2008年7月15日(火)掲載

◎木古内鶴岡小駅清掃に感激、元車掌の荒井さんが鉄道グッズ学校に展示
 【木古内】木古内鶴岡小学校(上平敏和校長、児童17人)の児童たちは、校舎隣にあるJR江差線「渡島鶴岡駅」の待合室のボランティア清掃を1964年から続けている。この活動が「鶴岡小の伝統」として函館新聞などで紹介されて以来、同校には地域住民らから子どもたちの努力をたたえる声が相次いで寄せられている。同線の車両に車掌として乗っていた函館市内の元国鉄職員、荒井幸生さん(75)もその一人。感謝の気持ちを伝えようと、自身が収集した鉄道関連グッズ約5000点を持ち込み、同校ロビーで展示会を開き、子どもたちと交流している。(田中陽介)

 同駅待合室は1964年に地元有志が駅利用者の休憩所にと設置。当時の同校児童が設置直後から清掃活動を始めた。現在でも毎週木曜日の放課後になると子どもたちがぞうきんやバケツなどを手に駆け付け、約30分間かけて丁寧に掃除する。一連の活動が評価され、1980年に旧国鉄道総務局長から奉仕活動の感謝状を受けている。

 こうした活動を報道で知った荒井さんが展示会を企画した。上平校長は「皆さんからの励ましの言葉が何よりも子どもたちのプラスになる。やる気と成長を支えてもらっている」と話す。

 荒井さんは1953―63年、同線で車掌として勤務していただけに、子どもたちの活動に感謝する気持ちは人一倍強い。来校時には上平校長とともに待合室を訪れ、同室内の大学ノートに記された「皆が掃除してくれるからいつもここはきれい。ありがとう」「こういう駅がもっと増えればと思う。これからも頑張って」といった利用者の声も確認し、あらためて感動したという。

 作品展は、国鉄勤務時代から趣味で集めた鉄道関連品の一部。青函連絡船入浴券や巨人軍の王貞治選手ホームラン世界記録達成記念乗車券など貴重な品がずらり。荒井さんは児童一人一人に収集品の中の記念カードをプレゼントした。休み時間になると、展示場所に子どもたちが集まってくる。上平校長は「好きな子はずっと見ている」と笑う。

 6年生の松田健太郎君(12)は「昔の雰囲気と汽車の歴史を学ぶことができる」、福田早妃さん(11)は「昭和の記念乗車券は独特の色がきれい」と目を輝かせる。荒井さんは「子どもたちの活動は本当に立派。今後も鶴岡小を応援していきたい」と話している。

 展示は23日までで、一般にも開放している。問い合わせは同校TEL01392・2・4366。


◎五稜郭と西部地区にホテル2軒同時オープン
 函館市内で14日、観光客向けのビジネスホテル「ホテルグランティア函館五稜郭」(本町11)と、旧ホテルJALシティ函館を大幅改修したホテル「チサングランド函館」(宝来町22)が相次いでオープンした。本格的な観光シーズンを迎える中、市内の宿泊施設の集客競争は一層激しさを増しそうだ。

 ホテルグランティアは全国ビジネスホテルチェーンのルートインジャパン(東京)が展開する主に観光客向けの上位ブランド。道南では2005年の「函館駅前」(若松町21)に続く2店目となる。ルートイン全体では全国204カ所目。

 客室数は市内最大級の250室、収容人数は420人。パートを含む従業員約50人は9割を地元採用した。14階建ての最上階には「函館駅前」の天然温泉を運び込んだ展望大浴場を備える。延べ床面積は約7900平方?、駐車場は立体を含め124台を収容できる。総事業費は23億5000万円。

 11―13階の客室はスタンダードタイプより家具の色調を重厚な趣にしたり、鏡を大きくしたりと、女性客も意識した「コンフォートタイプ」となっている。同社の永山泰樹副社長は「立地条件に合わせ、お客様の選択肢を増やして利便性を高めた。価格競争ではなく付加価値での店舗運営をしていきたい」と話す。初年度は年間稼働率70%、売上高約6億円を目指す。7月末まではシングル1泊5000円のキャンペーンを実施している。

