状や提言などを述べた。

 西尾院長は、がんを根治しても、再発や転移する可能性があることを示したうえで、「がん治療は最初が肝心。がんが発症した場合、専門医の適切な治療を受けてほしい」と呼び掛けた。また、国内のがん対策の問題点にも触れ、「医師不足の中で低医療費政策が続けば医療現場は崩壊する。将来、安心した医療が受けられるよう、国民が声を上げていく必要がある」と述べた。

 同病院の喜多村圭放射線治療科科長は放射線治療の現状について解説し、「コンピューター制御された装置でがん病巣に正確に放射線を照射できる。痛みや負担も少なく、体の機能や形態を温存しながら社会復帰できる」と効力を強調。ただ、がん治療先進国の米国では放射線治療の利用率は高いのに対し、国内では外科医による手術が主流で、放射線治療は低い状況。喜多村科長は「専門医が500人程度しかいない。放射線治療に対する誤解もあり、周知を進めていく必要がある」とした。

 2年前に咽頭(いんとう)がんを患い、西尾院長の治療で克服したという函館市内在住の大坂晴義さんが闘病時を振り返り、「放射線治療を30回受けたが、苦痛はなかった」と話した。(鈴木 潤)


◎【インサイド】支庁廃止地域、国道指定失う可能性
 【江差】道の支庁制度改革をめぐり、国道の指定要件を定めた道路法改正をめぐる議論が再燃する気配を見せている。開発局幹部は、道路法を改正しなければ、支庁が振興局に格下げされる地域では、一部の国道が国道でなくなる可能性があると指摘。桧山管内などの支庁廃止地域は国と道の議論に神経をとがらせている。(松浦 純)

 道路法の議論が浮上したのは、昨年12月の定例道議会。同法は国道の指定要件として、都府県庁所在地のほか、本道では支庁間を連絡する道路であるとしている。桧山管内などの支庁廃止地域は「国道が指定解除される」との懸念が高まっていた。

 昨年の道議会でも、与野党双方の議員が道の見解をただした。道は「支庁所在地の位置付けが変わっても、国道指定は解除しないと国交省から電話で回答があった」と答弁。一部議員は「重要な問題を電話で片付けてよいのか」と追及した。桧山支庁でも各町の問い合わせに「振興局は支庁と同等の組織で問題ない」と説明していた。道によると“支庁”の用語を含む法政令は30件前後ある。道議会議員の選挙区を支庁単位と定めた公選法などは改正が必要になる。

 ところが、6月28日に道議会で可決された「総合振興局設置条例」(施行日未定)は、総合振興局を支庁、振興局を支庁出張所と位置付けた。ある自民党道議は「出張所の文言は条例提案まで説明がなかった」と打ち明ける。条例可決後、複数の開発局幹部が条文にかみついた。「出張所なら道路法改正が必要。放置すれば国道の指定要件を失う。大問題になる」と指摘する。

 また、国の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は5月末、道への権限移譲に関連して、開発局が維持管理する国道(約6550キロ)のうち、15%程度(約980キロ)を道に移管すべきと福田康夫首相に勧告。しかし、維持管理費や新たな道路改良に必要な財源の移譲は不透明だ。「国道の要件を欠く道路は真っ先に移管される。道は深刻な財政難。道路改良もままならない」(ある建設業者)。開発局廃止論が高まる中、国道移管をめぐる議論が加速するのは必至だ。

 函館市と江差町の間には国道227号がある。檜山南部を中心に期成会を組織。目前に迫る、北海道新幹線開業を見据えた管内からのアクセス改善策として、道路改良やトンネル新設を国に要望している。ある町の幹部は「この重要な時期に国道指定が外れたらどうするのか。道の答弁を信じて本当に大丈夫なのか」と懸念する。

 江差町の関係者も「地方分権や公選法の問題など、国と道のすり合わせが不十分な証拠だ」と指摘している。


◎26、27日「Sea Sweets HAKODATE」菓子店 最多の14店参加
 海の日記念事業「はこだてマリンフェスティバル2008」の一環として、26、27の両日に東日本フェリーターミナル(函館市港町3)で開かれるイベント「Sea Sweets HAKODATE(シー・スイーツ・ハコダテ)2008」に出店する菓子店が決まった。5回目となる今回は、同市内・近郊から過去最多の14店舗が勢ぞろい。同イベントでしか購入できないオリジナルケーキが、各日約900個販売される。

 同イベントは毎回、開始時間前から行列ができ、ケーキ発売から数時間で売り切れるほどの人気。ことしは開催会場を変更することになったため、販売体制の強化を図り、同市内・近郊の人気店14店舗が賛同した。ラインナップはケーキ店だけでなく、和菓子店、パン店も含まれる。

 主催する「海の日を祝う会」(会長・高野洋蔵函館商工会議所会頭)によると、参加店は「海」をテーマにした商品開発を進めている。当日に販売するケーキは、店舗では取り扱っていない同イベントのオリジナルで、各店が一日あたり50―100個を一律350円で提供する。このほか、会場にはバーやフードの屋台、花屋が出店するほか、地元のアマチュアバンドによるライブも予定している。

 同会は「これだけの豪華なメンバーが一堂に会するのは珍しく、数量もそろえているので楽しんでもらえるはず」と話している。問い合わせは、同会事務局(市港湾空港部管理課内)TEL0138・21・3493。

 出店業者は次の通り。

 チッチョ・パスティッチョ、シュウェットカカオ、パティスリーアキラ、アンティカ・オステリア・デル・アルバ、パティスリーばら苑、オールドニューカフェ、ロマンティコロマンティカ、ペシェ・ミニョン、スナッフルス、ロワジールホテル函館、ブランミー、ドゥ・ランコントゥル、遥し乃(はるしの)、神戸こむぎ館 (浜田孝輔)