 一方、チサングランドは外資系ホテル運営会社ソラーレホテルズアンドリゾーツ(東京)が、宿泊特化型のホテルブランドとして全国5軒目の開業。4月下旬に閉鎖した「JALシティ函館」をソラーレ社グループが買収し、客室を中心に約3億円かけて改装した。

 地上12階地下1階で総客室数は136室。1階には函館を題材にした図書を閲覧できるコーナーを設け、宿泊客の観光に役立ててもらう。客室稼働率として82―85%、年商で4億2000万円を目標に掲げる。

 同社は、ロワジールホテル函館(旧函館ハーバービューホテル、若松町14)を昨年3月下旬に傘下とし、同市昭和4にも「チサンイン函館インター」の出店準備を進めている。同社の沖浩幸副社長は「それぞれに性格の違うラインナップがそろうことで、国内外の新たなマーケットを狙い、函館の主要産業である観光の振興に貢献していきたい」と話している。(森健太郎、浜田孝輔)


◎知内しおさい園の三澤さんが思い出のバスを水彩画で表現
 【知内】知内町重内の高齢者総合福祉施設「知内しおさい園」(吉田多加嘉園長)のケアハウスに入居する三澤キサさん(77)は、趣味の水彩画で同施設の利用者や職員らの目を楽しませている。昨年11月に“引退”となった同施設のバス「ほのか号」を写実的に仕上げた最新作は、ち密さが際立ち、関係者も「写真のようで、いまにもエンジン音が聞こえてきそう」「乗ったときのわくわくした気持ちを思い出す」と絶賛する出来栄え。絵としてよみがえった「ほのか号」は大人気で、三澤さんは「喜んでもらえるとうれしい」と話している。(田中陽介)

 三澤さんが絵を描き始めたのは知内に来た9年前。「ふと目にした野菜や花が鮮やかで、絵にしてずっと見ていたいと思ったのがきっかけ」という。以来、独学で技術を磨き、3年前からは同施設内のサークル「楽遊会」で八雲町在住の墨絵家天野純男さんに師事している。

 ほのか号は1993年の同施設開園から約15年間、利用者の交通手段として活躍し、「ほのか」の愛称で親しまれてきた。

 昨年11月、ほのか号の引退を耳にした三澤さんは「たくさんの感動と思い出を形として残さなくては」と作品づくりを決意。「奥尻旅行のときは本当に楽しくて、高い窓から眺める景色はきれいだった」と、自身が乗ったときの思いをたどり、写真を見ながら筆を動かした。

 「この絵はすごくすてき。思い出がいっぱい乗っているもの」と、サークル仲間で職員の松山和史さん(32)の言葉などを励みに、4カ月かけて仕上げた。

 施設利用者の家族らに配布される「しおさい園だより6月号」では、「ほのかありがとう」と銘打ち、この作品を掲載。同施設2階の廊下の壁にも展示され、ほのか号をたたえる記念品として同施設への贈呈も決まった。

 吉田園長は「しおさい園の財産としてずっと大事にしたい。ほのか号は写真などの記録がほとんど残っていないので、今回の寄贈は本当にありがたい」と感謝している。


◎全国一斉休漁に合わせ渡島地区漁民大会
 渡島管内の14漁業協同組合で構成する渡島管内漁業協同組合長会(山崎博康会長)は、15日に予定している全国規模の一斉休漁に合わせて、同日午前11時から函館市豊川町11の北海道漁連函館支店で「漁業経営危機突破渡島地区漁民大会」を行う。燃油価格高騰で危機的状況に追い詰められている漁業者の現状を、一致団結して強くアピールする。

 この日は東京の日比谷野外大音楽堂で3000人規模の全国漁民大会が予定されており、渡島管内からも各漁協幹部ら20人が出席。これに連動した渡島地区大会には約140人の地元漁業関係者が顔をそろえ、漁業者自らが窮状を訴えるとともに、有効な緊急対策を講じることを国に求めてシュプレヒコールする。

 函館市水産物地方卸売市場によると、最盛期を迎えているマイカ漁は前日深夜に出漁するため、休漁によりせりが休止となるのは16日早朝。市内の漁業関係者は「マイカに関しては6月にも2日間の休漁を経験しており、今回は1日だけなので影響は少ないと思うが、このような手段に訴えざるを得ない厳しい現状を理解してほしい」と話している。

 15日はひやま漁協も休漁する。 (小川俊之)


◎国際民俗芸術祭ワークショップの参加者募集
 「はこだて国際民俗芸術祭2008」(8月19―24日)の組織委員会(イアン・フランク委員長)は、開催期間中に6日間にわたって函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で行うワークショップの参加者を募集している。日替わりでインド、ネパール、韓国など6カ国の舞踊団員らが講師となり、各国の民俗芸能を体感してもらう。(新目七恵)

 同芸術祭は、国内外11の民俗芸術団体が同市内で多彩なステージを繰り広げるもので、本年度初めて企画した。ワークショップは18―23日に行われ、講習料は1000円で事前申し込みが必要。対象は小学生以上、定員は各日先着30人。

 組織委ではイベント趣旨に賛同する「市民スポンサー」も募集中。1枚1000円の「市民スポンサー・パス」を作成し、売り上げを運営費に活用する計画だ。スポンサーは、最終日に函館市民会館(湯川町1)で行う特別公演(チケット当日2000円)が無料になるほか、各種特典付き。限定1000枚。

 また、イベント開催期間中にボランティアとして参加する高校生以上のスタッフも募っており、同組織委は「英語ができる人は大歓迎」と呼び掛けている。ワークショップや市民スポンサーなどへの問い合わせ、申し込みは事務局のヒトココチTEL0138・51・5727。


◎函館空襲慰霊祭、犠牲者のめい福祈る
 函館空襲の第20回慰霊祭(函館空襲を記録する会主催)が14日、函館市船見町の称名寺で開かれた。遺族や関係者など13人が参列。1945年7月14、15日、函館市の西部地区などを襲った函館空襲の犠牲者、北海道上空で亡くなった米国兵士のほか、同会の浅利政俊代表の調査で明らかになったばかりという恵山岬沖で撃沈した海防艦船員193人の霊を慰め、地域の悲しい事実を後世に伝え、風化させない決意を新たにした。(山崎純一)

 慰霊碑の碑文が朗読された後、同寺の須藤隆仙住職が読経する中、参列者は焼香した。浅利代表は追悼の辞として「私たちは戦争で亡くなった人から、人、自然、地球の命を大切にせよと教えを受けている。この3つの命を守るため戦争を起こさないことを誓う」と述べた。

 引き続き、浅利代表が恵山沖で撃沈された第219号海防艦の乗組員全員の名前を読み上げ、本道の海上、船団の防衛の任を果たした人たちに感謝を表し、めい福を祈った。浅利代表は「海防艦に関する事実など、函館空襲で亡くなった人数などを正しく後世に残す必要がある」と話していた。

 これまで旧戸井町史に15日、瀬田来(せたらい)沖を航行中の海防艦が艦載機により撃沈されたことが記されていたが、浅利代表が6月に防衛省、海防艦顕彰会などに電話で調べたところ、艦は第219号艦であり、長崎県佐世保を出港、恵山岬の東から41・7キロの海上で撃沈したことが分かったという。

 浅利代表は同顕彰会からの紹介を受け、同船の船員で17歳の若さで亡くなった海軍水兵長福田秀雄さんの兄で、東京在往の福田政夫さん(85)から届いた同船の資料を公開した。浅利さんは「同顕彰会は6月末で解散したという。ぎりぎりの調査だった」と話していた。


◎福島で秋の花コスモス咲く
 【福島】、福島町三岳32の国道228号沿いに、秋を代表する花のコスモスが咲き、「この時期に珍しい」と地域住民の話題になっている。夏の青空に一輪の淡い桃色の花びらが映えている。 コスモスはキク科コスモス属で、秋桜(アキザクラ)とも呼ばれる。咲いた花は高さ30?ほどで、10個近くのつぼみがある。

 現場は青函トンネル記念館近くの松前署福島交番前の路上。車道と歩道のすき間からヒョコッと伸びている。吉澤園芸店(木古内町本町57)の吉澤徹店長によると、コスモスは自生繁殖に優れた特徴があり、「昨秋、咲いた花の種がどこからか飛んできたのでは」とし、「早い種類だと7月ごろから咲くものもある」という。

 福島小3年の鳴海優介君(9)は「まだ秋が来ていないのに咲いているからびっくり。お母さんに教えたい」と声を弾ませていた。(田中陽介)